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Claudeで不登校支援シートの欠席経過を整理する — 匿名化と時系列の手順

Claudeで不登校支援シートの欠席経過を整理する — 匿名化と時系列の手順

不登校の児童生徒について、欠席日数と面談記録を匿名化し、文科省の調査の区分で時系列に並べて、事実と所見を分ける手順です。入力してよい情報の線引きも先に示します。

不登校の児童生徒の支援シートは、欠席日数の表、面談のメモ、スクールカウンセラーとの共有事項が別々の場所にたまり、経過を一枚に揃える作業が学期末に集中しがちです。Claudeにできるのは、匿名化したメモを時系列に並べ、「見聞きした事実」と「教員の所見」を別の欄に振り分けるところまでです。欠席日数の確定、原因の判断、支援方針の決定は人が持ちます。

Claudeに渡す情報と、渡さない情報

不登校の記録は、一つ一つは平凡でも、重ねると本人を特定できる情報になります。学年、欠席が始まった時期、家庭の事情、通っている相談機関の名前が揃えば、校内の人には誰か分かります。記号に置き換えても、個人情報でなくなるわけではありません。リスクを下げる処理と捉えるほうが実態に合います。

区分扱い例
そのまま渡してよい扱い出来事の内容、発言の中身例「朝になると腹痛を訴える」という本人の発言
置き換えて渡す扱い氏名、日付、人間関係例「児童A」「保護者B」「欠席開始の翌週」
渡さない扱い識別できる情報、診断名や家庭の詳細例氏名、住所、連絡先、通院先、きょうだいの情報
人が持つ扱い欠席日数の確定値、出席扱いの判断例指導要録の出欠の記録との照合

診断名や家庭の事情は、渡さなくても時系列は整います。「医療機関を受診した」「家庭の状況に変化があった」と、事実の有無だけを書けば足ります。同じ線引きは、就学援助の認定審査を整理する手順や民生委員の活動記録の整理でも使っています。

文科省の調査の区分を、並べ方の物差しにする

経過を時系列に並べるとき、どの項目を拾うかで迷います。校内の様式がない場合や、様式の項目が足りない場合は、文部科学省が毎年行う、児童生徒の問題行動・不登校に関する調査(生徒指導上の諸課題調査)の区分が参考になります。令和6年度の調査結果の概要から、記録の欄に使える区分を拾います。

区分

調査の区分から借りる四つの物差し

  • 欠席の量

    長期欠席の調査は、年度間に30日以上欠席した児童生徒が対象です。令和5年度の調査からこの数え方になり、令和2年度から4年度は、欠席日数と出席停止・忌引き等の日数の合計で30日以上登校しなかった児童生徒を調べていました。経過表の冒頭には、どの数え方の日数かを書きます。

  • 欠席の期間

    不登校のうち90日以上欠席した者は191,958人で、不登校全体の54.2%でした。出席日数が0日の者も区分として立てられています。欠席日数は「何日」だけでなく、どの区分に入るかを見ます。

  • 把握した事実

    調査は、不登校の児童生徒について学校が把握した事実を複数回答で尋ねています。令和6年度は、学校生活に対してやる気が出ない等の相談(30.1%)、生活リズムの不調に関する相談(25.0%)、不安・抑うつの相談(24.3%)、学業の不振や頻繁な宿題の未提出(15.6%)の順でした。

  • 支援の状況

    学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けた児童生徒は61.7%でした。受けていない児童生徒のうち、担任等から週1回程度以上の継続的な相談・指導等を受けた例も別に数えています。

調査の区分は、全国の状況を集計するためのものです。一人の児童生徒の原因を特定する分類ではありません。「把握した事実」は、学校が相談や情報として受け取った事柄で、複数回答であり、令和6年度以前に把握したものも含みます。支援シートに写すときも、原因の欄ではなく、「いつ、誰から、どんな相談や情報があったか」の欄として使います。

指導要録の扱いにも注意します。調査では、備考欄に校長が出席扱いとした日数が記録されている場合、その日数は欠席日数に含めて数えると注記されています。学校外の機関等での相談・指導や、自宅でのICT等を活用した学習を出席扱いとした場合は、欠席日数と別の列で持っておくと、あとで食い違いを追えます。

欠席経過シートの型

次の型は、調査の区分を欄に直した一例です。校内に様式があるなら、その欄に合わせて読み替えてください。

【欠席経過シート】(児童A / 作成日:相対表記)
1. 欠席の量
   - 数え方:年度間の欠席日数(出席扱い分を含む/含まない)
   - 区分:30日以上 / 90日以上 / 出席日数0日
2. 経過(時系列。見聞きした事実だけ)
   - 時期 / 場面 / 誰が何をしたか、何を言ったか
3. 把握した事実(いつ、誰から、どんな相談・情報か)
4. 支援の状況
   - 校内:担任の連絡頻度、養護教諭・スクールカウンセラーの関与
   - 校外:相談機関、教育支援センター等(出席扱いの有無は別行)
5. 教員の所見(推測・評価はここだけ)
   - 所見:
   - 別の可能性:
6. 未確認の事項
7. 次回までの確認事項(担当・期限は人が決める)

3の「把握した事実」と5の「教員の所見」を分けるのが、この型の肝です。たとえば「朝になると腹痛を訴える」は本人の発言なので、2か3に置きます。「学校に行きたくない気持ちの表れだと思う」は所見です。

手順1: 識別情報を外した入力メモを作る

元のメモを手元で匿名化してから、Claudeに貼ります。

  • 児童生徒・保護者・教職員の氏名 → 「児童A」「保護者B」「担任」などの役割名
  • 日付 → 「欠席開始」「開始の翌週」「2学期の初め」のような相対表記
  • 学校名・学級名・部活動名 → 削除、または「ある部活動」
  • 相談機関の名前 → 「校外の相談機関」

日付を相対表記にすると、時系列は保てます。一方で、欠席日数の合計までClaudeに数えさせるのは避けます。日数は、出席簿や指導要録の出欠の記録から人が数え、シートの「欠席の量」の欄に自分で書きます。Claudeには、メモにある日数の記述がほかの箇所と食い違っていないかを見つけさせる使い方が向いています。

手順2: 振り分けの指示を渡す

メモを貼る前に、型と守らせるルールを渡します。例えば、次のような形です。

次のメモを、貼り付けた【欠席経過シート】の型に整理してください。
 
ルール:
- メモに書かれていない出来事、発言、日数を補わない
- 「経過」には見聞きした事実だけを時系列で入れる
- 推測や評価を含む表現(「〜のようだ」「〜と思われる」)は「教員の所見」へ移す
- 誰の発言か分からない文は、「発言者不明」と書いて残す
- 日数の記述が複数あって食い違うときは、食い違いのまま両方を列挙する
- 事実と所見の区別がつかない箇所は、振り分けず末尾に列挙する
- 欠席の原因や、支援の方針は書かない

「補わない」と「食い違いのまま列挙する」の2行が肝心です。読みやすさを優先すると、メモにない因果関係をつなぐことがあります。

前と後

事実と所見の振り分けの例

BEFORE

混ざったメモ

朝になると腹痛を訴え、行きたくない気持ちが強いようだ。母は昨年から不安が強いと話した。

AFTER

振り分け後

経過:本人が朝に腹痛を訴えた(本人の発言)。保護者Bが、不安が強い時期が続いていると話した(保護者の発言)。所見:登校への抵抗感がある可能性(別の可能性:身体面の不調)。

これは整形のイメージを示す例で、Claudeの実際の出力ではありません。実際には、指示文を変えるたびに振り分けの粒度は変わるので、架空のメモで型を試してから、匿名化した実際のメモに使います。

手順3: 出力を元のメモと突き合わせる

出力はそのまま保存しません。元のメモと次の点を見比べます。

  • 経過の欄に、メモにない出来事や発言が入っていないか
  • 本人や保護者の発言が、要約で言い換えられていないか
  • 「把握した事実」の欄が、原因の説明になっていないか
  • 所見が、経過の欄に紛れていないか
  • 「未確認の事項」の欄に、実際にまだ聞けていないことが並んでいるか

落とし穴

「把握した事実」が原因の断定に変わる

調査の区分を欄に使うと、「やる気が出ない等の相談があった」が「やる気が出ないことが原因で欠席している」に書き換わることがあります。調査の区分は、学校が把握した相談や情報の種類であって、欠席の原因ではありません。指示文に「原因は書かない」と入れ、出力でも「原因」「理由」「〜のため」という語が出ていないかを見ます。

手順4: 校内の様式に移して保存する

整った経過シートは、Claudeの画面に残さず、校内の様式と保存先に移します。個人向けの設定で使うと、会話の履歴はアカウントに残ります。使い終えた会話は削除します。履歴を残さないチャットの使い方は、Claudeインコグニートチャットの使い方と制限で扱っています。

Projectsに置くのは、様式と指示文まで

Claudeには、チャットを案件ごとにまとめるProjectsがあります。プロジェクトごとに指示文と資料(ナレッジ)を置けるので、経過シートの型と振り分けのルールを入れておけば、毎回貼り直さずに済みます。

置くのは、型と指示文までです。児童生徒に関する記録そのものはプロジェクトに置きません。共有の仕組みがその理由です。

  • Team・Enterpriseプランでは、プロジェクトを組織内のメンバーと共有できます。「閲覧可」の権限でも、プロジェクトの内容、ナレッジ、指示を見られます
  • 組織全体への共有を選ぶと、メンバー全員が見られる状態になります
  • 新しいバージョンのプロジェクト(ベータ)では、プロジェクトの指示、ファイル、メモリが、並行して動くスレッドのすべてに引き継がれます

使い終えたプロジェクトは削除できますが、アーカイブしたプロジェクトは、アーカイブを解除しないと削除できません。作業の区切りでは、削除までを一連の手順に入れておきます。

Claudeに任せない判断

次の判断は、守秘と説明の責任を負う人と、校内の組織が行います。

  • 不登校の状態にあたるかどうか、欠席日数をどう数えるか
  • 欠席の背景に何があるかの見立て
  • 支援の方針、校外の機関につなぐかどうか
  • 保護者や関係機関に伝える情報の範囲
  • 出席扱いにするかどうか

Claudeの出力は、ケース会議にかける前の下書きにあたります。対応記録そのものの型は、生徒指導提要に沿った対応記録の整理にまとめています。その記事は一回の指導や面談の記録を扱い、この記事は欠席が続く期間を横断して経過を並べる使い方です。

よくあるつまずき

つまずき

経過シートづくりで起きやすいこと

  • 日数の合計が合わない

    Claudeに合計を数えさせると、メモの記述ゆれで食い違います。合計は出欠の記録から人が数え、Claudeには食い違いの検出だけを頼みます。

  • 匿名化したのに誰か分かる

    学年、時期、家庭の事情が揃えば、記号に直しても校内では特定できます。整形に必要な出来事の中身までに、入力を絞ります。

  • 所見の欄に事実が混ざる

    「欠席が続いている」は事実ですが、「回復の兆しがある」は所見です。出力の所見の欄にある文を、一つずつ元のメモの根拠と照らします。

まとめ

経過シートづくりでClaudeに任せるのは、匿名化したメモの時系列への並べ替えと、事実・所見の振り分けです。欠席の量、把握した事実、支援の状況という調査の区分を欄に使うと、学期をまたぐ経過も揃います。ただし調査の区分は原因の分類ではないので、原因の欄は作りません。氏名や対応表は渡さず、Projectsには型と指示文だけを置き、日数の確定と方針の判断は人が持ちます。

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