ClaudeとBrandfetchを連携し生成物を取引先のブランドに合わせる
BrandfetchコネクタでClaudeに企業のロゴ・色・フォント・トーンを取得させ、提案資料やメールに反映する手順です。ツールの使い分けと無料枠、ロゴ取得に必要な許可設定をまとめます。
BrandfetchコネクタでClaudeにできること
Brandfetchコネクタは、企業のロゴ・色・フォント・ブランドの語り口を、Claudeの会話に取り込むためのConnectorです。開発元はBrandfetch自身で、Connectorsディレクトリでは通信、クリエイティブ、生産性、営業・マーケティングの4カテゴリに載っています。Anthropic verifiedの表示があり、追加時期は2026年6月、サインインが必須です。
取引先のドメイン名を渡すだけで、Claudeは次のような材料を引けます。
- ロゴ(バリエーションごとの形式、サイズ、ダウンロード用URL)
- ブランドカラーとフォント
- 事業内容、想定顧客、提供サービス
- ブランドの声(トーン)と視覚的な雰囲気
用途は主に2つです。営業なら、商談相手の色とロゴを入れた提案資料やメールの下書きを作れます。マーケティングなら、自社や取引先のブランド要素に沿ったバナー文面や資料の案を出させられます。Brandfetchは5,000万社超のブランドを索引していると説明しています。載っていない企業は、後で触れるコンテキスト取得のように、その場でサイトを解析して補います。
自社のブランドルールを固定したいだけなら、Skillのほうが向きます。手順はClaudeのブランドガイドラインをSkill化する記事にあります。Brandfetchが効くのは、毎回違う相手のブランドを引く場面です。
追加から接続までの手順
コネクタのURLは https://mcp.brandfetch.io/mcp です。認証はOAuthで、追加するとブラウザーが開き、Brandfetchのアカウントでサインインします。アカウントがなければ無料で作れ、無料プランは月100リクエストまで使えます。
claude.aiとClaude Desktopでの接続
- 1
コネクタを探す
Connectorsディレクトリで「Brandfetch」を検索して追加します。
- 2
サインインする
追加すると表示されるブラウザー画面で、Brandfetchのアカウントにログインします。
- 3
ロゴを使うなら許可設定を足す
ロゴの画像データを取り込むには、
*.brandfetch.ioへの通信許可が必要です。設定の中身は、このあとのつまずきの節にあります。
Brandfetch側のドキュメントは、「Settings → Connectors → Add custom connector」に名前(Brandfetch)とURLを入れる追加方法も案内しています。ディレクトリから追加できるなら、そちらのほうが手間はかかりません。
Claude Codeでは、1行のコマンドで追加します。
claude mcp add brandfetch \
--transport http https://mcp.brandfetch.io/mcp追加後にClaude Code内で /mcp を開き、brandfetchを選んで認証画面の案内に従ってサインインします。対話画面を開けないCI環境などでは、Brandfetchの開発者ダッシュボードで発行したMCPトークンを、Authorization: Bearer ヘッダーで渡す方法もあります。トークンはパスワードと同じ扱いで、リポジトリにコミットしない運用が前提です。
ロゴを資料に入れるなら許可設定が要る
ここが最もつまずきやすい点です。ロゴの画像データを生成物に埋め込むには、Claudeのコード実行環境からBrandfetchのCDNへ通信できなければなりません。claude.aiのコード実行は、ネットワーク設定で許可されたドメインにしか届きません。既定ではBrandfetchのCDNが遮断されているため、何もしないとロゴのダウンロードや埋め込みが失敗します。
対処は、SettingsのCapabilitiesでコード実行のネットワーク許可を有効にし、*.brandfetch.io を許可リストへ加えることです。ProとMaxのプランでは自分で設定できます。TeamとEnterpriseでは組織単位の設定になり、OwnerかAdminに頼みます。プランによっては、この設定項目自体が出ない場合があります。
許可設定が使えなくても、次の2つの逃げ道があります。
| 状況 | 取れる手 |
|---|---|
| ロゴを画面で見たい・保存したい | 取れる手会話内に出るブランドカードのダウンロードボタンを使う。ファイルがClaudeに直接渡り、許可設定は要らない |
| 資料にロゴを表示だけさせたい | 取れる手画像データを持たず、get_brand が返す認証付きのURLをそのまま参照する(PPTXのリンク画像、HTMLの img タグ) |
後者は、Brandfetchが「表示だけなら画像データは不要」と説明している方法です。リンク画像のため、閲覧する側が画像を取得できる環境でなければ表示されません。オフラインで配る資料なら、許可設定を通して画像を埋め込む道を選びます。
注意したいのが build_logo_urls です。このツールが組み立てるURLは表示専用で、プログラムからのダウンロードはホットリンク規則で禁じられています。埋め込み用の画像取得には、get_brand が返す認証付きの src URLを使います。
6つのツールの使い分け
ディレクトリ上のツールは6つで、brand_search build_logo_urls enrich_transaction get_asset_base64 get_brand get_brand_context が並びます。Brandfetchのドキュメントでは、これに加えて get_brand_data と send_feedback が載っています。ツール一覧は更新で変わりうるため、接続後に見える一覧が実際の姿です。
| ツール | 役割 | 向く場面 |
|---|---|---|
brand_search | 役割名前からブランドを検索する | 向く場面ドメインが分からない、同名企業が複数ある |
get_brand | 役割ロゴ・色・フォント・会社情報を取る | 向く場面1社のブランド要素を見たい、資料に使う |
get_brand_data | 役割get_brand と同じデータをカードなしで返す | 向く場面複数社を並べるロゴウォールや比較表 |
get_brand_context | 役割声・想定顧客・位置づけ・スタイルを文章で取る | 向く場面文面のトーンを合わせる |
build_logo_urls | 役割CDNのロゴURLを組み立てる | 向く場面表示だけで足りるとき |
enrich_transaction | 役割カード明細の文字列から加盟店ブランドを特定する | 向く場面経費精算の明細整理 |
get_asset_base64 は、ディレクトリの一覧にだけ載っています。名前はBase64形式でのアセット取得を思わせますが、引数や返り値はディレクトリのページに説明がありません。使えるかどうかは、接続後に試して確かめます。
get_brand は、claude.aiとClaude Desktopでは、ブランドカードとして会話内に描画されます。カードはAbout、Logos、Colors、Fonts、Images、Brand voiceの6タブで構成され、「Nikeの色」のように聞くと該当タブから開きます。会話中に別のブランドへ切り替えて検索することもできます。テキストだけのクライアントでは、カードの代わりに同じ内容がデータとして返ります。
営業資料に使う流れの例
次の依頼文は、公式の説明を踏まえた例です。実際の出力はアカウントや対象企業によって変わるため、各ステップで中身を確かめます。
Brandfetchで example.com のブランドを調べて。
ロゴ(ダーク背景用があれば優先)、メインカラー、フォントを
表にまとめてください。まだ資料は作らなくて構いません。最初に要素だけを出させるのがコツです。資料の生成まで一度に頼むと、取得結果が誤っていたとき、どこで間違えたのかが追いにくくなります。表で色コードとフォント名を確認してから、次の依頼に進みます。
get_brand_context で同社の声と想定顧客も取って、
その色とトーンに沿った提案資料の構成案を5枚分作って。
ロゴは認証付きURLを参照する形で入れてください。get_brand_context は、Brand Context APIと同じ種類の情報を返します。中身は、アイデンティティ(タグライン、ミッション、説明)、ポジショニング(価値提案、想定顧客、提供サービス)、ブランド(声と視覚スタイルの要約)の3つです。声の項目には、そのブランドが避けるトーンも含まれます。メールの下書きでは、この「避けるトーン」が表現の調整に役立ちます。
注意点として、視覚スタイルは文章による要約にとどまります。ロゴのファイル、色の値、フォント名は get_brand 側で取ります。両方を組み合わせて初めて、見た目と語り口がそろいます。
複数の取引先に同じ作業を回す場合は、get_brand_data で一括して取らせ、色を比較表にします。10社分を1つずつカードで開くより、表で一覧するほうが確認が速くなります。
使う前に知っておきたい制限
無料枠とクォータ。MCPのリクエストは、BrandfetchのBrand APIのクォータに数えられます。無料プランの月100リクエストを超える利用は有料プランが前提です。使用量は開発者ダッシュボードで確認できます。大量の取引先を一度に処理する前に、見込みの件数を数えておくと安全です。
データの欠け。Brandfetchは、評価に使った標本での網羅率を公開しています。米国・EU中心の標本(542ブランド)では、ロゴ(いずれか)が95%、色が97%です。個人事業や地域の小規模事業者を含む世界規模の標本では、ロゴが85.9%、色が79.6%に下がります。ダーク背景用ロゴは、前者で87.5%、後者で65.7%です。Brandfetchによれば、値が null になるのは公開情報が弱い、欠けている、曖昧なときです。中小企業が相手の資料では、色やロゴが取れない前提で、手動で補う段取りを残します。
ロゴの使い方。Brandfetchのガイドは、ロゴの引用や紹介、解説、教育目的を許される用途の例に挙げています。一方で、第三者のロゴを自社の商品やサービスに載せる商用利用や、提携していると誤解させる使い方は認められないとしています。商談資料に相手のロゴを入れてよいかは、使い方と文脈で変わります。迷う場合は、ロゴの所有者に確認するか、専門家に相談します。
コネクタ共通の注意。ディレクトリのページは、開発元を信頼できるときだけコネクタを使うよう促しています。Anthropicはコネクタごとのツールの内容を管理せず、意図どおりに動くことや、後から変わらないことを確認できないとの説明です。組織で使う場合は、管理者がコネクタを制限する設定もあります。許可ドメインを絞る手順も合わせて確認してください。
Canvaやブランド監査との使い分け
隣り合う機能との線引きは、作業の種類で決まります。
| やりたいこと | 向く手段 |
|---|---|
| 取引先ごとに違うブランドを都度引く | 向く手段Brandfetchコネクタ |
| 自社のルールを毎回同じように適用する | 向く手段ブランドガイドラインのSkill |
| 作ったデザインを編集・書き出しする | 向く手段Canvaコネクタ |
| 手元のフォルダーにある資産を点検する | 向く手段Coworkのブランド資産監査 |
ディレクトリの関連コネクタ欄には、Google Drive、Gmail、Google Calendar、Canva、Microsoft 365、Notionが挙がっています。実務では、Brandfetchで要素を取り、Canvaで形にして、Gmailで送る、という連結が自然です。複数のコネクタを同じ会話で有効にすると、依頼文の中でどのツールを使うかを名指しすると意図が通りやすくなります。
よくあるつまずき
ロゴが資料に入らない。原因の第一候補は、前述のネットワーク許可です。許可を入れても入らないときは、build_logo_urls のURLを使っていないかを疑います。表示専用のため、ダウンロードには使えません。
ツールの一覧が古い。Brandfetchは、接続済みのクライアントが新しい機能を使うには、コネクタをいったん削除して追加し直す必要があると案内しています。ホスト側がサーバーのツール一覧をキャッシュするためです。ブランドカードが出ないときも、再追加を試します。
同名の企業が混ざる。ドメインが分かるなら、社名ではなくドメインで頼みます。社名しかないときは、まず brand_search で候補を出させ、合っているものを選んでから取得に進みます。
色が公式サイトの印象と違う。取得される色は、ブランドの公開サイトやSNSなどの一次的な情報源から集められています。取得結果が現行のブランドガイドと一致する保証はないため、重要な資料は先方のブランドガイドと見比べます。
まとめ
Brandfetchコネクタは、毎回違う相手のブランドを短時間で引きたい営業・マーケティングの作業に向きます。導入で外せないのは、ロゴの埋め込みに必要なネットワーク許可、無料枠の月100リクエスト、中小企業での欠け、の3点です。まずは1社分の色とロゴを表で出させ、数字と見た目を自分の目で確認してから、資料の生成に進む運用が失敗しにくい進め方です。