ClaudeとAtlarを連携する方法 — 残高・取引・資金予測を会話で引く
AtlarのコネクタをClaudeに接続する手順です。組織側のOAuthポリシー(初期値は無効)、ユーザー側の読み取り専用と読み書きの選択、ツール名の分類、財務部門の日次確認の進め方をまとめます。
Claude Atlar連携とは — 資金管理のデータを会話で引く仕組み
Atlar連携は、財務部門向けのトレジャリー(資金管理)プラットフォームAtlarが提供するコネクタを、Claudeにつなぐ仕組みです。銀行口座、残高、取引、支払い、資金予測、資金運用の方針といったデータを、画面を開かずに自然文で問い合わせられます。
Connectorsディレクトリでは提供元がAtlar ABで、「Anthropic verified」の表示が付いています。カテゴリはFinancial services、追加時期は2026年8月、サインインは必須です。接続先のURLは https://mcp.atlar.com/mcp です。
Atlarは100を超える国の銀行とERPの接続をまとめ、資金管理、支払い、資金予測、銀行照合、投資を一つのプラットフォームで扱います。コネクタ経由のClaudeは、Atlarの画面と同じロールベースの権限と監査証跡の下で動きます。
ほかのコネクタとの共通点と違いは、次の3つです。
- 認証は組織単位と個人単位の二段で、組織の管理者が先に許可しないと誰も接続できない
- 接続時に「読み取り専用」と「読み書き」をユーザーが選ぶ
- 画面でできない操作は、Claudeからもできない
コネクタ全般の仕組みはClaudeのコネクタ解説にまとめています。ここではAtlar固有の手順と運用に絞ります。
先に決めること — 組織のOAuthポリシーは初期値が無効
最初のつまずきは、ユーザーが接続しようとしても拒否されることです。第三者のOAuthクライアントがAtlarに入れるかどうかは、組織のセキュリティ設定が決めます。初期値は「Disabled」で、この状態ではClaudeを含む外部のAIエージェントは誰も接続できません。
設定場所は、AtlarのSettings → Securityにある「Third-party OAuth client access policy」です。変更には organization:update 権限が要り、通常はAtlar組織のオーナーに限られます。
| 設定 | 意味 |
|---|---|
| Disabled | 意味外部のAIエージェントは一切接続できない(初期値) |
| Read-only | 意味データの読み取りだけ。作成・更新・削除はできない |
| Read and write | 意味認可したユーザーのロールの範囲で、API全体を使える |
効き方は掛け算です。エージェントの権限は、認可したユーザーのロールと、この組織ポリシーの両方で絞られます。ポリシーがRead-onlyなら、書き込み権限のあるロールのユーザーが接続しても、書き込みはできません。
Read-onlyにした場合は「Connection lifetime」も設定できます。ここで決めた期間が過ぎると、利用中かどうかにかかわらず接続が失効し、再認可が必要になります。Read and writeのときの有効期間は、ダッシュボードのセッションと同じです。
どれを選ぶかの考え方
財務データに初めてAIをつなぐ組織では、Read-onlyで始める構成が収まりのよい選択肢です。残高や取引を引くだけなら書き込みは要らず、支払いの作成や更新を許す理由が出てから、Read and writeへの切り替えを検討できます。Read-onlyなら失効期間も設定でき、接続が長期間残り続けることを避けられます。
ClaudeからAtlarに接続する手順
提供元のドキュメントが案内する流れは、管理者の作業とユーザーの作業に分かれます。
接続までの流れ
- 1
組織のポリシーを変える(管理者)
AtlarのSettings → Securityで、Third-party OAuth client access policyをDisabled以外にします。
- 2
コネクタを開く(各ユーザー)
ClaudeのSettings → Connectorsか、ディレクトリのAtlarのページを開き、接続ボタンを押します。
- 3
権限の水準を選ぶ(各ユーザー)
AtlarのダッシュボードでOAuthの画面に移ります。読み取り専用か、支払い作成などを含む読み書きかを選びます。
- 4
Allowで完了
Allowを押すとClaudeに戻り、Atlarが接続済みのツールとして並びます。
ディレクトリに出ないプランでは、カスタムコネクタとして手で追加する手段があります。URLは https://mcp.atlar.com/mcp です。カスタムコネクタはFree、Pro、Max、Team、Enterpriseの各プランで使えます。Freeは1個までです。Teamでは、追加できるのはOwnerとPrimary Ownerに限られます。
接続が通ったか試す
新しいチャットで次のように聞くと、接続を確かめられます。
全口座の現在の残高を教えてください。口座の一覧を出してください。どちらも、読み取りだけで済む質問です。ここで残高が返らないときは、後述の切り分けに進みます。
35個のツールは何を引けるか
コネクタページには、ツールが35個並びます。初期表示で見えるのは24個で、残りは「Show all 35 tools」を開くと出ます。ページに載っているのは各ツールの名前だけで、動作の説明はありません。名前の付き方から、見えている24個を対象ごとに分けると次のようになります。
ツール名の対象別の分類
口座・残高・取引
search_accounts、get_account_groups、get_transaction_details、query_external_accounts、query_entities。支払い・口座振替
get_payment_details、query_credit_transfer_batches、query_credit_transfer_templates、query_payment_schedules。予測・分析
forecast、cashflow_forecast、query_scenarios、analytics_describe_dataset、analytics_raw_data、analytics_statistics。運用・方針・承認
get_treasury_policies、query_approval_chains、query_roles、query_categorization_rules、query_sweeping_rules。投資・借入
query_portfolios、query_holdings、query_holding_activities。
このほか query_third_parties が第三者(取引先や銀行など)を指す名前です。折りたたまれた11個の名前は、ページを開いて確かめられます。
見えている24個は、query、search、get、analytics、forecast といった語で始まります。ただし、ツール名の接頭辞だけでは、書き込みを伴わないとまでは言えません。書き込みの可否は、前節の組織ポリシーと、接続時に選ぶ水準で決まります。
日次の資金確認をClaudeに任せる進め方
使いどころとして想定しやすいのは、財務部門の朝の確認です。口座ごとの残高、前日の入出金、承認待ちの支払いを見て回る作業を、1回の依頼にまとめます。次の文面は、Atlarのドキュメントが挙げる問いかけ例を組み合わせた依頼の一例です。
全口座の現在の残高を一覧にしてください。
続けて、直近7日間の取引のうち、金額の大きい順に10件を出してください。
最後に、承認待ちの口座振替があれば教えてください。3つの質問は、提供元の例「全口座の残高」「口座ごとの直近7日の取引」「承認待ちの口座振替の一覧」にそれぞれ対応します。
返ってきた数字は、画面の値と突き合わせる
Claudeの答えがどの形になるかは、依頼の仕方とデータ次第です。最初の数回は、同じ質問の答えをAtlarの画面と並べて見てください。口座の絞り込み条件や通貨の扱いがずれていないかを、数字の食い違いから確かめられます。
資金予測の問い合わせ
コネクタには forecast、cashflow_forecast、query_scenarios といった予測まわりのツール名が並びます。Atlar側の予測機能は、エンティティ単位か口座単位のどちらかで組みます。トップダウンの見積もり(forecast estimates)と、積み上げ式の予定取引(forecasted transactions)を併用できる設計です。見積もりは、ARIMAやSMAといった統計モデルで過去データから生成することもできます。
どの水準で予測を組んでいるかは、問い合わせの答えの粒度に直結します。口座単位で予測を作っていれば口座ごとの先行きを聞けますが、エンティティ単位ならグループ全体の見通しが主役になります。聞く前に、自社の予測がどちらかを確かめておくと、期待と答えのずれが減ります。
予測を表計算ソフトで追う手順は、資金繰り表を週次で更新して資金ショートの兆候を見つける手順にあります。コネクタで引いた数字をそこへ持ち込む使い方もあります。連結の財務データを引くコネクタにはDatarails FinanceOSのコネクタがあり、決済データの調査ならCheckout.comのコネクタが近い入口です。
ロールと承認チェーンは、そのままClaudeの境界になる
Atlarの権限は、ロールで決まります。ロールは、ダッシュボードで何を見られ、何を操作できるかをまとめた権限の束です。1人が複数のロールを持てますが、有効なのは同時に1つです。
提供元のドキュメントは、オーナーのロールを持つユーザーには日常業務用のロールを別に付け、強いロールの使用を必要な場面に絞るよう勧めています。コネクタの接続にも、同じ考え方が当てはまります。オーナーのアカウントで認可すると、エージェントの権限の上限もオーナーに寄ります。日次確認に使うなら、必要な口座だけを見られるロールのアカウントで認可する構成が、境界を狭く保てます。
支払いには承認チェーンが付きます。支払いが作られると、すべての承認チェーンの条件が評価され、満たしたチェーンの承認ステップが支払いに加わります。同じチェーンの中では、同じユーザーが2つ以上のステップを承認することはできません。承認チェーンを後から変えても、反映されるのは新しい支払いだけです。
読み書きの水準でClaudeに支払いの作成を許した場合でも、承認の段取りはAtlarの側にあります。作成と承認を分ける運用は、そのまま残ります。
つまずいたときの切り分け
提供元のトラブルシューティングは3つです。
接続や操作がうまくいかないときの確認順
- QディレクトリにAtlarが出ているか答えがいいえのとき答えがはい
Claudeのプランがディレクトリのコネクタに対応しているかを確かめます。出ないときは、URLを指定するカスタムコネクタで追加できます。Teamのカスタムコネクタを追加できるのはOwnerとPrimary Ownerだけなので、権限のある人に頼みます。
- QOAuthの画面で拒否されないか答えが拒否される答えがはい
Atlar組織のオーナーに、Third-party OAuth client access policyの設定を見てもらいます。Disabledのままだと、管理者が変えるまで接続できません。
- Q期待した操作がClaudeにできない答えができない答えがはい
接続時に選んだ水準が読み取り専用になっていないかを確かめます。読み書きを選んでいても、認可したユーザーのロールと組織ポリシーを超える操作はできません。
それでも解決しない
AtlarのSettings → Securityと、プロフィールにある認可の一覧(app.atlar.com/profile)を見直します。
接続を外す・見直す
認可の取り消しは、Atlarの側で行えます。プロフィールページ(https://app.atlar.com/profile)で、付与済みの同意の一覧を確認し、不要なものを取り消せます。
組織としてClaudeからの接続を止めたいときは、ポリシーをDisabledに戻します。Read-onlyに絞って失効期間を短く保つ手もあります。
セキュリティ面ではMCPの認可仕様に沿っていて、具体的にはPKCE付きのOAuth 2.1認可コードフロー、許可リスト方式のクライアント(公式のClaude.aiとClaude Codeのクライアントなど)、そして mcp.atlar.com に限定されたアクセストークンです。トークンはAtlarのREST APIにはそのまま通りません。
Atlarを使う前の前提
導入はキックオフから始まる段階的なプロジェクトです。組織の設定、銀行などの第三者の接続、ERPの連携、ロールと承認チェーンの設計、決済のテストを経て、全社に展開します。つまり、Claudeに接続する前に、Atlar自体の導入が済んでいる必要があります。コネクタは、導入済みのAtlarのデータを引くための入口です。
Atlarの契約や料金、コネクタ利用に追加費用が掛かるかどうかは、コネクタページとドキュメントに記載がありません。確かめたい場合は、Atlarの営業窓口への問い合わせが入口です。
まとめ
Atlar連携は、組織側のOAuthポリシー、ユーザー側の読み取り専用か読み書きかの選択、ロールと承認チェーンの三層で境界が決まります。最初の接続でつまずく原因は、初期値のDisabledがほとんどです。日次の残高と取引の確認から始めて、画面の値と数回突き合わせ、問題がなければ予測や支払い関連の質問に広げる、という順番が組みやすい進め方です。