GeminiのGemsがスキルに移行する — ClaudeのProjects・Skillsとの違い
Geminiの個人アカウントでは2026年11月にGemsが終了し、スキルへ自動で移ります。移行後の姿と、ClaudeのProjects・Skillsとの役割の違い、Gemsを手動で移す手順をまとめます。
Geminiの個人アカウントでは、2026年11月にGemsが終了し、スキル(skills)へ自動で移行します。Gemsに指示とファイルを預けてきた人にとっては、道具の呼び名が変わるだけでなく、使い方の前提も変わる出来事です。
ClaudeにはGemsに近い仕組みが2つあります。Projects(プロジェクト)とSkills(スキル)です。Gemsのスキル化は、この2つの役割の違いを見直すきっかけにもなります。Projectsは文脈を置く場所、Skillsは手順を持ち歩く仕組みで、役割が分かれています。
Gemsはいつ、どの順で終わるか
Geminiのヘルプでは、アカウントの種類ごとに終了時期が分かれています。
| アカウントの種類 | Gemsが終了する時期 |
|---|---|
| 個人のGoogleアカウント | Gemsが終了する時期2026年11月 |
| Workspaceのビジネス・エンタープライズ・非営利 | Gemsが終了する時期2027年3月 |
| Workspaceの教育機関 | Gemsが終了する時期2027年6月 |
同じタイミングで、ミニアプリを作る実験機能のOpalと、Google Labs版のGemsも終了します。
自動移行の対象は、Gems本体と、サポート対象のKnowledgeファイルです。作り直しを待たなくても、終了時にGeminiがスキルとして再作成します。急いで動く必要はなく、早めに使い始めたい人だけ手動で移せます。
Gemsとスキルは何が違うのか
Gemsは「名前と指示を決め、必要ならKnowledgeにファイルを足す」カスタムAIです。専用のGemを開いてから会話を始めます。
スキルは、再利用できるカスタム指示です。Geminiのヘルプは利点を3つ挙げています。
- どのチャットでも
/を打ってスキル名を呼べる(今後は@に変わる予定) - プロンプトに合うと判断されれば、Geminiが自動で適用する
- 1回のチャットで複数のスキルを重ねられる
Gemsのように専用画面へ切り替える必要がなくなる点が、いちばん大きな違いです。
そのぶん、失うものも出ます。ヘルプには次の記載があります。
- Canvas・Deep Research・動画生成・音楽生成・ガイド付き学習など、Gemsで使えた既定ツールの多くは、スキルではまだ動かない
- スキル専用のチャット一覧ページはない。スキルを使ったチャットはサイドパネルに並ぶ
- スキルの有効化は同時に100個まで。作成数に上限はない
- GitHubのファイルは、スキルではまだ使えない
共有機能と、Googleドライブ・ノートブックからのファイル追加も、移行後のスキルに近く載る予定とされています。Gemsで共有やドライブ連携を多用している人は、移行時期にこの2点が揃っているかを見ておく価値があります。
ClaudeのProjectsは「文脈を置く場所」
ClaudeのProjectsは、独自のチャット履歴とナレッジベースを持つ、自己完結した作業スペースです。ドキュメントやコードをアップロードし、プロジェクトごとに指示(project instructions)を決められます。そのプロジェクトの中で始めたチャットには、この文脈が常に渡されます。
見た目はGemsに最も近い機能です。ただし、Projectsの利用条件はGemsと同じではありません。
- 無料アカウントでも使えるが、作れるプロジェクトは最大5つ
- 有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)では、ナレッジが上限に近づくとRAGが自動で有効になり、容量が最大10倍まで広がる
- Team・Enterpriseでは、メンバー単位・一括・組織全体で共有でき、権限は「閲覧可」と「編集可」に分かれる
Projectsには、段階的に新バージョンが提供されています。新版ではプロジェクトが1つの会話になり、Claudeが作業を並列のスレッドに分けてクラウドで進めます。Claude Codeを使う一部のPro・Max利用者向けのベータとして提供されており、既存のプロジェクトは従来どおり動きます。この記事で扱うProjectsは、従来のチャット側の機能です。
Projectsの使い方はClaudeのProjectsとArtifactsの解説で詳しく扱っています。
ClaudeのSkillsは「手順を持ち歩く仕組み」
Skillsは、指示・スクリプト・リソースをまとめたフォルダーで、必要なときにClaudeが読み込みます。Anthropic製のスキル、自分や組織で作るカスタムスキル、組織が配るスキル、パートナー製スキルの4種類があります。
ここでClaudeのヘルプが両者の違いを明言しています。
- Projectsは、チャットを始めるたびに常に読み込まれる静的な背景知識
- Skillsは、必要なときに動的に起動する専門的な手順で、Claudeのどこでも使える
スキルはMarkdownで書けるため、簡単なものにコードは要りません。実行できるスクリプトを同梱すれば、処理まで任せられます。仕様はAgent Skillsのオープン標準として公開されており、ほかのAIツールへも持ち出せる設計です。
条件も確認しておきます。スキルはFree・Pro・Max・Team・Enterpriseの全プランで使えますが、コード実行とファイル作成の有効化が前提です。Enterpriseでは、組織オーナーが管理画面でコード実行とスキルの両方を有効にしておく必要があります。
Gems・Projects・Skillsを並べて比べる
3つを同じ軸で並べると、Gemsがスキルに寄る理由とClaudeでの置き場所が見えてきます。
| 観点 | Gems(終了予定) | Claude Projects | Claude Skills |
|---|---|---|---|
| 中身 | Gems(終了予定)名前・指示・Knowledgeファイル | Claude Projects指示・ナレッジ・チャット履歴 | Claude Skills指示・スクリプト・リソース |
| 使い始め方 | Gems(終了予定)Gemを選んで会話する | Claude Projectsプロジェクトを開いて会話する | Claude Skills自動、または明示して呼ぶ |
| 読み込み | Gems(終了予定)選んだGemの会話中 | Claude Projectsプロジェクト内で常に | Claude Skills必要なときだけ |
| 共有 | Gems(終了予定)Gemを共有できる | Claude ProjectsTeam・Enterpriseで権限つき | Claude SkillsTeam・Enterpriseで閲覧専用 |
Gemsは「文脈を置く場所」と「手順を持つ仕組み」が1つに混ざっていました。スキルへの移行は、そのうち手順の側へ寄せる動きです。Claudeでは、文脈をProjects、手順をSkillsに最初から分けています。
Gemsをスキルに手動で移す手順
Geminiのヘルプには、自動移行を待たずに移す手順が載っています。
Gemsを手動でスキルに作り直す
- 1
Gemを開いてKnowledgeを手元に落とす
gemini.google.comのサイドバーでGemsを開き、移したいGemの編集画面に入ります。Knowledgeにファイルがあれば、1つずつ開いてダウンロードします。まとめて落とす方法はありません。
- 2
スキル名のフォルダーを作る
端末にフォルダーを作り、ダウンロードしたファイルを入れます。フォルダー名は小文字とハイフンだけにします。
- 3
スキルを作って指示をコピーする
SettingsのSkillsで「Create manually」を選び、Gemの名前・説明・指示を貼り付けます。名前は自動で正しい形式に直ります。ファイルが要らなければここで完了です。
- 4
ファイルを足してスキルを置き換える
作ったスキルをダウンロードするとSKILL.mdを含むzipが落ちます。このSKILL.mdをファイルのフォルダーへ移し、Skillsページで「Replace skill」を選んで、そのフォルダーをアップロードします。
フォルダー名とスキル名は一致させる必要があります。この手順で整理したフォルダーは、中身がSKILL.mdと素材ファイルだけの、扱いやすい形になっています。
meeting-agenda/
├── SKILL.md
└── agenda-template.pdfGemsの中身をClaudeに持ち込むときの対応づけ
ここからは、Geminiで育てたGemをClaude側で再利用する場面です。Gemsの中身を分解して、性質の近い置き場所へ振り分けます。
| Gemsの要素 | Claudeでの置き場所の候補 |
|---|---|
| 特定の案件・テーマで常に前提にしたい資料 | Claudeでの置き場所の候補Projectsのナレッジ |
| その案件に固有の口調・役割の指示 | Claudeでの置き場所の候補Projectsのproject instructions |
| どの会話でも使い回したい手順(議事録の型、レビュー観点など) | Claudeでの置き場所の候補Skills(SKILL.md) |
| 手順に使うテンプレートやスクリプト | Claudeでの置き場所の候補スキルのフォルダーに同梱 |
迷ったら「その指示は、特定のテーマの会話でだけ要るか」で分けられます。案件ごとの文脈ならProjects、案件をまたいで使う手順ならSkillsです。両方を併用して、案件の資料はProjects、共通の手順はSkillsに置く構成もできます。
Geminiから書き出したSKILL.mdをClaudeへ持ち込む場合の、実際の手順は次のとおりです。
# Geminiからダウンロードしたzipを別の場所に展開し、SKILL.mdを確かめる
unzip meeting-agenda.zip -d work
ls work/meeting-agenda
# スキル名のフォルダーごと、Claudeにアップロードする用のzipにする
cd work
zip -r meeting-agenda-claude.zip meeting-agenda/Claude.aiでは、Customizeのスキル画面からzipをアップロードします。アップロードしたカスタムスキルは、共有するまで同僚からは見えません。Team・Enterpriseで共有したスキルは閲覧専用になり、更新すると受け取った側にも次の利用時から反映されます。
なお、Geminiのヘルプは他プラットフォームのSKILL.mdをアップロードして取り込めると書いていますが、Claudeで作ったスキルがそのまま動くとは書いていません。逆向きも同じで、Geminiのスキルをアップロードして動くかは、両社の説明に載っていません。名前と説明、手順の本文は共通の形でも、フロントマターの項目や同梱ファイルの扱いは、実際にアップロードして確かめるのが確実です。
移す前に見ておきたい条件
GeminiからClaudeに乗り換える、あるいは併用する場合の確認点を、プラン・機能別にまとめます。
- Claudeのスキルはコード実行が前提。Enterpriseでは、組織オーナーがコード実行とスキルの両方を有効にしていないと使えない
- 無料のClaudeで作れるプロジェクトは5つまで。Gemsを何十個も使い分けてきた人は、プロジェクトに寄せる前に数を数えておく
- Gemsにドライブのファイルを足していた場合、Geminiはそのファイルの最新版を使い、編集もGemに反映されていた。ClaudeへはGeminiの画面からダウンロードしたファイルを渡すことになる
- Enterpriseでスキルスキャンが有効だと、アップロードやサードパーティ製スキルの編集のたびに悪意のある内容のチェックが入り、完了まで1〜2分ほどかかる
最後の点は、他社製のSKILL.mdを持ち込むときに効きます。信頼しきれない出所のスキルは、有効にする前に中のファイルとスクリプトを読んでおくのが安全です。
まとめ
Gemsの終了は、Geminiの個人アカウントで2026年11月、Workspaceで2027年3月と6月に順次進み、自動でスキルに移ります。移行後に失うのは、専用のGem画面と、Canvasなど一部の既定ツールとの組み合わせです。
Claude側は、文脈を置くProjectsと手順を持つSkillsが、最初から別々の機能です。Gemsで1つにまとめていたものを、置き場所ごとに分けて持ち込めます。SKILL.mdという共通の形式があるため、手順の部分は両サービスの間を移しやすい構造です。Claudeのスキル全般はClaude Skillsの解説に、Coworkでの階層的な使い分けはCoworkのカスタマイズ7階層にあります。ClaudeとGemini全体の違いはClaudeとGeminiの比較にまとめています。