Claude Fable 5.1とSonnet 5.5の違い — 単価5倍差と選び方
Fable 5.1は$10/$50、Sonnet 5.5は$2/$10で、入出力の単価差は5倍です。既定effortはどちらもhigh。キャッシュ読み取りの差、思考の止め方、データ保持の条件、Opus 5.5を挟まず選ぶ場面を確かめます。
単価は5倍、既定effortは同じ
Claude Fable 5.1とClaude Sonnet 5.5の最大の差は単価です。入力は100万トークンあたり$10と$2、出力は$50と$10で、どちらも5倍開いています。一方、コンテキストウィンドウ(1M)、最大出力(128K)、知識カットオフ(2026年6月)、既定effort(high)は同じです。
2モデルの差が出る数字
入出力単価
5倍
Fable 5.1は$10/$50、Sonnet 5.5は$2/$10
キャッシュ読み取り
2.5倍
Fable 5.1は$0.25、Sonnet 5.5は$0.10
比較上のレイテンシ
Slower / Fast
モデル概要ページの比較表
5倍の単価差に対して、キャッシュ読み取りの差は2.5倍まで縮みます。長いエージェントセッションでは、この縮み方が請求の読み方を変えます。
隣り合うペアは別の記事があります。Opus 5.5を挟んだ比較はFable 5.1とOpus 5.5の違いとOpus 5.5とSonnet 5.5の違いです。ここではFable 5.1とSonnet 5.5を直接並べて、Opus 5.5を経由せずに選ぶ場面に絞ります。
モデル概要ページの比較表で並べる
モデル概要ページの比較表から、2モデルの行を抜き出します。
| 項目 | Fable 5.1 | Sonnet 5.5 |
|---|---|---|
| 位置づけ | Fable 5.1高難度の推論と長時間のエージェント作業 | Sonnet 5.5速度と知能のバランス |
| 入力 / 出力(MTok) | Fable 5.1$10 / $50 | Sonnet 5.5$2 / $10 |
| 比較上のレイテンシ | Fable 5.1Slower | Sonnet 5.5Fast |
| 思考 | Fable 5.1Adaptive(常時オン) | Sonnet 5.5Adaptive |
| 既定effort | Fable 5.1high | Sonnet 5.5high |
| コンテキスト / 最大出力 | Fable 5.11M / 128K | Sonnet 5.51M / 128K |
| 知識カットオフ | Fable 5.12026年6月 | Sonnet 5.52026年6月 |
| 提供終了 | Fable 5.12027年9月1日より前には行わない | Sonnet 5.52027年9月28日より前には行わない |
思考の行は、同じ「Adaptive」でも中身が違います。Fable 5.1は常時オンで、Sonnet 5.5は止められます。詳しくは後の節で扱います。提供先はClaude API、Amazon Bedrock、Google Cloud、Microsoft Foundry、Claude Platform on AWSの5つで、両モデルとも同じです。
単価の開きは、使い方で5倍から約4倍まで動く
料金ページの数字を並べます。
| 項目(MTok) | Fable 5.1 | Sonnet 5.5 | 比率 |
|---|---|---|---|
| 入力 | Fable 5.1$10 | Sonnet 5.5$2 | 比率5倍 |
| 出力 | Fable 5.1$50 | Sonnet 5.5$10 | 比率5倍 |
| 5分キャッシュ書き込み | Fable 5.1$12.50 | Sonnet 5.5$2.50 | 比率5倍 |
| 1時間キャッシュ書き込み | Fable 5.1$20 | Sonnet 5.5$4 | 比率5倍 |
| キャッシュ読み取り | Fable 5.1$0.25 | Sonnet 5.5$0.10 | 比率2.5倍 |
| Batch API入力 / 出力 | Fable 5.1$5 / $25 | Sonnet 5.5$1 / $5 | 比率5倍 |
キャッシュ読み取りの単価は、基本入力単価に対してFable 5.1が0.025倍、Sonnet 5.5が0.05倍です。読み取りだけはFable 5.1のほうが「割引率」が大きく、そのぶん絶対額の差が縮みます。
キャッシュが効かない仕事は、そのまま5倍
1,000リクエストで、1回あたり入力20,000トークン・出力4,000トークンを使い、キャッシュは効かないとします。合計は入力2,000万トークン、出力400万トークンです。
- Fable 5.1: 入力$200 + 出力$200 = $400
- Sonnet 5.5: 入力$40 + 出力$40 = $80
差額は$320で、比率は5倍です。毎回新しい入力を読む単発の分析や文書生成では、単価差がそのまま請求に出ます。
キャッシュ読み取りが大半の仕事は、約4倍
同じプレフィックスを毎ターン読み直す長いエージェントセッションを仮定します。1セッションで、キャッシュ読み取りが1,000万トークン、新規入力が30万トークン、出力が10万トークンだったとします。
- Fable 5.1: 読み取り$2.50 + 新規入力$3.00 + 出力$5.00 = $10.50
- Sonnet 5.5: 読み取り$1.00 + 新規入力$0.60 + 出力$1.00 = $2.60
比率は約4.0倍です。読み取りが多いほど5倍から離れますが、どれだけ多くても2.5倍(読み取りだけの比率)を下回ることはありません。Opus 5.5との比較(約2倍まで縮む)と違い、Sonnet 5.5との開きは大きいまま残ります。
損益分岐は「Sonnet 5.5が5倍のトークンを使うか」
同じ仕事でSonnet 5.5が使うトークンが、Fable 5.1の5倍を超えれば、Sonnet 5.5のほうが高くつきます。5倍未満で終わるなら、Sonnet 5.5が安く済みます。トークン数は計算では出せません。同じeffortにそろえた測定と、それぞれの既定値同士の測定の両方を、自分の評価セットで取ります。
思考の止め方が違う
effortの水準名は両モデルで共通で、low / medium / high / xhigh / max の5段階がどちらでも使えます。会話の途中でeffortを変えるメッセージ単位の指定(ベータ)も、どちらも対応しています。
分かれるのは、思考をどこまで減らせるかです。
思考を減らしたいときの選択肢
Fable 5.1
適応的思考が常にオンです。thinking: {"type": "disabled"} も、budget_tokens 付きの手動指定も400エラーになります。思考を省くには、effortをmediumやlowへ下げるしかありません。
Sonnet 5.5
thinking: {"type": "between_tools"} で、最初の前置き思考を止められます。low・medium・high のeffortで使え、xhighとmaxでは400エラーです。disabled を送ると、between_toolsを案内する400エラーが返ります。
between_toolsを使うと、メッセージ単位のeffort変更は使えなくなります。現在のレベルと異なるoutput_config.effortを送ると400になるためです。ターンごとにeffortを変えたいときは、適応的思考のままにします。
効果として、レイテンシに敏感な分類や短いツール作業では、Sonnet 5.5の単価と速度に加えて「前置き思考を止める」手段まで使えます。Fable 5.1で同じ軽さを求めるなら、effortをlowに落とすことになります。ただしFable 5.1のlowには注意点があります。検索や取得ツールを呼ぶ回数が減り、記憶から答えやすくなるため、最新情報が要る作業では別の手当てが必要です。直し方はFable 5.1のlow effortで検索が減るときの対処にまとめています。
実装で効く共通点と相違点
共通する破壊的変更
両モデルとも、tool_choice に any や tool を指定してツール呼び出しを強制すると、400エラーになります。auto(既定)とnoneは使えます。スキーマに合うJSONが必要なときは、tool_choice: auto のまま strict: true のstrict tool use、または構造化出力へ寄せます。Sonnet 4.6以前から移す場合の確認項目はSonnet 4.6と5.5の違いにあります。
思考ブロックは、どちらへ移しても引き継がれない
思考ブロックには、生成したモデルの情報が記録されます。Fable 5.1の側の記述は「Fable 5.1のブロックを読めるのはFable 5.1とMythos 5.1だけ」です。Sonnet 5.5の側は「Sonnet 5.5のブロックを読めるのはOpus 5.5だけ(Claude APIとGoogle Cloud)」で、Sonnet 5.5がFableやMythosのブロックを読めないとも書かれています。2つのページを重ねると、FableからSonnetへ会話を移しても、SonnetからFableへ移しても、移行後のターンは前の推論なしで動きます。
読めないブロックは、APIが送信前に落とすため、リクエストは成功し、課金もされません。つまり「Sonnet 5.5で下書きして、Fable 5.1で仕上げる」切り替えは、推論の連続性を期待せず、会話の本文だけを引き継ぐ設計にします。
前の部分を書き換えると、思考ブロックが無効になる
どちらのモデルも、system・tools・過去のメッセージのいずれかを書き換えると、それより後ろの思考ブロックが使えなくなります。2026年8月31日以降に作成されたアカウントでは、既定で400エラーになります。Claude Codeなど公式の実行環境は前置き部分を保ちますが、messages配列を自前で組み立てる実装は、移行前に点検します。
進捗の通知は、どちらも静かになりやすい
Fable 5.1は長いツール実行中のユーザー向けテキストが減り、特に高いeffortで目立ちます。Sonnet 5.5はツール呼び出しの合間の長めのメモをthinkingブロックで返し、既定のdisplay: "omitted"ではその中身が空です。どちらも、進捗をユーザーに見せたいならthinking.displayの設定が要ります。Sonnet 5.5はbetween_toolsにすると、メモの文章が返ってきます。
拒否時のフォールバック先が違う
どちらも安全性の分類器を持ち、拒否はstop_reason: "refusal"のHTTP 200で返ります。サーバー側フォールバック(ベータ)の再実行先は、Fable 5.1がOpus 4.8とOpus 5、Sonnet 5.5はSonnet 5です。Sonnet 5.5の再実行はcyberとfrontier_llmの拒否が対象で、bioなどは再実行されません。拒否の処理を書くなら、モデルごとに行き先を確かめます。
データ保持の条件は、Fable 5.1だけにある
Fable 5.1は30日間のデータ保持が前提で、Anthropicが書面で許可しない限り、ゼロデータ保持(ZDR)では使えません。Fable 5、Mythos 5、Mythos 5.1も同じ扱いのCovered Modelsです。Sonnet 5.5のモデルページには、この種の保持条件の記載がありません。契約でZDRを使っている組織は、Fableを選ぶ前に契約範囲を確かめます。契約の読み方はZDRの契約範囲にまとめています。
なお、Priority Tierは両モデルとも対象外です。サービスティアのページには、Fable 5.1もSonnet 5.5も「Priority Tierが使えないモデル」の一覧に載っています。したがって、優先枠の有無はこの2モデルを分ける要素になりません。Priority Tierの新規購入自体も受け付けていないと、同ページに書かれています。
Claude Codeでの切り替え
Claude Codeでは、sonnetエイリアスがAnthropic API上でSonnet 5.5に解決されます。Fable 5.1は、どのプランやプロバイダーでも既定ではなく、fableエイリアスで自分で選びます。
# Fable 5.1で起動
claude --model fable --effort high
# Sonnet 5.5で起動
claude --model sonnet --effort medium
# セッション中に切り替える(Claude Code内)
# /model fable
# /model sonnet必要なバージョンは、Fable 5.1がv2.1.257以降、Sonnet 5.5がv2.1.284以降です。古い版で指定すると要求が失敗するため、claude updateで更新します。
もう1つ、課金の入り口が違います。プランとシートの種類によっては、Fableの利用がプランの枠ではなく使用量クレジットから引かれ、/modelのFableの行に「Requires usage credits」と表示されます。Sonnet 5.5には、この表示の説明がモデル設定のページにありません。プラン別の枠の扱いはFable 5.1の週次上限とクレジットで追えます。
実行はSonnet 5.5のまま、難しい判断だけFableに相談させる構成もあります。助言役の設定はClaude Code advisorの記事が扱います。
Opus 5.5を挟まず直接選ぶ場面
モデル概要ページの案内は、ほとんどの作業でOpus 5.5から始め、高難度の推論と長時間のエージェント作業、またはOpus 5.5を高いeffortで動かしても評価が足りないときにFable 5.1へ上げる、という順序です。この順序に対して、Fable 5.1とSonnet 5.5を直接選ぶのは次のような場面です。
Fable 5.1かSonnet 5.5かを決める順番
- Q契約でゼロデータ保持(ZDR)が必須ですか?答えがはいのとき答えがいいえ
Fable 5.1は使えません。Sonnet 5.5を選びます。
- Qレイテンシが最優先で、前置き思考も省きたい作業ですか?答えがはいのとき答えがいいえ
Sonnet 5.5を選び、
between_toolsを試します。 - Q数時間続くエージェント作業や、複数段階の深い調査ですか?答えがいいえのとき答えがはい
Sonnet 5.5から始めます。評価が届かなければ、effortを上げてから見直します。
Fable 5.1を試す
同じ評価をSonnet 5.5のhigh・xhigh・maxでも取り、トークン数の差が5倍の単価差を埋めるかを見ます。
仕事の種類ごとに、出発点を表にします。
| 仕事の性質 | 出発点 | 理由 |
|---|---|---|
| 分類、抽出、ルーティングのような大量処理 | 出発点Sonnet 5.5(または軽量なHaiku 5.5) | 理由単価5分の1、レイテンシがFast |
| 数時間続くエージェントセッション、複数段階の調査 | 出発点Fable 5.1 | 理由公式がFable 5.1の用途に挙げる領域 |
| 分析を文書・スプレッドシート・スライドまで運ぶ作業 | 出発点Fable 5.1 | 理由同上 |
| 日常のコーディング、既存コードの修正 | 出発点Sonnet 5.5 | 理由Claude Codeのsonnetは日常の開発作業向けと説明されている |
| ZDRが必須の組織 | 出発点Sonnet 5.5 | 理由Fable 5.1は30日保持が前提 |
| Batch APIで大量処理、即時性が不要 | 出発点Sonnet 5.5のBatch、足りなければFable 5.1のBatch | 理由Batch価格は$1/$5と$5/$25 |
この表のうち、用途を直接引いたのは「数時間続く〜」「文書・スプレッドシート・スライドまで」の2行と日常のコーディングの行です。単価・速度・条件を重ねた判断は、最終的に自分の評価で確かめます。同じeffortで評価を取り、タスク単価で比べる手順はClaudeのモデル選びはタスク単価で比べるにあります。
まとめ
Fable 5.1とSonnet 5.5は、コンテキストも最大出力も既定effortも同じで、違うのは単価が5倍、速度が「Slower」と「Fast」、思考を止められるかどうか、そしてFableにだけある30日保持の条件です。キャッシュ読み取りの差は2.5倍に縮むものの、長いセッションでも請求は約4倍の開きが残ります。
出発点は、Sonnet 5.5のhighかmediumで評価を取ることです。そこで届かない長時間・多段階の仕事にだけ、Fable 5.1を当てます。ZDR必須の組織は、モデルの能力より先に条件で選択肢が決まります。