Claude ScienceでEZproxyと出版社APIキーを設定し有料論文を取る
Claude Scienceで有料論文の全文を取るための認証情報の設定画面、鍵ごとの効果、取れないときの切り分け、社内ネットワークで通す宛先をまとめました。
Claude Scienceは、オープンアクセスの論文なら認証情報なしで全文を取ってきます。購読誌の全文まで届かせるには、出版社のAPIキーか大学図書館のプロキシ(EZproxy)を、アプリの設定に足します。足したキーが開くのは、あなたがすでに持っているアクセス権の範囲だけです。
この記事では、設定画面の場所、項目ごとの効果、設定の手順、全文が取れないときの切り分け、社内ネットワークで通す宛先を順に見ます。
設定画面はどこにあり、何が別の画面なのか
認証情報を入れるのは、Claude Scienceアプリ自身の設定です。claude.aiのアカウント設定や組織設定とは別の画面なので、ブラウザでclaude.aiを開いても見つかりません。
- プロジェクトの中ではサイドバー下部の歯車アイコン、ホーム画面では右上のアカウントアイコンからアカウントメニューを開く
- Settingsを選ぶ
- Credentialsを選ぶ
- Services一覧からLiterature access (journals, etc.) を開く
独自の認証情報(Custom)を追加している場合、Services一覧はその下に表示されます。
フォームの項目はどれも任意で、互いに独立しています。出版社のキーを1つだけ入れても、図書館プロキシだけ入れても構いません。
全文はどの順で取りにいくのか
DOIかタイトルを渡すと、Claudeは次の順に試します。取れたファイル(PDF、XML、テキスト)はセッションに保存されます。
- オープンアクセスの写し(Unpaywall、Semantic Scholar、PubMed Central)
- CrossRefが持つ全文リンク
- 鍵を持っている出版社の経路
- 図書館のプロキシ
- 出版社のページ
鍵やプロキシを足した効果が出るのは、3番目と4番目の段です。1番目と2番目は認証なしで進むので、オープンアクセスで済む論文は設定がなくても取れます。
試行順の中の位置づけは、文献レビュー実例の記事にも載せています。Allen Instituteの事例はClaude Scienceの文献レビュー実例にあります。
項目ごとに何が変わるのか
| 追加するもの | 効果 |
|---|---|
| Elsevier APIキー + 機関トークン | 効果Elsevierの経路が有効になる。購読契約は別に必要 |
| Springer Nature APIキー | 効果Springer Natureの経路が有効になる |
| Semantic Scholar APIキー | 効果Semantic Scholarの段が速くなる |
| NCBI APIキー | 効果PubMedの上限が毎秒3件から10件に上がる |
| CORE APIキー | 効果保存はされるが、全文取得では使われない |
| EZproxy URL + セッションCookie | 効果出版社リンクを図書館経由でやり直す |
有料論文の全文に直接効くのは、出版社の2項目とEZproxyの3つです。残りは検索や取得の速度に関わる項目で、paywallの向こうを開くものではありません。
出版社専用の鍵が用意されているのは、Elsevier(機関トークンとの組)とSpringer Natureの2社です。フォームに並ぶ項目から読むと、それ以外の出版社の論文を購読で読むには、図書館プロキシ経由の再試行が残る経路になります。
先に入れる順番の目安
一次ソースは優先順位を示していません。次は項目の説明から組み立てた目安です。
- 読みたい論文の多くがElsevierかSpringer Nature刊行 → 該当社のキーから
- 刊行元がばらばら、または大学の購読が中心 → EZproxyから
- PubMedの論文を大量に引く → NCBI APIキーから
- CORE APIキーは、全文取得の目的では入れても効果がない
設定の手順
- 上の手順でLiterature access (journals, etc.) を開く
- 持っているキーだけを入力して保存する。Elsevierは機関トークンを併せて入れる
- 図書館のEZproxy経由で読んでいるなら、EZproxy URLとセッションCookieを入れる
- Unpaywallの段を使いたいなら、連絡用メールアドレスを共有する
- OpenAlexを使うなら、Services一覧のOpenAlexの項目に無料のAPIキーを入れる
EZproxy URLに何を入れるかは、所属機関の図書館が案内する形に従います。セッションCookieの取り方や有効期間も図書館側の仕様で、Claude Scienceの資料には書かれていません。
連絡用メールアドレスとUnpaywall
NCBI、EBI、OurResearch(Unpaywall)は、利用者に連絡先メールアドレスを求めます。初めて必要になった場面で、Share a contact email with research data services? というカードが出ます。共有するとUnpaywallの段が使えるようになります。
カードを待たずに設定するなら、アプリのSettingsのGeneralタブにあるContact emailです。Unpaywallはオープンアクセスの写しを探す最初の段なので、メールを共有していないとUnpaywallの段は使われません。
OpenAlexは別項目で、キーが必須
OpenAlexは同じServices一覧の別の項目です。OpenAlexはリクエストごとにキーを要求するため、キーなしではOpenAlexを使う文献検索が動きません。キーは無料で、OpenAlexのAPI設定ページから作れます。
この仕様が入ったのはバージョン0.1.15(2026年7月1日)です。Claude Scienceが自動で解決するか、キーが要る場面でセッション内で尋ねてきます。事前にSettings > Credentialsで追加して検証することもできます。
動作確認のプロンプト例
設定したら、DOIを渡して取得を頼みます。次は書き方の一例です(DOIは差し替えてください)。
10.xxxx/xxxxxxxx の全文を取得して、使えた取得経路と
保存したファイルの形式(PDF・XML・テキスト)を報告してください。Claudeが何をどう報告するかは環境と論文次第で、取得できたファイルはセッションに保存されます。出版社の経路を通したかどうかは、報告された経路と手元の購読状況の両方で確かめてください。
キーを足しても全文が取れないとき
症状ごとに、原因の候補を一次ソースの記述から並べます。
| 症状 | 考えられる原因 | 見るところ |
|---|---|---|
| 購読誌が開かない | 考えられる原因所属機関がその雑誌を購読していない | 見るところ図書館の契約。キーは持っているアクセス権を使えるようにするだけ |
| Elsevierの経路が使われない | 考えられる原因キーだけで機関トークンがない | 見るところElsevier APIキー + 機関トークンの組 |
| オープンアクセスのはずが取れない | 考えられる原因連絡用メールが未共有でUnpaywallの段が動いていない | 見るところContact email |
| OpenAlexを使う検索が動かない | 考えられる原因OpenAlexのAPIキーがない | 見るところServices一覧のOpenAlex |
| 出版社のページしか見えない | 考えられる原因有料HTMLは取得対象外 | 見るところPDFを返す経路(キー・プロキシ)を足す |
| CORE APIキーを入れても変わらない | 考えられる原因全文取得では使われない | 見るところ仕様どおり |
最後から2番目の行は、取得の仕様に由来します。有料ページのHTMLは取得対象外で、スクレイピングされません。出版社ページが最後の段にあるのは、前の経路がすべて外れた場合の最後の試行という位置です。
どのキーを足しても、ペイウォールを回避する効果はありません。所属機関が購読していない雑誌は、キーを入れても同じ結果になります。
社内ネットワークで止まるときは、どの宛先を通すか
組織のプロキシやファイアウォールが宛先を絞っている場合、文献検索と全文取得にはアプリ自身の接続が使われます。この接続は、アプリのほかの通信と同じく、外向きプロキシとTLS検査を通ります。解析用のサンドボックスの許可リストにある宛先でも、アプリ側のプロキシで別に許可する必要があります。
api.unpaywall.org
doi.org
eutils.ncbi.nlm.nih.gov
www.ncbi.nlm.nih.gov
api.semanticscholar.org
api.crossref.org
api.openalex.org # OpenAlexのキーを追加するとき
api.elsevier.com # Elsevierのキーを保存したとき
api.springernature.com # Springer Natureのキーを保存したとき最後の2つは、利用者がその出版社のAPIキーを保存した場合にだけ必要になります。OpenAlexの宛先は、キーの検証に使われます。
全文のダウンロード先は、オープンアクセスの写しが置かれているサイトです。宛先を絞ったネットワークでは、一部の全文の取得が失敗します。上の宛先で通るのは、文献検索とPubMedの取得までです。
EZproxyのホスト名は大学ごとに違うため、この宛先の表にはありません。図書館プロキシを使うなら、所属機関のEZproxyホストも通す必要があるかをネットワーク担当に確認してください。
管理者が許可リストを管理している場合
Team・Enterpriseプランで組織が許可リストを管理していると、サンドボックス側の宛先は組織の画面で切り替わります。Claude Science domainsにはLiterature & citationsやNCBI / NIHのグループがあり、グループ単位でもドメイン単位でも切れます。
組織のプランと上限の違いはClaude Scienceの対応プランと料金にまとめています。
認証情報の保存先と、Claudeのコードへの渡り方
保存した認証情報は、Claude Scienceを動かしているコンピューターのローカルフォルダに保存されます。Anthropicがホストしたり同期したりするフォルダではありません。
バージョン0.1.49(2026年9月16日)から、保存済みの認証情報はClaudeのコードが要求し、利用者が承認したときだけ届きます。以前のように、すべてのセルに存在する状態ではなくなりました。
承認の画面は権限カードのCredentialsで、承認の範囲をOnce、This conversation、This project、Globalから選べます。付与した許可はSettings > Permissionsに並び、そこから取り消せます。
文献の全文取得は、アプリ自身が各提供元に接続して行う処理です(社内ネットワークの節を参照)。
リクエストの間隔と、NCBIの上限の関係
Claudeは各提供元へのリクエストを1秒に1回のペースで送り、制限を求められると待ちます。リクエストには、Claude自身を示す識別が毎回付きます。
NCBIのキーは上限を毎秒3件から10件に上げる項目です。1秒1回のペースとの関係は、資料に書かれていません。キーを入れた効果を厳密に測るなら、実際の取得数で確かめるのが確実です。
数百本から数千本の論文を一括で文献レビューにかけるなら、PubMed側の上限が効く設定です。個別に数本を取るだけなら、キーを入れる手間に見合う差は出にくい項目です。
実際の文献レビューの進め方は、Claudeで文献レビューの計画を立てる手順と、Consensusコネクタでの文献検索でも扱っています。