Coworkが手段を選ぶ優先順位 — Connectors→ブラウザ→画面操作
Coworkはタスクを進めるとき、Connectors・ブラウザ・画面操作(Computer Use)の順で最も速い手段を選びます。3段階の判断基準と、それぞれの中身をまとめます。
Coworkはタスクを渡されたとき、手段を自由に選んでいるわけではありません。「Claudeは最も精密なツールを最初に使う」という方針のもと、Connectors→ブラウザ→画面操作という3段階の優先順位でタスクを進めます。上位の手段が使えるときは、下位の手段(特にComputer Useによる画面操作)は使われません。
Coworkが手段を選ぶ3段階の優先順位
示される順序は次の3段階です。
- Connectors: Gmail・Google Drive・Slackのような接続先が用意されていれば、Claudeはまずこれを使います。最も速く、最も信頼できる経路だと明記されています
- ブラウザ: 対応するConnectorが無いときは、Claude Desktopアプリに内蔵されたブラウザか、使い慣れたChromeブラウザ上で動くClaude in Chrome拡張機能でタスクを進めます
- 画面操作(Computer Use): Computer Useを使い、クリック・入力・デスクトップアプリの操作まで含めて画面を直接操作します
この順序には理由があります。Slack連携経由でメッセージを取得するのは数秒で終わりますが、同じ作業を画面操作でSlackを操作させると、時間がかかるうえに失敗しやすくなります。Claudeは常にこの「最も速い方法」を優先します。
なぜConnectorsが最優先なのか
Connectorsが最優先である理由は速度と信頼性です。ConnectorはAPI相当の構造化された経路でサービスとやり取りするため、画面のレイアウト変更や読み込み待ちに影響されません。Gmail・Google Drive・Slackのように対応するConnectorがあれば、Claudeは他の手段を検討する前にそれを使います。
裏を返すと、Connectorが存在しないサービスや、社内の独自ダッシュボードのような接続先が無いツールでは、この優先順位の1段目自体が成立しません。その場合にどちらの手段へ進むかを決めるのが、続く2段階です。
内蔵ブラウザとClaude in Chromeの使い分け
Connectorが無く、かつタスクがWebサイト上で完結する場合、Coworkはブラウザを使います。ここには2つの選択肢があります。
- 内蔵ブラウザ: Claude Desktopアプリのサイドパネル内で動く、Cowork専用のブラウザです。インストール不要で、利用者本人のブラウザのタブやログイン状態とは完全に分離されています。初回起動時に「Chrome・Edge・Firefox(macOS)/ Firefox(Windows・Linuxはベータ)からCookieをインポートする」選択肢が出ますが、銀行・メール・SSOサイトは既定でインポート対象から外れています。Safariからのインポートには対応していません。都度サインインすることもでき、一度サインインしたサイトはCoworkセッションをまたいで記憶されます。裏を返すと、内蔵ブラウザ内でサインインしたサイトはそのパソコン上の以後のCoworkセッションでもClaudeから使える状態になるため、金銭や個人情報を扱うサイトはどこにサインインするかを意識しておく価値があります
- Claude in Chrome: 利用者自身のChromeブラウザ上で、拡張機能を通じて動作します。今すでに開いているページ、すでにログイン済みのアカウントをそのまま使えます
どちらを使うかは「Settings > Cowork」の「Preferred browser」で切り替えられます。すでにClaude in Chrome拡張機能を使っている利用者は、それが既定のまま維持されます。拡張機能を持っていない利用者、あるいは新しくブラウザ機能を使い始める利用者には、内蔵ブラウザが使われます。指定した方が使えない場合、Claudeは「一般的にブラウザを使って」と頼まれていれば黙ってもう一方に切り替え、「このブラウザで」と名指しされていれば、切り替える前に一言確認を挟みます。
最後の手段としての画面操作(Computer Use)
ConnectorもWebブラウザでの操作も使えないとき、Coworkは最後の手段としてComputer Useに進みます。ローカルアプリの操作、Connector非対応の社内ダッシュボード、開発中のアプリをシミュレーターで確認する作業などがこれに当たります。
Computer Useの重要な特徴は、画面操作とClaudeの間にサンドボックスが存在しないことです。公式ヘルプは「Computer use has no sandbox between Claude and your applications」と明記しています。Claudeはマウス・キーボードを使って利用者のデスクトップ・アプリ・ブラウザを直接操作します。動作にはClaude Desktopアプリが起動していて、パソコンがスリープしていないことが前提です。
想定されている場面は、ローカルファイルと接続済みツールを組み合わせた競合分析レポートの作成、開発中のアプリをスマートフォンシミュレーターで動かしてUXの問題を見つける作業、複数の情報源のデータをスプレッドシートに整形して共有フォルダへ保存する作業、Connector非対応の社内ダッシュボードのような独自ツールの操作です。いずれも「Connectorが無い」「ブラウザだけでは完結しない」という、優先順位の1段目・2段目が使えない場面に集中しています。
安全面では、投資取引・暗号資産関連のアプリは既定でブロック対象になっており、Claudeはアプリごとに利用者の許可を求めてから操作します。操作中はプロンプトインジェクションの兆候が検査され、新しいアプリを使う前にも許可を求める仕組みがあり、利用者はいつでも操作を中断できます。これは現状ベータ段階の制約で、複雑な多段階の作業は一度で成功せず、やり直しが必要になることもあると注記されています。
この画面操作の仕組みはCoworkだけのものではなく、Claude Desktopアプリ内のClaude Codeでも同じComputer Use機能が共有されています。Computer Useは現在Pro・Maxプランのみのベータ機能です。Team・Enterpriseプランでは、Cowork自体は通常どおり使えても、Computer Useだけは対象外です。プラン別の対応状況や、Team・Enterpriseで今できる代替手段はCowork Computer Use対応プランで詳しく扱っています。安全面では、アプリごとの許可確認・危険なアプリの既定ブロック・ブロックリストへの追加という仕組みが用意されており、詳細はCoworkのアプリブロックリスト設定にまとめています。
3段階の違いを一覧で確認する
| 段階 | 速度・信頼性 | セットアップ | 対応プラン |
|---|---|---|---|
| Connectors | 速度・信頼性最速・最も安定 | セットアップサービスごとの認証のみ | 対応プランプラン制限の明記なし(サービス次第) |
| ブラウザ(内蔵/Claude in Chrome) | 速度・信頼性中程度、ページ読み込みに依存 | セットアップ内蔵は不要、Claude in Chromeは拡張機能の導入が必要 | 対応プランPro・Max・Team、Enterpriseは管理者が有効化した範囲 |
| 画面操作(Computer Use) | 速度・信頼性最も遅く、失敗もしやすい | セットアップClaude Desktopを起動し続ける必要あり | 対応プランPro・Maxのみ(ベータ) |
この設計をどう見るか
3段階の優先順位は、単なる技術的な制約の一覧ではありません。Coworkが自律的に動くうえでの安全弁です。画面操作は利用者のデスクトップに対して最も強い権限を必要とし、Claude自身も「サンドボックスが無い」と明言している以上、事故が起きたときの影響範囲も最大になります。速度を理由に画面操作を最後に回す設計は、結果として最もリスクの高い手段を必要な場面だけに絞り込む効果も持っています。
新しく追加された内蔵ブラウザが、Connectorと画面操作の中間に丁寧に挟み込まれている点も示唆的です。Web操作はConnectorほど構造化されていない一方、画面操作ほど広い権限も必要としません。優先順位を3段から実質4段(Connectors→内蔵ブラウザ/Claude in Chrome→画面操作)に増やす方向で機能が拡張されているのは、Coworkが「できるだけ狭い権限で仕事を終わらせる」方向に設計を寄せ続けている表れと見てよさそうです。
まとめ
Coworkは、Connectors→ブラウザ→画面操作という順序で、常に最も速く確実な手段を優先します。Connectorが使えるサービスはConnector経由、Webページで完結する作業はブラウザ(内蔵ブラウザかClaude in Chrome)、それ以外のローカルアプリ操作だけがComputer Useに回ります。Computer Useはサンドボックスの無い直接操作で、Pro・Maxプランのベータという制約もあります。Coworkの外部接続全体の設計はClaude CoworkのConnectors一覧にまとめています。