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Claudeの人事プラグインで採用から評価面談まで回す — 9スキルの使いどころ

Claudeの人事プラグインで採用から評価面談まで回す — 9スキルの使いどころ

AnthropicがOSS公開した人事プラグインの9スキルを、採用・入社・評価・報酬・制度の場面別に解説します。READMEと実体の食い違いと導入手順も載せます。

Anthropicは業務別プラグインをanthropics/knowledge-work-pluginsでOSS公開しており、その中のhuman-resourcesが人事向けです。採用の進捗管理から、面接設計、オファーレター、入社準備、評価面談、報酬分析、規程の問い合わせまでを1つのプラグインにまとめています。この記事では、どの場面でどのスキルを呼ぶかを、ディレクトリの実体に沿って説明します。

人事プラグインは何を束ねているか

human-resourcesは、人事業務(people operations)を支援するプラグインです。READMEは「主にCowork向けに設計され、Claude Codeでも動く」と説明しています。プラグイン定義のバージョンは1.3.0です。

スキルの中身は、役割ごとに決まったヒアリング項目と出力の型を持つ手順書です。たとえばdraft-offerなら、役職・レベル・勤務地・報酬・入社日・上長を聞き、報酬表と条件、オファーレター本文、採用マネージャー向けメモを返す形になっています。

重要なのは、HRIS(人事情報システム)やATS(採用管理システム)が無くても動く点です。詳細はこの記事の「接続先がなくても動く範囲」で扱います。

READMEは12個、ディレクトリには9個 — 数え方の食い違い

READMEは6つのコマンドと6つのスキルを別々の表で並べています。一方、リポジトリのhuman-resourcesディレクトリにあるのは.claude-plugin・.mcp.json・CONNECTORS.md・README.md・skillsで、commandsフォルダがありません。skillsの下にあるのは次の9個です。

区分名前READMEの分類
採用名前recruiting-pipelineREADMEの分類スキル
採用名前interview-prepREADMEの分類スキル
採用名前draft-offerREADMEの分類コマンド
入社名前onboardingREADMEの分類コマンド
評価名前performance-reviewREADMEの分類コマンド
報酬名前comp-analysisREADMEの分類コマンド
組織名前org-planningREADMEの分類スキル
組織名前people-reportREADMEの分類コマンド
制度名前policy-lookupREADMEの分類コマンド

READMEにだけ名前が出るemployee-handbook・compensation-benchmarking・people-analyticsは、skillsディレクトリに存在しません。READMEの「育休制度は?」という例はemployee-handbookが自動で応じると書いていますが、実体として同じ問いに応じるのはpolicy-lookupです。policy-lookupのdescriptionに「what's our PTO policy」といった言い回しが入っているためです。

つまり、使えるのは9個で、コマンドかスキルかの区分は呼び出し方に影響しません。Claude Codeの公式ドキュメントでは、プラグインのスキルは/プラグイン名:スキル名の形で呼べます。この区分の食い違いはMarketing/Sales/PMの各プラグインでも起きていて、部門別プラグインの解説で実体を確認しています。

導入と、会社情報の設定

Claude Codeでは、マーケットプレイスの追加とプラグインの導入の2段階です。READMEのコマンドは次の2行です。

claude plugin marketplace add anthropics/knowledge-work-plugins
claude plugin install human-resources@knowledge-work-plugins

入れた直後のセッションに反映されないときは、/reload-pluginsコマンドで再読み込みできます。プラグイン全般の仕組みはClaude Codeプラグイン完全ガイドが詳しいです。Coworkで使う場合の配布やグループ管理はCoworkプラグインの管理を参照してください。

導入後に一度やっておきたいのがsettings.local.jsonです。会社名や福利厚生の値を置いておくと、オファーレターや規程の回答に反映されます。保存先はCoworkなら共有済みのフォルダ、Claude Codeならhuman-resources/.claude/settings.local.jsonです。未設定なら、プラグインが対話で聞いてきます。

READMEの雛形は次のとおりです。以下は日本の会社向けに値を変えた例で、キー名はREADMEのものです。

{
  "company": "株式会社サンプル",
  "headquarters": "東京都",
  "employeeCount": 120,
  "benefits": {
    "healthInsurance": "加入している健保組合名",
    "pto": "入社時10日、以降は法定どおり",
    "parentalLeave": "法定どおり"
  },
  "compensation": {
    "currency": "JPY",
    "equityType": "ストックオプション",
    "vestingSchedule": "4年、1年クリフ"
  }
}

採用: パイプライン管理、面接設計、オファー

採用の3スキルは、候補者の動きに沿って使います。

手順

採用で呼ぶ順番

  1. 1

    進捗を見る: recruiting-pipeline

    「採用の状況は」「候補者は何人」といった問いで起動します。段階はSourced・Screen・Interview・Debrief・Offer・Acceptedの6つで、段階間の通過率や、採用までの日数(time to fill)、オファー承諾率といった指標の見方が入っています。

  2. 2

    面接を設計する: interview-prep

    職種に必要な能力を4〜6個に絞り、それぞれに行動質問を2〜3個、状況質問を1〜2個、深掘りの質問を用意します。評価は1〜4の尺度で、各段階の基準文と、面接後の議論に使う振り返りの型まで1セットで出します。

  3. 3

    条件を固める: draft-offer

    報酬(基本給・エクイティ・入社時ボーナス・目標ボーナス)の表、入社日や報告先などの条件、福利厚生の要約、レター本文を出力します。足りない項目は一緒に詰める進め方です。

recruiting-pipelineは、ATSをつなぐと候補者情報を自動で引き、状況の更新まで行います。draft-offerはHRISで報酬レンジや承認済み人員を確認し、ATSで候補者情報を引くのが理想形です。つながっていなければ、ここに挙げた項目を自分で渡します。

プラグインを使わずにCoworkへ求人票づくりを頼む指示文や、応募者データの渡し方は、Cowork人事の実務にあります。この記事はプラグインのスキル単位、そちらは業務フロー単位の読み分けです。

実際に頼むときは、スキル名を呼ぶより、先に条件を固めた文を渡すほうが手戻りが減ります。

/human-resources:draft-offer シニアバックエンドエンジニア、グレード5、
東京(ハイブリッド)、基本給は年840万円、入社日は2026年12月1日、報告先は開発部長

上のようなプロンプトは例です。出力にはテンプレートの固定項目(雇用区分の「Full-time, Exempt」など)が残るため、後述の注意点を確認してから使います。

入社準備: onboarding

onboardingは、新入社員の氏名・職種・チーム・入社日・上長を渡すと、入社前・初日・初週・30/60/90日の目標までを1つの計画にまとめます。初日の表は9:00の挨拶から16:00の自由時間まで時間割の形で出ます。

入社前の項目には、ウェルカムメール、アカウント設定、備品手配、チームの定例への招待、オンボーディング担当(バディ)の割り当てが並びます。バディは上長とは別の人を置く前提です。

HRISをつなぐと所属チームや組織図から必要なツール権限を自動で埋め、ナレッジベース(NotionやConfluence)をつなぐと既存のチェックリストを引いて自社用に直します。カレンダーをつなげば、初日と初週の予定を自動で作れます。

評価面談: performance-reviewの3モード

performance-reviewは3つのモードを持ちます。モードを指定しなければ、どの種類が必要かを聞き返します。

モード

評価面談で使い分ける3モード

  • self-assessment

    本人用の自己評価テンプレートです。成果は「状況・自分の貢献・結果」の3点で書かせ、前期の目標は「達成・超過・未達」と根拠の表で振り返ります。上長への要望の欄もあります。

  • manager [従業員名]

    上長がその人宛に書く評価の型です。総合評価、強み、成長課題、目標ごとの評価、育成計画に加え、昇進・エクイティ追加付与・調整・据え置きのどれを推すかを理由付きで書く欄があります。

  • calibration

    評価のすり合わせ会議の準備資料です。チーム一覧、評価分布、議論したい人、昇進候補、報酬の措置を表にします。

使いどころは、評価の文章が「よくやった」で止まりがちなときです。Tipsは「Great jobはフィードバックではない」とし、「CIを改善してデプロイ時間を40%短縮した」のように具体的に書くこと、人格ではなく行動を指すこと、育成は「次の全体会で発表する」のように実行できる形にすることを挙げています。実際の評価メモを貼って「この指針で具体化して」と頼む使い方が合います。

calibrationの評価分布には「Company Target」の列があり、Exceedsは約15〜20%、Meetsは約60〜70%、Belowは約10〜15%という数字が入っています。これはテンプレートの初期値で、自社の評価制度の割合ではありません。自社に強制分布が無い場合は、列ごと外すよう頼む必要があります。

報酬・組織・制度: comp-analysis、org-planning、people-report、policy-lookup

残りの4スキルは、採用・評価の外側で人事の意思決定を支えます。

comp-analysisは3種類の入力に応じる

「サンフランシスコのシニアエンジニアにはいくら払うべきか」という単一の職種の問い、報酬レンジのCSVの取り込み、「1万株を4年で付与する場合」のようなエクイティのモデリングの3通りです。出力は、基本給・エクイティ・総報酬それぞれの25・50・75・90パーセンタイルの表です。

報酬データの接続先(Pave、Radfordなど)が無いときは、Web調査と手元の情報で代替し、データの鮮度と出典の限界を明記すると書かれています。社内の給与データは機微なので、Tipsは「結果は会話の中にとどまる」と説明しています。

org-planningは健全性の目安付き

人員計画・組織設計に使います。目安の表には、1人の管理職に対する直属の部下が5〜8人、個人貢献者と管理職の比が6:1〜10:1、チームの人数が5〜9人が置かれ、警告水準は直属が3人未満または12人超、比が4:1未満、チームが4人未満または12人超です。

people-reportは4種の報告書

人員数、離職、多様性、組織の健全性の4つです。CSVを渡すか、HRISをつなげば実データから作れます。チャットをつなぐと、要約を該当チャンネルへ共有する提案まで出します。

policy-lookupは出典を必ず付ける

休暇・福利厚生・出張・経費といった問いに平易な言葉で答えます。回答の型は「短い答え・詳細・例外・連絡先・出典」で、制約は3つあります。出典の文書と節を必ず引くこと、規程が見つからなければ推測せずそう伝えること、法務・コンプライアンスの問いは人事か法務への相談を勧めることです。

接続先がなくても動く範囲

READMEは「すべてのコマンドとスキルは、連携なしで動く」と明言しています。ただし、連携すると変わる点がはっきり分かれます。

やりたいこと単独のときつなぐと
オファー作成単独のとき項目を手で渡すつなぐとHRIS・ATSで自動入力
入社チェックリスト単独のとき自社の手順を説明するつなぐとHRISとナレッジベースで雛形を引く
評価面談単独のとき手入力つなぐとHRISで過去の評価履歴
規程の問い合わせ単独のときハンドブックを貼るつなぐとナレッジベースを検索
報酬分析単独のときCSVを渡すつなぐと報酬データのMCP

同梱の.mcp.jsonにあるのは、Slack、Notion、Atlassian(Confluence)のURLです。GoogleカレンダーとGmailはURLが空欄のままで、ここだけ見ると未設定です。CONNECTORS.mdは、HRISとATSと報酬データには同梱のサーバーが無く、Workday、BambooHR、Greenhouse、Pave、Radfordなどを「ほかの選択肢」として挙げています。つまり、人事データを自動で引くには、自社で使うHRISのMCPサーバーを別途用意する必要があります。

使う前に確認したい落とし穴

落とし穴

テンプレートは米国の雇用慣行が前提

オファーの雇用区分は「Full-time, Exempt」、規程の話題には401k・HSA/FSAが入っています。日本の会社が使うなら、雇用区分、社会保険、休暇、残業の扱いを自社の就業規則に置き換える指示を最初に出しておくと、手戻りが減ります。法令に関わる判断は、policy-lookupの制約どおり人事か法務の確認を挟みます。

もう1つは、人事データの扱いです。評価や報酬のデータをClaudeに渡す前に、使うプランのデータの扱いと社内の持ち出しルールを確かめておく必要があります。スキルは手順書にすぎず、データの保護はスキルでは決まりません。

まとめ

人事プラグインの価値は、頭の中にある「型」を呼び出せる形で持てることです。まずrecruiting-pipelineとinterview-prepで採用の型を揃え、次にonboardingとperformance-reviewを自社の就業規則に合わせて育てる順に広げると、手戻りが少なく済みます。

接続先なしでも試せるので、最初は匿名化したサンプルを渡して出力の型を見るところから始められます。他の部門向けは、Marketing/Sales/PM編とLegal・Finance・Brand Voice編にあります。

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