kickflow Cowork連携で稟議承認フローを自動化する
kickflowのMCPサーバーをClaude Desktopに接続し、Coworkの承認モードで稟議チケットの確認・要約・通知を任せる手順を解説します。書き込み操作の承認設計まで扱います。
kickflowとCoworkを組み合わせると何ができるか
kickflowは法務・営業・人事・総務・経理・ITの申請と承認をデジタル化する、数百名から数千名規模向けのクラウドワークフローSaaSです。公式のMCPサーバーをClaude Desktopに登録すると、Coworkから自然言語の指示だけで稟議チケットの一覧・要約・催促ができるようになります。
承認そのものを自動化する話ではありません。確認と連絡の手間を減らす使い方が中心です。承認・却下といった書き込み操作をClaudeにどこまで任せるかは、Coworkの承認モード設定で読者自身が線引きします。
前提条件
はじめる前に、次の4点を用意します。
- Node.js v22.18.0以上(kickflowのMCPサーバーはnpx経由で起動するローカルサーバーです)
- kickflowのアクセストークン(kickflowの管理画面から発行)
- Claude Desktopアプリ(Chat・Cowork・Codeの3タブが1つのアプリに統合されています)
- kickflow側で、対象ユーザーがAPIを呼び出せる権限を持っていること
Claude DesktopはCode向けの開発ツールという印象を持たれがちですが、実体はChat・Cowork・Codeの3タブを持つ単一アプリです。MCPサーバーの接続設定は共通で、Codeタブ用に追加した設定がCoworkタブからもそのまま使えます。
ステップ1: kickflowのMCPサーバーをClaude Desktopに接続する
kickflowのMCPサーバーは@kickflow/mcp-serverというnpmパッケージで配布されています。個別の機能ごとにツールが用意されているわけではなく、discover_apis(利用可能なAPI一覧の取得)・get_api_info(必要パラメータのスキーマ取得)・call_api(実行)という3つの汎用ツールでkickflow APIのすべての機能にアクセスする設計です。
Claude Desktopの設定ファイルclaude_desktop_config.jsonに、以下のようなサーバー定義を追記します。
claude_desktop_config.json の設定例(macOS/Linux)
{
"mcpServers": {
"kickflow": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@kickflow/mcp-server"],
"env": {
"KICKFLOW_ACCESS_TOKEN": "your-kickflow-access-token"
}
}
}
}保存してClaude Desktopを再起動すると、kickflowのツールが使えるようになります。ここで押さえておきたいのは、これはローカルで動くMCPサーバーだという点です。Cowork公式の安全ガイドによれば、Web版やモバイル版からのタスクはクラウド上で実行され、ローカルのファイルやツールにアクセスするときだけClaude Desktopアプリを経由します。デスクトップアプリが起動していない状態では、Coworkのクラウドセッションからkickflowのローカルサーバーには届きません。
社外に持ち出したノートPCでモバイルからタスクを投げても反応がない、というときは、まずデスクトップアプリが起動しているかを確認してください。
ステップ2: Coworkの承認モードを稟議業務向けに選ぶ
kickflowとの接続ができたら、Coworkの承認モードを確認します。Coworkには3つのモードがあります。
| 承認モード | 何が起きるか | kickflow連携での使いどころ |
|---|---|---|
| Manually approve | 何が起きるか1操作ごとに実行前の確認を求める | kickflow連携での使いどころチケットの新規作成・承認・却下など書き込み系の操作 |
| Automatically approve | 何が起きるかClaudeが各操作の安全性を確認したうえで自動実行し、危険と判断した操作はブロックまたは確認を求める | kickflow連携での使いどころチケット一覧の取得やステータス確認など読み取り系の操作 |
| Skip all approvals | 何が起きるか安全性チェックを介さず即座に実行する(ファイルの完全削除だけは常に確認が入る) | kickflow連携での使いどころ社内で運用を重ねた定型タスクに限定 |
kickflowのAPIはcall_apiという単一の汎用ツールで実行されるため、Coworkの権限チェックは「kickflowのどのAPIを呼んだか」までは区別しません。稟議チケットの承認・却下・取り消しのような、後戻りしにくい操作を含む可能性があるタスクではManually approveが無難です。一覧取得や要約だけを繰り返すタスクなら、Automatically approveでも安全性チェックは機能します。
Coworkはファイルの完全削除だけは、どのモードでも必ず許可を求めます。ただしkickflowのチケット操作はCowork側のファイル削除とは別のAPI呼び出しなので、この保護の対象外です。承認モードの仕組み自体は接続先を問わず共通なので、詳しい挙動は別記事のCowork自動承認モードの解説も参照してください。
ステップ3: 稟議チケットを確認・要約・通知するワークフロー例
接続と承認モードの設定が済んだら、実際の指示文を試します。kickflowのREADMEに載っているlistTicketsの例のように、call_apiはページングやクエリパラメータを渡して実行されます。
具体的な指示の例です。
- 「承認待ちのkickflowチケットを一覧して、金額が50万円を超えるものだけ要約して」
- 「経理部門宛ての稟議チケットのうち、3営業日以上動きがないものを教えて」
- 「今週作成されたチケットをカテゴリ別に集計して」
Claudeは裏側でdiscover_apisから該当しそうなoperationId(listTicketsなど)を探し、get_api_infoで必要なパラメータを確認してからcall_apiを実行します。この3段階は毎回自動で行われるので、利用者がoperationIdを意識する必要はありません。
繰り返し確認したいチェックは、Coworkのスケジュール機能で定期実行にできます。毎朝の滞留チケット確認のような低リスクな読み取りタスクから始めるのが安全です。承認や却下のように結果を戻しにくい操作を定期実行に組み込むかどうかは、慎重に判断してください。
定期実行とプロンプトインジェクションの注意点
滞留チケットの確認を毎朝自動実行する運用には、確認しておきたい点が2つあります。
1つは申請者の自由記述欄です。稟議チケットの申請理由やコメント欄には、Claudeへの指示のように読める文言が紛れ込む可能性があります。これはkickflow固有の弱点ではなく、外部の文章をClaudeが読むタスク全般に共通するリスク(プロンプトインジェクション)です。Coworkはこうした指示混入を検出する分類器を備えていますが、リスクをゼロにはできません。チケットの自由記述欄を要約・転記する指示を出すときは、この前提を踏まえておきます。
もう1つはスケジュール実行の管理です。Cowork公式ガイドは、スケジュールタスクを低リスクな確認作業から始め、機微な情報へのアクセスや取り消しにくい操作は自動化に含めないよう案内しています。稟議の承認・却下は取り消しにくい操作の典型です。実行結果は左サイドバーの「Scheduled」ページで定期的に確認し、使わなくなったタスクは一時停止するか削除します。滞留チケットの一覧化のような読み取り中心の確認から自動化し、承認・却下の実行そのものはスケジュールに組み込まない、という線引きが無難です。
よくあるつまずき
- デスクトップアプリがオフラインで反応がない: ローカルMCPサーバーはClaude Desktopアプリ経由でしか呼び出せません。モバイル・Web版からタスクを投げるときは、PC側でアプリが起動しているか確認します。
- APIが権限エラーを返す: kickflowのアクセストークンに紐づくユーザーが、対象のカテゴリやチケットへのアクセス権を持っていないケースです。kickflow管理画面側の権限設定を見直します。
call_apiが存在しないoperationIdでエラーになる:discover_apisで一覧を取得し直し、get_api_infoでスキーマを確認してから呼び出すと解決することが多いです。- 設定を変えたのに反映されない:
claude_desktop_config.jsonを編集した後は、Claude Desktopアプリの再起動が必要です。
まとめ
kickflowのMCPサーバーとCoworkの承認モードを組み合わせると、稟議チケットの確認・要約・催促といった読み取り中心の業務は大きく手離れします。一方で承認・却下のような後戻りしにくい操作は、Manually approveのまま人が最終確認する構成が安全です。経理・総務・法務のように稟議の種類が多い部署ほど、まずは滞留チケットの可視化から試す価値があります。
よくある質問
kickflowのMCPサーバーはClaude Codeでも使えますか
使えます。設定ファイルはClaude Desktopアプリ全体で共有されるため、Chat・Cowork・Codeのどのタブからでも同じkickflow接続にアクセスできます。
稟議の承認自体をClaudeに任せられますか
kickflowのAPIに承認・却下に相当する操作があれば、call_api経由で呼び出すこと自体は技術的に可能です。ただしどのAPIが実際に提供されているかはkickflow公式のAPIリファレンスで個別に確認する必要があります。承認権限を持つ操作をCoworkに渡す場合は、Manually approveで都度確認する運用を推奨します。
経費精算のワークフローにも応用できますか
kickflowは経理部門の購買稟議や支払依頼もカバーするワークフローSaaSなので、経費精算のチケット確認にも同じ手順を応用できます。
セキュリティ面で気をつけることは
ローカルMCPサーバーは、それを起動するPC上のプログラムと同じ権限で動作します。kickflow公式が配布する@kickflow/mcp-serverのような、出どころのはっきりしたMCPサーバーを使うことが基本です。詳しくはMCPセキュリティガイドも参照してください。
kickflow以外のツールでも同じ手順が使えますか
MCP対応のツールであれば、接続の考え方は共通です。接続先の一覧はClaude CoworkのConnectors一覧で、設定ファイルの書き方全般はClaude Desktop MCP設定ガイドで確認できます。