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Claudeで総合戦略のKPI進捗を施策別に評価する — 自治体の有識者会議資料

Claudeで総合戦略のKPI進捗を施策別に評価する — 自治体の有識者会議資料

地方版総合戦略のKPIをExcelに置き、達成率・前年差・達成度の区分を数式で出して、未達の要因仮説と次年度の見直し案を施策別に整理する手順です。

総合戦略のKPI評価は、数字の計算よりも「何を根拠に、どこまで言い切るか」で手が止まる仕事です。KPIの目標値と実績値は表に揃っていても、未達の理由は担当課の記憶の中にあり、有識者会議の資料には施策別の一覧と見直し案が要ります。

Claude for Excelは、Excelの中でこの整理を手伝わせられるアドインです。この記事では、地方版総合戦略のKPIを1枚の表に置き、達成率・前年差・達成度の区分を数式で出し、未達の要因を「仮説」として分けて下書きさせ、次年度の見直し案までつなぐ流れを、数値例つきで説明します。計画の様式や区分の基準は自治体ごとに違うので、ここで使う列名や基準値は例です。

Claude for Excelに任せる範囲と、職員が握る範囲

Claude for Excelは、開いているブックについての質問に、セル単位の出典付きで答えます。出典はクリックで該当セルへ移れます。数式の関係を保ったまま値を変える、エラーの原因をたどる、並べ替え・フィルター・ピボットテーブルの編集・条件付き書式・入力規則のドロップダウンを作る、といった操作も頼めます。Pro、Max、Team、Enterpriseの各プランで使えます。

KPI評価に当てはめると、役割は次のように分かれます。

工程Claudeに任せやすいこと職員が握ること
数字の整理Claudeに任せやすいこと達成率・前年差・区分の数式づくり職員が握ること実績値の正しさ、指標の定義
区分の判定Claudeに任せやすいこと基準に沿った機械的な振り分け職員が握ること基準そのものと、例外の扱い
未達の要因Claudeに任せやすいこと担当課メモの事実を整理した仮説の下書き職員が握ることメモの記入、仮説の採否
見直し案Claudeに任せやすいこと継続・目標値の修正・手段の変更の整理職員が握ることどれを採るかの判断、議会や庁内との調整
会議資料Claudeに任せやすいこと施策別一覧と説明文の素案職員が握ること数字の最終照合、公表範囲の判断

ツール側にも、顧客向けの最終成果物を人の確認なしで出すこと、監査に使う計算を検証なしで使うことは推奨されない、と書かれています。外部有識者に出す資料も同じ扱いで、担当者が数字と文面を読んでから回す前提で組みます。

手順

KPI評価を会議資料にするまでの進め方

  1. 1

    KPIを1枚の表に置く

    施策・KPI名・指標の方向・目標値・前年度実績・当年度実績を、1行1KPIで並べます。

  2. 2

    達成率と区分を数式で出す

    値を直書きせず、参照式で組ませます。逆指標は別の判定にします。

  3. 3

    未達の要因を仮説として書かせる

    事実のメモと、Claudeの仮説を別の列に分けます。

  4. 4

    見直し案を3択で整理する

    継続、目標値の修正、手段の変更のどれに寄せるかを、根拠つきで並べます。

  5. 5

    施策別の一覧と検算シートを作る

    説明文の数字を元表と照合し、合計の一致も式で確かめます。

KPI表を「施策×KPI」の1枚に整える

数式を頼む前に、元表の形を固定します。列がぶれると、翌年度に貼り替えたときに数式が壊れます。この記事では「KPI」シートに、次の列を置く例で進めます。

列内容例
A内容施策例創業支援
B内容KPI名例新規創業件数
C内容方向例増加(待機児童数のように減らす指標は「減少」)
D内容目標値例40
E内容前年度実績例31
F内容当年度実績例34
G内容担当課メモ例創業塾の参加者が前年度から増加

C列の「方向」が、この表の肝です。待機児童数や空き家数のように、減らすほど良い指標を増やす指標と同じ式で割ると、達成率が逆の意味になります。方向を列にしておけば、式の側で分岐できます。

実績値には、確定値か速報値かを書く列も足しておくと、有識者から「この数字はいつの時点か」と聞かれたときに答えられます。

数値例は3施策・6KPIです。以降の計算は、この表を元にしています。

施策KPI方向目標前年度当年度
創業支援KPI新規創業件数方向増加目標40前年度31当年度34
創業支援KPI創業支援による雇用創出数方向増加目標60前年度52当年度66
移住定住KPI移住相談件数方向増加目標300前年度280当年度342
移住定住KPI移住世帯数方向増加目標25前年度18当年度17
子育て支援KPI子育て支援センター利用者数方向増加目標9,000前年度8,800当年度9,270
子育て支援KPI待機児童数方向減少目標0前年度5当年度3

達成率・前年差・区分を数式で出させる

「達成度を判定して」とだけ頼むと、基準や丸め方がClaude任せになり、年度ごとに物差しが変わります。判定の定義は依頼文に書いて渡します。

「KPI」シートの6行について、「評価」シートに次の列を作ってください。
- 達成率 = 当年度実績 ÷ 目標値(方向が「増加」の行のみ。小数点第1位まで%表示)
- 前年差 = 当年度実績 − 前年度実績
- 区分:
  増加指標は達成率100%以上がA、80%以上100%未満がB、80%未満がC
  減少指標は実績が目標以下ならA、目標を超えても前年度より改善していればB、悪化していればC
値の直書きはせず、「KPI」シートのセルを参照する式にしてください。
目標値が0の行は、達成率を空欄にしてください。

例えば次のような式になります。セルの位置は、自分のブックに合わせて読み替えます。

達成率  =IF(KPI!C2="減少","",IF(KPI!D2=0,"",KPI!F2/KPI!D2))
前年差  =KPI!F2-KPI!E2
区分    =IF(KPI!C2="減少",
          IF(KPI!F2<=KPI!D2,"A",IF(KPI!F2<KPI!E2,"B","C")),
          IF(KPI!F2/KPI!D2>=1,"A",IF(KPI!F2/KPI!D2>=0.8,"B","C")))

数値例の結果は次のとおりです。80%と100%の線引きは、この記事の例として置いた基準です。計画に区分の定義があるなら、そちらを依頼文に写します。

KPI達成率前年差区分
新規創業件数達成率85.0%前年差+3区分B
創業支援による雇用創出数達成率110.0%前年差+14区分A
移住相談件数達成率114.0%前年差+62区分A
移住世帯数達成率68.0%前年差−1区分C
子育て支援センター利用者数達成率103.0%前年差+470区分A
待機児童数達成率(空欄)前年差−2区分B

区分の件数はAが3、Bが2、Cが1で、合計6件です。この件数の一致は、後の検算シートで式として確かめます。

落とし穴

目標が0の指標を割り算にすると、評価が崩れる

待機児童数のように目標が0の指標は、実績÷目標がエラーになります。式の側で空欄にし、判定は「目標以下か」「前年度より改善したか」で行います。Claudeに任せる場合も、方向と目標0の扱いを依頼文に書いておかないと、行ごとに違う処理が入ることがあります。

未達の要因は「事実」と「仮説」を別の列に分ける

区分がBやCの行は、理由の説明が要ります。ここで起きやすい失敗は、Claudeが数字から理由を推測し、もっともらしい文章を作ることです。移住世帯数が減った理由に「景気の影響」と書かれても、その自治体で本当に起きたことかどうかは、数字からは分かりません。

そこで、材料を担当課のメモに限定し、出力を事実と仮説に分けさせます。

「評価」シートで区分がBまたはCの行について、次の2列を書いてください。
- I列「メモから言えること」: G列の担当課メモに書いてある事実だけを、60字以内で要約する
- J列「要因の仮説」: メモと数字から考えられる要因を1つだけ、「〜の可能性がある」の形で書く
G列が空欄の行は、I列とJ列に「要確認(担当課の記入待ち)」と書き、推測しないでください。
数字は評価シートのセルの値をそのまま使い、丸め直さないでください。

I列とJ列を分けておくと、有識者会議の場で「これは確認済みの事実か、仮の見立てか」を資料の上で区別できます。会議資料に載せるのは、仮説の列に担当課が目を通して採否を決めた後の文言です。

次の文案が出るイメージです(例示であり、実際の出力は元表とメモの内容で変わります)。

KPIメモから言えること要因の仮説
移住世帯数メモから言えること相談は増えたが、空き家バンクの登録物件が前年度より減った要因の仮説受け皿の物件不足が、相談から世帯数への転換を妨げた可能性がある
新規創業件数メモから言えること創業塾の参加者は増加。開業届の件数は未集計要因の仮説参加から開業までの期間が長く、翌年度に出る可能性がある

仮説の1行目は、メモに書いてある事実(物件の登録数)と、そこからの見立てが分かれています。2行目のように「未集計」の語が出る行は、担当課に集計を戻す合図です。

次年度の見直し案は3択に寄せて並べる

見直し案は、自由に書かせると「より一層の推進」のような中身のない文言に流れます。選択肢を固定すると、有識者も議論しやすくなります。

選択肢向く状況資料に添える根拠
継続向く状況区分Aで、目標が妥当資料に添える根拠達成率と前年差
目標値の修正向く状況達成率が大きく上振れ、または前提が変わった資料に添える根拠修正前後の数字と理由
手段の変更向く状況区分Cで、要因が手段側にある資料に添える根拠要因の事実と、変える内容

依頼文では、各行について3択のどれに寄せるかと、その根拠となるセルを挙げさせます。目標値の修正は、達成しやすい数字に下げる提案にも見えるため、理由の欄を必須にします。

区分がB・Cの行と、達成率が110%を超えた行について、K列に見直し案を書いてください。
「継続」「目標値の修正」「手段の変更」のどれかを先頭に置き、続けて根拠を60字以内で。
根拠には、評価シートのどのセルの値を使ったかを括弧で添えてください。

根拠のセルが括弧で付いていれば、職員は出典のセルをクリックして数字を確かめられます。Claude for Excelは、答えにセル単位の出典を付けて返す作りです。

有識者会議の資料にまとめる前の検算

説明文に書いた数字が元表とずれると、会議の場で信頼を失います。「検算」シートを作り、次を式で確かめます。

  • 区分の件数(A・B・Cの合計)が、KPIの総数と一致する
  • 説明文に出てくる達成率が、評価シートの値と一致する
  • 施策別の件数を足し上げると、全体の件数に戻る

施策別の一覧はピボットテーブルでも作れます。ピボットの編集や条件付き書式も、ツール側が対応している操作です。区分のセルに条件付き書式で色を付ければ、資料の上でA・B・Cが一目で見分けられます。

数値例の施策別の件数は、次のとおりです。

施策ABC計
創業支援A1B1C0計2
移住定住A1B0C1計2
子育て支援A1B1C0計2
合計A3B2C1計6

合計の6件は元表の行数と一致します。会議資料をWordやPowerPointで作る場合は、Claude for ExcelがPowerPoint、Word、Outlookと文脈を共有するので、同じ会話を開いたまま資料側へ進められます。公表する資料にするときは、最後に職員が原本と照らして決裁に回します。

中期経営計画のKPI差異を四半期で回す手順は中期経営計画の進捗レビューに、指標そのものの定義を決める段階はKPIツリーの作り方にあります。決算額を軸にした事業単位の評価は事務事業評価と予算要求の下書きで扱っています。

区分の基準は、アドインの指示欄に残しておく

毎年同じ基準で回すなら、区分の定義を依頼のたびに貼る必要はありません。アドインのサイドバーにある設定の指示欄には、すべての会話に効く方針を書いておけます。数値の書式や、仕事の前提になる文脈を置く場所として案内されています。

指示欄はExcel専用で、PowerPointやWordの指示とは別です。ここに「区分Aは達成率100%以上」「減少指標は目標以下でA」「根拠にはセルの位置を添える」と書いておけば、担当が替わっても物差しがぶれにくくなります。基準を変えるのは計画の見直しと同じ判断なので、変更の履歴は庁内の文書にも残します。

使う前に知っておく制約

Claude for Excelには、この手順に関わる制約があります。

  • データテーブルと、マクロ・VBAの操作には対応していません
  • Excel 2016・2019の永続ライセンス版、iPad版、Android版のExcelでは動きません
  • WindowsとMacのExcelには、対応するビルドの下限があります。庁内のPCが古いビルドのままでないか、情報担当に確かめておくと安心です

もう一つ気をつけたいのは、外部から届いたファイルの扱いです。各課や外郭団体から回収した実績ファイルには、隠された指示が入っていて、アドインを操作して情報を抜き出したりデータを書き換えたりする可能性があります。ツール側は、信頼できるスプレッドシートでだけ使うよう案内しています。実績値の回収ファイルは、中身を目で確かめた集約用のブックに値だけ写してから、Claudeに渡す形が堅実です。

データの扱いにも違いがあります。チャット履歴はブラウザのIndexedDBにローカル保存され、Anthropicのサーバーには保存されず、端末間でも同期されません。一方で、組織が設定したデータ保持の設定は引き継がれず、Enterpriseの監査ログにも活動は含まれません。庁内の記録の取り方は、情報担当と合わせて決めます。

個人情報を含む行は、KPI評価には要りません。渡す範囲の考え方は自治体職員の生成AI利用と総務省ガイドラインにまとめています。

まとめ

KPI評価で、Claudeの出番になるのは数字の計算と、文面の素案までです。基準の線引きと、要因の採否は職員が握ります。区分の定義を依頼文に書いて数式で出させ、事実と仮説を別の列に分けておけば、有識者会議で「この記述の根拠はどこか」と聞かれたときに、セルまでたどって答えられます。

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