Claudeで民泊の定期報告を下書きする — 宿泊日数180日の集計手順
予約サイトの宿泊実績CSVから、年間の宿泊日数(上限180日)と定期報告の4項目をClaude for Excelで集計する手順です。正午区切りの数え方と偶数月15日の期限、国籍の出どころも示します。
住宅宿泊事業(民泊)の定期報告は、予約サイトの宿泊実績CSVをExcelで集計し、Claude for Excelに数式を組ませれば、提出前の下書きまで作れます。ただし報告の提出そのものはClaudeの仕事ではありません。集計表の数式と、届出先に出す4項目の数字を人が検算する流れで使います。
先に押さえておくのは、数える単位が「予約」ではなく「正午から翌日正午までの1日」であること、そして国籍別の内訳は予約CSVにない場合が多いことの2点です。この記事では、報告の中身と期限、日数の数え方、Excel上の組み方、Claudeへの頼み方の順に進めます。
定期報告で出す4項目と、偶数月15日の期限
住宅宿泊事業法の第14条は、届出住宅に人を宿泊させた日数などを都道府県知事に定期的に報告するよう定めています。具体的な項目と時期は、住宅宿泊事業法の施行規則の第12条に書かれています。
報告する項目は次の4つです。
- 届出住宅に人を宿泊させた日数
- 宿泊者数
- 延べ宿泊者数
- 国籍別の宿泊者数の内訳
期限は、届出住宅ごとに毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月の15日までです。それぞれの月の前2か月分を報告します。観光庁の民泊制度ポータルサイトも同じ内容を案内しており、報告は電子システムで行えるとしています。
1年6回の報告と対象期間
- 2月15日まで12月・1月分
前年12月1日から1月31日までの実績です。
- 4月15日まで2月・3月分
年度末を含むため、年間日数の最終確認もこの回で行います。
- 6月15日まで4月・5月分
新しい年間カウントの最初の報告です。
- 8月15日まで6月・7月分
6月1日から7月31日までの実績です。
- 10月15日まで8月・9月分
8月1日から9月30日までの実績です。
- 12月15日まで10月・11月分
10月1日から11月30日までの実績です。
報告を怠る、または虚偽の報告をすると、法第76条により30万円以下の罰金の対象になります。管理業者に業務を委託していても、法第14条の報告義務を負うのは住宅宿泊事業者です。管理業者は別に、法第40条で事業者へ定期報告をする立場にあります。
180日は「正午から正午」で数える
住宅宿泊事業は、人を宿泊させる日数が1年間で180日を超えないものと法第2条第3項が定義しています。この日数の算定は、施行規則第3条が決めています。
毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間において人を宿泊させた日数とする。正午から翌日の正午までの期間を1日とする。
ここから読み取れる点が3つあります。
- 年間の区切りは1月1日でも暦の月初でもなく、4月1日の正午です。
- 数える単位は、チェックイン日からチェックアウト日の前日までの各夜です。2泊なら2日です。
- 同じ夜に何人泊まっても1日です。人数は日数ではなく、宿泊者数の側に入ります。
夜の日付で数えると、2か月ごとの報告期間(4月、5月など)と年間カウントの起点がずれません。3月31日の夜は前年度の最後の1日、4月1日の夜は新年度の最初の1日です。
なお、180日は法律上の上限であって、自治体が条例で期間を制限していることがあります。法第18条は、都道府県等が騒音など生活環境の悪化を防ぐため、区域を定めて住宅宿泊事業を実施する期間を制限できると定めています。届出住宅の所在地に条例があるかは、自治体の窓口で確かめる必要があります。この記事の集計表では、上限を入力セルにしておき、条例の制限があればその値に置き換えられる形にします。
予約CSVと名簿から、どこに何を入れるか
4項目の出どころは、同じCSVではありません。
| 項目 | 主な出どころ | 注意 |
|---|---|---|
| 宿泊日数 | 主な出どころ予約サイトのCSV(チェックイン・チェックアウト・状態) | 注意キャンセルを除く |
| 宿泊者数 | 主な出どころ予約CSVの人数列 | 注意数え方は届出先の記入要領で確認 |
| 延べ宿泊者数 | 主な出どころ予約CSVの人数と泊数 | 注意同上 |
| 国籍別の内訳 | 主な出どころ宿泊者名簿 | 注意予約CSVに国籍がない場合が多い |
国籍については、施行規則第7条が根拠になります。宿泊者名簿には氏名・住所・職業・宿泊日を記載し、日本国内に住所を有しない外国人の場合は国籍と旅券番号も記載します。名簿は作成の日から3年間保存します。国籍別の集計は、この名簿を元にするのが自然です。
「宿泊者数」と「延べ宿泊者数」の定義は、条文からは数え方まで読み取れません。ここでは二つを別の列で出せる形にしておき、数え方は届出先の記入要領に合わせて、Claudeへの指示文に貼る方式にします。
Claude for Excelで集計表を組む
Claude for Excelは、Excelのサイドバーで動くアドインです。サポート記事ではPro、Max、Team、Enterpriseの各プランで使えるとされています。数式を壊さずに値を更新する、シートを新規に組む、エラーの原因をたどる、といった操作ができます。変更は確認できる形で入り、保存前にユーザーが見ます。
入力用シートを整える
予約サイトからダウンロードしたCSVを、次の列で整えて1枚目のシート「予約」に貼ります。列名は例です。
A: 予約ID
B: 物件(届出住宅ごとに報告するため、物件名を残す)
C: チェックイン(日付)
D: チェックアウト(日付)
E: 人数
F: 状態(確定 / キャンセル)氏名・メールアドレス・電話番号の列は、集計に使わないので落としてから貼ります。国籍を集計するなら、名簿から国籍の列だけを別シートに抜き出します。
日別シートで1日ごとに判定する
予約単位の足し算では、連泊の端が期間をまたぐときに数え違えます。そこで、4月1日から翌年3月31日までを1行1日で並べた「日別」シートを作り、その夜に泊まりがあったかを0か1で持たせます。
A2: 2026/4/1 (以降、A列に1日ずつ下へ)
B2: =IF(COUNTIFS(予約!$C:$C,"<="&A2,予約!$D:$D,">"&A2,
予約!$F:$F,"確定",予約!$B:$B,$H$1)>0,1,0)H1に物件名を入れておくと、物件ごとに同じ式で数えられます。チェックイン日以下で、チェックアウト日より後の日が、泊まりのある夜です。
期間別に集計する
「集計」シートでは、報告期間の開始日と終了日を入力セルにして、日数を引きます。
日数 : =SUMIFS(日別!$B:$B,日別!$A:$A,">="&B2,日別!$A:$A,"<="&C2)
累計日数: =SUMIFS(日別!$B:$B,日別!$A:$A,"<="&C2)
残り日数: =上限セル-累計日数上限セルには180を入れます。条例で期間が制限されている場合は、その日数に置き換えます。
この構成の利点は、Claudeが出した数字がどのセルの式から来たかを、人が追える点です。Claude for Excelの機能には、セルの値がどう導かれたかを説明し、セル単位の参照を示す動作があります。
Claudeに頼む指示文
最初から全部を頼まず、段階ごとに確認しながら進めます。次の文面は、頼み方の一例です。
このブックの「予約」シートは民泊の宿泊実績です。
次の順に作業してください。各段階が終わったら止まって、
結果を私に見せてください。
1. 「日別」シートを作る。4/1〜翌3/31を1行1日で並べ、
その夜に確定予約の泊まりがあれば1、なければ0を式で入れる。
値の貼り付けではなく、COUNTIFSの式にすること。
2. 「集計」シートに、報告期間の開始日・終了日を入力セルとして用意し、
期間内の宿泊日数、年度累計日数、上限(180)までの残り日数を出す。
3. 期間内にチェックインした予約の人数合計を「宿泊者数」、
各予約の人数×泊数の合計を「延べ宿泊者数」として別の列に出す。
これは仮の定義なので、列見出しの横に「要確認」と書く。3番の定義は仮置きだと明示しておきます。届出先の記入要領が違う数え方を求めている場合、見出し横の「要確認」が検算の目印になります。
数字は別の手段で突き合わせる
集計表の出来を、Claudeの説明だけで判断しません。次の3点は人が確かめます。
- 年度の累計日数が、予約サイトの管理画面にある稼働日数や宿泊数と大きくずれていないか。
- 月をまたぐ連泊を1件選び、日別シートの0と1が、チェックイン日から前夜までに入っているか。
- キャンセル行と、同じ予約の変更履歴で行が二重になっていないか。
Claude for Excelのサポート記事は、監査上重要な計算を検証なしで使わないこと、変更を確定する前に必ず確認することを案内しています。定期報告は、虚偽の報告に罰則がある書類です。数式の確認までを人の作業として残してください。
安全面で気をつけること
予約サイトからダウンロードしたCSVは、外部から来たファイルです。サポート記事は、外部ファイルに隠された指示でアドインが意図しない操作をさせられる危険を挙げ、信頼できるコピーで試し、危険な操作の確認は慎重に読むよう案内しています。実績CSVは、まず予約サイトの管理画面から自分で取り直した原本を別名保存し、そのコピーで作業すると安全です。
宿泊者名簿には氏名・住所・旅券番号が入ります。国籍別の集計に必要なのは国籍の列だけなので、他の列は抜いたファイルをClaudeに渡します。
Claude for Excelは、マクロやVBA、データテーブルには対応していません。この記事の集計表は、ふつうの数式とSUMIFSだけで組んでいるので、その範囲に収まります。
提出前のチェックリスト
最後に、集計表から届出先に出す直前の確認を並べます。
- 報告期間は「前2か月」で、年度の起点を4月1日正午にしているか
- 物件ごと(届出住宅ごと)に別の表になっているか
- 残り日数が上限を超えていないか(条例の期間制限がある場合はその値で)
- 宿泊者数と延べ宿泊者数の数え方を、記入要領と照らして直したか
- 国籍別の合計が、宿泊者数と一致しているか
送信は、民泊制度運営システムから人が行います。システムはメンテナンスで停止する日があるため、期限が近い月は余裕を持って入力します。
よくあるつまずき
4月をまたぐ連泊の夜が前年度に入ってしまう
日別シートの起点が4月1日の0時として組まれていないか確認します。夜の日付で数える限り、3月31日の夜は前年度、4月1日の夜は新年度です。
キャンセルの扱いで日数が増える
予約サイトのCSVには、キャンセル済みの行が残ります。状態の列で確定だけを数える条件が式に入っているかを確かめます。
管理業者に委託しているから報告は不要だと思い込む
法第14条の主体は住宅宿泊事業者です。管理業者から受け取った管理業務報告書を、集計表の突き合わせ材料に使えます。
まとめ
民泊の定期報告は、4項目を偶数月15日までに、届出住宅ごとに出す書類です。日数は正午区切りの夜の数なので、予約単位でなく日別の表で持つと、年度境界と連泊の数え違いが減ります。Claude for Excelに任せやすいのは、その日別シートと期間集計の式を組む部分です。
一方で、宿泊者数の定義と条例による期間制限は、条文の外にある届出先ごとの事情です。国籍は名簿から取ることも含め、この二つは人が確かめます。
案内文の多言語化はClaudeで民泊の案内文を多言語化する方法にまとめています。ExcelでClaudeに集計と説明文を任せる別の例は、事務事業評価と予算要求の説明資料の記事にあります。許認可の書類を下書きする場合の分担は、電気工事業の登録申請書の記事が参考になります。