Claude Media
Claudeで交通誘導警備の見積を組む手順 — 人数・夜間・時間外をExcelで計算

Claudeで交通誘導警備の見積を組む手順 — 人数・夜間・時間外をExcelで計算

交通誘導警備の見積を、人数・拘束時間・休憩・開始時刻からExcelで組む手順です。夜間と時間外の時間数を数式で出し、単価の根拠欄と検定合格警備員の配置チェックを残す作り方を、検算つきで扱います。

交通誘導警備の見積は、工事の現場条件がそのまま金額に出ます。人数が1人違えば日額が変わり、夜間にかかる時間が1時間違えば割増の対象時間が変わります。

条件が変わるたびに電卓で組み直すと、日跨ぎの時刻や休憩の入れ方で数字がずれます。この記事では、現場条件を入力する1枚のシートから見積を自動で組み、単価の根拠欄と検定合格警備員の配置チェックまで残すExcelの作り方を扱います。シートの下書きと数式の点検にはClaude for Excelを使い、金額の最終確認は人が受け持つ分け方です。

入力する条件は7つに絞る

見積の入力欄を増やしすぎると、現場担当が埋められずに空欄のまま回ります。金額を動かす条件だけに絞ると、次の7つで足ります。

入力項目例金額への効き方
開始時刻例21:00金額への効き方夜間にかかる時間を決める
拘束時間例9時間金額への効き方実働と時間外の元になる
休憩時間例1時間金額への効き方実働から引く
うち夜間帯にかかる休憩例0時間金額への効き方夜間時間から引く
人数例2名金額への効き方日額に掛ける
日数例5日金額への効き方全体に掛ける
休日区分例平日金額への効き方割増率の選択に使う

現場名や発注者名は別の見出し欄に置き、計算に使う欄とは分けます。計算に使う欄が混ざると、Claudeに数式を点検させたときに、どのセルが入力でどのセルが結果かを取り違えやすくなります。

人数の欄の隣には、もう1つ「検定合格警備員の人数」を置きます。理由は次の節で扱います。見積の金額は動かしませんが、場所によっては配置の条件が決まっているため、見積の段階で漏れを検出できる列にしておく価値があります。

動かせない3つの数字は法令側にある

見積の単価は会社ごとに決めるものですが、次の3点は法令に書かれていて、会社の都合で動かせません。シートの注記欄に条文の根拠を書いておくと、あとから金額の理由を聞かれたときに答えられます。

根拠

見積の裏にある3つの決まり

  • 深夜と時間外の割増

    労働基準法第37条は、深夜(午後10時から午前5時まで)の労働に通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を求めています。時間外と休日の割増率は政令で定める率以上で、2割5分から5割の範囲です。月60時間を超えた時間外は5割以上です。

  • 検定合格警備員の配置

    警備業法第18条は、専門的知識を要する種別の警備業務に、その種別の合格証明書を持つ警備員を就かせるよう求めています。交通誘導警備は、警備員等の検定等に関する規則が定める種別の1つです。

  • 契約に関する書面

    警備業法第19条は、契約を結ぶ前に契約の概要を記した書面を渡し、契約後は警備業務の対価などを明らかにした書面を渡すよう求めています。見積の合計は、この書面の金額と食い違わせられません。

検定合格警備員が必要になる場所

規則の第2条の表は、交通誘導警備のうち次の2つで、一級または二級の検定合格警備員を「交通誘導警備を行う場所ごとに、一人以上」配置するよう定めています。

  • 高速自動車国道または自動車専用道路で行うもの
  • 道路や交通の状況により、都道府県の公安委員会が道路における危険を防止するため必要と認めるもの

後者は、どの路線がこれにあたるかを都道府県の公安委員会が決めます。この記事では路線の一覧は扱いません。シートには「配置要件あり」の選択欄を設け、現場が該当するかを担当者が公安委員会の指定で確かめて入れる形にします。判定式は次のとおりです。

=IF(配置要件="あり",
    IF(検定合格人数>=1,"OK","要確認:検定合格者が0名"),
    "-")

人数の上限や、現場内に複数の場所がある場合の数え方までは、この式では扱えません。複数の場所を持つ現場では、場所ごとに行を分けて同じ式を置きます。

割増率は入力欄にして根拠を書く

割増率は、法令が決めているのは「以上」の下限です。見積の率は各社の賃金規程や社内の単価表で決まるため、シートでは率を入力欄にして、横に根拠の欄を作ります。

  • 夜間割増率: 25%(労働基準法第37条の下限。賃金規程の率に合わせる)
  • 時間外割増率: 25%(同上)
  • 休日割増率: 賃金規程の率を入れる(率は政令で定められ、この記事では固定しない)

時間外が深夜帯に重なる時間の扱いも、規程で決めておく項目です。二重に数えるか、率を足して1回で数えるかは、社会保険労務士など賃金規程に責任を持つ人が決めた方法をそのまま式に写します。Claudeに「どちらが正しいか」を聞いて決める項目ではありません。

3枚のシートに分ける

ブックは、入力・単価表・見積の3枚に分けます。1枚にまとめると、単価を直したときに見積の式を触ってしまいます。

手順

シートの役割

  1. 1

    入力シート

    前節の7項目と、割増率3つを置く。色付きのセルを入力欄にし、それ以外は式であることを見た目で分ける。

  2. 2

    単価表シート

    基本日額と時間単価を、適用期間つきの1行1単価で持つ。根拠欄に、単価の出どころと確認した日付を書く。

  3. 3

    見積シート

    入力と単価表を引いて、1名1日の金額と、人数・日数を掛けた合計を出す。契約書面の金額欄に写す数字はここだけにする。

単価表は縦持ちにします。列は次のとおりです。

列内容
適用開始内容2026-10 のような文字列
区分内容基本日額 / 時間単価
単価(円)内容数値のみ
根拠内容単価表の版、見積の相手先、改定通知の名称など
確認日内容単価を確かめた日

根拠欄が空の行は、見積シートで引いたときに「根拠なし」と表示する式にします。単価の出どころが分からない数字が、見積に混ざったまま送られるのを防ぐためです。公共工事の設計労務単価を単価の参考にする場合は、取り込みの手順を公共工事設計労務単価を積算の単価表に取り込む手順にまとめています。設計労務単価は割増や諸経費を含まないので、そのまま見積の単価にしない点もそちらで扱っています。

夜間・時間外の時間は式で出す

夜間にかかる時間は、開始時刻と拘束時間から機械的に決まります。目で数えると、22時をまたぐ現場で必ずずれます。Excelの時刻はシリアル値で1日が1.0なので、午前5時は5/24、午後10時は22/24、翌午前5時は29/24です。

入力シートのセルを次のように置いたとします。

B2  開始時刻          21:00
B3  拘束時間(h)       9
B4  休憩(h)           1
B5  夜間帯の休憩(h)   0
B6  人数              2
B7  日数              5

実働・時間外・夜間の各時間は、次の式で出します。

実働     B10  =B3-B4
時間外   B11  =MAX(0, B10-8)
終了時刻 B12  =B2+B3/24
夜間     B13  =24*(MAX(0,MIN(B12,5/24)-B2)
                  +MAX(0,MIN(B12,29/24)-MAX(B2,22/24)))-B5

夜間の式は、午前0時から5時までの重なりと、午後10時から翌午前5時までの重なりを足しています。拘束時間が24時間未満なら、この2区間で足ります。

1名1日の金額は、基本日額に時間外分と夜間分を足した形にします。

1名1日 =基本日額
        +B11*時間単価*(1+時間外割増率)
        +B13*時間単価*夜間割増率
合計   =1名1日*B6*B7

夜間分は、基本日額に夜間の時間単価の割増ぶんだけを足す形です。基本日額に夜間の時間がすでに含まれている前提なので、(1+夜間割増率)ではなく夜間割増率だけを掛けています。会社によっては夜間単価を別立てにしているため、ここは自社の単価表の考え方に合わせて直します。

落とし穴

日跨ぎの現場で終了時刻が1を超える

開始21:00に拘束9時間とすると、終了時刻は30/24で1.0を超えます。表示は翌6:00に見えても、値としては1より大きい数です。ここをTIME関数やMODで丸めると、翌日側の夜間が切り捨てられます。終了時刻の欄は丸めずに持ち、表示形式だけを[h]:mmにします。

Claude for Excelに頼む作業と、頼まない作業

Claude for Excelは、Excelに入れて使うアドインです。開いているブックの質問、数式の関係を保ったままの値の更新、エラーの原因探し、新しいモデルやテンプレートの作成を扱えます。回答にはセル単位の引用が付き、クリックで該当セルへ移動できます。ソート・フィルター・条件付き書式・入力規則のドロップダウンの作成も、直接頼める操作に入っています。

使い分けは次のようにします。

  • 頼む: 7項目の入力欄と3枚のシートの下書き、休日区分や配置要件のドロップダウン、数式の説明、他のセルに依存する式の点検
  • 頼まない: 単価の決定、割増率の決定、検定合格警備員が必要な路線かどうかの判定

単価と率は、会社の判断で決まる数字です。Claudeが埋めた数字は、根拠欄が空のままになるので、人が埋めるまで見積に使えない状態にしておきます。

下書きを頼む指示の例

次は例示です。範囲と出力先を具体的に書くと、意図しないセルの書き換えを防げます。

新しいブックに「入力」「単価表」「見積」の3シートを作ってください。
入力シートは B2〜B7 に、開始時刻・拘束時間・休憩・夜間帯の休憩・
人数・日数を置き、入力欄を薄い黄色にしてください。
単価表は列を 適用開始 / 区分 / 単価 / 根拠 / 確認日 とし、
単価は空欄のままにしてください。値は入れないでください。
見積シートは、根拠が空の単価を引いたら「根拠なし」と表示してください。

最後の2文が効きます。値を入れないよう指示しておくと、仮の単価が見積に混ざるのを避けられます。

数式の点検を頼む指示の例

式を入れたあとは、Claudeに自分の式を説明させます。

B13 の夜間時間の式がどのセルを参照しているか、セルごとに説明してください。
次に、開始時刻を 08:00、拘束時間を 10 にしたときの B13 の値を、
式の途中の値も含めて示してください。

説明が実際の式と食い違えば、その場で見つかります。食い違いが出たら、Claudeの説明を信じず、式そのものを直します。

自社の書式を指示欄に残す

アドインのサイドバーの設定にはInstructionsの欄があり、Excelでの会話すべてに適用されます。PowerPointやWordの指示とは別です。見積シートで毎回頼む書式を書いておくと、頼み直しが減ります。

金額は3桁区切りで円表示にする。
入力欄は薄い黄色、式のセルは塗らない。
値を入れる前に、どのセルに何を入れるかを先に示す。
単価・割増率のセルには数値を入れない。

手計算3ケースで検算する

式を入れたら、人が手で計算した結果と照らします。次は、基本日額14,400円・時間単価1,800円・夜間割増25%・時間外割増25%という仮の単価での3ケースです。実際の単価ではなく、式の確認のための数字です。

ケース条件夜間時間外1名1日合計
A夜間工事条件21:00開始・拘束9h・休憩1h・2名・5日夜間7h時間外0h1名1日17,550円合計175,500円
B昼間で延長条件08:00開始・拘束10h・休憩1h・2名・5日夜間0h時間外1h1名1日16,650円合計166,500円
C休憩が夜間帯条件21:00開始・拘束9h・休憩1h(夜間帯)・2名・5日夜間6h時間外0h1名1日17,100円合計171,000円

Aの手計算は次のとおりです。22時から翌5時までの7時間が夜間で、7×1,800×0.25=3,150円が夜間分です。基本日額14,400円との合計が17,550円、2名5日で175,500円になります。Bは延長の1時間が1×1,800×1.25=2,250円で、14,400円との合計が16,650円です。Cは夜間帯に休憩を取るため、7時間から1時間を引いた6時間になります。

3ケースが式の結果と一致したら、見積シートに現場を入れて使います。1つでも食い違えば、Claudeに式を直させる前に、どのセルの値が違うかを確かめます。実際の見積では、さらに開始時刻が22時ちょうどや午前5時ちょうどの境界ケースを1つ足しておくと安心です。

使える範囲と、使う前の確認

Claude for Excelが動くExcelの版には条件があります。Excel on the web、Microsoft 365のWindows版(ビルド16.0.13127.20296以降)、Mac版(バージョン16.46以降)で動き、2016や2019の買い切り版・ボリュームライセンス版、iPad、Androidでは動きません。事務所のパソコンが古いExcelのままなら、見積の作成だけ別のパソコンで行う運用になります。

マクロとVBAの操作、データテーブルも対応していません。見積書のPDF出力をマクロで自動化している場合、その部分はClaudeに任せられません。

また、最終的な顧客向け成果物を人の確認なしで出すことや、監査に関わる計算を検証なしで使うことは推奨されていません。見積は発注者に出る書類なので、金額の最終確認は人が行います。

外部から受け取ったファイルには、Claudeを操作する隠れた指示が入っている可能性があります。発注者や他社から届いた見積書を取り込むときは、信頼できるコピーで作業し、確認を求められた操作の内容を読んでから進めてください。

発注側の確認にも使える

警備会社から届いた見積を、発注側でこのシートに写して確かめる使い方もあります。人数・拘束時間・夜間の時間を入力して合計を出し、届いた金額と差があれば、割増の対象時間や単価の根拠を問い合わせる材料になります。複数社の見積を同じ条件にそろえる考え方は、相見積もりの比較表をClaude for Excelで作るに近い構成です。

金額の根拠は式と単価表の両方に残す

交通誘導警備の見積は、現場条件から機械的に出る部分と、会社の判断で決まる部分が混ざっています。時間数と人数の掛け算は式に任せ、単価と割増率は根拠つきの入力欄に置くと、あとから金額の理由を説明できます。

Claudeを使う価値は、7項目の入力欄と3枚のシートを短時間で用意し、夜間の時間数のような間違えやすい式を、説明つきで点検させられる点にあります。単価の決定と、検定合格警備員が必要な現場かどうかの判定は、担当者の仕事として残ります。

見積を出したあとに追加工事で条件が変わった場合は、金額の差を契約の変更とそろえる点検が別に要ります。その進め方は追加工事の見積と変更契約書の整合をClaudeで点検する手順で扱っています。

この記事を共有:XはてブLinkedIn