ClaudeとGleanの比較 — 企業内検索とConnectorsの使い分け
Claude ConnectorsとGleanを、常時インデックスの有無・権限同期・エージェント機能の作り込みで比較し、使い分けの基準をまとめます。
GleanとClaude Connectorsは、同じ「社内の情報にAIでたどり着く」話に見えて、データの持ち方と権限の効き方が違います。この記事では、その違いを両社の公式ページと公式ドキュメントから突き合わせ、Gleanを導入済みの組織がClaudeからGleanを呼ぶ場合の設定の流れまで扱います。
Gleanは何をする製品か
Gleanは、社内に散らばったドキュメント・チャット・コードリポジトリを横断して検索できるようにする企業内検索AIです。トップページは自社を「Enterprise AI that understands your company」と説明しています。認証面では、ISO 42001・HIPAA・TX-RAMP Level 2・SOC 2 Type II・ISO 27001・GDPRへの対応を掲げています。
コネクタのページには、権限の扱いについて次の記述があります。
"All data permissions are inherited and strictly enforced, so users only see what they're allowed to. … Data updates as soon as it changes in the source application — including permissioning rules, which are reflected immediately in results."
つまりGleanは、各接続先の権限をそのまま引き継ぎます。接続先はSlack、Google Drive、Jira、Confluence、SharePoint、GitHubなどです。元のシステムで権限が変われば、Gleanの検索結果にも即座に反映されます。
この上にGleanのAIエージェント機能があります。AIエージェントのページの説明は"reason through tasks, plan next steps, and take action using enterprise context"です。タスクを推論して次の手を計画し、企業の文脈を使って実行するエージェントを組み立てられます。
Claude Connectorsは何をする仕組みか
Claude Connectorsは、Claudeが会話の中で外部のツールやデータソースにつながるための接続機能です。公式ページはこう説明しています。
"Choose from a variety of tools from trusted partners, built for Model Context Protocol."
ディレクトリには各サービスの提供元が作ったコネクタが並び、GleanコネクタもGlean製です。接続時は画面の案内に沿って自分のアカウントで認証します。接続先のサービスは、自社の基盤と自社の規約のもとでデータを処理します。Gleanのように常時インデックスを持つ基盤とは違い、会話の中でツール呼び出しが発生したときに、接続先へ問い合わせが飛ぶ仕組みです。
検索の作り方 — 事前に集めるか、聞きに行くか
両者の最大の違いはデータの置き場所にあります。Gleanは275以上の接続先を継続的に同期し、自社専用の検索インデックスを基盤側に持ちます。Claude Connectorsは、Claude自身が恒久的な自社インデックスを持つわけではなく、接続済みのコネクタへツール呼び出しのたびに問い合わせます。
同じ質問に答えるときの経路
Glean
接続先の内容を継続的に同期し、Glean側の検索インデックスを引きます。Slackの新しい投稿やDriveの新しいファイルも、利用者が操作しなくても検索対象に入ります。
Claude Connectors
会話中にコネクタのツールが呼ばれた時点で、接続先へリクエストを送って結果を受け取ります。事前のインデックス構築は要りません。
Claude側にも、Team・Enterpriseプラン向けに全社の情報を引く窓口があります。Ask Your Orgという専用プロジェクトで、Ownerが初期設定します。DocumentsとChatのコネクタが必須で、システムプロンプトはAnthropicが管理します。
仕組みはコネクタへの問い合わせであり、Gleanのような常時インデックスではありません。「全社検索の窓口がある」かどうかではなく、「インデックスを持つかどうか」が分かれ目です。
この違いは、運用の入口に出ます。全社の情報を横断し、いつでも同じ検索窓口で引ける状態を保ちたいなら、同期とインデックスを担う専用基盤のGleanが向いています。必要なときに特定のツールだけを覗きたいなら、都度接続のConnectorsで足ります。
権限は2つの層で効く — Claude側で何が制御できるか
Gleanは「元システムの権限を継承し、変更を即座に反映する」ことを検索基盤の中核機能にしています。権限管理をGlean側に一元化し、検索結果の見え方を最新に保つ発想です。
Claude側の権限は、サポート記事によると二重に効きます。1つ目は接続先サービスでの本人の権限です。コネクタは各人の権限を引き継ぎ、元のシステムで見られないファイルやチャンネルにはClaudeからも届きません。ただし共有の認証情報を使うカスタムコネクタは、その認証情報が届く範囲すべてに触れます。
2つ目は組織が決めるツール単位の許可です。Team・Enterpriseプランでは、Ownerがコネクタ単位で「読み取りは許可し、書き込みは止める」といった制限を、組織全体に一律でかけられます。個々のユーザーは上書きできません。この制限は元のシステムの権限を超えて広げることはなく、狭めるだけです。
ツール権限の3段階(Claude側)
Always allow
承認なしで呼び出せる設定です。
Needs approval
呼び出しのたびに人の承認が要る設定です。Claude Codeでは、
bypassPermissionsでも許可ルールが一致していても承認を求めます。Blocked
そのツールを使わせない設定です。Claude Codeはツール一覧からそのツールを外すため、Claudeには見えません。
承認を求める設定には、実行面ごとの差があります。Claude Codeは起動時に組織の設定を読み、ローカルで強制します。承認の画面は、acceptEdits・auto・bypassPermissions のどの権限モードでも出ます。「今後も許可」の選択肢は出ません。dontAsk モードは承認を求めない設計のため、この設定のツールは確認を飛ばして実行されるのではなく、拒否されます。
一方、デスクトップアプリのローカル・SSHセッションでは、承認を求める設定がClaude Codeに届きません。その場合は、セッション通常の権限ルールがそのツールに適用されます。ブロックの設定は届くため、「止める」はどの面でも同じで、「毎回聞く」だけが面によって挙動が変わります。Claude Codeが自分でコネクタを取得するセッションでは、/mcp を実行すると、コネクタごとにどの設定が効いているかを確認できます。
この仕組みは、Agent SDKの権限評価でも同じです。
"claude.ai connector tools your organization has set to
ask… Every call falls through to the callback, even inbypassPermissionsmode and even when an allow rule matches."
SDK側でも、組織が承認必須にしたツールは許可ルールを素通りしないことになります。コネクタの権限設定でつまずきやすい点はClaude Connectorsの権限設定でよくある失敗と対策にまとめています。
ClaudeからGleanを呼び出す — 競合ではなく併用の選択肢
ディレクトリのGleanコネクタのページは、次のように紹介しています。Glean自身が作ったコネクタで、「Anthropic verified」の表示があり、接続にはサインインが必要です。
"Bring enterprise context to Claude and your AI tools with Glean's Remote MCP server. Search across all your organization's connected data sources—documents, wikis, code repositories, and more. Find employees by name, role, or expertise. Read specific documents, access Gmail and Outlook emails, and lookup meeting details. … Make Glean your AI assistant's enterprise memory…"
ページに載っているツールは8つです。検索系が search・code_search・employee_search・chat、メール系が gmail_search・outlook_search、残りが meeting_lookup・read_document です。名前から見る限り参照系が中心ですが、ページには権限の区分(読み取りのみか、書き込みを含むか)の記載がありません。書き込み可否は、組織設定のツール権限の一覧で確かめるのが確実です。
GleanがClaudeのコネクタとして接続される場合、Claudeの会話の中でGleanの検索や社員検索、メール検索、会議の文脈参照を呼び出せます。Claude側の説明どおり、コネクタは接続先での本人の権限を引き継ぎます。Gleanが権限を同期して作ったインデックスの上に、Claudeが会話の入口として乗る形になると考えられます。
組織で使えるようにするまでの流れは、サポート記事では次の順です。
Team・Enterpriseで追加コネクタを使えるようにする流れ
- 1
Owner・Primary Ownerが組織で有効にする
「Organization settings > Connectors」で有効にします。有効にしただけでは、誰にも接続権限は付与されません。
- 2
各メンバーが自分の認証を通す
共有の認証情報を使うコネクタを除き、メンバーは初回利用時に、接続先のサービスで自分のアカウントの認証をします。GleanコネクタのページにもSign-in Requiredの表示があります。
- 3
ツール単位の許可を決める
ツールを読み取り系・書き込み/削除系などの種別ごとに、Always allow・Needs approval・Blockedから選びます。種別単位でも、個別のツール単位でも設定できます。
Team・Enterpriseプランでは、Enterprise-managed auth(ベータ)も使えます。管理者がコネクタを組織として一度認可しておくと、メンバーは初回ログイン時に自動でアクセスを引き継ぎます。この場合、Step 2の個別認証は不要になります。
なお、コネクタが使えるのはプライベートなプロジェクトの中だけです。同期したコンテンツを含むチャットは共有できません。
CoworkからGleanを含む複数の接続先を扱う場合の権限設計は、Claude CoworkのConnectors一覧で扱っています。Coworkがコネクタとサンドボックスをどう使い分けて情報を取りにいくかは、Claude Coworkのデータ取得の仕組みにあります。
エージェント機能を比較する
Glean Agentsは、Gleanが持つ企業文脈(検索インデックスと権限情報)を土台にエージェントを組む機能です。AIエージェントのページは"Deploy agents confidently with built-in security, permissions-aware governance, and real-time oversight"と説明しています。コネクタのページによると、接続先は"native and MCP-based"の両方を合わせて275以上です。Gleanも一部でMCPを使い、接続方式はClaudeと共通の技術に乗っています。
Glean側にも、実行系の機能と承認の制御があります。コネクタのページには"Describe the task and Glean gets it done."という説明があります。さらに、エージェントにできることとできないことの境界を設定し、実行前に承認を求める制御(human-in-the-loop)を置けるとしています。実行前の承認はClaudeだけの機能ではありません。
Claude側でエージェントを組む選択肢は3つです。会話内で連続してタスクを進めるClaude.ai・Claude Code、業務を横断するCowork、開発者が権限ルールを宣言的に組めるAgent SDKです。Gleanが自社の検索インデックスを出発点にするのに対し、Claudeは会話やコードベースでの作業が出発点で、必要な場面でコネクタへ問い合わせます。Claude Connectorsの種類と追加方法はClaude Connectorsとは — 種類・一覧と追加方法にまとめています。
自分の状況ならどちらか — 切り分けの早見表
条件ごとに分けると、選び方は次のとおりです。
| あなたの状況 | 向くもの | 判断の根拠 |
|---|---|---|
| 全社の検索窓口を1つに統一したい | 向くものGlean | 判断の根拠275以上の接続先を継続同期し、権限を引き継ぐ基盤として設計されている |
| 会話の中で、特定のツールの情報だけを引きたい | 向くものClaude Connectors | 判断の根拠都度接続で始められ、インデックス基盤を持たなくてよい |
| Gleanを導入済みで、Claudeの会話にも社内文脈を渡したい | 向くもの併用 | 判断の根拠公式ディレクトリのGleanコネクタから呼び出せる |
| 接続先への書き込みを組織で止めたい | 向くものClaude側のツール権限 | 判断の根拠OwnerがBlockedを設定すると、Claude Codeではツール一覧から外れる |
| 承認を毎回求める運用をスクリプトでも守らせたい | 向くものClaude側のNeeds approval | 判断の根拠Agent SDKでもコールバックに戻り、dontAsk なら拒否される |
併用する場合の注意は、権限の線引きを2か所で持つことです。接続先が増えるほど、どちらが何を担うかを先に決めておく必要があります。
今回のページから確かめられなかった点もあります。Gleanの料金、導入に要する期間、検索結果の精度は、両社の公式ページでは比較できる形で公開されていません。Claudeのコネクタ側でも、Gleanコネクタに固有の制限(呼び出し回数など)はページに記載がありませんでした。導入前の検証では、この点を実際の環境で試すことになります。
まとめ
選択の分かれ目は、社内データのインデックスを自社の基盤に持つかどうかです。Gleanを入れている組織では、見える範囲はGlean、呼べるツールはClaude側と、権限を2か所で管理することになります。