ClaudeとAdobe Customer Journey Analyticsで指標別レポートを出す
Adobe Customer Journey AnalyticsコネクタをClaudeに接続し、指標・ディメンション・セグメントを指定してレポートを実行する流れと、書き込み系ツールの扱い方をまとめます。
Adobe Customer Journey Analytics(以下CJA)コネクタは、Adobeが提供するClaude向けのコネクタです。自社のCJAに登録済みの指標・ディメンション・セグメントを指定してレポートを実行し、結果を会話の中で受け取れます。分析画面を開かずに「先月の流入元別の購入者数」を引くような使い方が中心になります。
Adobe CJAコネクタでできること
コネクタ一覧では、カテゴリが「Data & analytics」、提供元がAdobe、追加時期が2026年5月、サインインが必要と示されています。接続先URLは https://cja-mcp.adobe.io/mcp で、Anthropic verifiedの表示が付いています。
説明文によると、CJAのデータに対して指標・ディメンション・セグメントを問い合わせ、データを取得し、セグメントや計算指標(calculated metrics)を作成・管理できます。結果は会話の中で返ります。
隣り合う話題として、AdobeにはMarketing Agentという別のコネクタもあります。キャンペーンやオーディエンスの洞察を扱うこちらはClaudeにAdobe Marketing Agentを接続する手順と準備にまとめています。CJAコネクタは、分析基盤のレポートを直接実行する側です。
公開されているツールを役割別に見る
一覧ページのTools欄には24個のツール名が並び、末尾に「Show all 26 tools」とあります。名前の接頭辞で分けると次の5群です。各ツールの説明文は一覧ページに載っていないため、役割は名前からの見立てです。
| 群 | ツール名 |
|---|---|
| describe系(7) | ツール名describe_Cja / describe_Dimension / describe_Metric / describe_Project / describe_Audience / describe_Segment / describe_Calculated_Metric |
| find系(8) | ツール名find_DataViews / find_Dimensions / find_Metrics / find_Segments / find_CalculatedMetrics / find_Audiences / find_DateRanges / find_Projects |
| 実行・検索 | ツール名run_Report / search_Dimension_Items |
| list系(3) | ツール名list_Component_Usage / list_FrequentlyUsedWith / list_SimilarTo |
| upsert系(4) | ツール名upsert_Segment / upsert_CalculatedMetric / upsert_Audience / upsert_Project |
一覧ページに表示されるのは24個の名前だけで、残り2個の名前は載っていません。レポートを出す中核は run_Report で、それ以外は「何を指定できるか」を調べる探索用か、セグメントなどを作る側です。
接続の流れ
手順は他のコネクタと共通です。Claudeのコネクタ一覧でAdobe Customer Journey Analyticsを選び、追加してAdobeアカウントでサインインします。
TeamまたはEnterpriseプランでは順序が変わります。先にOwnerまたはPrimary Ownerが組織設定のConnectorsから「Add to your team」で有効化し、そのあと各メンバーが個別に認証します。有効化しただけでは誰にもアクセス権は付きません。
プラン別の利用可否は、CJAコネクタの一覧ページに記載がありません。追加ボタンが出るかどうかで自分の環境を確かめてください。
接続したあとは、チャット左下の「+」(または「/」)から「Connectors」を開き、使いたいコネクタを会話ごとにオンにします。接続しただけでは、その会話で使うことにはなりません。コネクタを10個以上有効にしている場合は、同じメニューの「Tool access」を「On demand」に切り替えると、会話に使える余裕が増えます。
接続の確認や解除は「Customize > Connectors」で行います。接続済みのサービスが一覧で並び、切断、接続設定の変更、権限とアクセス範囲の確認ができます。使わなくなったコネクタは、この画面から切断しておけます。
Claudeはコネクタ先のサービスで本人が持つ権限を引き継ぎます。CJAで見えないデータ表示は、Claudeからも引けません。逆に、CJA側で閲覧できるデータビューならClaudeからも対象になります。
指標・ディメンション・セグメントを指定してレポートを出す
CJAのレポートは、行にディメンション、列に指標を置く表が基本形です。Adobeのドキュメントでは、Pageディメンションに「People」指標を合わせると、ページ別の訪問者数ランキングになる例が挙がっています。Claudeに頼むときも、この「行・列・絞り込み」の3点を言葉にすると意図が通りやすくなります。
依頼文の一例を示します。
データビュー「Web全体」を使って、直近30日の
- 行: マーケティングチャネル
- 列: People(訪問者数)と注文数
- セグメント: 初回訪問のみ
でレポートを出してください。
指標・ディメンション・セグメントの名前は、
先にCJA側で検索して正確な名前を使ってください。最後の一文が実用上の要です。CJAにはデータビューごとに独自の名前の指標やディメンションがあります。先に find_ 系で候補を探させてから run_Report を呼ぶ順にしておくと、名前の取り違えを減らせます。この順序は運用上の工夫であり、コネクタ側が強制するものではありません。
やり取りの流れは、たとえば次のようになります。
- 依頼: 「購入関連の指標を探して、候補を見せてください。まだレポートは実行しないでください」
- 候補の提示: Claudeが
find_Metricsやfind_Dimensionsで名前を引き、データビュー内の指標・ディメンションの名前を返す - 確認: 返ってきた名前から、自分が使いたいものを選んで伝える
- 実行: 選んだ名前で
run_Reportを呼んでもらう
候補の確認を挟むぶん往復は増えますが、似た名前の指標を取り違えたままレポートが出るのを避けられます。
ディメンションと日付の指定
標準ディメンションとして、データビュー作成時にDay・Week・Month・Quarter・Hour・Day of Weekなどの時間系が自動で入ります。ほかに、セッション内のイベント順を表すEvent Depthもあります。月別の推移や曜日別の傾向は、独自のディメンションを作らなくても依頼できます。
ディメンションの作成はCJA管理者がデータビュー内で行います。自社独自のディメンションが見つからないときは、Claudeに作らせる前にデータビューの設定を管理者に確かめてください。
期間は「直近30日」のような言い方でも通りますが、find_DateRanges が日付範囲の候補を探すツールとして並んでいます。保存済みの日付範囲があるなら、その名前で指定したほうが再現性が高まります。
結果を読むときの確認点
返ってきた表は、そのまま報告に貼る前に2点を見てください。1つ目は、使われたデータビューと期間が意図どおりか。2つ目は、セグメントの定義が自分の想定と一致しているかです。
この2点は、依頼文の末尾で先回りして答えさせられます。
結果の表の前に、次の3点を書いてください。
- 使ったデータビューの名前
- 集計した期間(開始日と終了日)
- 適用したセグメントの名前と条件CJAの画面と数字が食い違うときは、原因を順に絞ります。まずデータビューが同じか、次に期間とタイムゾーンの扱いが同じか、最後にセグメントの条件が同じかを見てください。ここまで合うなら、指標が計算指標か標準指標かの取り違えを疑います。どの段階で差が出たかは、Claudeに「各段階の設定を書き出して」と頼むと追いやすくなります。Claudeは本人の権限でデータを引くため、閲覧権限が違うアカウントでは、同じ依頼でも見えるデータが変わる場合があります。
セグメントを作る前に知っておくこと
CJAのセグメントには、Workspaceプロジェクトの中だけで使う「クイックセグメント」と、プロジェクトをまたいで使えるセグメントがあります。Adobeのドキュメントによると、クイックセグメントは条件が3つまでで、入れ子のコンテナや順序条件は使えず、他のプロジェクトや他のユーザーに共有できません。
この違いは、Claudeに「セグメントを作って」と頼むときに効きます。会話で作ったセグメントを後でチームの分析でも使い回したいなら、プロジェクト限定ではなく共有できる形で作る必要があります。コネクタに upsert_Segment が並んでいるので、作成と更新はこのツール経由と見られますが、作られたセグメントの共有範囲は一覧ページに記載がありません。作成後はCJA上で共有状態を確認してください。
書き込み系ツールは承認制にしておく
upsert系の4ツール(セグメント、計算指標、オーディエンス、プロジェクト)は、レポートを読むだけの操作とは性質が違います。説明文は、セグメントと計算指標を「作成・管理」できると述べています。
Claudeのコネクタ設定では、ツールごとに権限を決められます。Team・EnterpriseのOwnerは、組織全体で読み取りは許可し書き込みは止める、といった制限を掛けられ、個々のメンバーはこの制限を上書きできません。設定は「Customize > Connectors」でコネクタを選ぶと出てくる「Tool permissions」で行い、読み取り専用のツールと書き込み・削除のツールがカテゴリ別に並びます。選べる状態はAlways allow・Needs approval・Blockedの3つです。
- 分析担当者向け:
run_Reportやfind_系をAlways allow、upsert_系をNeeds approvalにする - 閲覧中心の利用者向け:
upsert_系をBlockedにする - 注意点: Claudeで許可しても、CJA側に書き込み権限がなければ変更はできません
承認制にしておくと、共有のオーディエンスやプロジェクトを会話の流れで書き換えてしまう事故を防げます。コネクタの作成主体がAdobeである点も含め、組織の方針に合うかは接続前に確認してください。コネクタ一覧にも、信頼できる開発元のものだけを使うよう注意書きがあります。
周辺ツールとの使い分け
同じ「Claudeで分析データを引く」でも、入口は複数あります。
- GA4を使っているなら、Claude CodeにGA4のMCPサーバーを繋いで自然言語で分析する手順が入口になります。CJAはAdobe側の基盤で、GA4とは別のデータです
- メール配信やセグメントの分析なら、ClaudeとBrevoを連携する方法のように、配信ツール側のコネクタが近道です
- 施策の抜けをジャーニー全体で洗い出したいときは、Claudeでカスタマージャーニーマップを作成する手順で作った地図に、CJAのレポート結果を当てはめる使い方が考えられます
CJAの強みは、チャネルをまたいだ顧客の流れを1つのデータビューで扱える点です。その分、データビューの設計がレポートの質を左右します。Claudeに頼む前に、どのデータビューのどの指標を使うかを決めておくと手戻りが減ります。
まとめ
CJAコネクタの価値は、既に整備された指標・ディメンション・セグメントの定義を、Claudeの会話から呼べることにあります。新しい分析基盤を作るのではなく、定義済みの部品を言葉で組み合わせる道具です。
最初は読み取り系だけで試し、名前の検索、レポート実行、結果の確認という順を固めてください。セグメントや計算指標の作成は、権限をNeeds approvalにしたうえで、共有範囲を確かめながら進めるのが安全です。