Anthropic Connectors Directoryとは — 掲載基準と自社MCPサーバーの登録手順
自社のMCPサーバーをConnectors Directoryに掲載するための審査基準と、提出ポータルの手順をまとめます。よくある却下理由もあわせて確認できます。
Anthropic Connectors DirectoryはAnthropicとサードパーティが提供するMCPサーバーのカタログで、Claude.ai・Claude Desktop・Claude Mobile・Claude Code・Coworkすべてで共通です。以前は「Anthropic Connectors Directory FAQ」というサポートページに情報が置かれていましたが、このページはClaude開発者向けドキュメントへ移動しました。この記事では、自社のMCPサーバーを掲載するための審査基準と提出手順をまとめます。
Connectors Directoryとカスタムの違い
Directory掲載のConnectorとカスタムConnectorは、同じMCPインフラの上で動くという点で本質的に同じです。ランタイム・通信方式・認証・ツール呼び出しの経路はまったく同一で、違うのは審査・発見のされ方・配布方法だけです。
| 項目 | Directory Connector | カスタムConnector |
|---|---|---|
| ランタイム | Directory Connector同じ | カスタムConnector同じ |
| Anthropicによる審査 | Directory Connectorあり | カスタムConnectorなし |
| 製品内での発見 | Directory Connector一覧・検索・Suggested Connectorsの対象 | カスタムConnectorなし |
| Anthropicが保有するクライアント認証情報 | Directory Connector利用可能 | カスタムConnector利用不可 |
| 表示のされ方 | Directory Connectorロゴ付きの名前カード | カスタムConnector「Custom」表示 |
DirectoryのConnectorには審査の深さに応じて2種類のラベルが付きます。Verified(検証済み)はAnthropicが品質・互換性をテストし、ソフトウェアディレクトリポリシーの要件を満たしたことを示すラベルです。Community(コミュニティ)は掲載前のスクリーニングのみで、深い審査は行っていません。どちらのラベルも接続後にConnectorが持つ機能や権限そのものを変えるものではなく、審査の度合いを示すだけです。提出したサーバーは自動でポリシー適合をスキャンされ、既定ではCommunityとして掲載されます。Claude利用者にとって有用性が高いと判断されたものだけ、Anthropicが自動的にVerified審査へ引き上げます。昇格の判定は自動で行われるため、開発者側で申請する必要はありません。
なお、オープンなMCP Registry(registry.modelcontextprotocol.io)やGitHubのmodelcontextprotocol/serversリポジトリへの公開は、Anthropic Connectors Directoryへの掲載とは独立した別の仕組みです。そちらに公開してもClaude製品には表示されません。Claudeに表示させるには、本記事で扱う提出ポータルからの申請が必要です。
提出前の前提条件
提出ポータルはClaude.aiの組織設定内にあるため、次の条件を満たしている必要があります。
- TeamまたはEnterprise組織であること: 個人プランには組織設定自体がありません
- ディレクトリ管理権限を持っていること: 既定では組織のOwner(Primary owner含む)のみが提出・管理できます。EnterpriseプランではOwnerが「Organization settings > Roles」でカスタムロールを作成し、他のメンバーに権限を委譲できます。委譲できるのは「Directory」権限(ディレクトリ提出のみ)または「Libraries」権限(組織のプラグイン・Connector・Skillsの管理全般を含むより広い権限)のいずれかです。Teamプランにはカスタムロールが無いため、この権限はOwnerに留まります
デスクトップ拡張(MCPB)は提出ポータルを使わず、別の提出フォームを使います。本記事は主にリモートMCPサーバーの提出を対象にします。
審査基準を満たすようにツールを設計する
審査で最も却下されやすいのはツール設計に関する項目です。提出前に次の点を自分のMCPサーバーで確認します。
読み取り用と書き込み用のツールを分ける
GET・HEAD・OPTIONSのような安全なメソッドと、POST・PUT・PATCH・DELETEのような不安全なメソッドの両方を1つのツールで受け付ける設計(methodパラメーターを持つ万能なapi_requestツールなど)は却下されます。読み取り専用のツールと、書き込み用のツール(可能なら作成・更新・削除でさらに分割)に分けます。安全な操作と不安全な操作を1つのツールの説明文の中で書き分けるだけでは要件を満たしません。
ツールに正確なアノテーションを付ける
すべてのツールにtitleと、該当するreadOnlyHint(読み取り専用)またはdestructiveHint(データを変更・削除する)を付けます。これはClaude側の自動権限判定に使われ、読み取り専用ツールは確認なしで実行でき、破壊的なツールは必ず確認を求められます。
ツール名の長さ
ツール名は64文字以内にします。
自由入力のクエリツールにはAPIドキュメントへの参照を含める
エンドポイントパスやクエリ文字列を呼び出し側が自由に組み立てられるツールは、説明文に対象APIへのリンクまたは名称を明記する必要があります(例:「Slack Web APIにクエリを送る — https://api.slack.com/methods を参照」)。固定のエンドポイントを内部で呼ぶだけの専用ツールにはこの要件はかかりません。
プロンプトインジェクションのパターンを避ける
ツールの説明文が、利用者が求めていない外部ソフトウェアの呼び出しを指示する、Claudeが他のツールを呼ぶのを妨げる、外部ソースから行動指示を読み込ませる、隠されたり難読化されたりした指示を含む、システム指示を上書きしようとする、といった内容を含むと却下されます。説明文にはツールが何をするかだけを書きます。
機能面・API面での要件
ツール設計以外にも、動作そのものと接続先APIについて満たすべき条件があります。
- 有効なパラメーターで呼び出したときは必ず成功レスポンスを返す(詳細のない「Internal Server Error」のような汎用エラーは却下対象)
- 入力を検証し、無効なデータを黙って受け入れず実用的なエラーメッセージを返す
- タスクに対して妥当なサイズのレスポンスを返す(要約を求められているのにデータベース全体を返さない)
- ツールの機能に必要な範囲を超えて会話データを収集しない。Claudeの記憶・チャット履歴・会話の要約・利用者のファイルに問い合わせない
- サーバーは自社の一次APIか、正当に代理しているAPIを呼び出す。MCPサーバーのドメインは自社サービスと一致している必要がある
- 認証を伴うサービスはOAuth 2.0を使用する
受け付けられない用途として、金銭・暗号資産その他の金融資産の送金、AIモデルによる画像・動画・音声の生成が明記されています。ただし図表・グラフ・UIモックアップを作るデザインツールは認められます。
提出時に必要なもの
- テスト用アカウント: 十分にデータが入った実在のアカウントの認証情報が必要です
- 許可リンクURI:
ui/open-linkを呼ぶサーバーは、宣言したHTTPSオリジンやカスタムURIスキームであれば確認モーダルを省略できます。宣言していない宛先は引き続き確認を求められます - 公開ドキュメント: 公開日までに用意します。ブログ記事やヘルプセンターの記事で足り、審査中はAnthropicに非公開で共有することもできます
- プラグイン: 公開GitHubリポジトリへのリンクが必須で、非公開ソースは受け付けられません
- MCPBのオープンソース条項: ソフトウェアディレクトリ利用規約にあるオープンソース化・仕様変更に関する条項は必須で放棄できません
提出ポータルでの手順
提出はClaude.aiの組織設定内にある提出ポータルから行います。各ステップの入力内容はブラウザに自動保存されるため、同じブラウザセッション内であれば前のステップに戻っても入力内容は失われません。
- Introduction: ディレクトリ掲載が何をする・しないかの説明を確認する。ポータルが受け付けるのはリモートMCPサーバーのみで、ローカルサーバーはデスクトップ拡張かプラグインとして別途提出する
- Connection: サーバーURL(
https://必須)・通信方式(streamable HTTPまたはSSE)・利用者ごとに同じURLかテナントごとに異なるURLかを確認する - Tools: 接続先サーバーからツール・プロンプト・リソースが自動同期される。読み取り専用・書き込みの注釈で自動分類され、注釈にタイトルが欠けている場合はここで警告される
- Listing: サーバー名(100文字以内)・タグライン(55文字以内)・説明(2,000文字以内)・カテゴリ(1〜5個)・ドキュメントURL・プライバシーポリシーURL・サポート連絡先・アイコン・URLスラッグを入力する。スラッグは公開後に変更できません
- Use cases: 主な用途、接続前に必要なもの(アカウント・プラン等)、読み取り・書き込みどちらを行うかを記述する
- Company: 会社名・Webサイト・審査状況の連絡先を入力する
- Authentication: OAuth(動的クライアント登録・クライアントIDメタデータ文書・Anthropicが保持する静的クライアントID)、利用者が接続時に自分のURL・認証情報を入力するカスタム接続、または認証なしのいずれかを選ぶ
- Data handling: 対象APIが自社のものか、パートナーから許可を得て代理しているものか、管理していない第三者のものか、個人の健康データやスポンサー付きコンテンツを扱うかを申告する
- Test & launch: 審査担当者がエンドツーエンドでアクセスできるテスト手順とデータが十分に入ったテストアカウントを用意する。MCP InspectorまたはClaude上のカスタムConnectorとして、すべてのツールを自分で実行済みであることを確認する
- Compliance: ディレクトリガイドライン・一次API利用・金融取引・AIメディア生成・プロンプトインジェクション・会話データ収集・公開ドキュメントの7項目すべてに同意する
- Review: 入力内容の最終確認。短すぎる回答などの品質警告があればここに表示され、審査チームにも共有される
提出後の審査状況とフィードバックは提出ダッシュボードで確認でき、公開後は同じ画面でサーバーの稼働状況・利用状況も見られます。エスカレーションが必要な場合はmcp-review@anthropic.com宛てにメールします。提出前にclaude plugin validate(プラグインの場合)とMCP Inspectorでの動作確認を済ませておくと審査がスムーズです。
よくあるつまずき
- 万能な
api_requestツールを1つだけ用意して提出する: 読み取り・書き込みが混在する単一ツールは却下されます。操作種別ごとにツールを分割してから提出します - エラーメッセージを汎用文言のままにする: 「Internal Server Error」のような詳細のないエラーは、機能面の審査基準そのものに抵触します
- プライバシーポリシーを後回しにする: ローカルConnectorのプライバシーポリシー(README.mdの専用セクション・manifest.jsonの
privacy_policies配列・HTTPSのURL)が欠けている、または不完全だと即座に却下されます。データ収集・利用と保存・第三者共有・データ保持期間・連絡先の5点を必ず含めます - スラッグを仮の名前で提出してしまう: 公開後にスラッグは変更できないため、
https://claude.ai/directory/connectors/SLUGという恒久URLになる前提で決めます - MCP RegistryやGitHubへの公開だけで満足する: オープンなMCP Registryへの掲載はAnthropic Connectors Directoryへの掲載とは無関係です。Claude製品に表示させるには提出ポータルからの申請が別途必要です
- 第三者のドメインやURIスキームを許可リンクURIに含める: 許可リンクURIは自社が所有するオリジン・スキームに限られ、所有していないエントリは審査で削除されます
まとめ
Anthropic Connectors Directoryは、Verified・Communityという審査の深さを示すラベルこそありますが、掲載の可否そのものは共通の基準(ツール設計・機能品質・API所有権・禁止用途)で判定されます。提出にはTeamまたはEnterprise組織とディレクトリ管理権限が前提で、審査で最も却下されやすいのは読み取り・書き込みツールの分離とアノテーション、プライバシーポリシーの完備、そしてプロンプトインジェクションになりうる説明文です。提出ポータルは11ステップの構成で、スラッグや許可リンクURIのように公開後の変更が効かない項目もあるため、審査基準のチェックリストを提出前に一通り確認しておくと手戻りを防げます。掲載後の一般的な使い方や利用者側の設定はClaude Connectorsとは — 種類・一覧と追加方法、会話ごとの読み込み方式の管理はClaudeのツールアクセス設定 — Connectorsの読み込みを3モードで管理するにまとめています。