Claude DesktopのCPUが張り付く原因はCoder連携のポーリングバグ
Claude DesktopのCPU使用率が下がらない場合、未使用でも30秒ごとに走るCoder.comワークスペース検出が原因のことがあります。原因の切り分け方と現状の対処法をGitHub issueの一次情報からまとめます。
Claude DesktopでCPU使用率が高止まりし続ける場合、原因はCoder.comワークスペース検出のバックグラウンドポーリングであることがあります。Coder.comを一度も使っていなくても、メインプロセスが30秒間隔で検出処理を走らせ続け、rendererプロセスとGPUプロセスがCPUを消費し続けます。GitHub issueで報告された一次情報をもとに、症状の見分け方と現状有効な対処法をまとめます。
Claude DesktopのCPUが張り付く症状
Claude Desktop(Windows版)を起動したまま放置すると、rendererプロセスとGPUプロセスの累積CPU使用率が下がらず、タスクマネージャーの詳細タブでclaude.exeの複数行が継続的にCPU時間を積み上げていきます。ウィンドウを閉じてシステムトレイに収めても症状は止まりません。
瞬間的なCPU使用率は低く出るため、タスクマネージャーを数秒眺めるだけでは見逃しやすいのが厄介な点です。GitHub issue #60024の報告者は「5秒ウィンドウのライブサンプルでは瞬間CPU%は低く出るが、累積では継続的にCPUを消費している」と説明しています。累積CPU列(Detailsタブで列を追加できます)を数分単位で確認しないと、この症状には気づきにくくなっています。
Claude Desktop自体の基本操作はClaude Desktopとは — インストールから使い方・設定までで扱っていますが、この記事で扱うCPU張り付きはアプリの通常機能ではなく不具合(バグ)です。Coder.comのアカウントを持っていない、Coder CLIを一度もインストールしたことがないユーザーでも発生します。
原因はCoder.comワークスペース検出の30秒ポーリング
この症状の原因は、Claude Desktopに組み込まれているCoder.com連携のワークスペース検出機能です。Coder.comと連携する設定をしていなくても、メインプロセスが30秒ごとにワークスペースの検出を試み続けます。
Coder CLIがPATH上に見つからない環境では、検出のたびにnew Error()でスタックトレースを生成し、それに加えてapi.anthropic.com宛てのOAuthトークンキャッシュ参照が1サイクルごとに走ります。main.logには次のようなログが30秒間隔で延々と記録されます。
[info] [Coder] workspace discovery failed: Error: coder CLI not found on augmented PATH
[info] [oauth] looking up token for orgId=<redacted>, cacheKey=<redacted>...
[info] [oauth] using cached token for orgId=<redacted>
(30秒後に同じパターンが繰り返される)issue #60024の報告者が提出したmain.logには、このworkspace discovery failedが単一ファイル内に7,966回記録されていました。約66時間分のログに相当する量で、Coder.comを使う意思のないユーザーの環境でも検出処理が止まらないまま蓄積し続けていたことになります。
別のissue #58732はI/O側から同じ根本原因を報告しています。claude.exeはシステムのPATHに含まれる全ディレクトリに対して、coder.exe・coder.bat・coder.cmd・coder.ps1の4種類のファイルを30秒ごとに探しに行きます。この走査はリムーバブルドライブやアーカイブ用の外付けドライブも対象に含み、ドライブがPCから切断されてPATH NOT FOUNDが返る状態になった後もスキャンを続けます。ドライブがスピンダウンできない、ネットワークドライブへの不要なトラフィックが発生し続けるといった副作用も報告されています。
なお「ワークスペース」はClaude Code側にも別の意味で登場する語です。Remote Control起動時に出るWorkspace not trustedエラーはGitリポジトリの信頼ダイアログに関するもので、本記事で扱うCoderワークスペース検出とは無関係の別機能です。名前が似ているため混同しないように注意します。
Coder CLIを追加インストールすると逆に悪化する
「Coderと連携させれば検出が成功して収まるのでは」と考えてCoder CLIを追加インストールするのは逆効果です。issue #60024の報告者は実際にこの回避策を試し、悪化することを確認しています。
Coder CLIが導入済みだが未認証の状態では、検出のたびに子プロセスcoder.exeが起動し、coder listコマンドを実行し、exited 1: ... not logged inのエラーで終了します。Claude Desktop側はこの標準エラー出力をラップしてnew Error()のスタックトレース付きエラーを生成します。CLI不在時のPATHウォークだけのコストに比べ、フルのプロセス起動・標準エラー読み取り・エラー生成・OAuth参照が毎サイクル積み重なる分、負荷はさらに重くなります。
| Coder CLIの状態 | 30秒ごとに発生する処理 |
|---|---|
| 未インストール | 30秒ごとに発生する処理PATHウォーク + Error生成とスタックキャプチャ + OAuthトークン参照 |
| 導入済み・未認証 | 30秒ごとに発生する処理上記に加えて子プロセスの起動 + 標準エラー出力の読み取り |
| 導入済み・実環境に認証済み | 30秒ごとに発生する処理issue内では未検証(実際にCoderワークスペースを使うユーザーの計測は無し) |
issueには具体的な計測値も共有されています。32スレッドの9950X3D環境・3時間のセッションで、rendererプロセスが2,246CPU秒(1コアの約20%相当を継続消費)、gpu-processが1,627CPU秒(約15%相当)を記録したという報告があります。2つを合わせると、CPU時間としては約1コア分を継続して使い続けている計算になります。
ログで原因を切り分ける
自分の環境で同じ不具合が起きているかは、ログファイルを直接確認すると切り分けられます。Windows版のログは次のパスに置かれています。
Get-Content "$env:LOCALAPPDATA\Packages\Claude_pzs8sxrjxfjjc\LocalCache\Roaming\Claude\logs\main.log" -Wait -Tail 20 | Select-String "workspace discovery"このコマンドを実行した状態でClaude Desktopを起動したままにし、30秒ごとにworkspace discovery failed(またはCoder CLI導入済みの場合はworkspace discovery関連の別のエラー文字列)が流れてくれば、この不具合に該当します。行が出てこない場合は、CPUの高止まりは別の原因である可能性が高くなります。
有効な対処は今のところトレイからの完全終了のみ
Claude Desktopの設定画面にCoder連携を無効化するトグルはなく、ワークスペース検出だけを止める公式な設定項目もありません。ウィンドウを閉じてシステムトレイに収める操作(Xボタン)はポーリングを止めないため、症状は続いたままになります。
issueの報告者は改善案として、①Coder連携自体をオプトイン化する、②検出に失敗したらセッション中は再試行しないようネガティブキャッシュする、③想定内の失敗にnew Error()のスタックキャプチャを使わない、④接続確認のために毎回子プロセスを起動しない、⑤ポーリング間隔を30秒より大幅に延ばす、⑥ウィンドウが非表示の間はポーリングを一時停止する、⑦OAuthトークン参照をこのループから切り離す、の7点を優先度順に提案しています。このうち実装コストが低く効果が大きいのは②のネガティブキャッシュで、起動時に一度だけ判定してセッション中は再テストしない方式に変えるだけで、CLI未インストール時と導入済み・未認証時のどちらの負荷も一度に解消できる見立てです。
似た症状の別の不具合との見分け方
Claude DesktopのCPU高止まりは、Coder連携のポーリング以外の原因でも起こります。代表例が、main.logのログローテーションが完了しないまま無限ループする不具合(issue #73768)です。両者は症状が似ていますが、ログの手がかりと発生条件が異なります。
| 観点 | Coderワークスペース検出(#60024 / #58732) | ログローテーションループ(#73768) |
|---|---|---|
| ログの手がかり | Coderワークスペース検出(#60024 / #58732)main.logにworkspace discovery failedが30秒おきに記録される | ログローテーションループ(#73768)main.logが10MiBのローテーション閾値を超えても縮小されない |
| 発生条件 | Coderワークスペース検出(#60024 / #58732)Coder.comを使っていない環境でも常時発生 | ログローテーションループ(#73768)main.logが閾値(約10.48MB)を超えたときに発生 |
| 負荷の性質 | Coderワークスペース検出(#60024 / #58732)Errorのスタックキャプチャ + OAuth参照(CPU計算主体) | ログローテーションループ(#73768)ファイルシステムのメタデータ操作の連打(実データの書き込みは無し) |
| 回避策 | Coderワークスペース検出(#60024 / #58732)トレイアイコンから完全終了する以外に無い | ログローテーションループ(#73768)ログファイルを手動で削除・退避してローテーションをやり直す |
どちらの不具合も、Claude Code CLI自体には確認されていません。CLI側にもCPU関連の不具合は過去にあり、たとえばClaude Code v2.1.191では/clear前の会話を/rewindで復元できるようにする変更と合わせて、CPU使用率を約37%削減した修正が入っています。ただし今回扱っているCoder連携の検出処理はClaude Desktop(Electron製のGUIアプリ)固有の機能で、ターミナルで動くCLI版のClaude Codeには実装されていません。
OAuthトークンキャッシュの参照が絡む不具合という点では、CLI側のClaude Code v2.1.203でも、macOSでバックグラウンドエージェントの動作が遅くなる問題とトークン失効の不具合が修正された実績があります。Desktop・CLIどちらも同じ認証基盤を共有しているため、トークン参照まわりの不具合は両方の面で個別に発生し得ます。
この不具合はまだ修正されていません
issue #60024は、報告者自身がより早く開設されていた#58732の重複と判断し、証拠を#58732側に統合したうえでクローズしています。修正が入ってクローズされたわけではありません。#58732も、その後の動きが止まった状態で自動クローズされており、いずれのissueにも「修正した」というAnthropicからのコメントは付いていません。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2026-05-13 | 出来事#58732が開設される(PATH全体を毎30秒走査するI/O側の報告) |
| 2026-05-17 | 出来事#60024が開設される(CPU消費を計測したcompute側の報告) |
| 2026-05-17 | 出来事報告者が#58732との重複を確認し、計測値を統合して#60024をクローズ |
| 2026-06-16 | 出来事#58732がbotにより「inactive」としてクローズ(修正マージによるものではない) |
| 2026-08-19 | 出来事#58732がロックされる(クローズ後7日間動きが無いため) |
公式のchangelogにも、Coder連携やワークスペース検出のポーリング間隔を変更したという記載は見当たりません。同じ症状に心当たりがある場合は、前述のログ確認コマンドでworkspace discovery関連の行が出るかを確かめたうえで、必要なタイミングだけClaude Desktopを起動し、使い終わったらトレイから終了する運用で当面しのぐことになります。
まとめ
Claude DesktopのCPUが張り付いて下がらない場合、Coder.comを使っていなくてもワークスペース検出が30秒ごとに走り続けている可能性があります。main.logにworkspace discovery failedが繰り返し記録されていればこの不具合に該当し、Coder CLIを追加インストールする対処はかえって負荷を増やすため避けます。設定画面に無効化トグルは無く、システムトレイのアイコンから完全終了する以外に確実な回避策は報告されていません。関連するGitHub issueはどちらもクローズ済みですが、修正が入った形跡はなく、同じ症状が続く場合はログでの切り分けを先に行うのが確実です。