ClaudeとFrontifyを連携してブランドガイドラインと素材を引く手順
FrontifyコネクタでClaudeにブランドガイドライン・素材・テンプレートを引かせ、文章チェックやバナー制作に使う手順です。管理者の有効化、ツールパックの選び方、プロンプトの型をまとめます。
Frontifyコネクタでブランド資産を会話から引ける
Frontifyコネクタは、ブランド資産管理ツールFrontifyに置いたガイドライン・素材・テンプレートを、Claudeの会話から検索して使うためのConnectorです。開発元はFrontify自身で、Connectorsディレクトリではコミュニケーション、クリエイティブ、生産性、営業・マーケティングの4カテゴリに載っています。Anthropic verifiedの表示があり、追加時期は2026年7月、サインインが必須です。
できることは、読む・作る・整える・回すの4系統に分かれます。
Claudeに任せられるブランド作業
読む
ガイドラインの本文、ブランドカラー、フォントを検索・取得します。ロゴや画像、動画の素材探しもここに入ります。
作る
承認済みテンプレートに文言や画像を差し込み、完成したクリエイティブを書き出します。
整える
ファイルのアップロード、フォルダやコレクションへの振り分け、タグとメタデータの付与ができます。
回す
ワークフローのタスクとチェックリストを作り、素材をレビュー工程に流します。
「読む」だけで済ませるなら、書き込み権限は要りません。この記事は、まず読み取り専用で始めて、必要になった時点で書き込みを足す順に進めます。
自社のルールをClaude側に固定したいだけなら、Skill化のほうが軽く済みます。手順はClaudeのブランドガイドラインをSkill化する記事にあります。Frontifyが効くのは、ガイドラインや素材がすでにFrontifyで更新され続けている場合です。PDFに書き出した古い版ではなく、今のガイドラインを根拠にできます。
接続前に決めておくこと
接続の前に、3つの条件を確かめます。
- FrontifyのMCPサーバーは初期状態で無効です。アカウント管理者が、アカウントのアプリケーション設定にあるPublic Appsの項目から有効にします。追加費用はかからず、カスタマーサクセス担当への依頼も不要です。
- Claudeの側は、Claude、Claude Desktop、Coworkのいずれでも追加できます。プランはFree、Pro、Max、Team、Enterpriseが対象です。
- 認証すると、AIツールからはあなたのFrontifyユーザーが見られる範囲がすべて見えます。ハブやブランド単位では絞られません。権限は引き継がれるだけで、元々届かない資産に届くことはありません。
3つ目は、プロンプトの書き方に直結します。8つのブランドを見られるユーザーなら、Claudeは8つ全部が見えた状態で会話を始めます。どのブランドの話かを、こちらから伝える必要があります。
接続の手順
Claudeにコネクタを追加する流れ
- 1
管理者がMCPサーバーを有効にする
Frontifyのアカウント管理者が、Public Appsの項目でMCPサーバーを有効にします。
- 2
ディレクトリでFrontifyを選ぶ
Claudeのコネクタ一覧からFrontifyを選び、Connectを押します。ディレクトリの全体像はClaude Connectorsの解説にあります。
- 3
Frontifyのログイン画面で認可する
Frontifyのログインページに移るので、サインインして許可します。
- 4
最初の確認をする
次のプロンプトで、見えているブランドとライブラリを一覧させます。
Frontifyでアクセスできるブランドを一覧にして、
それぞれのライブラリ名も教えてください。何も変更しないでください。ディレクトリに掲載されたコネクタの接続先は、https://mcp.frontify-integrations.com/mcp です。これはFrontifyのインスタンスのドメインではなく、MCPサーバーの共通URLです。
ツールパックで書き込み権限の幅を決める
Frontifyのツールは、パックという束に分かれています。メインのURLで接続すると、最初は読み取り専用のdiscoveryパックが有効です。管理者はAIツールの中からパックを切り替えられますが、同時に有効にできるのは1つで、切り替えるとアカウントの全ユーザーに影響します。
特定のパックに固定したいときは、/mcp/packs/discovery のようにパック別のURLを使います。パック別のURLは、メインURLで管理者が何を選んでいるかに関係なく使えます。
| パック | 位置づけ | 向く場面 |
|---|---|---|
| discovery | 位置づけ読み取り専用。ブランド、ライブラリ、プロジェクト、素材、ガイドライン、テンプレートを探索 | 向く場面最初の接続、ガイドラインの質問 |
| brand-portal | 位置づけガイドラインの一覧と各ページの取得、ライブラリの素材の閲覧 | 向く場面文章チェックなど、読むだけの用途 |
| creative-automation | 位置づけテンプレートの一覧、クリエイティブの書き出し、結果のアップロード | 向く場面バナーの量産 |
| asset-organization | 位置づけタグ、ターゲット、メタデータ、コレクション、フォルダ | 向く場面素材の整理 |
| workflow-automation | 位置づけワークフローの状態、タスク、コメント | 向く場面レビュー依頼 |
ほかにも、admin(全ツール)、collaboration、asset-creation、brand-admin、bulk-operationsのパックがあります。各パックのツール数と必要な権限範囲は、MCPサーバーのパック一覧ページに出ています。
書き込みを含むパックでは、素材やメタデータ、ワークフローのタスクを作成・変更・移動できます。指示をClaudeが取り違えると、元に戻しにくい変更になることがあります。まずdiscoveryで運用を確かめ、書き込みを足すときは大事なデータのバックアップを取ってからにします。
先に名前を引き、次に作業させる
FrontifyのMCPはContent APIを通して内容を取得するため、意味による検索や、ガイドラインの階層をたどる操作に対応していません。Claudeは、存在する名前と一致するものを探します。「夏キャンペーンの素材」と頼んでも、それがどのプロジェクトにあるかは推測できません。
対策は、先に名前を一覧させることです。ブランド、ライブラリ、プロジェクト、ガイドライン、テンプレート、カラーパレット、ワークフローの状態は、どれも一覧を頼めます。
Acmeブランドのライブラリを一覧にして、
動画素材が入っているものを教えてください。一覧が返ったら、実在する名前を使って次の依頼を書きます。1往復増えますが、「存在しない」という誤った返答を避けられます。
依頼文は、4つの癖で安定します。
- 名前を出す(ブランド、ライブラリ、ガイドライン)
- 返してほしい形を指定する(一覧、リンク、要約)
- 範囲を絞る(期間、市場、チャネル、ファイル形式)
- 変更の前に、見つけたものと変更案を見せさせる
制作物に反映する3つの型
ガイドラインで下書きを点検する
ガイドラインに口調の説明、推奨用語、使ってよい言い方と避ける言い方が載っているなら、下書きをそれと照合させられます。読み取り専用なので、Frontifyの中身は変わりません。
Acmeブランドのガイドラインから、トーン・オブ・ボイスと
推奨用語を取得してください。次のプレスリリース案を両方に
照らして点検し、ルールに反する行を引用して、該当するルールと
ガイドラインのページ名を添え、言い換えを提案してください。
Frontifyのデータは変更しないでください。
(ここにプレスリリース案を貼る)ページ名を添えさせるのが要点です。指摘をガイドラインまでたどれるので、受け入れるか反論するかを自分で判断できます。Claudeが推測で「らしさ」を語っているだけのケースも、ページ名が出ないことで見抜けます。
色とフォントをコードに落とす
ブランドカラーとフォントは、専用のツールで直接取得できます。Web制作や資料のテンプレートに入れるなら、使う形で返させます。
Acmeブランドのプライマリのカラーパレットを、
Frontifyの色名を変数名にしたCSSカスタムプロパティで返してください。
フォントは、ライセンスのある太さまで書いてください。返ってきた値は、Frontifyの画面にある色の定義と見比べてから使います。Claudeは取得した構造化データを解釈する側なので、読み違えや補完が混ざる余地は残ります。
テンプレートからバナーを量産する
書き込みを含むパック(creative-automation)に切り替えると、承認済みテンプレートに文言を差し込んで書き出せます。公式の例を日本語に置き換えると、次のような依頼になります。
Acmeブランドのテンプレートを一覧にしてください。
その中の「Social Banner 1080x1080」で、春のセールのバナーを
日本語・英語・ドイツ語の3種類作ってください。
レイアウトと画像は3種類で同一にします。PNGで書き出し、
Campaign Assetsライブラリの「Spring Sale Social」フォルダへ
アップロードしてください。テンプレート名を推測で書くと、Claudeが何も見つけられずに戻ることがあります。一覧を先に取るのはここでも有効です。アップロード後は、保存先のメタデータをFrontifyから読み戻させて、実際に保存された値を確認します。Claudeの要約は、送ったつもりの内容を述べているにすぎないからです。
Claude側で運用を固定する
毎回同じ前置きを書くのは面倒です。Claudeのプロジェクトを使っているなら、プロジェクトの指示に次のような断片を置くと、ブランドの取り違えと意図しない書き込みを減らせます。以下は書き方の一例です。
Frontifyを使う作業は、すべて「Acme」ブランドで行う。
他のブランドの素材やガイドラインは参照しない。
指示がない限り、Frontifyのデータは変更しない(読み取りのみ)。
素材やテンプレートの名前に確信がないときは、先に一覧を取得してから選ぶ。
ガイドラインに基づく回答には、必ずページ名を添える。
書き込みを伴う作業は、実行前に対象と変更内容の一覧を見せて確認を取る。「何も変更しない」と明記すると、書き込み可能な接続でも、その依頼に限って読み取り専用として動かせます。
うまくいかないときの切り分け
Frontify側の説明にある制限を、症状別に並べます。
| 症状 | 考えられる原因 | 次の手 |
|---|---|---|
| 「見つからない」と返る | 考えられる原因名前の不一致、ブランドの取り違え | 次の手一覧を取らせ、実在する名前で頼み直す |
| ガイドラインの内容が出てこない | 考えられる原因階層が深い構造は、見つけられないことがある | 次の手該当ページ名を伝える |
| PDFの中身が拾えない | 考えられる原因複数ページのPDFは確実には読めない | 次の手重要なルールは本文や画像でガイドラインに載せる |
| 書き込みが実行されない | 考えられる原因接続中のパックに必要なツールがない | 次の手パックを確認する |
| 画像プレビューが出ない | 考えられる原因AIツール側の対応差 | 次の手「表示して」と明示して依頼し、出ないときは手順を分割する |
PDFについては、Claudeは先頭1ページを画像として見られ、元ファイルを取り出して分析することもできますが、結果にはばらつきがあります。
もうひとつ、データの扱いに注意が要ります。FrontifyのデータがClaudeに渡った時点で、処理はAnthropic側の基盤で行われます。データの保管場所や社内の規程に制約がある組織は、接続前にその規程を確認します。
他の入口との使い分け
ブランド素材をClaudeに渡す方法は複数あります。何を一次情報にするかで選びます。
| 入口 | 一次情報 | 向く場面 |
|---|---|---|
| Frontifyコネクタ | 一次情報Frontifyで管理している最新のガイドラインと素材 | 向く場面管理ツールがすでに運用されている、承認済み素材だけを使いたい |
| ガイドラインのSkill化 | 一次情報Skillに書いた自社ルール | 向く場面管理ツールがなく、ルールを軽く固定したい |
| Brandfetchコネクタ | 一次情報取引先のドメインから取ったロゴ・色・フォント | 向く場面毎回違う相手のブランドに合わせる |
| Canvaコネクタ | 一次情報Canvaのデザイン | 向く場面デザインそのものをCanva上で作る |
FrontifyもCanvaも、ディレクトリ上ではクリエイティブ系のConnectorです。ただし役割は異なります。Frontifyは「何がブランドとして正しいか」を保管する側で、Canvaは「デザインを作る」側です。
社内にFrontifyのようなブランド資産管理ツールがあり、コネクタ化されていないなら、自社でリモートMCPを作る道もあります。その場合はCoworkのカスタムコネクタ自作ガイドが出発点です。
まとめ
Frontifyコネクタは、ガイドラインと素材の「正本」をClaudeの会話に持ち込む接続です。管理者によるMCPの有効化が前提になるため、導入の最初の相手は、自社のFrontify管理者です。
始め方は、discoveryパックで名前を一覧させ、ガイドラインを根拠に文章を点検するところまでが安全です。バナーの量産や素材の整理に進むときは、パックを切り替えて、変更案の確認と読み戻しをセットにします。ガイドラインのPDFに頼っているチームは、重要なルールを本文に書き直しておくと、Claudeが拾える範囲が広がります。