Claude Media
BedrockのMythos Previewがus-east-1限定である理由

BedrockのMythos Previewがus-east-1限定である理由

Amazon BedrockのClaude Mythos Previewは他の開放モデルと違いグローバルエンドポイントに対応せず、使えるリージョナルエンドポイントもus-east-1一択です。制約の中身と背景を確認します。

Amazon Bedrock経由のClaude Mythos Previewには、他の開放モデルには無い制約があります。グローバルエンドポイントに対応せず、選べるリージョナルエンドポイントもus-east-1(バージニア北部)一択です。東京やフランクフルトなど他のリージョンでリージョナルエンドポイントを立てたくても、Mythos Previewでは選択肢に入りません。この制約の中身と、なぜそうなっているのかを確認します。

グローバル・リージョナルの2種類とMythos Previewの対応状況

Bedrockのエンドポイントには2種類あります。グローバルは全リージョンへ動的にルーティングする方式で、可用性を優先し追加料金はかかりません。リージョナルは指定した単一リージョンにルーティングを固定する方式で、データ所在地の要件を満たす代わりにグローバルより10%高い料金がかかります。

公式ドキュメントはグローバルエンドポイントが使えるモデルを名指しで列挙しています。Claude Fable 5.1・Fable 5・Opus 5・Opus 4.8・Opus 4.7・Sonnet 5・Haiku 4.5の7モデルです。この一覧にMythos Previewは入っていません。ドキュメントは続けて「Claude Mythos Previewはリージョナルのみで、us-east-1で利用できます」と明記しています。つまりMythos Previewはグローバルエンドポイントを持たず、リージョナルエンドポイントもus-east-1の1リージョンにしか展開されていません。

モデルグローバルエンドポイントリージョナルエンドポイント
Sonnet 5 / Opus 4.7 / Opus 4.8 / Haiku 4.5グローバルエンドポイント対応リージョナルエンドポイント複数リージョンで選択可
Fable 5グローバルエンドポイント対応リージョナルエンドポイント複数リージョンで選択可
Fable 5.1グローバルエンドポイント対応リージョナルエンドポイントus-east-1のみ
Mythos Previewグローバルエンドポイント非対応リージョナルエンドポイントus-east-1のみ

Bedrockは27のAWSリージョンをカバーしていて、東京(ap-northeast-1)やフランクフルト(eu-central-1)、アイルランド(eu-west-1)などもリージョナルエンドポイントに対応しています。ただしこれはBedrockというサービス全体のリージョン展開であって、個々のモデルがそのすべてに載っているわけではありません。Mythos Previewが載っているのはus-east-1だけです。東京リージョナルやアイルランドリージョナルは、Sonnet 5やOpus 4.8のような開放モデルでは選べても、Mythos Previewでは選択肢に出てきません。

エンドポイントとモデルIDの実例

Bedrockのエンドポイント形式はhttps://bedrock-mantle.{region}.api.aws/anthropic/v1/messagesで、モデルIDはanthropic.という接頭辞を持ちます。Mythos Previewの場合、{region}に入る値は事実上us-east-1で固定されるため、実際に呼び出すエンドポイントは次の1つに絞られます。

curl https://bedrock-mantle.us-east-1.api.aws/anthropic/v1/messages \
  --aws-sigv4 "aws:amz:us-east-1:bedrock-mantle" \
  --user "$AWS_ACCESS_KEY_ID:$AWS_SECRET_ACCESS_KEY" \
  -H "x-amz-security-token: $AWS_SESSION_TOKEN" \
  -H "content-type: application/json" \
  -H "anthropic-version: 2023-06-01" \
  -d '{
    "model": "anthropic.claude-mythos-preview",
    "max_tokens": 1024,
    "messages": [{"role": "user", "content": "Hello, Claude"}]
  }'

--aws-sigv4の引数とbedrock-mantle.{region}{region}は同じ値で揃える必要があります。ここを東京やアイルランドなど他のリージョンに変えても、許可リストに登録した専用アカウントであってもMythos Previewはそのリージョンに存在しないため呼び出せません。

us-east-1一択になっている背景

Mythos Previewは招待制のモデルで、Project Glasswing経由の招待に加えて、Bedrock Marketplaceチームによる許可リスト登録済みの専用AWSアカウントが必要です。申し込みの一般的な流れはAmazon BedrockでClaudeを使うにまとめてあるので、ここでは制約の技術的な側面に絞ります。

この専用アカウントの扱いは、公式ドキュメントの前提条件の節にも独立した項目として記載されています。Anthropicのアカウント担当者がAWSアカウントIDを申請すると、通常24時間以内にBedrock Marketplaceチームの処理が完了します。処理が終わるとAWSからウェルカムメールが届く形です。他の開放モデルのようにBedrockコンソールから数分でセルフサービス承認される経路ではありません。アカウント単位の許可リストという別枠の運用に乗っています。単一アカウント・単一リージョンで管理する運用は検証・監視の範囲を絞れます。複数リージョンへ同時展開するより、招待制のプレビュー段階と相性がよい構成です。

同じドキュメントは、Fable 5.1のリージョナルエンドポイントもus-east-1のみに区切っています。Fable 5.1はグローバルエンドポイントには対応済みなので、Mythos Previewとは条件が異なります。ただし新しく登場したモデルがまずus-east-1のリージョナル展開から始まり、後から他リージョンへ広がっていく順序自体は共通しています。招待制で専用アカウントの許可リストに依存するMythos Previewは、その中でも展開の初期段階に留まっていると見るのが自然です。

リージョナル10%割増を選べるとは限らない

グローバルとリージョナルの両方に対応するモデルなら、可用性を取るか10%安いグローバルを選ぶか、データ所在地の要件があるかで使い分けられます。Mythos Previewはグローバルという選択肢自体が無いため、この比較が成立しません。使うなら必然的にus-east-1のリージョナルエンドポイントの一択です。

なおus-east-1は「In-region only」に区分されるリージョンで、複数リージョンをまたぐ推論プロファイルを介さずに単一リージョンへ直接ルーティングできます。Mythos Previewを使う分には、この直接ルーティングがそのまま唯一の経路になります。

推論プロファイルとデータ所在地要件が絡む場面

Bedrockには米国・欧州・日本・豪州の4つのジオグラフィーをまたいでルーティングする推論プロファイル(inference profile)という仕組みがあります。Bedrock上でのIAM設定とクロスリージョン推論プロファイルの組み方はClaude Code Bedrock IAM設定とクロスリージョン推論プロファイルの組み方で扱っています。この仕組みは同じジオグラフィー内の複数リージョンにモデルが展開されていることが前提です。Mythos Previewはus-east-1の1リージョンにしか展開されていないため、複数リージョンをまたぐ推論プロファイルの対象にはなりません。

データ所在地の要件がある場合の影響はより直接的です。GA済みのモデルなら東京リージョナルや日本向け推論プロファイルでデータを国内に留められますが、Mythos Previewにその選択肢はありません。日本からClaudeを使う際の提供経路全体の整理はClaudeを日本から使う提供経路で扱っています。Mythos Previewを日本国内リージョンで動かす手段はありません。

米国外からus-east-1へ直接アクセスする構成自体は珍しくありません。ただし可用性の面でも違いがあります。グローバルエンドポイントはAWSが複数リージョンへ動的にルーティングするため、特定リージョンで障害が起きても他リージョンへ自動で切り替わります。Mythos Previewはこの仕組みの外にあるため、us-east-1で障害が起きた場合の代替リージョンがありません。検証・評価目的の利用が中心であるうちは実務上の影響は小さめです。本番投入を検討する段階では、単一リージョン依存であること自体を前提に置く必要があります。

Claude Codeから使う場合の設定ポイント

Claude CodeはBedrockのリージョンをAWS_REGIONAWS_DEFAULT_REGION → AWSプロファイルのregionの順に解決します。既定のクロスリージョン推論プロファイルはus-gov. us. eu. apac. global.のいずれかのプレフィックスをリージョンから自動選択しますが、これは複数リージョンにモデルが展開されている前提の仕組みです。jp. au.ANTHROPIC_BEDROCK_REGION_PREFIXによる手動指定値で、自動選択の対象には含まれません。Mythos Previewはこの対象に入らないため、プレフィックス経由のルーティングに頼らず、リージョンをus-east-1へ直接固定する必要があります。

export AWS_REGION=us-east-1

/setup-bedrockウィザードでモデルをピン留めする場合も、対話中に選ぶリージョンをus-east-1にしておかないとMythos Previewの選択肢自体が出てきません。サービスティア(X-Amzn-Bedrock-Service-Tierヘッダー)の対応状況もモデルとリージョンの組み合わせで変わるため、Mythos Previewで特定のティアを使いたい場合は個別に確認が必要です。環境変数によるサービスティアの切り替え方はClaude Code Bedrockサービスティアにまとめています。

まとめ

Mythos PreviewはBedrock上でグローバルエンドポイントに対応せず、リージョナルエンドポイントもus-east-1の1つに限られます。他の開放モデルのように複数リージョンやグローバルから選ぶ余地はありません。招待制で専用AWSアカウントの許可リストに依存する展開方式と、新しいモデルがus-east-1から段階的に広がっていく順序を踏まえると、これは一時的な制約である可能性が高い構成です。一方で、データ所在地の要件にも推論プロファイルにも今のところ応えられません。Bedrock経由でMythos Previewを試す場合は、リージョンをus-east-1に固定する前提で環境を組む必要があります。

この記事を共有:XはてブLinkedIn