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Claudeで職業紹介の業務運営要領の改正を新旧で確かめる手順

Claudeで職業紹介の業務運営要領の改正を新旧で確かめる手順

令和8年10月1日から適用の職業紹介事業の業務運営要領は、改正概要に載る箇所が2つです。新旧のPDFを差分にして、求人不受理の対象条項と自己申告書の様式をClaudeで自社の運用と突き合わせます。

令和8年10月1日から適用される職業紹介事業の業務運営要領で、改正概要に「主な改正事項」として載っているのは2か所だけです。第2の求人不受理に関する対象条項(1(2)イの(ニ)・(ホ))と、第15の様式例第7号(求人者の自己申告書)です。どちらも、職業安定法の施行令などの改正(令和8年10月)に伴う反映とされています。

ただし、概要は要領全体の差分表ではありません。全体版はPDFで約6.5MBあり、載っていない箇所の変化は新旧を並べて確かめる必要があります。この記事では、新旧のPDFを差分にし、Claudeに条項単位で読ませて、自社の求人受理の運用と自己申告書に突き合わせる手順を示します。

改正概要に載っている変更は2か所

厚生労働省の改正概要(令和8年10月1日施行版)は、表の2行で終わっています。

改正箇所場所改正の概要
第2取扱職業の範囲及び取扱職種の範囲等場所1(2)イ(ニ)、(ホ)、ロ(ロ)改正の概要求人不受理となる違反の対象条項の追加、条ズレ等の反映
第15様式例場所様式例第7号改正の概要同上

注意したいのは、第2の欄に(ニ)(ホ)とロ(ロ)が並ぶ一方、育児・介護休業法を扱う(ヘ)が挙がっていない点です。(ヘ)が変わっていないのか、概要が省いただけなのかは、概要からは判断できません。新旧の本文を並べるのは、この種の「載っていない側」を見るためです。

求人不受理の仕組みを先に押さえる

この改正が効く場面は、求人の受理です。職業紹介事業者は求人の申込みを原則すべて受理しますが、職業安定法第5条の6第1項の各号に当たる場合は受理しないことができます。要領の第2の1(1)が挙げる例は次のとおりです。

  • 申込みの内容が法令に違反するとき
  • 賃金や労働時間が通常と比べて著しく不適当なとき
  • 求人者が、政令で定める労働関係法令の違反について処分や公表を受けた者(厚生労働省令で定める場合に限る)であるとき
  • 労働条件の明示をしないとき
  • 暴力団員などに当たるとき
  • 正当な理由なく報告の求めに応じないとき

3番目の「政令で定める労働関係法令」が、今回の改正で触れられた部分に当たります。条文の中身は職業安定法の施行令第1条にあり、要領の(2)イはそれを法律別に書き下したものです。

不受理は「できる」規定で、受理しても法違反にはなりません。それでも、要領は求人者に自己申告をさせることを原則としています。自己申告を求める根拠は法第5条の6第2項で、正当な理由なく応じない求人者は同条第3項に違反し、事業者はその求人を受理しないことができます。

新版が列挙する対象条項を法律別に見る

要領の全体版から、(2)イの対象条項を法律別に拾うと次の形です。条の枝番や括弧書きは省いた要約なので、実際の突合には本文を使ってください。

法律新版の列挙(要約)
労働基準法新版の列挙(要約)第4条、第5条、第15条、第24条、第32条、第34条、第35条第1項、第36条第6項の一部、第37条、第39条、第56条以降の年少者・妊産婦の保護、第141条第3項
職業安定法新版の列挙(要約)第5条の3、第5条の4、第5条の5、第5条の6第3項、第36条、第39条、第40条、第42条の2で準用する第20条、第51条(労働者の募集を行う者に係る部分あり)
最低賃金法新版の列挙(要約)第4条第1項
労働施策総合推進法新版の列挙(要約)第31条第1項・第2項、第33条第1項・第2項、第36条第2項、第37条第2項
男女雇用機会均等法新版の列挙(要約)第5条から第7条まで、第9条、第11条、第13条、第15条、第17条、第18条第1項、第23条第2項、第24条第2項
育児・介護休業法新版の列挙(要約)第6条第1項、第9条の3第1項、第10条など(第26条まで多数)

労働施策総合推進法の欄に、第33条(カスタマーハラスメント防止に関する雇用管理上の措置と、それを理由とする不利益取扱いの禁止)が入っています。様式例第7号の注記(※4)にも、同じ第33条が「カスタマーハラスメント防止に関する雇用管理上の措置」として載っています。旧版でこの条が未収録だったのかどうかは、新版だけでは言えません。次の手順で旧版と突き合わせて確かめる部分です。

手順

新旧の突合を進める順番

  1. 1

    新旧のPDFを同じ形式のテキストにそろえる

    分割版の第2と第15だけを取り、旧版と新版をテキストに変換します。

  2. 2

    差分を機械で出す

    diff -u で行単位の差分を作り、Claudeには差分と前後の文脈だけを渡します。

  3. 3

    条項ごとの変更表にしてもらう

    追加、条番号の移動、文言だけの変更に分けて表にさせます。

  4. 4

    自社の自己申告書と運用手順に当てる

    様式例第7号の項目と、自社の書式・受理フローを並べて抜けを探します。

手順1新旧のPDFを差分にする

要領は全体版のほか、章ごとの分割版でも配られています。第2は618KB、第15は520KBです。改正概要が挙げる2か所は、この2つの章に収まります。

Claude Codeが使えるなら、手元のPDFをテキストにして差分を出す作業は、ターミナルで次のように済みます。ここでは旧版を old/、新版を new/ に置いた想定です。

for n in dai2 dai15; do
  pdftotext -layout old/$n.pdf old/$n.txt
  pdftotext -layout new/$n.pdf new/$n.txt
  diff -u old/$n.txt new/$n.txt > $n.diff
done
wc -l dai2.diff dai15.diff

pdftotext はpopplerに含まれるコマンドです(macOSならHomebrewで入ります)。新版の全体版を実際にテキスト化すると、次のような癖が見えます。

  • 各ページの末尾に - 9 - のようなページ番号の行が入る
  • 条文の途中で改行が入り、(イ)(ロ)などの半角カナの記号が混ざる
  • 表は列が崩れ、様式例第7号のチェックシートも段組みが乱れる

ページ番号と改行位置が違うだけで、diffは「変更あり」と判定します。Claudeに渡す前に、ページ番号の行を除くか、後述の指示文で「改行位置とページ番号の違いは無視する」と明記しておくと、ノイズで本物の変更が埋もれるのを防げます。

Claude.aiで作業する場合は、diffを自分で出さず、旧版と新版の第2をそれぞれアップロードして比較させる方法もあります。ただ、差分を機械で先に出しておくほうが、Claudeが読み落とした箇所を後から検算しやすくなります。

手順2 Claudeに条項単位で差分を読ませる

差分をそのまま「要約して」と頼むと、改行の違いまで拾った雑な要約になりがちです。出力の形を表に固定し、原文の引用を必須にします。Projectsを使うなら、Project instructionsに次の指示を置くと、毎回の作業で再利用できます。

あなたは職業紹介事業者の法務担当を補助します。
添付は業務運営要領の旧版と新版の差分(diff -u)です。
 
1. 変更を条項単位の表にしてください。
   列: 場所(章・項・号) / 旧の記述 / 新の記述 / 種別 / 差分の行番号
2. 種別は「条項の追加」「条項の削除」「条番号の移動」「文言のみの変更」から選ぶ。
3. 旧と新の記述は、差分から原文のまま引用する。要約や言い換えをしない。
4. 改行位置、ページ番号、半角カナと全角カナの違いだけの差分は表に含めない。
5. 判断できないものは「判断保留」とし、理由を書く。条文の意味は推測しない。

返ってきた表は、そのまま信じず、差分の行番号を使って数件を自分で開いて照合します。特に「条番号の移動」と判定されたものは、新旧の条番号が1対1に対応しているかを見ます。概要が「条ズレ等」と書いている箇所はここに入るはずです。

出力例として想定されるのは、たとえば次のような形です(形式の例で、実際の変更内容ではありません)。

場所旧の記述新の記述種別行
第2 1(2)イ(ニ)旧の記述(旧版の原文)新の記述(新版の原文)種別条項の追加行L112

差分が空に近いのに、概要が変更ありと言っている場合は、PDF側のテキスト化が失敗している疑いがあります。その場合はClaudeに再読させる前に、変換結果のほうを見直します。

手順3自社の自己申告書を様式例第7号と突き合わせる

求人者に出してもらう自己申告書は、要領の様式例第7号が参考様式です。自社独自の書式を使っている事業者は、新版の構成に自社の項目が追いついているかを確認します。

新版の様式例第7号は、チェックシートが4つの区分でできています。

区分内容不受理の対象か
1内容労働基準法・最低賃金法関係(是正勧告、企業名公表、送検・公表など4項目)不受理の対象か対象
2内容職業安定法・労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法・育児・介護休業法関係(公表後の未是正、再違反の2項目)不受理の対象か対象
3内容暴力団員に当たる、役員に暴力団員がいる、暴力団員が事業活動を支配している不受理の対象か対象
4内容同盟罷業(ストライキ)や作業所閉鎖(ロックアウト)が行われている事業所不受理の対象か対象ではない(ただし職業紹介は行えない)

区分4は注記に「求人不受理のためのチェック項目ではありません」とあるので、不受理の記録欄と混ぜない運用が必要です。自社の書式で区分4が不受理の一覧に入っていないか、ここで見ます。

自社の書式と要領の項目を突き合わせるときは、書式のテキストをClaudeに渡して、次のように頼みます。

添付Aは当社の求人者向け自己申告書、添付Bは要領の様式例第7号(新版)です。
Bのチェック項目ごとに、Aに対応する項目があるかを表にしてください。
列: Bの区分と項目 / Aの該当箇所 / 対応(あり・一部・なし) / 根拠の引用
Bの注記(※1〜※6)に載っている条項が、Aの注記に漏れていないかも別表にしてください。
Aにだけある項目は「Bに無い項目」として最後に挙げてください。

注記(※4)のカスタマーハラスメントの行のように、新版にあって自社の書式に無い行が見つかれば、改訂の候補です。逆に、自社の独自項目がBに無いだけなら、運用上の追加項目として残して構いません。

人が決める部分と、Claudeに任せない部分

差分と対応表までは、Claudeの得意な作業です。次の三つは人が決めます。

  1. 条ズレの正否: 要領が書き下した条番号が現行法令と一致しているかは、法令の本文で見ます。e-Govの法令APIから条文を取る方法はe-Gov法令APIとClaude Codeで法改正の施行日と条文差分を毎週追うにまとまっています。
  2. 自社の受理方針の変更: 要領は受理しない場合を「できる」と整理しつつ、不受理事由に当たると知ったときは受理しないことが望ましいとしています。自社の基準をどこまで厳しくするかは、事業判断です。
  3. 事実と異なる申告への対応: 求人者の申告が事実と異なるおそれがあるときは、求人者に再度確認し、それでも疑わしければ都道府県労働局へ情報提供します。このとき申告内容の写しを添える運用になっています。

落とし穴

改正概要に載らない変更を見落とす

概要は「主な改正事項」を載せた表で、全文の差分ではありません。本文で小さな文言の違いがあっても、概要に出るとは限らないので、全体版の差分を一度は通しで出します。差分が膨大になる場合は、第2の1と第15に絞って比べ、それ以外の章は日付や条番号のずれがないかの流し見で足ります。

契約書側の確認(紹介手数料や返戻金)は別の話で、人材紹介契約書の返戻金・専属条項をClaudeで点検する手順が求人者・利用企業の側から扱っています。法令改正を社内規程に反映する差分作りの型は育児・介護休業法の改正を就業規則に反映する差分をClaudeで洗い出すも同じ構造です。新旧対照表そのものの組み立てを見たいときは、条例の改め文と新旧対照表を作る手順が参考になります。

社内に残す記録の形

差分の結果は、次回の改正時にも使えるよう、同じ形で残しておくと効率が上がります。

  • 要領の版(適用日)と取得したPDFのファイル名
  • 概要に載っていた変更と、差分から追加で見つかった変更を分けた一覧
  • 自己申告書を改訂した日と、旧書式の保存場所
  • 判断保留にした項目と、誰がいつ決めたか

Projectsに旧版・新版の差分と上の指示文を置いておけば、次の改正でも同じ表の形で再現できます。

まとめ

今回の改正で改正概要に出ている箇所は、第2の求人不受理の対象条項と、様式例第7号の2つです。ただし全体版の差分を取ると、概要が挙げない箇所の変化も見えます。Claudeには差分を条項単位の表にさせ、法令本文との照合と受理方針の決定は人が行う分担が安定します。まずは自社の自己申告書に、新版のカスタマーハラスメントの行が入っているかを見るのが最短です。

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