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Claudeで障害者雇用の求人票を整える — 合理的配慮の書き方と線引き

Claudeで障害者雇用の求人票を整える — 合理的配慮の書き方と線引き

障害のある人向けの求人票を、職務の切り出し・配慮の書き方・応募者に聞ける事項の線引きの3点でClaudeと整える手順。根拠は障害者の雇用の促進等に関する法律と厚生労働省の2つの指針です。

障害のある人向けの求人票は、Claudeに「やさしい文章にして」と頼むだけでは整いません。決めるべきことが3つあります。どの業務を求人の職務として切り出すか、配慮をどこまで文面にするか、応募者に何を聞いてよいかです。この3点はいずれも、障害者の雇用の促進等に関する法律と厚生労働省の2つの指針に根拠があります。Claudeには根拠の条文を渡したうえで、仕分けと文面づくりを任せます。

求人票に書けることは、配慮の仕組みで決まる

合理的配慮は、事業主が先回りして決め切るものではありません。募集・採用の場面では、障害者からの申出が起点になります。法律の条文は次の構造です。

  • 法34条: 募集・採用で、障害者に障害者でない者と均等な機会を与える
  • 法36条の2: 募集・採用で、障害者からの申出により障害の特性に配慮した必要な措置を講じる。事業主に過重な負担を及ぼすときは除く
  • 法36条の4: 措置を講じるときは障害者の意向を十分に尊重する

合理的配慮指針の手続は、申出、話合い、確定の3段です。申出では、障害者が支障となっている事情と希望する措置を伝えます。希望する措置を具体的に言えないときは、支障となっている事情を明らかにすれば足ります。話合いでは、希望が具体的でない場合に事業主が実施可能な措置を示します。確定の段で、措置の内容を伝え、過重な負担に当たると判断したときは実施できないことを伝えます。求めがあれば理由も説明します。

求人票の役割は、この手続の入口を開けておくことです。「配慮します」と全面的に約束する文面も、「配慮できません」と先に閉じる文面も、手続とずれます。後半の文例は、この前提で組んでいます。

手順

Claudeと求人票を整える流れ

  1. 1

    職務を切り出す

    業務の棚卸しから、求人の職務にする業務と、その必須条件を決めます。

  2. 2

    配慮の文面を作る

    自社で実施できる措置を担当者が○×で示し、その範囲で文面にします。

  3. 3

    聞く事項を仕分ける

    応募書類・面接で確認する項目を、確認の目的と結び付けて残します。

  4. 4

    人が最終確認する

    実態と合うか、過重な負担の判断を誤っていないかを、担当者が確かめます。

職務の切り出し: 必須条件は「業務遂行上特に必要」かで見る

差別禁止指針は、募集に際して一定の能力を条件とすることを認めています。ただし、その条件が業務遂行上特に必要と認められる場合に限ります。必要でないのに障害者を排除するために付けた条件は、差別に該当します。

求人票の条件欄を見直すときは、条件ごとに次の問いを立てます。

  • その能力は、この職務を遂行するのに特に必要か
  • 配慮があれば満たせる条件ではないか
  • 条件の書き方が、障害の有無で不利になっていないか

指針は、条件を満たすかどうかの判断は、過重な負担にならない範囲での合理的配慮の提供を前提に行うとも書いています。たとえば「電話応対ができること」を必須にしていても、メールやチャットで代替できる業務なら、条件の側を見直す余地があります。

Claudeには、業務の棚卸しを渡して条件の棚卸しを作らせます。社内の業務一覧に、現在の求人票の条件欄を並べて渡します。

添付は、経理事務ポジションの業務一覧と、現行の求人票の応募条件です。
次の表を作ってください。
1. 応募条件を1行ずつ並べる
2. その条件に対応する業務を、業務一覧から引く(無ければ「対応業務なし」)
3. 配慮(筆談、メール代替、時間延長など)があれば満たせる可能性を
   「あり / なし / 担当者判断」で書く
推測で業務を足さないでください。

「対応業務なし」と出た条件は、削る候補です。ここは人が決めます。Claudeの表は、見直しの順番を決める材料にとどめます。

配慮事項の書き方: 別表の例を、自社で言えるものに絞る

合理的配慮指針の別表には、障害区分ごとの事例があります。募集及び採用時の例は次のとおりです。

障害区分募集及び採用時の例
視覚障害募集及び採用時の例募集内容を音声等で提供する。点字や音声等による試験、試験時間の延長
聴覚・言語障害募集及び採用時の例就労支援機関の職員等の同席を認める。筆談等で面接を行う
肢体不自由募集及び採用時の例面接でできるだけ移動が少なくて済むようにする
内部障害・難病に起因する障害募集及び採用時の例面接時間について体調に配慮する
知的障害・精神障害募集及び採用時の例就労支援機関の職員等の同席を認める
発達障害募集及び採用時の例同席を認める。面接・試験を文字でのやりとりで行う、試験時間の延長
高次脳機能障害募集及び採用時の例就労支援機関の職員等の同席を認める

別表は例示です。指針は、あらゆる事業主が必ずしも実施するものではなく、別表にない事例でも合理的配慮に該当するものがあると書いています。合理的配慮は個別性が高いからです。

ここからが、Claudeに頼むときの勘所です。別表の例をそのまま求人票に貼ると、実施できない約束を並べることになります。次の順で進めます。

  1. 別表の募集・採用時の例を、Claudeに「自社の選考フローのどこで起きるか」で並べ直させる
  2. 採用担当者が、各措置に「実施できる / 条件付き / 難しい」を付ける
  3. 「実施できる」と「条件付き」だけを、Claudeが求人票の文面にする

文面の例を示します。公式の文例ではなく、上の流れで作った下書きの一例です。

前と後

配慮の記載を、手続に合わせて書き直す

BEFORE

書き直す前

障害のある方には十分に配慮いたします。どのような障害でも歓迎します。

AFTER

書き直した後

選考では、面接時間の調整、筆談での面接、支援機関の職員の同席、試験時間の延長など、必要な配慮を個別にご相談できます。希望する措置が決まっていなくても、困りごとをお知らせください。一緒に検討します。内容により準備に時間がかかるため、面接日の○日前までに下記窓口へご連絡ください。実施が難しい場合は、理由をご説明し、別の方法を相談します。

書き直した後の文面は、指針の手続に沿っています。希望が具体的でなくてよいこと(申出の段)、準備に時間がかかること、実施できないときは理由を説明して代わりを探すこと(確定の段)を入れています。指針は、障害者に面接日等までの間に時間的余裕をもって申し出ることを求めています。「○日前まで」の日数は自社の準備期間で決めてください。

Claudeに出力させるとき、次の2点を指示に入れておくと外れにくくなります。

  • 措置の一覧は、担当者が「実施できる」とした項目だけを使う
  • 「必ず」「すべての」など、約束の強さを上げる語を足さない

応募者に聞いてよいこと・聞けないこと

聞く事項の線引きは、差別禁止指針の記述が手がかりになります。指針は、障害者専用の求人の採用選考または採用後について、次の確認を差別に当たらないと整理しています。

  • 能力及び適性の判断のため
  • 合理的配慮の提供のため
  • そのほか雇用管理上必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害の状況等を確認すること

つまり、確認が認められる根拠は目的に結び付いています。指針の文言を読む限り、この目的に結び付かない質問は、確認が認められる範囲の外にあります。これは条文からの読み取りで、個別の質問ごとの適否は指針に列挙されていません。迷う項目は、社内の担当者や労働局に確かめてください。

一般の求人(障害者専用でない求人)では、障害者であることを理由に募集・採用の対象から排除すること、障害者にだけ不利な条件を付けることが、差別に該当する措置として例示されています。求人票の応募資格欄に障害を理由とする除外が紛れていないかは、Claudeに点検させる価値があります。

仕分けの表を、Claudeに作らせます。

項目の例確認の目的として書けるか求人票・応募書類での扱い
配慮が必要な場面(面接方法、試験方法)確認の目的として書けるか合理的配慮の提供のため求人票・応募書類での扱い配慮の申出欄として設ける
業務で支障になりそうな事情確認の目的として書けるか能力及び適性の判断、配慮の提供のため求人票・応募書類での扱い職務と結び付けて質問する
障害の状況の詳細確認の目的として書けるか雇用管理上必要な範囲か求人票・応募書類での扱い必要な範囲だけ、プライバシーに配慮して確認する
目的を説明できない質問確認の目的として書けるか説明できない求人票・応募書類での扱い設けない

Claudeへの指示は、質問を1つずつ渡し、「この質問の確認目的を、指針の3つの目的(能力及び適性の判断、合理的配慮の提供、雇用管理上必要な範囲)に当てはめて1行で書いてください。当てはめられないときは『当てはまらない』と書き、理由を添えてください」とします。判定ではなく、目的の言語化を任せるのがこのステップの設計です。

応募しようとする人から求人内容の問合せがあったとき、事業主は求人内容を説明することが重要だと指針は書いています。問合せ窓口と、返答の担当者を求人票に書いておくと、この点に応えられます。

Projectsに根拠資料を置く

指針は何度も参照するので、Claudeのプロジェクトにまとめて置きます。ナレッジに文書をアップロードし、プロジェクト指示で振る舞いを決める機能です。

置くものは3つです。

  • 差別禁止指針と合理的配慮指針のPDF(厚生労働省が公開しています)
  • 自社の業務一覧と、現行の求人票
  • 配慮の実施可否を担当者が○×で付けた一覧

プロジェクト指示には、たとえば次のように書きます。

あなたは求人票の下書きを点検する補助役です。
- 根拠は、ナレッジの2つの指針とこの会社の資料だけにする
- 指針に書かれていないことは「指針に記載なし」と書く
- 配慮の文面は、担当者が「実施できる」とした措置だけで作る
- 応募者の氏名や病名は、入力されても扱わず、削除を求める

最後の1行は、応募者の個人情報を会話に持ち込ませないための歯止めです。求人票の整備に、実在の応募者の情報は要りません。

点検で外れやすいところ

Claudeの出力を、担当者が次の点で見直します。

点検

下書きで外しやすい4か所

  • 配慮の約束が強すぎる

    法36条の2は、事業主に過重な負担を及ぼすときを除いています。過重な負担は、事業活動への影響の程度、実現困難度、費用・負担の程度、企業の規模、財務状況、公的支援の有無を総合して個別に判断すると指針にあります。「必ず対応します」は、この判断の余地を消します。

  • 障害種別で配慮を決め打ちしている

    別表は例示です。同じ障害区分でも必要な措置は人によって違います。種別ごとの配慮一覧をそのまま載せるより、「個別に相談できる」を主にします。

  • 採用後の配慮と混ざっている

    募集・採用時は申出が起点です。採用後は、障害者であることを雇入れ時までに把握しているとき、事業主が職場で支障となっている事情の有無を確認します。求人票に書くのは入口の部分に絞り、採用後の運用は別に整えます。

  • 窓口が書かれていない

    申出の宛先が分からないと、手続の入口が開きません。採用後の相談窓口についても、指針は事業主に整備と周知を求めています。

求人票の明示事項や年齢・性別の表現の点検は、求人票の明示事項と年齢制限表現をClaudeで点検する手順の領分です。採用後に出た配慮の申出は、障害者差別解消法の合理的配慮をClaudeで記録するが記録の型を扱っています。雇用率の未達に関わる納付金の計算は、障害者雇用納付金の計算をClaude for Excelで検算する手順が別に扱っています。

最後に人が決めること

Claudeにできるのは、条件欄と業務の突き合わせ、指針の語に沿った文面づくり、確認目的の言語化です。決められないのは次の3つです。

  1. ある措置が過重な負担に当たるかどうか。自社の規模・財務・公的支援を知る人の判断です
  2. 配慮を「実施できる」と約束してよいか。出した約束は、応募者との手続で履行が求められます
  3. 目的に結び付くか迷う質問を残すかどうか

下書きが仕上がったら、求人票と応募書類を、この3点について担当者が読み直してから出します。厚生労働省の障害者雇用対策のページには、雇用分野における差別禁止・合理的配慮の項から、2つの指針と事例集、好事例集への入口があります。文面に迷うときは、事例集の該当区分を読んで、自社で言える形に直します。

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