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Claude for Excelで事務事業評価と予算要求の説明資料を下書きする手順

Claude for Excelで事務事業評価と予算要求の説明資料を下書きする手順

前年度決算のExcelから、事務事業評価シートの増減理由と予算要求の根拠欄を下書きする手順。増減額や単位コストは数式で出し、説明文の数字は検算シートで元表と突き合わせます。

事務事業評価シートと予算要求の説明資料は、同じ前年度決算の数字を何度も引き直して書く文書です。事業ごとに決算額を並べ、前年度との増減を計算し、成果指標の動きと合わせて理由を書き、次年度の要求額に根拠を付けます。作業の中身は文章よりも、数字の取り回しと突き合わせです。

Claude for Excelは、この「数字の取り回し」をExcelの中で任せられるアドインです。この記事では、決算表から増減額・増減率・単位コストを数式で出し、増減理由と要求額の根拠欄を下書きさせ、最後に説明文の数字を元表と突き合わせる流れを、数値例つきで説明します。評価の様式や要求の書式は自治体ごとに違うので、ここで使う列や文言は例です。

Claude for Excelに任せる範囲と、職員が握る範囲

Claude for Excelは、Excelに入るアドインです。開いているブックについて質問すると、答えにセル単位の出典が付き、クリックで該当セルへ移れます。数式の関係を保ったまま前提を変えたり、エラーの原因をたどったり、既存のテンプレートに入力したりもできます。Pro、Max、Team、Enterpriseの各プランで使えます。

評価シートと要求資料に当てはめると、役割分担は次のようになります。

工程Claudeに任せやすいこと職員が握ること
数字の整理Claudeに任せやすいこと増減額・増減率・単位コストの数式づくり職員が握ること元表の正しさ、集計区分の判断
増減理由Claudeに任せやすいことメモ列の事実を文章に整える職員が握ること理由の中身、メモ列への記入
要求額の根拠Claudeに任せやすいこと単価×見込数量の計算式と説明文の素案職員が握ること見込数量の判断、査定側との調整
検算Claudeに任せやすいこと説明文の数字と元表のずれの洗い出し職員が握ること原本との照合、決裁

任せない範囲は、ツール側にも記載があります。顧客向けの最終成果物を人の確認なしで出すこと、監査に使う計算を検証なしで使うことは推奨されていません。庁内の決裁に回す資料も、数字と文面を担当者が読んでから出す前提で組みます。

手順

下書きから検算までの進め方

  1. 1

    決算表を整える

    事業ごとに1行、年度ごとに1列にし、増減要因メモの列を足します。

  2. 2

    数字を数式で出させる

    増減額・増減率・単位コストを、直書きせず参照式で組ませます。

  3. 3

    増減理由を下書きさせる

    メモ列にある事実だけで書かせ、足りない箇所は「要確認」と出させます。

  4. 4

    要求額の根拠を組む

    単価×見込数量の式を別シートに置き、説明文はその式から起こします。

  5. 5

    検算シートで突き合わせる

    説明文の数字を元表のセルと対応させ、合計の一致も式で確かめます。

入力する前に決める線引き

予算要求は、査定を受ける前の政策情報です。どこまでをClaudeに渡してよいかは、庁内のルールで先に決めておく必要があります。線引きの考え方は自治体職員の生成AI利用と総務省ガイドラインにまとめています。

この手順で渡すのは、事業名・決算額・成果指標・担当課のメモに絞れます。住民の個人情報や、個別の契約相手の情報は、評価シートの下書きには要りません。列ごと外した状態のブックで作業すると、渡す範囲を小さくできます。

決算表を「評価シートに転記できる形」に整える

数式を頼む前に、元表の形を固定します。列がぶれると、来年度に貼り替えたときに数式が壊れます。この記事では、次の列を持つ「決算」シートを例にします。金額の単位は千円です。

列内容例
A内容事業名例高齢者の外出支援事業
B内容前々年度決算額例12,400
C内容前年度決算額例14,060
D内容成果指標名例年間利用者数(人)
E内容前々年度の指標実績例1,240
F内容前年度の指標実績例1,300
G内容増減要因メモ例対象を75歳以上から70歳以上へ拡大

G列が要です。決算額と指標の数字だけでは、なぜ増えたかは分かりません。理由の材料は担当課が書く、という分担を表の形で作っておきます。

4事業の数値例は次のとおりです。以降の計算は、この表を元にしています。

事業前々年度前年度指標(前々年度→前年度)メモ
高齢者の外出支援前々年度12,400前年度14,060指標(前々年度→前年度)1,240人→1,300人メモ対象を70歳以上へ拡大
地域の防災訓練支援前々年度3,800前年度3,150指標(前々年度→前年度)2,100人→2,450人メモ備品の購入が前年度で完了
学童保育運営前々年度48,200前年度52,300指標(前々年度→前年度)310人→322人メモ委託料の単価改定
公園維持管理前々年度21,500前年度21,500指標(前々年度→前年度)面積据え置きメモ(メモなし)

増減額・増減率・単位コストを数式で出させる

最初の依頼は、定義を明示して出します。「増減を計算して」とだけ頼むと、増減率の分母や丸め方がClaude任せになり、年度ごとに基準が変わります。

「決算」シートの4事業について、「評価」シートに次の列を作ってください。
- 増減額 = 前年度決算額 − 前々年度決算額
- 増減率 = 増減額 ÷ 前々年度決算額(小数点第1位まで%表示)
- 単位コスト = 前年度決算額 ÷ 前年度の指標実績(千円/人、小数点第1位)
値の直書きはせず、「決算」シートのセルを参照する式にしてください。
前々年度決算額が0の行は増減率を空欄にしてください。

例えば次のような式になります。行や列の位置は、自分のブックに合わせて読み替えます。

増減額    =決算!C2-決算!B2
増減率    =IF(決算!B2=0,"",(決算!C2-決算!B2)/決算!B2)
単位コスト =決算!C2/決算!F2

数値例の結果は次のとおりです。

事業増減額(千円)増減率単位コスト(千円/人)
高齢者の外出支援増減額(千円)+1,660増減率+13.4%単位コスト(千円/人)10.8
地域の防災訓練支援増減額(千円)−650増減率−17.1%単位コスト(千円/人)1.3
学童保育運営増減額(千円)+4,100増減率+8.5%単位コスト(千円/人)162.4
公園維持管理増減額(千円)0増減率0.0%単位コスト(千円/人)指標なし
合計増減額(千円)+5,110増減率+5.9%単位コスト(千円/人)

合計の増減額5,110は、4事業の増減額(1,660−650+4,100+0)と一致します。この一致は後の検算シートでも式で確かめます。

増減理由は「メモ列にある事実」だけで書かせる

増減理由の下書きで起きやすい失敗は、Claudeが数字から理由を推測して、もっともらしい文章を作ることです。決算額が増えた事業に「物価高騰の影響」と書かれても、その事業で本当に起きたことかどうかは、数字からは分かりません。

そこで、依頼文で材料を限定します。

「評価」シートの各事業について、H列に増減理由の文案(80字以内)を書いてください。
- 使ってよい材料は、増減額・増減率・単位コスト、成果指標の実績、G列の増減要因メモだけです。
- G列が空欄の事業は、理由を推測せず「要確認(担当課の記入待ち)」と書いてください。
- 数字は評価シートのセルの値をそのまま使い、丸め直さないでください。

この指定で、公園維持管理のようにメモが空の事業は「要確認」で止まります。止まった行は、職員がメモを書いてから再度依頼します。次の文案が出るイメージです(例示であり、実際の出力は元表の内容で変わります)。

事業文案の例
高齢者の外出支援文案の例対象を70歳以上へ拡大したことにより、利用者が1,240人から1,300人に増加し、決算額が1,660千円(13.4%)増加した。
地域の防災訓練支援文案の例備品の購入が前年度で完了したことにより、決算額が650千円(17.1%)減少した。参加者は2,100人から2,450人に増加した。
公園維持管理文案の例要確認(担当課の記入待ち)

地域の防災訓練支援の例では、決算額が減ったのに参加者は増えています。前々年度の単位コストは1.8千円で、前年度は1.3千円です。単位コストの推移まで文案に書かせるかは、様式の欄に合わせて決めます。

予算要求の根拠欄を「単価×見込数量」で組む

要求額の根拠欄は、文章より先に計算式を置きます。式がないまま文章だけを下書きさせると、数字の出どころを後から追えません。「要求」シートに、事業ごとの単価と見込数量を置く形にします。

高齢者の外出支援事業を例にします。前年度の単位コストを単価とし、次年度の見込利用者を1,350人と置くと、要求額は次のとおりです。単価は評価シートのセルを丸めずに参照するので、実際の値は14,060÷1,300=10.815…千円です(表示は10.8)。

項目値根拠
単価値10.815…千円/人(表示10.8)根拠前年度決算÷前年度の利用者(評価シートの単位コスト)
見込数量値1,350人根拠担当課の見込み(手入力)
要求額値14,601千円根拠14,060 ÷ 1,300 × 1,350 = 14,600.77…を千円単位に丸める
前年度決算との差値+541千円(+3.8%)根拠14,601 − 14,060

見込数量は職員が入れる値です。Claudeには式と、その式から起こす説明文を頼みます。

「要求」シートに、高齢者の外出支援事業の要求額を「単価×見込数量」で計算する表を作ってください。
単価は「評価」シートの単位コストを参照し、見込数量はB4セルの手入力値を参照してください。
そのうえで、根拠欄の文案を120字以内で書いてください。
文案に出す数字は、すべて「要求」シートか「評価」シートのセルから取ってください。

文案は「前年度の単位コスト(10.8千円)に、見込利用者1,350人を乗じて算定した。前年度決算額に対し541千円(3.8%)の増。」のような形になります。単位コストの表示は小数点第1位ですが、計算には丸める前の値を使うため、10.8×1,350=14,580ではなく14,601千円になります。見込数量の根拠(対象拡大後の登録者数など)は、Claudeでは補えません。担当課が別に添える欄として残します。

自治体ごとの単価表や、国の基準額を使う事業は、その表をブックに取り込んでから依頼します。年度の違う基準額が混ざらないよう、基準額はこちらで用意した表を参照させます。

検算シートで説明文の数字を元表に突き合わせる

下書きの数字が正しいかどうかは、文章を読んでも分かりません。検算用のシートを別に作り、式で確かめます。

まず、合計の一致です。

決算の合計    =SUM(決算!C2:C5)
前々年度合計+増減額の合計 =SUM(決算!B2:B5)+SUM(評価!D2:D5)
判定          =IF(B2=B3,"一致","不一致")

評価シートでは、D列が増減額です。ここでは「前々年度合計+各事業の増減額の合計」が前年度合計に一致するかを見ています。数値例では85,900+5,110=91,010で、前年度の決算合計と一致します。

次に、説明文の数字の出典表です。H列に書かれた文案から数字を拾い、元のセルと対応させます。

H列の文案に出てくる数字を1つずつ抜き出し、「検算」シートに表にしてください。
列は「文案の中の数字」「参照すべきセル」「そのセルの値」「一致/不一致」です。
一致しないものは赤字にしてください。

回答にセル単位の出典が付くのは、Claude for Excelの特徴です。出典表を見れば、文案の「1,660千円」が評価シートのどのセルから来たかを、クリックで追えます。ただし、出典表自体もClaudeが作るものです。最後に、1事業だけは電卓で増減率を手計算して、表と突き合わせます。数字の取り違えを拾うのは、この手計算です。

説明資料(Word)に載せるときの注意

評価シートの下書きが固まったら、説明資料に載せる工程があります。Claude for Wordを入れておくと、Excelのブックから数字を読んでWordの文書を直接書かせる使い方ができます。複数のアプリをまたぐには、各アドインの設定で「Let Claude work across files」をオンにします。個人のPro・Maxプランでは初期でオン、Team・Enterpriseでは初期でオフです。管理者は組織設定の「Office agents」から、この機能を許可するかどうかを切り替えられます。

またぎ作業には制限があります。Claudeが読み書きできるのは、いま開いているファイルだけです。ファイルを新しく開いたり切り替えたりはできないので、ExcelとWordの両方を開いてから依頼します。Wordに流した数字は、Excelの検算シートとは別の文書になります。流した後に数字を直したときは、Word側も直す必要があります。

議会向けの説明資料は、本会議や委員会での答弁との整合も要ります。答弁案を作る流れはClaudeで議会答弁案と想定問答を作るにあり、予算要求の数字を後から引き直す場面で役立ちます。

使えない環境と、守っておく制限

仕事用のPCで使えるかどうかは、先に確認しておきます。

項目内容
対応するExcel内容Excel on the web、Microsoft 365版のWindows(ビルド16.0.13127.20296以降)、Mac(バージョン16.46以降)
非対応のExcel内容Excel 2016・2019の永続ライセンス・ボリュームライセンス版、iPad、Android
未対応の機能内容データテーブル、マクロとVBA
導入内容個人はMicrosoft AppSourceから。組織はMicrosoft 365管理センターから配布

庁内のPCが永続ライセンス版のExcelの場合、このアドインは動きません。非対応の一覧に永続ライセンス版とボリュームライセンス版が含まれています。評価シートにマクロを組んでいる自治体は、マクロの部分をClaudeに触らせる前提では進められません。

もう1つ、外から受け取ったファイルの扱いに注意が要ります。他課や外部団体から届いたExcelには、Claudeを意図しない操作へ誘導する隠れた指示が含まれる場合があります。Claude for Excelは、信頼できるスプレッドシートだけで使うことが前提です。危険な操作を提案するときは確認が出ますが、確認画面は読んでから許可します。評価シートの下書きは、庁内で作った元表のコピーの上で作業すると、取り返しがつきます。

データの扱いも、庁内の規程に照らして確認します。入力と出力はバックエンド側で受信または生成から30日以内に削除されます。チャット履歴はブラウザ内のIndexedDBに保存され、Anthropicのサーバーには置かれません。組織が設定した独自のデータ保持設定は引き継がれず、Enterpriseの監査ログにも活動が含まれません。Compliance APIを有効にしたEnterprise組織では、セッションがその対象に入ります。

Amazon Bedrockなど、サードパーティのプラットフォーム経由で接続している組織では、Claudeのアカウントで使えるコネクタやSkillsが使えない場合があります。庁内の接続形態が分からないときは、情報システム部門に確認します。

つまずきやすい点

  • 増減率の分母を取り違える: 前年度比なのか、予算現額比なのかで数字が変わります。依頼文に分母を書いておきます。
  • 千円単位と円単位が混ざる: 元表の単位を表の見出しに書き、説明文でも単位を揃えさせます。
  • 決算と予算現額の混在: 決算額の列に予算現額が紛れていると、増減理由がずれます。列の見出しに「決算」「当初予算」「予算現額」を明記します。
  • 端数処理の差: 合計と内訳が1千円ずれる場合は、丸めのタイミングの違いです。丸めは最後に1回だけにするよう、依頼文に書きます。
  • 説明文の数字を手で直す: 文案の数字だけを直すと、検算シートと食い違います。数字を直すときは元表を直します。

まとめ

決算表から評価シートと要求資料を作る作業のうち、Claudeに寄せやすいのは数式づくり、メモ列の文章化、検算の洗い出しです。理由の中身、見込数量、査定側との調整は職員が握ります。

下書きの質は、元表の形と依頼文の限定で決まります。数字は参照式、理由はメモ列の事実だけ、不足は「要確認」で止める。この3つを依頼文に書いておくと、検算の手間が減ります。

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