ClaudeとRootlyを連携する方法 — インシデントとオンコールを会話で引く
Rootlyの公式コネクタでインシデント・オンコール・振り返りのデータをClaudeに読ませる手順です。接続方法、ツールの絞り方、書き込みが起きる操作、読み取り専用での運用をまとめます。
ClaudeとRootlyを連携する方法 — インシデントとオンコールを会話で引く
Rootlyのコネクタを繋ぐと、インシデント、アラート、オンコールのスケジュール、振り返りのデータをClaudeが直接引けます。「先週の重大インシデントは何件か」「今夜の当番は誰か」といった問いを、管理画面を開かずに会話で済ませられます。
注意点は、このコネクタが読み取り専用ではないことです。インシデントの作成や更新まで同じ接続で呼べるため、接続手順と同じ重さで、書き込みの止め方を押さえておく必要があります。
Rootlyコネクタとは — 255個のツールを持つ公式の接続口
Rootlyコネクタは、Rootly自身が提供するClaude向けのMCPサーバーです。Claudeのコネクタ一覧では「Anthropic verified」の表示が付き、カテゴリは「Developer tools」と「Productivity」、追加時期は2026年6月です。サインインは必須で、接続先のURLは https://mcp.rootly.com/mcp です。
ディレクトリのページは、扱える対象を次のように挙げています。
- インシデント、アラート
- オンコールのスケジュールとオーバーライド
- チーム、サービス、ワークフロー
- 振り返り(retrospective)と信頼性メトリクス
認証はOAuth2のログインかAPIトークンの2通りです。ツールにはフルとスリムの2つのプロファイルがあり、読み取り中心の運用向けに読み取り専用モードも用意されています。ツールの数はページ上で「Show all 255 tools」と表示され、冒頭の24個だけが見えます。
同じ領域の別製品については、incident.ioとの連携が事後の振り返り文書づくり、PagerDuty連携が検知とエスカレーションの自動化を扱っています。Rootlyは、インシデント対応、オンコール、振り返りを一つのMCPサーバーにまとめて出している点が特徴です。
接続手順 — Claudeの種類で選ぶ
Claude.aiとデスクトップ版はコネクタ一覧から
最短はコネクタ一覧からの追加です。
ClaudeからRootlyを接続する流れ
- 1
コネクタ一覧でRootlyを探す
Claudeのコネクタ一覧(設定のConnectors)でRootlyを探して追加します。画面の名称はアプリの版で変わることがあります。
- 2
Rootlyのアカウントで承認する
ブラウザが開くので、Rootlyにログインして付与する権限を確認します。権限は、RootlyのOAuth2の同意画面で細かく区切られています。
- 3
会話でオンにする
会話のコネクタ切り替えでRootlyをオンにします。
Rootlyのドキュメントによると、OAuth2に対応するクライアント(Claude Desktop、Claude Code、Cursor)ではブラウザでログインするだけで済み、APIトークンは不要です。
Claude Codeには1行で追加できる
Claude Codeには、次のコマンドで追加します。初回の利用時にブラウザで認可を求められます。
claude mcp add --transport http rootly \
https://mcp.rootly.com/mcp-codemodeURLの末尾が mcp-codemode になっている点に注意してください。Rootlyは、通常のURLの /mcp ではなくこのCode Modeを推奨しています。理由は次の節で説明します。
プロジェクトで共有したいときは、リポジトリ直下の .mcp.json に書く方法もあります。
{
"mcpServers": {
"rootly": {
"type": "http",
"url": "https://mcp.rootly.com/mcp"
}
}
}APIトークンで繋ぐ場合
OAuth2を使えないクライアントや自動化では、APIトークンを使います。Rootlyの Account > Manage API keys > Generate New API Key で発行できます。種類による違いは次のとおりです。
| トークンの種類 | アクセス範囲 |
|---|---|
| Global API Key(推奨) | アクセス範囲全チーム・スケジュール・インシデントへの全面的なアクセス |
| Team API Key | アクセス範囲1つのチームに限った読み書き |
| Personal API Key | アクセス範囲作成したユーザーの権限を引き継ぐ |
get_oncall_handoff_summary や get_oncall_shift_metrics は組織全体が見える権限を前提にしています。チーム限定のトークンで繋ぐと結果が欠けるので、全体の集計を引きたいならGlobal API Keyが必要です。
Claude Desktopの設定ファイルでAPIトークンを使う場合は、mcp-remote を経由する形がドキュメントに載っています。
{
"mcpServers": {
"rootly": {
"command": "npx",
"args": [
"-y", "mcp-remote",
"https://mcp.rootly.com/mcp",
"--transport", "http",
"--header",
"Authorization: Bearer <YOUR_ROOTLY_API_TOKEN>"
]
}
}
}ツールの量をどう抑えるか — Code Modeとスリムプロファイル
このコネクタの設計で見落としやすいのが、ツールの多さです。ホスト版の既定は全ツールで、200超あります。ツールの定義はモデルが応答するたびに再送されるため、使わないツールまで毎回トークンを食います。
Rootlyは対策を3つ用意しています。
| 方法 | 内容 | 向く場面 |
|---|---|---|
Code Mode(/mcp-codemode) | 内容list_tools、tool_search、get_schema、tags、execute の5つのメタツールだけを見せる | 向く場面複数の手順をまたぐ調査 |
| スリムプロファイル | 内容URLに ?tool_profile=slim。約70の利用頻度が高いツールに絞る | 向く場面一般的な問い合わせ中心 |
| ツール許可リスト | 内容ローカル・自前運用で ROOTLY_MCP_ENABLED_TOOLS に使うツールだけを列挙 | 向く場面役割ごとにツール群を分けたい |
Code Modeでは、モデルが必要なツールを探し、execute の中に書いた短いPythonの処理で複数のツール呼び出しをサーバー側でつなぎ、最終結果だけを返します。ドキュメントはトークンの消費と往復回数が大きく減ると説明しています。
通常のエンドポイントとCode Modeを同時に繋ぐのは避けます。両方があると、モデルが通常のツールを直接呼んで execute を使わなくなり、全ツールの定義も読み込まれて、節約の効果が消えるためです。
自前で運用するローカル版には、用途別の組み合わせ(インシデント対応25個、オンコール管理35個、監視とアラート41個、振り返り分析30個、分析とレポート15個)がドキュメントに用意されています。
会話での使い方 — 引く問いの型
Rootlyのドキュメントには、独自のツールがいくつも載っています。会話の入口として使いやすいものを、問いの型で並べます。
| 知りたいこと | 使われるツール |
|---|---|
| 過去に似たインシデントはあったか | 使われるツールfind_related_incidents(TF-IDFによる類似度) |
| 過去の解決策から次の手を探す | 使われるツールsuggest_solutions |
| 今の当番と次の当番、その間のインシデント | 使われるツールget_oncall_handoff_summary |
| ユーザー・チーム・スケジュール別の当番回数と時間 | 使われるツールget_oncall_shift_metrics |
| 時間帯を区切ったインシデント一覧と平均解決時間 | 使われるツールget_shift_incidents |
| 当番の過負荷リスク | 使われるツールcheck_oncall_health_risk |
check_oncall_health_risk は、外部サービスのOn-Call Healthと連携した機能です。環境変数 ONCALLHEALTH_API_KEY を設定したときだけ現れます。ドキュメントでは、このキーはローカル版の設定例の env に書く形で示されています。
プロンプトの一例を挙げます。ドキュメントが示すツールの使い方に沿った形で、実際の応答はあなたのRootlyのデータと設定で変わります。
先週の重大度が critical のインシデントを一覧にして、
解決済みのものは平均解決時間も出してください。
そのうち似た過去事例があるものは find_related_incidents で
1件ずつ照合し、過去の対処の要点を添えてください。
Rootlyへの書き込みは行わないでください。指示の最後の一文が重要です。理由は次の節で述べます。
書き込みが起きる操作 — 既定では全部開いている
ドキュメントによると、ホスト版もセルフホスト版も、既定では書き込み可能なツールを含む同じツール群を出します。ディレクトリのページで確認できる冒頭の24個にも、create_alert、create_escalation_policy、create_dashboard といった作成系の名前が並びます。
一方で、安全のために外されている操作もあります。
- APIキーの管理、ユーザーの作成と削除、ロールの管理、Webhookの設定といった、セキュリティに関わる操作
- 削除の操作
つまり、削除はできませんが、アラートやエスカレーションポリシーの作成、インシデントの更新といった変更はできます。当番表やエスカレーションの設定は、間違えると深夜の通知先が変わります。
読み取り専用で使うには
読み取りだけにしたい場合は、次の方法があります。
- 指示で止める。上の例のように、書き込みを禁じる一文を添えます。ただし指示の読み落としに備える手段としては弱い方法です
- サーバー側で止める。ローカル版・セルフホスト版は、
--no-enable-write-toolsで起動するか、ROOTLY_MCP_ENABLE_WRITE_TOOLS=falseを設定します。書き込みのツールが公開されなくなります - Claude側でツールごとの許可を絞る。方法と面ごとの違いはコネクタの読み取り専用運用にまとめています
- トークンの種類を選ぶ。Personal API Keyなら、作成したユーザーの権限が上限になります
ディレクトリのページは読み取り専用モードがあると記しています。ホスト版のURLでそのモードを指定する方法は、Rootlyのドキュメントには載っていません。ホスト版で確実に絞りたいなら、上の3と4で止めるのが現実的です。
Claude Codeで使うなら公式プラグインも選択肢
開発の現場でClaude Codeを使っているなら、MCPの接続とは別に、Rootlyが配布するプラグインがあります。インシデントのコンテキストをコードの横で引けるようにしたもので、すべて同じホスト版のMCPサービスを裏で使います。
/plugin marketplace add Rootly-AI-Labs/rootly-claude-plugin
/plugin install rootly@rootly-plugins
/reload-plugins
/rootly:setup/rootly:setup を実行するとブラウザでOAuth2のログインが始まります。プラグインには9つのスラッシュコマンドがあります。
| コマンド | 役割 |
|---|---|
/rootly:deploy-check | 役割git diffを過去のインシデントと照らし、似た変更で障害が起きていないか警告 |
/rootly:respond [id] | 役割インシデントの全文脈、似た過去事例、当番を表示 |
/rootly:oncall | 役割当番の状況、シフトの指標、次の引き継ぎ、健康リスク |
/rootly:retro [id] | 役割インシデントのデータから振り返りを構造化して生成 |
/rootly:status | 役割進行中のインシデントがあるサービスを重大度別に表示 |
/rootly:ask [question] | 役割自然言語でインシデント履歴を検索 |
/rootly:brief [id] | 役割関係者向けの要約を作成 |
/rootly:handoff | 役割インシデント指揮の交代用の引き継ぎ文書 |
/rootly:setup | 役割初回設定とAPIトークンの検証 |
自動のフックも2つ付きます。起動時にAPIトークンが有効かを確かめるものと、コミットやプッシュの前に進行中の重大インシデントがあれば警告するものです。このフックはMCPの外で動くため、OAuth2ではなくAPIトークンを使います。プラグインを入れるなら、環境変数 ROOTLY_API_TOKEN も用意しておく必要があります。
つまずきやすい点
- ツールが表示されない。設定を保存したあとにクライアントの再起動が必要な場合があります。JSONのカンマや括弧の欠けも、サーバーの読み込みを黙って止めます
- 認証エラーになる。トークンが失効していないか、RootlyのManage API keysで確かめます。ホスト版では
AuthorizationヘッダーにBearer <token>の形で渡します - 集計が欠ける。チーム限定のトークンになっていないかを疑い、Global API Keyに替えます
- ホスト版の通常URLとCode Modeの混在。上で述べたとおり、片方に絞ります
- Claude側のプランの条件が分からない。ディレクトリのページには、使えるClaudeのプランの記載がありません。TeamやEnterpriseの組織では、管理者がコネクタの利用を制限していることがあります
ドキュメントの質問にはDocs MCPを併用する
Rootlyは、プロダクトのMCPとは別に、ドキュメント検索用のDocs MCPサーバーを https://docs.rootly.com/mcp で公開しています。認証は不要で、読み取り専用です。
使い分けは単純です。「Datadogのアラートルーティングはどう設定するか」のような手順の質問はDocs MCP、「今夜の当番をページして」のような操作はプロダクトのMCPが受け持ちます。両方を繋ぐと、設定方法を調べたうえで設定そのものを依頼する流れが一つの会話で完結します。ただし後者は書き込みなので、前の節の絞り込みを済ませてから繋いでください。
権限設計の失敗例はコネクタの権限設定でよくある失敗も参考になります。
向く使い方・向かない使い方
| 場面 | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| 週次のインシデントの傾向確認 | 向き向く | 理由一覧と集計を会話で出せる |
| 過去の類似事例の検索 | 向き向く | 理由専用の類似度ツールがある |
| 当番の引き継ぎ確認 | 向き向く | 理由現在と次の当番、期間中のインシデントが一度に出る |
| 当番表やポリシーの変更 | 向き条件次第 | 理由書き込みが開いており、承認の設計が前提 |
| 障害の最中の指揮 | 向き条件次第 | 理由誤操作の影響が大きく、読み取りに絞って使うほうが無難 |
まとめ
最初の接続は、インシデントの一覧や類似事例の検索といった読み取りの問いだけに使うのが無理のない入り方です。当番表やポリシーの変更まで任せるのは、サーバー側の設定かトークンの種類で書き込みを絞れる環境を整えてからになります。ホスト版で読み取り専用モードを指定する方法がRootlyのドキュメントに載っていない以上、権限の線引きは接続した側の仕事です。