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アフター点検の受付と保証期間の台帳をClaudeで作る手順 — 品確法の10年と保証書

アフター点検の受付と保証期間の台帳をClaudeで作る手順 — 品確法の10年と保証書

引渡し後の不具合受付を部位別に分類し、品確法の10年と保証書の期間を別々に照合する台帳の作り方です。Claudeのプロジェクトに条件を置き、期間内かどうかの判断材料を出させます。

無償か有償かを分ける期間は3層ある

引渡し後に届く「ここが壊れた」「ここから水が出る」という連絡を、部位別に分け、保証期間と照らして台帳に残す。その下ごしらえはClaudeに任せられます。ただし期間が一つではないので、先に層を分けておかないと台帳の判定列が崩れます。

層根拠中身
法定の10年根拠品確法94条・95条中身構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分。引渡しから10年
契約・保証書の期間根拠契約書、保証書、アフターサービス基準書中身設備や内装など。書面に書かれた年数が基準
適用外・要確認根拠品確法2条2項、96条中身新築住宅に当たらない、一時使用目的、症状から部位が決まらない

出力は担当者が判断するための材料です。無償にするか、有償の見積に回すかは、保証書の条項と現地の確認を経て人が決めます。

法定の10年が及ぶのは2つの部分だけ

住宅を新築する建設工事の請負契約では、請負人は注文者に引き渡した時から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について、民法上の担保責任を負います(94条1項)。新築住宅の売買では、売主が同じ範囲を負います(95条1項)。

ここでいう「瑕疵」は、種類または品質に関して契約の内容に適合しない状態のことです(2条5項)。ただし94条1項の括弧書きにより、構造耐力にも雨水の浸入にも影響のないものは除かれます。

対象の部分は施行令5条が列挙しています。

  • 構造耐力上主要な部分: 基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床版、屋根版、横架材のうち、自重や積載荷重、積雪、風圧、土圧、水圧、地震などを支えるもの
  • 雨水の浸入を防止する部分: 屋根、外壁、これらの開口部に設ける戸・わくその他の建具。雨水を排除するための排水管のうち、屋根や外壁の内部、または屋内にある部分

洗面台下の水漏れや壁クロスの隙間は、この列挙に入りません。この2つは保証書の年数で見ることになります。

保証書の年数が10年未満でも、法定部分は10年残る

94条2項は、1項に反する特約で注文者に不利なものを無効としています。95条2項も、買主に不利な特約を無効とします。保証書に外壁まわりの保証が10年未満と書いてあっても、条文の対象部分については10年の規定が働きます。

逆に、契約で期間を延ばすこともできます。97条は、責任を負うべき期間を引渡しから20年以内とすることを認めています。保証書に10年を超える年数があれば、その書面の値を台帳に入れます。

入口の確認が3つある

台帳に載せる前に、物件が品確法94条・95条の入口に立っているかを見ます。

  • 新築住宅か。2条2項は、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から1年を経過したものを除く)と定めます
  • 一時使用のため建設されたことが明らかな住宅ではないか(96条は適用を除外)
  • 契約が「住宅を新築する建設工事の請負契約」か売買か。94条1項の文言は新築の請負契約に向けて書かれているため、リフォーム工事の請負は別途契約書で確かめます

物件ごとの該当可否はClaudeに決めさせず、契約書の写しを根拠に人が台帳の「契約形態」列へ入れます。

台帳の列は「原文」と「判定」を分けて持つ

受付メモは、口頭を聞き取った断片のまま届きます。症状の原文を消さずに残し、Claudeが付けた分類や判定は別の列に置くと、後から分類の誤りを直せます。

列入れる人内容
受付番号・受付日入れる人人内容連番と受付した日
物件ID・引渡日入れる人人内容引渡日が期間計算の起点
契約形態入れる人人内容請負・売買・その他
症状(原文)入れる人人内容聞き取ったままの文
気付いた日入れる人人内容依頼主が不具合を知った日
部位入れる人Claude内容症状から推定した部位
部位区分入れる人Claude内容構造主要部・雨水浸入防止部・設備・内装・不明
法定期間の満了日入れる人Claude内容区分が該当するときだけ、引渡日から10年
保証書の満了日入れる人Claude内容保証書の年数を引渡日に足した日
期間の判定入れる人Claude内容期間内・期間外・要確認の3値
根拠入れる人Claude内容保証書の条項番号か、品確法の条文
確認事項入れる人Claude内容現地で見るべき点

判定を「無償」「有償」にしないのが要点です。Claudeに出させるのは期間内かどうかまでで、無償にするかは会社の方針や現地の状況が絡むため、台帳の外で決めます。

「気付いた日」の列には理由があります。民法637条は、請負の目的物の不適合を注文者が知った時から1年以内に請負人へ通知しないと、追完請求や損害賠償などができなくなると定めます(ただし請負人が引渡し時に不適合を知り、または重大な過失で知らなかったときは適用されません)。品確法94条3項はこの637条を読み替えて、94条1項の瑕疵に当てはめています。売買では95条3項が民法566条を同じように読み替えます。

受付日と気付いた日が離れていれば、10年の内側でも通知の期間が別に問題になることがあります。この判断は法律の専門家に回す領域ですが、台帳に列があれば、回すべき受付が見つかります。

プロジェクトに条件を置き、受付メモを貼る

ここからが作業の本体です。ClaudeのProjectsは、独立した作業スペースとして、専用のチャット履歴とナレッジを持てます。ドキュメントやテキストをアップロードしてナレッジに置き、プロジェクト指示でClaudeの応答を方向づけます。無料アカウントでも使えますが、作れるプロジェクトは5つまでです。

有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)では、ナレッジが容量の上限に近づくとRAGモードが自動で有効になり、容量が最大10倍まで広がります。保証書が物件ごとに何十本もあるような会社では、この余裕が効きます。

TeamとEnterpriseでは、プロジェクトを組織内の特定のメンバーと共有できます。閲覧のみ、編集可の2段階があり、受付担当と点検担当で台帳の条件を共有する使い方に合います。

なお、新しいProjectsがベータで順次提供されており、チャットとCoworkでは既存のプロジェクトが当面いまの形のまま残ります。この記事の手順は、ナレッジとプロジェクト指示を使う現行の形に沿っています。画面の呼び名が変わっていたら、ナレッジと指示に当たる項目を探してください。

手順

台帳をつくる流れ

  1. 1

    保証書と契約書から条件を書き出す

    保証書の部位別の年数と、起算日の書き方(引渡日か、検査完了日か)をテキストにして、ナレッジに置きます。

  2. 2

    部位分類表を置く

    施行令5条の列挙を、構造主要部と雨水浸入防止部に分けた表にして加えます。

  3. 3

    プロジェクト指示に判定のルールを書く

    3値の判定、根拠の示し方、分からないときは「要確認」で返すことを書きます。

  4. 4

    受付メモを貼る

    1件ずつ、または1日分をまとめて貼り、台帳の行の形で返させます。

  5. 5

    満了日を人が検算する

    引渡日と年数から満了日を引き直し、根拠の条項が保証書にあるかを見ます。

プロジェクト指示の書き方

指示には、判定のルールと、決めつけを禁じる条件を入れます。次は書き方の一例です。

あなたは住宅のアフター点検の受付台帳を作る補助です。
ナレッジの「保証書条件」と「部位分類表」だけを根拠にします。
 
出力は台帳の1行ごとに次の列で返してください。
部位 / 部位区分 / 法定期間の満了日 / 保証書の満了日 /
期間の判定 / 根拠 / 確認事項
 
ルール:
- 判定は「期間内」「期間外」「要確認」の3値。無償・有償とは書かない
- 部位区分は、構造主要部・雨水浸入防止部・設備・内装・不明のいずれか
- 症状から部位を決められないときは、区分を「不明」、判定を
  「要確認」にして、確認事項に現地で見る点を書く
- 法定期間の満了日は、構造主要部か雨水浸入防止部のときだけ入れる
- 満了日は「引渡日 + 年数」で計算し、計算式を括弧で添える
- 保証書に条項がない部位は、条項番号を作らず「記載なし」と書く

「条項番号を作らない」の一文が効きます。根拠欄は、Claudeが空欄を埋めたくなりやすい列です。書面にない根拠を出させないために、ルールとして先に禁じておきます。

受付メモを貼ったときの返り方

引渡日が2024年5月20日の物件で、次の3件を受け付けたとします。保証書は、設備が2年、内装が1年という仮の値です。

受付 2026-10-19 / 物件A / 引渡日 2024-05-20
1. 窓のサッシまわりから、雨のあと壁紙の裏が湿る
2. 洗面台の下の収納に水が溜まっていた
3. リビングの壁紙の継ぎ目が開いてきた

返ってくる表は、例えば次のような形になります(例示であり、実際の出力は保証書や指示により変わります)。

症状部位区分法定の満了日保証書の満了日判定確認事項
1サッシまわりの湿り部位区分雨水浸入防止部法定の満了日2034-05-20保証書の満了日記載なし判定要確認確認事項浸入経路の特定。構造・雨水に影響する瑕疵かを現地で見る
2洗面台下の水部位区分設備法定の満了日該当なし保証書の満了日2026-05-20判定期間外確認事項保証書の設備条項と起算日の書き方を照合
3壁紙の継ぎ目部位区分内装法定の満了日該当なし保証書の満了日2025-05-20判定期間外確認事項保証書の内装条項と起算日の書き方を照合

1件目は10年の内側にありますが、「期間内」ではなく「要確認」としています。94条の対象は瑕疵であり、湿りの原因が雨水の浸入なのか結露なのかは、現地を見るまで決まらないからです。

2件目の洗面台下は、設備側の排水です。施行令5条2項2号が挙げる排水管は、雨水を排除するために設けたもので、屋根や外壁の内部、または屋内にある部分に限られます。洗面台まわりの給排水は、同じ列挙には入りません。

3件目は、引渡しから期間が過ぎています。ただし「期間外」は、依頼を断る結論ではありません。施工の状態に原因があるのか、経年の変化なのかによって、対応の方針は会社ごとに分かれます。ここは台帳が材料を出し、担当者が決める部分です。

別のチャットで検算させる

台帳の行を作ったチャットとは別に、検算専用のチャットを開きます。同じ文脈で自分の出力を点検させると、最初の解釈に引きずられるからです。

次の台帳の行について、数字と根拠だけを検算してください。
1. 引渡日 + 年数 = 満了日 になっているか、行ごとに引き直す
2. 部位区分が「構造主要部」「雨水浸入防止部」の行だけ、
   法定の満了日が入っているか
3. 根拠欄の条項番号が、添付の保証書にあるか
食い違う行だけを、理由つきで列挙してください。

検算の結果は、満了日の計算ミスと、根拠の取り違えを拾うのに向いています。起算日の書き方が保証書ごとに違う(引渡日の当日を含めるか、検査完了日を使うか)場合は、保証書の文言をそのまま貼って確かめます。

台帳が間違える場所を先に知っておく

次の4点は、運用で外しやすい箇所です。

  • 10年を全部位に当てはめる。設備や内装は保証書の年数で見ます
  • 症状の文から部位を決め打ちする。天井の染みが雨漏りか結露かは、現地を見るまで決まりません
  • 起算点を完成日にする。品確法の10年は引渡しの時からです(94条1項、95条1項)
  • 受付日だけを残し、気付いた日を残さない。通知の期間の判断材料が消えます

落とし穴

「期間内」を「無償」と書いた台帳

判定の列に「無償」と書いてしまうと、後から現地で原因が施主側にあると分かっても、台帳が結論を先取りした記録になります。期間の判定と、対応の決定は別の列に分けます。

個人情報を台帳に載せない貼り方

受付メモには、施主の氏名や連絡先、住所が混じります。台帳づくりに必要なのは、物件IDと症状と日付です。氏名や電話番号は「物件A」「施主1」のような記号に置き換え、対応表は別の場所で持つと、Claudeに貼る情報を減らせます。

チームで共有する場合は、プロジェクトを共有する範囲もあわせて決めます。共有を止めても既存の共有は残ります。組織で共有を管理する管理者は、設定を見直すときにその点を意識します。

争いになった受付をどこへ回すか

品確法の第六章は、住宅に係る紛争の処理体制を定めています。住宅性能評価書(建設時の評価書)が交付された住宅の紛争は、66条に定める紛争処理の機関が扱います。評価書のある物件で争いになった受付は、台帳の写しを添えて相談する選択肢があります。評価書のない物件は、この機関の対象に当たるかを先に確かめます。

台帳は、期間の判定を速くするための道具です。引渡し書類の漏れを引渡し時点で見つける手順は竣工図書・引渡し書類の点検で、契約書の契約不適合の条項を読む手順は取引基本契約書の審査で扱っています。台帳の行を点検の表に落とす型は、毒物劇物の管理台帳の点検とも共通します。

まとめ

アフター点検の台帳で最初に決めるのは、期間を法定の10年と保証書の年数に分けて持つことです。Claudeには、部位の推定、満了日の計算、根拠の提示までを任せ、判定は「期間内・期間外・要確認」の3値で止めます。

迷うのは、症状から部位が決まらない受付と、気付いた日が受付日より前の受付です。この2種類を「要確認」に集め、現地確認と専門家への相談に回す運用にすれば、台帳は無償対応の判断を早める材料として働きます。

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