ClaudeとSumsubを連携する方法 — 本人確認の調査を会話で任せる
SumsubのコネクタをClaudeにつなぐ手順と、Use MCP server権限・読み取りと書き込みのツールの分け方、Claude Codeで書き込みを止める設定例をまとめます。
Sumsub Claude連携でできること
Sumsubは、本人確認(KYC)や法人確認(KYB)、不正対策、取引モニタリングを提供するサービスです。そのMCPサーバーをClaudeにつなぐと、申請者の状況、検証レベル、質問票、取引、AML(マネーロンダリング対策)のケースといった情報を、Dashboardを開かずに会話から引けます。
Claudeのコネクタディレクトリでは「Anthropic verified」と表示され、カテゴリは金融サービスです。説明文は「Verify identities, businesses, and prevent fraud」。接続先のURLは https://api.sumsub.com/mcp/ で、サインインが必須です。
ディレクトリの紹介文が挙げる使い方は次のとおりです。
- 申請者を作り、確認用のリンクを発行する
- 個人・法人・取引・AMLケース・不正ネットワークのデータを引く
- リスクの高い順にレビュー待ちを仕分ける
- デューデリジェンスの資料をまとめる
- 不審な取引を調べ、規制当局向けの報告書を下書きする
注意したいのは、このコネクタが読み取り専用ではない点です。申請者を作成するツールと、確認リンクを発行するツールが含まれています。同じ金融系でも、決済の調査を読み取り専用で任せるCheckout.comのコネクタとは性格が違います。後半で、書き込み側を絞る方法を扱います。
使い始める前の前提と接続先
Sumsub側で必要なのは、有効なアカウントと、ロールに付く「Use MCP server」権限です。接続先とサインインの要件も合わせて表にします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アカウント | 内容有効なSumsubアカウント |
| ロール | 内容自分のロールで「Use MCP server」権限が有効 |
| 接続先 | 内容https://api.sumsub.com/mcp/ |
| サインイン | 内容必須 |
エージェントが実行できる操作は、Sumsubで自分に付いているロールの権限で決まります。MCPの接続口を通したからといって、ロールを超える操作ができるわけではありません。
つまり、接続できない場合の第一の疑いどころは「Use MCP server」権限です。コネクタを追加しても認証の段階で止まるなら、Sumsubの管理者に自分のロールの設定を見てもらいます。権限の有無はClaude側からは変えられません。
claude.aiとClaude Desktopから接続する
手順は短く、Sumsubのコネクタのページを開いて「Connect」を押すだけです。URLを手で入力する必要はありません。押すとSumsubのサインインに進むので、自分のアカウントで認証します。
個人プランなら、これで使い始められます。TeamとEnterpriseのプランでは、先に組織側の有効化が要ります。
Team・Enterpriseでの有効化
- 1
OwnerがSumsubを組織に追加する
OwnerまたはPrimary Ownerが、Organization settingsのConnectorsを開きます。ページ下部の「Browse connectors」から一覧でSumsubを選び、「Add to your team」を押します。
- 2
各メンバーが自分で認証する
追加しただけでは、誰にもアクセスは付きません。メンバーは自分のSumsubアカウントでサインインして初めて使えます。Sumsubの操作は各自のロールに従うので、ここで「Use MCP server」権限の有無が効いてきます。
Ownerは、読み取りだけ許して書き込みを止めるといった制限を、組織全体にかけることもできます。設定はCustomizeのConnectorsから選びます。メンバーが個別に覆すことはできません。Claude Codeを使わない部署で書き込み系を止めたいときは、この組織側の制限が手がかりになります。
コネクタ全般の仕組みはClaudeコネクタの解説にまとまっています。
Claude Codeから接続する
Claude Codeでは、リモートMCPサーバーとして1行で追加します。
claude mcp add --transport http sumsub https://api.sumsub.com/mcp/追加したらClaude Codeを起動し、セッション内で /mcp を実行します。一覧から sumsub を選び、案内に沿って認証します。サーバー名の sumsub は、あとで権限ルールを書くときの識別子にもなります。認証のやり直しや解除はMCPのログインとログアウトで扱っています。
18のツールを読み取りと書き込みに分ける
ディレクトリには18個のツールが載っています。Claudeが質問に応じて選ぶので、全部を覚える必要はありません。ただ、どこまでが「見るだけ」でどこからが「状態を変える」かを知っておくと、権限設計が楽になります。
Sumsubのドキュメントの依頼例で用途が説明されているツールを中心に、分けると次のようになります。
ツールで届く範囲
状態を変えるもの
applicant_create_individual(個人の申請者を作る)、applicant_create_company(法人の申請者を作る)、verification_link_create(確認リンクを発行する)。依頼例には、個人の申請者の作成と確認リンクの生成が登場します。法人の申請者を作るツールは、依頼例に出てきません。申請者を調べるもの
applicant_get(申請者のデータ)、applicant_timeline_get(申請者のイベント履歴)、applicant_status_get、applicant_list。最後の2つは、MCPサーバーのページに用途の説明がありません。設定を調べるもの
verification_level_listとverification_level_get(検証レベル)、questionnaire_listとquestionnaire_get(質問票)。検証レベルは、依頼例で「どんなレベルがあり、何が違うか」を尋ねる用途に使われています。取引とリスクを調べるもの
transaction_listとtransaction_get(取引)、applicant_aml_case_get(AMLケース)、applicant_fraud_network_list(不正ネットワーク)、vasp_list。取引の2つは、監視ルールに引っかかった取引の絞り込みに使われます。
残りの how_to_sumsub と feedback は性格が違います。feedback は、足りない機能をSumsubチームへ送るための組み込みツールです。「バルクでの申請者インポートに対応してほしい」と頼む例が載っています。how_to_sumsub には説明がありません。
名前が _get や _list で終わるツールは、字面からは参照系に見えます。ただ、applicant_aml_case_get や vasp_list が何を返し、どの範囲のデータに届くかは、MCPサーバーのページに詳しい記載がありません。接続後に実際の応答で確かめてから運用に載せるのが安全です。
コンプライアンス担当の依頼例と、ツールの対応
依頼の文面とClaudeが呼び出すツールを組にした例が、4つの場面で載っています。
| 場面 | 依頼の例 | 使われるツール |
|---|---|---|
| 設定の確認 | 依頼の例設定済みの検証レベルと違いを尋ねる | 使われるツールverification_level_list、verification_level_get |
| 申請者の状況確認 | 依頼の例申請者の現在の状態と、直近のレビューの引き金を尋ねる | 使われるツールapplicant_get、applicant_timeline_get、applicant_moderation_state_list |
| 取引監視の仕分け | 依頼の例直近7日で監視ルールに該当した取引を出す | 使われるツールtransaction_list、transaction_get |
| オンボーディング | 依頼の例標準KYCレベルで申請者を作り、確認リンクを送る | 使われるツールapplicant_create_individual、verification_link_create |
applicant_moderation_state_list は、この依頼例の中にだけ登場します。ディレクトリのツール一覧には載っていないため、接続後に実際に使えるかは一覧で確かめてください。
頼み方のコツは、申請者IDや期間を文面に含めることです。公式の依頼例も「申請者A12345」「直近7日」のように、対象と範囲を指定しています。
オンボーディングの依頼は書き込みを伴います。氏名や検証レベルを取り違えて申請者を作ると、Dashboard側に不要な申請者が残ります。この場面だけは、Claudeに実行させる前に、作成内容を文章で確認させる運用が向いています。
Claude Codeで書き込み系ツールを止める
Claude Codeの権限ルールでは、MCPツールを mcp__<サーバー名>__<ツール名> で指定できます。サーバーの全ツールをまとめて指す場合は mcp__<サーバー名>__* です。参照系だけを日常的に使いたいなら、書き込み側を deny に入れておく方法があります。
次は、プロジェクトの .claude/settings.json に置く設定例です。サーバー名を sumsub で追加した場合のルールです。
{
"permissions": {
"deny": [
"mcp__sumsub__applicant_create_individual",
"mcp__sumsub__applicant_create_company",
"mcp__sumsub__verification_link_create",
"mcp__sumsub__feedback"
]
}
}feedback も含めたのは、外部のSumsubチームへ文面を送るツールだからです。足りない機能を伝える窓口として説明されているツールです。調査用のセッションでは、使わせない設定にしても困りません。
申請者の作成を許す場合は、deny ではなく ask に移します。実行のたびに確認が出るので、氏名とレベルを目で見てから承認できます。ルールの書式や優先順位はClaude Codeの権限コマンドに詳しくあります。
もう1つ、CLAUDE.md にひと言入れておくと効きます。
Sumsubの申請者データは調査目的でのみ参照する。
申請者の作成・確認リンクの発行は、依頼者が明示したときだけ行う。
回答に氏名・書類番号・住所をそのまま転記しない。必要なら申請者IDで示す。最後の1行は、本人確認の領域ならではの配慮です。申請者の個人情報はコネクタ経由でClaudeの会話に取り込まれます。回答や作業ログに個人情報を残さない書き方を、最初に決めておきます。
ロールごとの見え方は、実際に試して確かめる
操作は自分のロールの権限に従います。一方で、どのロールにどのツールが許されるかの対応表は、MCPサーバーのページにもディレクトリのページにも載っていません。
そこで、社内で広げる前に次の順で試します。
導入前の確認
- 1
権限の弱いロールで接続する
閲覧中心のロールのアカウントで接続し、
applicant_getが通るかを見ます。 - 2
書き込み系を依頼して拒否されるか見る
申請者の作成を頼み、権限エラーで止まるかを確かめます。
- 3
強いロールとの差を記録する
同じ依頼を管理者ロールで行い、結果の差を社内の手順書に残します。
Sumsub側のロールで止められるなら、Claude側の deny と二重の防御になります。どちらか一方に頼らず、両方で絞る構成が現実的です。
Sumsub連携で見落としやすい点
MCPサーバーのページに載っているのは、前提条件と接続手順と依頼例です。次の2点は載っていないので、導入前に確かめます。
- 取得できるデータの上限や、一度に返る件数の制限: 接続後に件数の多い一覧を依頼して、応答で確かめます
- 利用できるSumsubのプランの条件: Sumsubの担当窓口か、Dashboardのロール設定で確認します
接続できたら、最初の依頼は検証レベルの一覧のような設定の参照にします。個人情報を含まないので、接続と権限の確認に向いています。
まとめ
Sumsubのコネクタは、本人確認の状況や取引の調査を会話に持ち込める一方、申請者の作成と確認リンクの発行という書き込みも含みます。権限は「Use MCP server」と、Sumsubのロールが決めます。
Claude Codeなら、書き込み系の4つを deny か ask に分け、個人情報を回答に転記しない決まりを CLAUDE.md に置く構成から始められます。参照だけで使い始め、必要になった時点で書き込みを開ける順番です。