JazをClaudeに連携する方法 — 会計の記帳と月次締めを会話で進める
会計SaaS Jazの連携をClaudeに入れる手順です。クラウド接続とローカル版の違い、358個か387個かという数字の読み方、請求書や仕訳を任せる前に決める運用をまとめます。
Jaz連携でClaudeにできること
Jaz連携は、会計SaaSのJazをClaudeから読み書きできるようにするMCPサーバーです。請求書、仕入請求書(bill)、入金・支払い、見積と注文、銀行照合、固定資産、在庫、経費精算、税務、レポート、期末の締め作業までが対象に入ります。会計基準のIFRSを前提にした設計で、多通貨と複数ユーザーが標準です。
Connectorsディレクトリでは「Jaz Accounting」の名前で、開発元はJaz、Anthropic verifiedの表示付きです。追加時期は2026年8月と表示されています。
接続の経路は2つあります。
- クラウド接続:URL
https://mcp.jaz.ai/mcpをカスタムコネクタとして登録し、Jazのアカウントでサインインする。インストール不要 - ローカル接続:Claude Codeのプラグイン、Claude Desktopの拡張(.mcpb)、npxで動くstdioサーバーのいずれか。手元のPCでサーバーが動く
Claude.ai、ChatGPT、Coworkのような「インストールしない環境」にはクラウド接続、Claude CodeやClaude Desktopで手元から使うならローカル接続が向きます。どちらも使える操作は同じです。
Connector全般の仕組みはClaudeのコネクタ解説にまとめています。経理部門で使える他のSaaS連携は経理部門がClaudeで使えるSaaS連携まとめで並べて見られます。
接続前に確認する条件
先に押さえておく点は4つです。
接続前の確認事項
Jazのアカウントが要る
サインインはメールのワンタイムコードかパスキーで行います。パスワードはClaudeに渡りません。
クラウド接続は記帳専用
仕訳などの記録と読み取りまでで、お金は動かしません。銀行送金や決済の実行は含まれません。
カスタムコネクタの追加権限
Team・Enterpriseでは、組織設定でコネクタを追加できるのはOwnerなどの管理者です。Pro・Maxは本人が追加できます。
ローカル接続はNode.js 18以上
Claude CodeプラグインはNode.js 18以上がPATHにある環境で、同梱のMCPサーバーを動かします。
カスタムコネクタの対応プランは、Free・Pro・Max・Team・Enterpriseです。Freeは1つまでに制限されます。Jaz側の料金や、MCPの利用が契約プランで制限されるかどうかは、リポジトリのREADMEにもConnectorsディレクトリのページにも書かれていません。契約中のJazプランの条件はJazのヘルプセンター(help.jaz.ai)で確かめます。
手順1:Claude.aiやDesktopにクラウド接続する
最短はクラウド接続です。Pro・Maxの個人プランなら、次の流れになります。
クラウド接続の流れ
- 1
コネクタ設定を開く
CustomizeのConnectorsを開き、「+ Add」から「Add custom connector」を選びます。
- 2
名前とURLを入れる
名前は「Jaz」など、一覧で見分けやすいものにします。URLは
https://mcp.jaz.ai/mcpです。 - 3
認証を確認する
Claudeが検出した認証設定を確認してContinueします。接続方式はOAuth 2.1とPKCEです。
- 4
Jazにサインインして許可する
ブラウザでJazにサインインし、Allowを押します。
Team・Enterpriseでは、Ownerが先にOrganization settingsのConnectorsから追加します。そのあとで各メンバーが自分のJazアカウントで接続します。
この経路は1回のサインインで、自分が所属する全組織に届きます。複数の会社を持つ場合は、依頼文で組織名を指定します。
Acme Pte Ltd の未払い請求書を一覧にして組織へのアクセスは、呼び出しのたびに確認されます。
接続後は「何ができる?」と聞くと、コネクタ自身の機能一覧で答えが返ります。ツールの一覧を目で追うより早い確認方法です。
手順2:Claude Codeにローカル接続する
Claude Codeでは、プラグインを入れる方法がいちばん短く済みます。
/plugin marketplace add teamtinvio/jaz-aiリポジトリの案内は、Claude Code内でこのコマンドを実行する形です。追加したマーケットプレイス(jaz-plugins)から、プラグイン(jaz-ai)を入れます。サインインはPCのターミナルで次のコマンドを実行します。
npx -y jaz-clio@latest auth loginブラウザが開くので、Jazのサインインと同意を済ませます。保存されたセッションはローカルのツールで共有され、自動更新されます。MCPの設定にキーを書く必要はありません。
プラグインは、MCPサーバーを同梱して動かします。セッション開始時にnpmからダウンロードしない作りで、サーバーのバージョンはプラグインを更新したときだけ変わります。最新を追うなら、jaz-plugins マーケットプレイスの自動更新を有効にするか、claude plugin update jaz-ai@jaz-plugins を実行します。
プラグインを使わず、MCPサーバーだけ手で登録する方法もあります。
claude mcp add jaz -- npx -y jaz-clio@latest mcp --org oauth:<resourceId>
claude mcp list<resourceId> は、サインイン後に auth organizations で一覧できる組織のIDです。--org を付けて組織を固定すると、「別の会社の帳簿に書き込む」事故を避けやすくなります。付けずに複数組織を扱う場合は、呼び出しごとに組織IDを明示させる使い方になります。
Claude CodeでMCPサーバーを登録するコマンドの一般形や、スコープ(local・project・user)の考え方はClaude CodeのMCPサーバー設定ガイドが詳しい記事です。
Claude Desktopでは、GitHubの最新リリースにある.mcpbファイルを入れる方法と、stdio用の設定JSONを使う方法があります。stdioの設定は、command に npx、args に -y、jaz-clio@9.2.2、mcp、--org、oauth:<resourceId> を並べる形です。バージョンを固定すれば挙動が安定し、@latest なら自動で更新されます。
358個か387個か — ツール数の読み方
Jazの連携で最初に戸惑うのは、数字が揃わないことです。
| 情報源 | 書かれている操作数 |
|---|---|
| Connectorsディレクトリの説明 | 書かれている操作数358 |
| リポジトリのREADME | 書かれている操作数387 |
READMEは「どの導入方法でも同じ387個の操作に届く」と説明しています。ディレクトリ側は358個です。操作の追加でカタログが増え続けるため、掲載時点の差と読むのが自然ですが、どちらも件数の差の理由までは説明していません。必要な数を正確に知りたいときは、接続後に「何ができる?」と聞いて、コネクタが返す現在の一覧を使います。
もうひとつ、見え方もパッケージごとに違います。READMEの表をまとめると次のとおりです。
導入方法で変わるツールの見え方
ローカル接続
search_tools で探し、describe_tools で仕様を見て、execute_tool で実行します。ツール定義を先に全部読み込まず、約360トークンで済みます。全操作を並べると約78KBです。
クラウド接続
会計の領域ごとに1ツールを置き、中の操作は説明文に書かれています。探索の往復がなく、定義の合計は約28.6kトークンです。
ローカル接続はコンテキストを節約できる代わりに、探す手順が1段増えます。クラウド接続は定義が重い代わりに、最初の1手で目的のツールに届きます。長い会計作業の途中でコンテキストが足りなくなる場面が多いなら、ローカル接続のほうが余裕を残せます。
会話での使い方と、任せ方の線引き
READMEが示す依頼の例は、次のような文です。
Acme の1月を締めて。先に DBS の普通預金で銀行照合して、
そのあと第1四半期の GST を提出準備まで進めて。Claude Codeのプラグインを入れると、決まった手順のある作業を呼び出すスラッシュコマンドが10個使えます。
| コマンド | 内容 |
|---|---|
/jaz-recon | 内容銀行照合(突合・分類・不一致の解消) |
/jaz-gst | 内容GST/VATの申告準備 |
/jaz-payment-run | 内容期日別の仕入請求書の一括支払い準備 |
/jaz-credit-control | 内容売掛金の年齢分析と督促リスト |
/jaz-supplier-recon | 内容仕入先の残高明細と買掛金元帳の突合 |
/jaz-audit-prep | 内容監査向けのレポートと明細の準備 |
/jaz-fa-review | 内容固定資産台帳の確認(減価償却・除却) |
/jaz-doc-collect | 内容顧客書類の仕分けとアップロード |
/jaz-migrate | 内容Xero・QuickBooks・Sage・MYOB・Excelからの移行 |
/jaz-tax-sg | 内容シンガポールのForm C-S計算 |
コマンドを使わず、言葉で頼んでも同じ作業が動きます。
任せ方で押さえたいのは、書き込みの扱いです。Jazの公式の説明では、記帳のワークフロー(Jaz Kit)はまず下書きとして作成し、各レコードにJazへのリンクを付けます。画面で確認してから確定する運用で、エージェントが勝手に本記帳することはないと書かれています。この説明が対象としているのはJaz Kitです。素のクラウド接続で、依頼の仕方しだいで確定まで進むかどうかは、ツールの権限表示で確かめる必要があります。
落とし穴
読み取りと書き込みが同じコネクタに同居している
請求書の作成、更新、削除、入金の登録(pay_invoice)、確定(finalize_invoice)などのツールが、一覧参照のツールと同じコネクタに並びます。許可を「常に許可」にすると、削除系まで確認なしで実行される可能性があります。書き込み系は毎回確認する設定にしておくと安全です。
Claude Codeなら、権限ルールでツール単位に絞れます。ローカル接続はメタツール経由のため、実行する操作名ではなく execute_tool の許可が単位になる点に注意が必要です。
{
"permissions": {
"allow": ["mcp__jaz__search_tools", "mcp__jaz__describe_tools"],
"ask": ["mcp__jaz__execute_tool"]
}
}これはメタツール3個の構成を前提にした設定例です。調べる動作は通し、実行は毎回確認する形になります。ツール名の接頭辞はサーバーの登録名(ここでは jaz)に依存します。ルールの書き方は、mcp__<サーバー名>__<ツール名> で1つのツールを、mcp__<サーバー名>__* でサーバーの全ツールを指す形です。
複数の会社を扱う会計事務所向けの使い方
Jaz Kitは、会社ごとに1つのフォルダを作り、会社固有の情報を残す仕組みです。月次の締めは18ステップで1〜3日かかる作業で、顧客が8社なら8回繰り返します。銀行口座、重要性の基準、定期的な未払計上は会社ごとに違うため、会話をまたいでも続きから再開できる設計になっています。
主なコマンドは次のとおりです。
/jk-setup キットの初期設定と組織の接続
/jk-open acme 会社の文脈を読み込み、接続を確認
/jk-close 2026-06 締め作業を実行(セッションをまたいで再開可能)
/jk-review 承認待ちの下書きを確認
/jk-status 全社の期限と保留中の項目フォルダはデフォルトで ~/Documents/Jaz Kit/ にできます。macOSでは ~/Documents がiCloudに同期される既定のため、環境変数 JAZ_KIT_HOME で場所を変えられます。各社のフォルダに組織IDが記録され、すべての呼び出しで組織を固定します。1セッション1組織が強制され、シェルに JAZ_API_KEY が残っているなど組織を取り違える恐れがあるときは、実行を止めます。
複数組織を扱う運用にはCLI(npm i -g jaz-clio)が必要です。単一の組織なら、MCPツールだけで足ります。
詰まったときの切り分け
READMEのトラブルシューティングから、Claude関連の項目だけ拾います。
つながらないときの確認順
- Q401などの認証エラーが出ていますか?答えが次へ答えがはい
clio auth loginでOAuthをつなぎ直し、ローカルのMCPを再起動します。 - QClaude Desktopで「Server disconnected」と出て、すぐ切れますか?答えが次へ答えがはい
拡張を5.60.1以降に更新します。Claude Desktop 2.110.0は、バックグラウンドでNode.jsのコピーを起動する拡張を閉じます。旧版の拡張は、更新確認のたびにこの起動をしていました。
- Q組織を切り替えたのに前の会社のデータが出ますか?答えが次へ答えがはい
MCPサーバーは起動時に認証を決めます。
--orgで組織を固定するか、--orgを外して会話内で組織名を指定します。
それでも直らないとき
npx jaz-clio mcp --org oauth:<resourceId> で単体起動を試し、claude mcp list で登録を確認します。
Claude Desktopで切断が続くときは、更新確認を止めるファイルを作って再起動する回避策がREADMEにあります。拡張の更新が届くまでの暫定策です。
データの扱いと、よくある疑問
ローカル接続では、APIの呼び出しは手元のPCからJazのAPIへ直接送られ、READMEは「テレメトリなし」としています。OAuthトークンは ~/.config/jaz-clio/oauth.json に保存されます。クラウド接続は設計が異なり、リクエストはJazのサーバー側で処理されます。一方で、APIキーはどこにも保存されません。
APIキーでの接続も選べますが、READMEはOAuthを既定にしています。キーをチャットに貼らないことも明記されています。
Xeroなど他の会計ソフトからの移行にも使えますか?
/jaz-migrate と、移行用のスキル(jaz-conversion)があります。Xero、QuickBooks、Sage、MYOB、Excelから、勘定科目表の対応付け、為替、試算表の検証までを扱うと説明されています。
ChatGPTやCursorでも同じJazを使えますか?
READMEは、ChatGPT、Gemini、Codex、Copilot、Cursorなどにも対応するとしています。同じ https://mcp.jaz.ai/mcp に接続するか、stdioの設定を使います。
日本の消費税や会計基準にも合いますか?
READMEの記述に出てくる税務の例はGST/VATとシンガポールのForm C-Sです。日本の消費税や会計基準への対応は、READMEに記載がありません。日本の会計ソフトで同じ使い方をしたい場合は、freee会計とClaudeの連携手順のほうが近い構成です。
まとめ
Jaz連携は、請求書や銀行照合から期末の締めまで、帳簿の読み書きを会話で通す仕組みです。クラウド接続は「URLを登録してサインインするだけ」、ローカル接続は「メタツール3個でコンテキストを節約できる」という違いがあります。
導入前に決めておきたいのは、削除や確定の権限を常時許可にしないこと、複数組織なら --org で固定することの2点です。ツールの総数は資料によって358と387に分かれるため、数ではなく、接続後に返ってくる機能一覧を基準にします。