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Claudeで養護教諭の健康診断を集計する — 未受診者と要精密検査を洗い出す手順

Claudeで養護教諭の健康診断を集計する — 未受診者と要精密検査を洗い出す手順

児童生徒の健康診断結果を匿名化したうえでClaude for Excelに渡し、学年別の未受診者と要精密検査の対象を洗い出し、保護者向け通知の雛形まで作る手順です。

健康診断の結果が学校に戻ってくると、養護教諭の机には検診機関や学校医の結果票が積み上がります。そこから、学年ごとの未受診者、要精密検査の児童生徒、保護者へ通知する対象を拾い出すのが、集計の中心です。

この作業はClaude for Excelに向いています。ただし、渡してよいのは氏名を外した作業用の表だけです。本記事は、匿名化した表を作り、未受診と要精密検査を抽出し、保護者向け通知の雛形を作るまでを順に示します。

氏名を渡さずに集計するには、何を外して何を残すのか

Claude for Excelは、開いているブックについて質問し、並べ替えやフィルタ、ピボットテーブルの編集を直接頼めるアドインです。Pro、Max、Team、Enterpriseのプランで使えます。

一方で、使用上の制限として、機微な情報や規制対象の情報を含むモデルを適切な統制なしで扱うことは勧められていません。児童生徒の健康診断結果は、この「機微な情報」に当たる典型です。

そこで、集計用の表から本人が分かる列を外します。残すのは、集計に必要な列だけです。

列扱い理由
氏名・ふりがな・保護者名扱い外す理由本人が直接分かる
生年月日・住所・電話番号扱い外す理由集計に使わない
学年・組扱い残す理由学年別の集計に使う
出席番号扱い外す理由学年・組と合わせると本人が分かる
作業ID扱い新しく付ける理由校内の対応表でだけ本人に戻せる
検査項目ごとの区分扱い残す理由受診状況と判定の集計に使う
所見の自由記述扱い外す理由病名や家庭の事情が書かれうる

出席番号を外すのは、学年と組が残るため、番号を足すと一人に絞れるからです。所見の自由記述も同じ理由で外し、学校医の判定を「異常なし」「要受診」「要精密検査」のような区分に直した列だけを渡します。

作業IDの付け方と対応表の置き場所

作業IDは、並び順から推測できない形にします。元の名簿の順に連番を振ると、名簿を見た人が元に戻せてしまうためです。

手順

作業用ブックの作り方

  1. 1

    元の表をコピーする

    校内の端末で、元の集計表を別名で保存します。以降の作業は、このコピーだけで行います。

  2. 2

    並び順を崩す

    空き列に=RAND()を入れ、値として貼り付け直してから、その列で並べ替えます。

  3. 3

    作業IDを振る

    並べ替えた順にK001、K002と振ります。元の表の氏名と作業IDの対応表は、別のブックに保存します。

  4. 4

    本人が分かる列を消す

    氏名、出席番号、生年月日、保護者名、所見の自由記述の列を作業用ブックから削除します。

対応表のブックは、Claude for Excelを起動した状態で開きません。アドインは開いているブックを対象にするため、対応表を別の場所に閉じておけば、そもそも渡る経路がなくなります。

入力してよい範囲は、設置者の情報セキュリティの規程が先に決めます。考え方は要配慮個人情報の入力と、学校での扱いを整理した文科省の生成AIガイドラインver2.0を学校のClaude導入にどう活かすかにまとめています。

集計表の列は、施行規則の検査項目に合わせる

集計の列は、学校保健安全法の施行規則に合わせると、あとで説明に困りません。第6条は、健康診断の検査項目を次の11個と定めています。

  1. 身長及び体重
  2. 栄養状態
  3. 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無並びに四肢の状態
  4. 視力及び聴力
  5. 眼の疾病及び異常の有無
  6. 耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の有無
  7. 歯及び口腔の疾病及び異常の有無
  8. 結核の有無
  9. 心臓の疾病及び異常の有無
  10. 尿
  11. その他の疾病及び異常の有無

すべての学年で全項目を行うわけではありません。結核の検査は、小学校と中学校の全学年、高等学校と高等専門学校の第1学年、大学の第1学年で行います(第6条第3項)。小学校の第4学年と第6学年、中学校と高等学校の第2学年などは、聴力を検査項目から除くことができます(同条第4項)。

「除くことができる」は、学校の判断で省いてよいという意味です。そのため、未受診の集計では、学年と項目の組み合わせに「受診」「未受診」「対象外」の3つを持たせます。対象外を空欄にすると、未受診と区別がつかなくなります。

入力ミスを防ぐには、区分の列にデータの入力規則でドロップダウンを作ります。この操作はClaude for Excelに直接頼める操作の一つです。

区分の列(視力・聴力・尿など)に、データの入力規則でドロップダウンを作ってください。
選択肢は「受診」「未受診」「対象外」の3つです。

判定の列も同じ方法で、学校医の判定に沿った選択肢に揃えます。表記ゆれが残っていると、あとのCOUNTIFSが数え落とします。

未受診者を学年別に洗い出す

健康診断は、毎学年6月30日までに行うものとされています。病気などのやむを得ない事由で受けられなかった児童生徒には、その事由がなくなった後、すみやかに行います(第5条第1項)。つまり、未受診の一覧は、後日の追加実施の対象名簿そのものです。

まず、Claudeに表の状態を点検させます。集計の前に、表記ゆれと空欄を洗い出す段階です。

この表の「視力」「聴力」「尿」「結核」「心臓」の列について、
入っている値の種類と件数を一覧にしてください。
「受診」「未受診」「対象外」以外の値や空欄があれば、その行の位置も挙げてください。

値が揃ったら、学年別の未受診数を出します。ピボットテーブルを頼むこともできますが、式で出すと検算しやすくなります。

学年別・項目別の未受診数を、別シートに表で作ってください。
COUNTIFSの式を使い、値の貼り付けにはしないでください。

Claudeが作る式は、次の形になります(公式の例ではなく、この表を想定した一例です)。

=COUNTIFS(作業用!$B:$B, 1, 作業用!$H:$H, "未受診")

B列が学年、H列が視力の区分のとき、1年生の視力の未受診数を数える式です。Claude for Excelの回答には、参照したセルへの引用が付き、クリックで該当のセルに移動できます。式の参照先が意図した列かどうかは、ここで確かめます。

件数が合っているかを検算する

集計表の信頼は、足し算で確かめられます。学年と項目ごとに、次の式が在籍数と一致することを見ます。

受診 + 未受診 + 対象外 = 在籍数

一致しない行は、区分が空欄か、表記ゆれが残っています。合うまで元の表に戻って直します。この検算はClaudeに任せず、人が目で確認するか、別の列に式を置いて差を出します。

未受診者の一覧は、作業IDで出力させます。

未受診が1つでもある行を、作業ID・学年・組・未受診の項目名の4列でフィルタしてください。

作業IDから名前に戻す作業は、校内の端末で対応表を開いて行います。Claudeの画面に氏名が出る場面はありません。

要精密検査と事後措置の対象を抽出する

抽出の基準は、学校医の判定です。Claudeに医学的な判断をさせず、判定の列に入っている区分で絞ります。

施行規則第9条は、健康診断を行ったときの事後措置として、次の9つを定めています。

  1. 疾病の予防処置を行うこと
  2. 必要な医療を受けるよう指示すること
  3. 必要な検査、予防接種等を受けるよう指示すること
  4. 療養のため必要な期間学校において学習しないよう指導すること
  5. 特別支援学級への編入について指導及び助言を行うこと
  6. 学習又は運動・作業の軽減、停止、変更等を行うこと
  7. 修学旅行、対外運動競技等への参加を制限すること
  8. 机又は腰掛の調整、座席の変更及び学級の編制の適正を図ること
  9. その他発育、健康状態等に応じて適当な保健指導を行うこと

学校の現場で言う「要受診」は2番に、「要精密検査」は3番に対応します。表に「事後措置区分」の列を足し、1から9の番号か略称を入れておくと、措置ごとの人数を数えられます。

「判定」列が「要受診」または「要精密検査」の行を、学年別に集計してください。
項目(視力・尿・心臓など)ごとの内訳も別の表にしてください。
判定の列にない値は推測せず、「判定なし」として分けてください。

最後の一文が重要です。判定が空欄の行を、Claudeが「異常なし」とみなして数えると、受診勧告の漏れにつながります。

条件付き書式で、要精密検査の行に色を付ける使い方も有効です。この操作もClaude for Excelに直接頼めます。ただし、色で数える運用にはせず、判定は必ず列の値で持ちます。

結核の検査には、別の決まりがあります。結核発病のおそれがあると診断された者には、おおむね6か月後に再度の検査を行います(第5条第2項)。該当者がいる場合は、再検査の予定日を入れる列を足しておくと、抜けを防げます。結核の有無の検査結果に基づく措置は、学校医その他の医師が決める指導区分に従います(第9条第2項)。

保護者向け通知の雛形をClaudeに作らせる

健康診断を行ったときは、21日以内にその結果を児童生徒とその保護者に通知するものとされています(第9条第1項)。要受診や要精密検査の保護者には、通知に加えて医療機関の受診を促す文書が要ります。

Claude for Excelでは、氏名が入った通知は作りません。作るのは、氏名や数値を差し込む前の雛形です。

保護者向けの「精密検査のお知らせ」の雛形を作ってください。
- 氏名と日付、検査項目名は【氏名】【日付】【項目】のように差し込み用の印を付ける
- 病名を示唆する表現は使わない
- 受診した結果を学校へ知らせる方法の欄を設ける
- 全体を、保護者が読みやすい丁寧な文面にする

出てきた文面を、校長や学校医、設置者の様式と突き合わせます。病名を断定する表現や、受診を強く迫る言い回しが混ざっていないかは、人が読んで確かめるところです。

雛形ができたら、氏名の差し込みは校内の端末で行います。作業IDから氏名への置き換えと、差し込み印刷は、Claudeを使わない工程です。健康診断票は、作成した学校が5年間保存するものとされています(第8条第4項)。通知の控えも、同じ保管の扱いに揃えると管理が一本化します。

検診機関から届いたファイルを開く前に

検診機関や学校医から、結果のファイルがExcel形式で届くことがあります。外部から受け取ったファイルには、AIへの隠れた指示が仕込まれている可能性があります。Claude for Excelのページは、信頼できるスプレッドシートでだけ使うよう求めています。

届いたファイルをそのままアドインで開く運用は避けます。いったん値だけを新しいブックに貼り付け、作業用ブックに合わせて作り直してから使います。危険な操作を提案したときは確認が出ますが、外部のファイルでは特に内容を読んで承認します。

学校の端末で動かないとき

学校のパソコンによっては、アドインそのものが動きません。動かない環境は次のとおりです。

  • Excel 2016と2019の永続ライセンスまたはボリュームライセンス
  • iPadのExcel
  • AndroidのExcel
  • SharedRuntimeの基準を下回る古いMicrosoft 365のExcel

動く環境は、Excel on the web、Microsoft 365契約のWindows版(ビルド16.0.13127.20296以降)、Mac版(バージョン16.46以降)です。校務用のパソコンが古い永続版の場合、アドインは使えません。

マクロとVBA、データテーブルも、非対応の機能です。年度ごとに引き継いでいる集計ブックにマクロが入っている場合は、マクロを使う部分と、Claudeに頼む部分を分けます。

データの扱いにも注意点があります。入力と出力はバックエンドで30日以内に削除され、チャットの履歴はブラウザのIndexedDBにだけ残ります。組織が設定したデータ保持の設定は引き継がれず、Enterpriseの監査ログにも含まれません(Compliance APIを有効にした組織では、セッションがそちらの対象になります)。匿名化を前提にするのは、この仕様も理由の一つです。

まとめ

作業の順番は、匿名化、区分の統一、検算、抽出、雛形の順です。氏名と対応表は校内に残し、Claudeには作業IDと区分だけの表を渡します。

判定を決めるのは学校医で、Claudeは区分で絞って数える役に徹します。未受診と要精密検査の一覧ができたら、通知は21日以内という期限から逆算して作成します。

学校評価アンケートの自由記述など、別の校務の集計は学校評価アンケートの自由記述をClaude for Excelで分類する手順にあります。個人の健診結果の読み方を知りたい保護者向けにはClaudeで健康診断の結果の読み方を整理する手順があります。

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