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Claudeで広報写真の肖像権と使用許諾を点検する手順

Claudeで広報写真の肖像権と使用許諾を点検する手順

広報に使う写真と撮影契約書・許諾書をClaudeに渡し、写っている人・商標・看板・場所を洗い出して契約の使用範囲と突き合わせる手順です。人物の特定はさせず、人が同意書と照合する線引きまで示します。

広報素材として使いたい写真は、使う前に「誰が写っているか」「何が写り込んでいるか」「契約でどこまで使えるか」の3点を揃えて見る必要があります。Claudeに写真と撮影契約書(または許諾書)を渡せば、写り込みの洗い出しと契約条項の抜き出しまでは任せられます。

ただしClaudeに任せてはいけない部分もあります。写っている人の名前を言い当てさせることと、「この写真は使って問題ない」という最終判断です。この記事では、洗い出しと突き合わせをClaudeに、同意の照合と可否の決定を人に置く分担で手順を組みます。

写真の点検でClaudeが担える範囲

Claudeは画像の中の物や文字を読み、言葉にできます。一方で、画像に関する制約も明確に書かれています。点検に関わるものを並べると、分担の線が見えます。

点検の作業Claudeに任せられるか理由
写っている人数・向き・場面の描写Claudeに任せられるか任せられる理由画像の内容を言葉にする作業
看板・ロゴ・ポスターの文字の書き起こしClaudeに任せられるか任せられる(画質が前提)理由読み取れる大きさと鮮明さが条件
契約書・許諾書の条項の抜き出しClaudeに任せられるか任せられる理由文書として渡せば読める
写っている人が誰かの特定Claudeに任せられるか任せない理由画像中の人物の名指しは拒否される
写真の人物と同意書の署名者の対応づけClaudeに任せられるか任せない理由上の特定に当たる
撮影場所の管理者の許可の有無Claudeに任せられるか判断不能理由写真にも契約書にも載らない場合がある
使ってよいかの最終判断Claudeに任せられるか任せない理由人が責任を持つ領分

画像の限界は、Anthropicの画像機能の説明に書かれています。人物の特定は「名前を挙げさせる用途には使えず、Claudeは拒否する」とされています。また、低品質・回転・200ピクセル未満の小さい画像では、読み違いや作り話が起きることがあります。広報写真の点検は「看板の小さな文字」「背景の小さな人影」が論点になりやすいので、この注意はそのまま効いてきます。

手順1: 写真ごとに「写っているもの台帳」を作る

最初にやるのは、判断をさせずに、写っているものを列挙させることです。可否の判断を混ぜると、Claudeが「問題なさそうです」とまとめてしまい、見落としが埋もれます。

渡すのは写真1枚とその管理番号だけにして、次のように頼みます。

添付の写真(管理番号 P-014)に写っているものを、次の分類で台帳にしてください。
可否の判断はしないでください。
 
分類:
1. 人物 … 人物A、人物Bのように番号で呼ぶ。名前や身元は推測しない。
   人数 / 顔の向き(正面・横・後ろ・判別不能)/ 画面内の大きさ / 子どもに見えるか
2. 文字情報 … 看板・名札・ロゴ・ポスター・ナンバープレート・PC画面の文字を書き起こす。
   読み取れない文字は「判読不能」と書く。
3. 商標・ブランド … 他社のロゴや製品が判別できるもの
4. 他者の作品らしきもの … 絵画・ポスター・展示物・キャラクター
5. 場所 … 屋内外・私有地や施設内に見えるか・施設名が分かる表示の有無
6. 画質 … 小さすぎて判断できない箇所
 
各項目の末尾に、写真内のおおよその位置(左上・中央など)を付けてください。

「名前や身元は推測しない」と書く理由は、後の節で述べる線引きのためです。人物を番号で呼ばせると、人が同意書の署名者と対応づけるときの索引にもなります。

位置を書かせると、台帳を見ながら元の写真の該当箇所に目を戻せます。画像内の座標や位置の出力はおおよそのもので、確認してから使うよう注意されています。「左上」程度の粒度に留めるのはそのためです。

手順2: 契約書・許諾書から使用条件を抜き出す

次に、同じ会話か別の会話に撮影契約書と許諾書を渡し、使用条件を表にさせます。写真の台帳とは別の会話にすると、写真の印象に引きずられて条項を甘く読むことを避けられます。

抜き出させる項目は、広報利用の可否を左右するものに絞ります。

  • 撮影者と依頼者(誰が誰に撮影を依頼したか)
  • 使用してよい媒体(自社サイト・SNS・パンフレット・報道向け・広告など)
  • 使用期間と地域
  • 二次利用・第三者提供の可否(取材先や提携先への素材提供を含む)
  • トリミング・加工・文字の重ねを認めるか
  • 著作権の帰属と、撮影者のクレジット表記の要否
  • 被写体の同意の取り方(同意書の有無、未成年の場合の保護者同意)
  • 撮影場所の利用許可の有無

指示文の最後に「契約書に記載がない項目は『記載なし』と書き、補って推測しない」と入れます。記載がないことと、許されていることは別だからです。契約書に載っていない媒体での使用は、「契約書で許されている」とは言えません。

手順3: 台帳と使用条件を突き合わせる

2つの結果を同じ会話に並べ、突き合わせ表を作らせます。ここで初めて、利用予定(たとえば「来月のプレスリリースに載せる」)を伝えます。

上の台帳と使用条件表を突き合わせ、次の形の表にしてください。
利用予定: 自社サイトのニュース記事とSNS告知(期間未定)、画像は中央トリミングあり
 
列: 写真の管理番号 | 論点 | 契約書の該当条項 | 状態 | 人が確認すること
状態は「契約に記載あり」「契約に記載なし」「写真から判断不能」の3つだけを使う。
「問題なし」「問題あり」とは書かない。

状態語を3つに固定する意味は、Claudeに法的な評価をさせない点にあります。出力は例えば次のような形になります(例示です。実際の文言は渡した資料で変わります)。

管理番号論点契約書の該当条項状態人が確認すること
P-014論点人物A・B(顔が正面)契約書の該当条項被写体の同意の取り方に記載状態契約に記載あり人が確認すること同意書の署名者2名との対応
P-014論点背景の他社ロゴ契約書の該当条項該当なし状態契約に記載なし人が確認すること載せてよいか、ぼかすか
P-014論点中央トリミング契約書の該当条項加工の可否に記載状態契約に記載あり人が確認すること条文の範囲が自社の加工に収まるか
P-014論点左奥の人影契約書の該当条項該当なし状態写真から判断不能人が確認すること原本で拡大して確認

この表のうち「契約に記載なし」と「写真から判断不能」の行が、人の仕事の入り口です。「契約に記載あり」の行も、記載の中身が利用予定に収まるかは人が条文で確かめます。

落とし穴

「契約に記載あり」は「使ってよい」ではない

状態欄が示すのは、論点に対応する条項が契約書にあるかどうかだけです。条項が媒体を「自社サイト」に限っていれば、SNS告知は範囲外になります。表を見た人が「あり=OK」と読み替えないよう、列名に「記載あり」を使い、「可」という語を避けています。

個人を特定させない線引き

広報写真の点検で一番ほしくなるのが、「この写真の左の人は、同意書の誰か」をClaudeに答えさせることです。ここは頼まない線にします。

理由は2つあります。ひとつは、画像中の人物の名指しはClaudeを使ってはならない用途とされ、拒否される前提で運用を組む必要があるためです。もうひとつは、仮に何かしらの推測が返ってきても、その推測は検証できない点です。顔立ちから同一人物かを当てるのは、画像の読み取りが得意とされる作業の外にあります。

代わりに、次の分担にします。

手順

人物の対応づけは人が持つ

  1. 1

    Claudeが人物に番号を振る

    台帳で「人物A、人物B」と番号を付け、人数と画面内の位置だけを出させます。

  2. 2

    人が同意書と対応づける

    撮影に立ち会った担当者、または被写体本人の確認がとれる人が、番号と署名者を対応づけます。

  3. 3

    対応表をClaudeに渡す

    「人物A=署名者1」のような対応表を渡せば、同意書の条件(使用範囲・期間)との突き合わせはClaudeに戻せます。

人物の名前を会話に書き込む必要が出たときは、扱いに注意が要ります。顔写真と氏名の対応は個人情報です。入力した個人データがAnthropic側でどう扱われるかの整理は個人データを含むプロンプトを入力するときの委託の考え方にあります。対応表には氏名でなく、同意書の通し番号を使うと、会話に氏名を載せずに済みます。

写真を渡す前に決めておく取り扱い

撮影契約書や未公開の写真には、取引先の機密が含まれることがあります。広報の担当者が自己判断でClaudeに渡す前に、2つを確認します。

1つ目は、画像の取り扱いの前提です。画像に関するFAQでは、次の点が説明されています。

  • アップロードされた画像は処理の間だけ保持され、保存されず、処理後に自動で削除される
  • Anthropicはアップロードされた画像をモデルの学習に使わない
  • Claudeは画像のメタデータ(撮影日時や位置情報など)を解析も受信もしない

これらはAPIの画像機能の説明に載っている内容です。claude.aiのチャットでの保存や学習の扱いはプランとアカウントの設定で決まるため、業務で使うアカウントの設定は別に確かめる必要があります。メタデータを読まないことは、裏返せば、撮影日時や撮影位置のような情報を点検に使えないことも意味します。撮影日と契約期間を照らす場合は、撮影日を別途テキストで伝えます。

2つ目は、写真の提供元との取り決めです。外部の制作会社やカメラマンから受け取った素材なら、その契約に秘密保持の条項があるかを先に見ます。顧客資料をAIに渡す前の確認順はコンサルがClaudeに顧客資料を渡す前のNDA点検表が参考になります。

点検の抜けを減らす画像の渡し方

台帳の精度は、渡す画像の状態で決まります。画像の使い方の説明には、次の注意があります。

  • 重要な文字が写っているなら、判読できる大きさで渡す。文字を大きくしたいだけの理由で、周囲の状況を切り落とさない
  • 大きすぎる画像は縮小されるため、文字が読みにくくなることがある。事前に縮小やトリミングを自分で行う手もある
  • 非可逆圧縮(JPEGなど)を何度も重ねると、文字が読めなくなるなどの劣化が起きる。送る画像そのものを目で確かめる

広報写真は、SNS用に圧縮された二次データが手元に残っていることがよくあります。看板や名札の確認が目的なら、圧縮前の原本を使うほうが書き起こしの精度は上がります。

枚数にも上限があります。claude.aiでは1回のメッセージに20枚まで、APIでは1回のリクエストに100枚まで(コンテキストが200kトークンのモデル)または600枚までです。さらに、1回のAPIリクエストに20枚を超える画像を入れると、画像ごとの寸法の上限が厳しくなります。数十枚の写真を一括で点検したいときは、20枚以下の束に分け、束ごとに台帳を作り、最後に表を連結するのが無理のない進め方です。画像が消費するトークン数の見積もりはClaudeの画像トークンの計算にまとめています。

AIと著作権の資料とは別の論点

文化庁の「AIと著作権について」のページは、生成AIと著作権の関係についての考え方(令和6年3月15日取りまとめ)と、その解説資料であるチェックリスト&ガイダンス(令和6年7月31日)などを紹介する資料です。生成AIの開発や利用に関わる当事者が、著作権の観点で取り組むべきことを整理したものです。

この記事の用途は、既存の写真を点検することです。写真の使用許諾や肖像の扱いは、撮影者と被写体、依頼者の間で交わした契約と同意で決まるものです。文化庁のページはその点検の代わりにはなりません。広報担当者が目を通す価値があるのは、AIで加工した画像を素材にするときや、AIに他者の著作物を入力するときの考え方です。なお、Claudeは画像の読み取り専用で、画像の生成や編集はできません。写り込みをぼかす加工が必要なら、画像編集ソフトで人が行います。

点検結果を扱うときの限界

Claudeの出力は、人の確認を前提にした下書きです。画像に関する説明でも、重要な用途では解釈を見直し、精度が絶対に必要な作業や機微な画像の分析は人の監督なしに任せないよう注意されています。広報写真では、次のものが特に人の判断に残ります。

  • 子どもが写っているときの保護者の同意の取り方
  • 背景の人影や他社ロゴが「写り込み」として許容できる範囲か
  • 撮影場所の管理者から、撮影と公開の許可を得ているか
  • 契約書の条項が曖昧で、解釈が割れるとき

最後の2つは、写真にも契約書にも載っていないことがあり、Claudeは気づけません。判断が割れる案件は、法務担当者か弁護士に、台帳と突き合わせ表を添えて相談すると話が早く進みます。

まとめ

点検の主役は「台帳」と「突き合わせ表」の2枚で、人物の特定と可否の決定は人に残します。状態語を3つに固定し、「問題なし」という評価語をClaudeに言わせない設計にすると、出力を鵜呑みにする事故が減ります。

最初は1枚の写真と1通の契約書で、台帳の分類と状態語が自社の案件に合うかを試すのが現実的です。合わない分類があれば指示文を直し、型ができてから枚数を増やしてください。食品ラベルや施工写真など、写真から項目を拾って人が確認する同じ型の手順は、食品表示ラベルの写真点検と施工写真の仕分けにあります。

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