ClaudeのスキルとChatGPT GPTsの違い — 指示の配り方・再利用・組織配布
GPTsは入って使う専用ChatGPT、スキルはClaudeが会話中に呼ぶ手順書です。共有と組織配布、GPTsの終了計画、スキルへの作り直し方まで比べます。
GPTsは、ChatGPTを特定の用途に合わせて仕立てた専用の窓口です。Claudeのスキルは、Claudeが会話の途中で必要になったときに読み込む手順書です。どちらも「同じ指示を何度も書かない」ための道具ですが、呼び出し方・共有の単位・コンテキストの使い方が違います。
もう1つ、選ぶ前に知っておきたい事情があります。OpenAIのヘルプには、カスタムGPTsを終了してPluginsへ移す計画が載っています。GPTsを社内に配っているチームは、Claude側のスキルを「移し先の候補」として見る場面が出てきます。
GPTsとスキルは何が同じで、どこが違うのか
両者の中身は、並べると意外に近い構成です。GPTは指示・会話の開始例・参照ファイル・使える機能を1つにまとめ、スキルは名前と説明・手順・参照ファイルをフォルダーにまとめます。違いが出るのは、それを誰がどう呼び出すかです。
| 観点 | ChatGPTのGPTs | Claudeのスキル |
|---|---|---|
| 単位 | ChatGPTのGPTs指示・ファイル・機能を束ねた専用ChatGPT | ClaudeのスキルSKILL.mdと任意のファイルを入れたフォルダー |
| 使い始め | ChatGPTのGPTsGPTを開く、またはウェブ版で@で呼ぶ | ClaudeのスキルClaudeが説明文を見て自動で読み込む |
| 中身 | ChatGPTのGPTs指示、会話の開始例、Knowledge、機能、アプリかActions | Claudeのスキル名前と説明、手順、参照ファイルやスクリプト |
| 新規作成 | ChatGPTのGPTsBusiness・Enterprise・Eduのみ | ClaudeのスキルFree〜Enterpriseの各プラン |
| 共有 | ChatGPTのGPTs招待、ワークスペース、リンク、GPT Store | Claudeのスキル個人・グループへの共有、組織への公開、一括配布 |
| 使える場所 | ChatGPTのGPTsChatGPT(作成はウェブ版のみ) | Claudeのスキルclaude.ai、Claude Code、Microsoft 365のアドイン |
新規作成の行は見落としやすい点です。ChatGPTの個人プラン(Free・Go・Plus・Pro)では、新しいGPTの作成も公開もできません。既存のGPTは引き続き使えます。スキル側は、コード実行機能を有効にしていればFreeプランから使えます。
呼び出し方は「入る」と「呼ばれる」で分かれる
GPTは、使う前に選ぶものです。サイドバーの「Explore GPTs」から開くか、共有されたリンクから入ります。ウェブ版なら会話中に@でGPTを呼び出し、次のメッセージをそのGPTに送ることもできます。この@の呼び出しは、iOSとAndroidのアプリでは使えません。
そのGPTの会話は、保存済みのメモリ、カスタム指示、過去の会話を使いません。毎回まっさらな状態から、GPTに設定された指示・Knowledge・機能だけで応答します。専用の窓口としては分かりやすい反面、普段の会話の文脈は持ち込めません。
スキルは逆で、使う前に選ぶ必要がありません。Customize > Skillsでスキルをオンにしておくと、Claudeが依頼の内容を見て、必要なものを自分で選びます。たとえば「Q3の結果でPowerPointを作って」と頼めば、PowerPointのスキルが使われます。
呼ばれる側の仕組みなので、効き目は説明文(description)に左右されます。Claudeがスキルを使わないときの確認項目は次のとおりです。
- Customize > Skillsでオンになっているか
- 説明文が「いつ使うか」を具体的に書いているか
- 依頼に「ブランドガイドラインのスキルで作って」と名前を添えてみる
名前で指定する使い方は、場所によっては入力補助もあります。Microsoft 365のアドインでは、サイドバーで/を打つと使えるスキルの一覧が出ます。Claude Codeでは、claude.aiで有効にしたスキルが/skillsの一覧に「claude.ai sync」として並びます。
GPTは「道具を先に選ぶ」、スキルは「道具の選択をClaudeに任せる」設計です。任せる分だけ、説明文が曖昧だと呼ばれないという代償があります。
常に読む指示と、必要なときだけ読む手順
GPTの指示は、そのGPTのすべての会話に適用されます。長い指示も、短い指示も、会話が始まるたびに効く前提です。補足資料はKnowledgeに置き、ヘルプは「ルールや口調は指示に、資料はKnowledgeに」と使い分けるよう勧めています。
スキルは、読み込みを3段階に分けます。この仕組みはAgent Skillsの仕様に書かれています。
スキルが読み込まれる3つの段階
1. メタデータ(常時)
起動時に名前と説明だけを読みます。1スキルあたり約100トークンが目安です。
2. 手順(呼ばれたとき)
SKILL.mdの本文を読みます。5,000トークン未満が目安です。
3. 資料とコード(必要なとき)
参照ファイルは必要な1枚だけ開きます。スクリプトは実行結果だけが文脈に入ります。
結果として、スキルは多数入れても、呼ばれるまでは名前と説明しか文脈を使いません。一方でGPTの指示は、そのGPTを開いた会話では常に読まれます。長い手順書を何本も持つ運用では、この差が効いてきます。
指示の配り方は共有・公開・一括配布で違う
GPTの共有は、アクセス範囲と権限を別々に選びます。範囲は「招待のみ」「リンクを知るワークスペース内の人」「ワークスペース全体」「リンクを知る全員」「GPT Store」です。権限は「Can chat」「Can view settings」「Can edit」の3段階で、公開リンクとGPT Storeは「Can chat」しか選べません。特定のユーザーやグループへの直接共有は、管理されたワークスペースで最大100件までです。
スキルの共有は、TeamとEnterpriseで3つの層に分かれます。
| 配る範囲 | GPTs | スキル |
|---|---|---|
| 特定の人 | GPTs招待で共有、権限を選べる | スキル名前かメールで共有、閲覧専用 |
| グループ | GPTsワークスペースのグループに共有 | スキルEnterpriseのみ、グループに共有 |
| 組織全体 | GPTsワークスペース全体に共有 | スキル「Publish to org」でライブラリへ公開 |
| 一般公開 | GPTsGPT Storeに公開 | スキル一般公開の仕組みはない |
| 更新の反映 | GPTs編集権限者が更新、バージョン履歴あり | スキル共有先は次の使用時に自動で最新版 |
スキルの共有は、受け取った側から見ると「閲覧専用」です。有効にして使えますが、中身は編集できません。GPTの「Can view settings」は設定を見て複製もできるので、ここは配った後の扱いが違います。
組織への公開には、さらに3つの出し方があります。「Available to install(入れたい人が入れる)」「Installed by default(既定で入る)」「Required(必須)」です。審査を必須にしている組織では、オーナーなどが内容を確認して、出し方と配る相手を決め直せます。公開後のスキルは組織の管理下に移り、更新するときは再度公開して同じ審査を通します。承認までは、利用者は承認済みの版を使い続けます。
オーナーが直接配るやり方もあります。プロビジョニングされたスキルは、全員のスキル一覧にチームのマーク付きで現れ、利用者はオンオフを選べます。
GPTの管理画面側にも、似た統制があります。EnterpriseとEduでは、GPTを作れる人、共有の範囲、第三者のGPTを使えるかを権限で決められます。GPTからアプリを使うかどうかも、ワークスペースの設定で止められます。Actionsは許可したドメインにしか呼び出せません。ドメインを1つも登録しなければ、Actionsは使えません。
終了に向かうGPTsと、スキルへの移し先
OpenAIは、カスタムGPTsを終了し、ワークフローをPluginsへ移すよう案内しています。Pluginsは、再利用できる指示と接続したアプリを組み合わせる仕組みと説明されています。
GPTs終了計画の日付
- 2026年9月17日移行機能の提供目標
GPTsからPluginsへ移す機能の目標日です。すべてのアカウントに同時に届くとは限らないと書かれています。
- 2026年12月11日Enterpriseの終了予定
影響を受けるEnterpriseワークスペースの終了予定日です。そのワークスペースで作られた公開GPTsは、他のプランから使う場合も対象に含まれます。
他のプランも同じ時期に進む見込みと書かれていますが、日付は示されていません。それまで既存のGPTsは使えます。
ここで注意したいのは、OpenAIが勧める移し先はPluginsで、スキルではない点です。Claudeを併用するチームが、GPTsの手順部分をスキルに作り直す選択をする場合は、ChatGPT側の移行とは別の作業になります。
GPTの設定をスキルに置き換える対応表
GPTの設定項目は、スキルのどこに入れるかを決めやすい形で並んでいます。
| GPTの項目 | スキルでの置き場所 |
|---|---|
| Name | スキルでの置き場所name。フォルダー名と合わせる |
| Description | スキルでの置き場所description。何をするかに加えて、いつ使うかも書く |
| Conversation starters | スキルでの置き場所descriptionに、使う場面と依頼の言い回しを入れる |
| Instructions | スキルでの置き場所SKILL.mdの本文 |
| Knowledge | スキルでの置き場所フォルダー内の参照ファイル。本文から読む場面を指示する |
| Capabilities | スキルでの置き場所スキルの項目にはない。Claude側の設定に依存する |
| Apps・Actions | スキルでの置き場所スキルに同じ項目はない。外部連携は設定と管理者の許可を確かめる |
Capabilitiesの行は、はっきり分かれます。スキルはコード実行環境の上で動く仕組みで、Web検索や画像生成のような機能のオンオフは、スキル自身には持たせません。Actionsで外部APIを呼んでいたGPTは、スキルへそのまま移せるとは限りません。claude.aiのスキルが外部ネットワークに出られるかは、ユーザーや管理者の設定次第で、全面・一部・なしのいずれにもなります。
手順は5ステップ
GPTをclaude.aiのスキルに作り直す
- 1
GPTのInstructionsとKnowledgeを書き出す
GPTの編集画面で、InstructionsをテキストにコピーしてKnowledgeの元ファイルを手元に集めます。
- 2
フォルダーとSKILL.mdを作る
GPTの名前に合わせたフォルダーを作り、その中にSKILL.mdを置きます。冒頭にnameとdescription、続けて手順を書きます。
- 3
参照ファイルを入れる
Knowledgeだったファイルをフォルダー内にまとめ、SKILL.mdから「判断に迷ったらこのファイルを読む」と指示します。
- 4
ZIPにしてアップロードする
Customize > Skillsで「+」、「+ Create skill」、「Upload a skill」の順に選び、ZIPを渡します。
- 5
複数の依頼で試す
スキルをオンにして、言い回しを変えた依頼を何通りか投げます。呼ばれない依頼があれば、descriptionを直します。
SKILL.mdは、たとえば次のような形になります。内容はGPTのInstructionsを手順書に直した例です。
---
name: contract-review
description: 業務委託契約書をレビューし、社内チェックリストの項目順に指摘を表で返す。契約書の確認、リスクの洗い出し、条項の修正案を頼まれたときに使う。
---
# 契約書レビュー
## 手順
1. 契約書の種類(業務委託・秘密保持など)を最初に判定する
2. references/checklist.md の項目を上から順に当てる
3. 指摘は「条項」「懸念」「修正案」の3列の表にまとめる
4. 判断に迷う条項は、断定せず「要確認」と書くフォルダーの形とZIPの作り方は次のとおりです。
contract-review/
├── SKILL.md
└── references/
└── checklist.mdzip -r contract-review.zip contract-reviewアップロードが通らない主な理由は、ZIPがサイズ上限を超えた、フォルダー名がスキル名と合わない、SKILL.mdがない、名前か説明に使えない文字が入っている、の4つです。
作り直すときにつまずきやすい点
スキルの欄が出ない、グレーアウトする
どちらもコード実行が無効なことが原因です。Free・Pro・MaxはSettings > Capabilities、Team・EnterpriseはOrganization settingsの「Policy」タブで確かめます。
作成やアップロードのボタンがない
TeamとEnterpriseでは、オーナーがユーザーによるスキル作成をオフにできます。カスタムロールを使う組織では、ロールに作成の権限が含まれない場合もあります。
作ったのに同僚から見えない
アップロードしたスキルは、共有するまで本人だけのものです。管理者に見えるのはスキル名と共有状況で、ファイルの中身は見えません。
公開のボタンが出ない
自分で作ったスキルしか公開できません。共有されたスキル、Anthropicの組み込みスキル、組織のライブラリから入れたスキルは対象外です。
面ごとに別管理になる
カスタムスキルは、claude.ai・API・Claude Codeの間で自動では同期されません。claude.aiで有効にしたスキルをClaude Codeで使うには、同じアカウントでログインし、Claude Code v2.1.273以降が必要です。同期は起動時に行われ、その後は約10分ごとに変更を確認します。claude.aiからClaude Codeへの一方向で、APIキーでのログインやAmazon Bedrockなどのクラウド経由では同期されません。止めたいときは、設定のsyncClaudeAiSkillsをfalseにします。
信頼できる出所のスキルか
同僚から共有されたスキルでも、有効にする前に同梱ファイルを読むことが勧められています。想定されるリスクは、プロンプトインジェクションと、悪意あるコードによるデータの持ち出しです。Enterpriseでスキャンを有効にしている組織では、サードパーティのスキルはアップロードや編集のたびに悪意ある内容がないか検査され、多くは1〜2分で終わります。
配った中身は受け取った側に見える
GPTを配るときの習慣が通じない点もあります。公開リンクやGPT Storeで配ったGPTは、利用者から設定が見えません。共有したスキルは、受け取った側がSKILL.mdと同梱ファイルを読めます。社内の機密を手順書に埋め込まない設計が必要です。
迷ったときの選び方
選ぶ軸は、配りたいものが「窓口」か「手順」かです。
- 既存のGPTsを社内に配っている: 終了計画があるため、OpenAIの案内するPluginsへの移行準備が先です。Claudeを併用しているなら、手順に当たる部分だけスキルにも書き出せます
- 個人プランで新しく作りたい: ChatGPTの個人プランは新規作成ができません。Claude側のスキルはFreeから作れます
- 文書作成やチェックリストのように、繰り返す手順がある: 呼ばれたときだけ読み込まれるスキルが向きます
- 専用のペルソナや開始例を持つ窓口が欲しい: GPTの形に近いのは、文脈を置くClaudeのProjectsです。違いはGemini Gemsからの移行記事で、ProjectsとSkillsの役割分担として詳しく比べています
- Claude Codeでも同じ手順を使いたい: claude.aiで有効にしたスキルが同期されるので、同じ手順書を二重に管理せずに済みます
スキルそのものの基本はClaude Skillsの解説に、Coworkのディレクトリからの入れ方はCoworkのスキル・コネクタ・プラグインの記事にあります。標準で入っているPDFやExcelのスキルを確かめたいときは、Agent Skillsの標準スキル一覧を見てください。指示・Projects・スキルの切り分けはClaudeのパーソナライズ機能の使い分けがまとめています。
まとめ
GPTsは「どの窓口で話すか」を先に決める道具で、スキルは「どの手順を使うか」をClaudeに選ばせる道具です。GPTsに終了計画がある以上、窓口の複製を考えるより、窓口に埋め込んでいた手順を取り出して手順書に書き直す作業が、どの移し先でも残ります。