Claudeで外国人候補者の就労可否を紹介前に確かめる手順
外国人候補者を企業に紹介する前に、在留カードの就労制限欄と資格外活動の許可欄から就労可否を読み分けます。Claudeには判定表と確認依頼文を作らせ、真偽判断は人と公式の照会に残す手順です。
外国人候補者を企業に紹介する前に見るべき書類は、在留カードの表と裏です。表の「就労制限の有無」欄で大枠を決め、裏の「資格外活動の許可欄」で例外を拾い、紹介先の職務が在留資格の範囲に収まるかを最後に突き合わせます。
この読み分けは条件分岐の塊なので、Claudeに判定表を作らせる作業と相性が良いです。一方、カードが本物かどうかの判断と、番号の失効確認はClaudeの仕事ではありません。この記事では、Claudeに任せる範囲と人が見る範囲を分けたうえで、紹介前の確認シートを作る手順を示します。雇い入れ後の届出と在留期間の管理は外国人雇用状況の届出と在留カードの確認の手順に続きます。
紹介する側にも条文が及ぶ理由
不法就労の責任は、雇った事業主だけのものではありません。入管法73条の2は、事業活動に関して外国人に不法就労活動をさせた者に加え、業として不法就労活動をさせる行為に関しあっせんした者も、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(併科あり)の対象にしています。紹介会社がこの「あっせん」にあたるかは個別の事情で変わります。ただ、紹介前の確認を省ける立場ではない、と考えるほうが安全です。
さらに同条2項は、「知らなかった」という理由で処罰を免れることを認めていません。ただし書きで、過失がないときは別とされています。入管庁のリーフレットは、在留カードを確認していないなどの過失がある場合は処罰を免れない、と書いています。
つまり確認の記録そのものが防御線になります。「何を見て、何を根拠に紹介したか」を残す確認シートが、この記事の成果物です。
就労可否は在留カードの3か所で決まる
在留カードの確認は、表面の1欄と裏面の1欄、それに番号の照会で足ります。順に見ます。
表面「就労制限の有無」の読み方
表面の記載は4種類に分かれます。
| 表面の記載 | 意味 | 追加で見るもの |
|---|---|---|
| 就労制限なし | 意味就労内容に制限はない | 追加で見るものなし |
| 在留資格に基づく就労活動のみ可 | 意味在留資格の範囲内でのみ就労できる | 追加で見るもの紹介先の職務が範囲内か。特定技能は指定書も確認 |
| 指定書により指定された就労活動のみ可 | 意味在留資格「特定活動」。活動を個別に指定されている | 追加で見るもの法務大臣が指定した活動を記した指定書 |
| 就労不可 | 意味原則として雇用できない | 追加で見るもの裏面の資格外活動の許可欄 |
特定技能は、表面が「在留資格に基づく就労活動のみ可」でも指定書の確認が必要です。ここは見落としやすい点で、判定表の備考欄に必ず入れておきます。
難民認定申請中の人は、有効な在留カードを持っていない場合や、カードに「就労不可」とある場合は雇えません。
裏面「資格外活動の許可欄」で例外を拾う
表面が「就労不可」や「在留資格に基づく就労活動のみ可」でも、裏面の資格外活動の許可欄に次のいずれかの記載があれば就労できます。ただし時間や場所に制限があります。
- 「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」
- 「許可(教育・技術・人文知識・国際業務・技能に該当する活動・週28時間以内)」。地方公共団体等との雇用契約に基づく活動である必要があります
- 「許可(資格外活動の許可書に記載された範囲内の活動)」。この場合は資格外活動の許可書そのものを確認します
落とし穴
アルバイトを掛け持ちしている候補者は週28時間が合算になる
「原則週28時間以内」は、アルバイト先ごとではなく合計の上限です。候補者が別の勤務先を持っているなら、紹介先での想定時間だけで判断せず、現在の勤務時間を聞き取る項目を確認シートに入れます。
留学、研修、家族滞在、文化活動、短期滞在の在留資格は、資格外活動許可を受けていない限り就労できません。紹介前の確認では、このいずれかなら裏面を必ず見ます。
カードを持っていなくても就労できる人
特別永住者を除き、在留カードを持っていない人は原則として就労できません。例外は次の3種類で、いずれも旅券などで就労できるかどうかを確認します。
- 旅券に、後日在留カードを交付する旨の記載がある人
- 在留期間が「3月」以下の人
- 「外交」「公用」などの在留資格の人
後日交付の記載がある人や在留期間3月以下の人は、来日直後に多いケースです。旅券の記載を見る手順を、確認シートの分岐に入れておきます。
在留資格と紹介先の職務が合うかを最後に見る
カードの表記が「就労制限なし」でない限り、最後に残る問いは職務の一致です。リーフレットは、不法就労の3つ目の型として「認められた範囲を超えて働くケース」を挙げ、料理人や語学教師として認められた人が工場で働く例を示しています。カードが本物で有効でも、職務が範囲外なら不法就労になります。
ここはClaudeの得意な領域です。紹介先の求人票の業務内容と、候補者の在留資格を並べ、範囲外になりうる業務を洗い出させます。ただし、在留資格に該当するかどうかの最終判断は入管庁の審査です。Claudeの出力は「要確認の論点一覧」として扱います。
範囲に迷うときは、就労資格証明書という選択肢があります。入管法19条の2に基づく書類で、外国人が自分の在留資格で行える就労活動を証明するものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請先 | 内容住居地を管轄する地方の入管 |
| 手数料 | 内容許可されるときに2,000円(収入印紙)。オンライン申請は1,600円 |
| 標準処理期間 | 内容当日。勤務先を変えた場合などは1か月から3か月 |
転職の場面では、新しい勤務先や活動内容がわかる書類が追加で要ります。紹介の前に時間を確保できる案件なのか、確認シートの段階で判断できるようにしておきます。
この書類にはもう一つ意味があります。入管法19条の2第2項は、外国人の就労活動が明らかな場合に、この文書を出さないことを理由に不利益な取扱いをしてはならない、としています。「持っていないから紹介しない」という使い方は、就労活動が明らかな候補者には避けたほうがよい運用です。
在留期間と番号の有効性は別の手段で確かめる
カードの券面だけでは、在留期間と有効性は完全には確かめられません。
2026年6月14日から新様式の在留カードの交付が始まり、券面から「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」の記載がなくなりました。この3項目は、ICチップを読む在留カード等読取アプリケーションで確認します。アプリは2026年8月19日の改修でこれらを表示できるようになったため、古いバージョンのまま使っていないかを確認します。「交付年月日」だけは、改修後も読み取れません。
番号の有効性は、入管庁の失効情報照会ページで調べます。カード番号と有効期間の満了日を入力するページです。運用上の注意が4つあります。
- 照会は毎日午後8時から午後11時ごろまでメンテナンスで使えません
- 海外のIPアドレスや、匿名化するVPN・プロキシからはアクセスできません
- 当日発行のカードは、データが更新されておらず「有効ではありません」と出ます
- 更新申請中のカードは、券面の満了日を過ぎても「失効していません」と表示され、申請中であることがわかります
照会の結果は、カードの有効性そのものを証明するものではありません。実在する番号を悪用した偽造カードがあるため、照会結果にかかわらず、読取アプリや券面の偽変造防止対策もあわせて確認するよう案内されています。
この照会には番号の入力が要ります。番号をClaudeに渡さず、人が公式ページに入力する設計にすれば、AIに渡す個人情報も減らせます。
Claudeに任せる範囲と人が見る範囲
| 作業 | 担当 | 理由 |
|---|---|---|
| 就労制限欄・資格外活動欄の記載から判定区分を出す | 担当Claude | 理由条件分岐の整理。判定ルールを渡せば再現できる |
| 紹介先の職務が在留資格の範囲外になりうる論点を洗い出す | 担当Claude | 理由求人票との突き合わせ。結論ではなく論点一覧にとどめる |
| 候補者への確認依頼文を作る | 担当Claude | 理由聞き取り漏れを防ぐ |
| カードの券面・ICチップによる真偽確認 | 担当人(読取アプリ) | 理由AIの画像読み取りは偽変造の判定に使わない |
| 番号の失効照会 | 担当人(公式ページ) | 理由番号をAIに渡さずに済む |
| 在留資格該当性の最終判断 | 担当入管庁 | 理由迷う案件は就労資格証明書か窓口へ |
渡す項目も絞ります。判定に使うのは、在留資格、カードの所持の有無、表面の就労制限欄の文言、裏面の資格外活動の許可欄の文言、現在の他社勤務時間、紹介先の職務内容です。氏名、生年月日、カード番号、カードの画像は渡しません。判定に要らないからです。
手順1: 判定ルールをプロジェクトの指示文にする
Claudeのプロジェクト機能に、判定ルールを指示文として置きます。毎回の会話で貼り直す必要がなくなり、担当者が変わっても同じ区分で判定できます。次は指示文のひな形です。表の文言は、入管庁のリーフレットの区分に合わせてあります。
あなたは人材紹介会社の就労可否チェック担当を補助します。
入力は、在留資格、在留カードの所持の有無、表面の就労制限欄の文言、
裏面の資格外活動の許可欄の文言、他社での現在の勤務時間、紹介先の職務内容です。
判定区分は次の5つだけを使います。
A: 就労制限なし
B: 在留資格に基づく就労活動のみ可(職務が在留資格の範囲か要確認)
C: 指定書により指定された就労活動のみ可(指定書の確認が必須)
D: 就労不可(裏面の資格外活動許可で例外があるか確認)
E: 入力が足りない、または文言が上のどれにも当たらない
守ること:
- 在留資格が特定技能のときは、表面がBでも指定書の確認を備考に入れる
- 在留資格が留学・研修・家族滞在・文化活動・短期滞在のときは、
資格外活動許可がなければ就労できないと明記する
- カードを持っていないときは、特別永住者・旅券の後日交付の記載・
在留期間3月以下・外交や公用の該当を確認し、旅券での確認を人が行う項目に入れる
- 週28時間の許可は、他社の勤務時間との合計で見る
- 職務が在留資格の範囲外になりうる点は「論点」として列挙し、
適法・違法の結論は書かない
- カードの真偽、番号の有効性、在留期間は判定しない。人が確認する項目として最後に列挙する
- 推測で埋めず、足りない項目はEにして質問を返す指示文の最後の2項目が、この運用の要です。真偽や有効性まで判定させると、Claudeの出力を鵜呑みにする運用に流れます。
手順2: 候補者ごとに確認シートを作らせる
候補者1名ごとに、次の形で入力します。氏名は入れず、管理用の候補者IDだけを使います。
候補者ID: C-0412
在留資格: 留学
表面の就労制限欄: 就労不可
裏面の資格外活動の許可欄: 許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)
他社での現在の勤務時間: 週12時間
紹介先の職務: 食品工場の検品・梱包(週20時間想定)出力は、例えば次のような形になります。以下は指示文に沿った出力例であり、実際の文面は実行のたびに変わります。
判定区分: D(就労不可)
例外: 裏面に週28時間以内の許可あり
論点:
- 他社12時間と紹介先20時間の合計は32時間で、28時間を超える
- 風俗営業等の従事は対象外(今回の職務は該当しない見込み)
人が確認する項目:
- 在留カード等読取アプリでの券面確認
- 失効情報照会での番号確認
- 在留期間の満了日
- 候補者への他社勤務時間の再確認この例の価値は、合計時間の超過を紹介前に拾えた点にあります。紹介先の想定だけを見ていれば、20時間は上限内に見えます。
手順3: 表の読み違いをテストケースで確かめる
指示文は書いて終わりにせず、答えが決まっているケースで検証します。次の6件をClaudeに流し、区分が表のとおりに出るか確かめます。
- 永住者で表面が「就労制限なし」。区分Aになる
- 技術・人文知識・国際業務で、表面が「在留資格に基づく就労活動のみ可」、職務が単純作業。区分Bで、範囲外の論点が出る
- 特定技能で、表面がBの文言。備考に指定書の確認が入る
- 家族滞在で資格外活動の許可欄が空。就労できないと明記される
- 表面の文言だけが渡され、資格外活動欄がない。区分Eで質問が返る
- 在留期間が「3月」で、カードを持っていない。旅券を確認する手順が出る
期待と違う出力が出たら、指示文の該当行を直して同じ6件を流し直します。出力を見て直し、再実行して確かめる反復です。ルールを変えるたびに6件を流す運用にしておくと、指示文の修正で別の区分が崩れることに気づけます。
手順4: 紹介先企業へ渡す書面を整える
紹介時点の確認は、雇い入れ時の事業主による確認の代わりにはなりません。リーフレットは、外国人を雇用する際に事業主が在留カードを確認するよう求めています。紹介先に渡す書面には、紹介時点で何を確認し、何が未確認かを分けて書きます。
Claudeには、確認シートの内容を紹介先向けの短い書面にまとめさせます。書面に入れるのは判定区分、資格外活動の条件、紹介先で追加確認してほしい項目です。候補者の氏名や番号は書面に入れず、紹介先が入社手続で自分の手でカードを確認する流れにします。
申請理由書など在留資格の申請に進む案件は、在留資格の申請理由書の下書きの手順につながります。契約面の点検は人材紹介契約書の返戻金・専属条項の点検と並べて使えます。
よくあるつまずき
つまずきは、書類の読み違いより運用の穴から出ます。
- 表面だけ見て裏面を見ない。「就労不可」の留学生でも、裏面に許可があれば就労できます
- 「在留資格に基づく就労活動のみ可」を「どの仕事でも可」と読む。範囲は在留資格ごとに決まっています
- 失効照会の結果を「本物の証明」と読む。結果は有効性の証明ではありません
- 新様式のカードに在留期間が載っていないことに気づかない。読取アプリを更新して確認します
- Claudeの出力を確認シートの結論欄にそのまま転記する。区分と論点は下書き、結論欄は人が埋めます
まとめ
紹介前の就労可否確認は、表面の就労制限欄、裏面の資格外活動の許可欄、紹介先の職務との一致の3段階です。Claudeには、この3段階の判定表と論点の洗い出しを任せられます。カードの真偽、番号の失効、在留期間は、読取アプリと公式の照会で人が確かめます。
迷う案件に時間を割けるかどうかは、確認シートの段階でわかります。就労資格証明書の標準処理期間と紹介の納期を並べ、間に合わない案件を早めに見つけることが、この手順の実利です。