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介護離職防止の個別周知・意向確認をClaudeで回す — 対象者の抽出から面談記録まで

介護離職防止の個別周知・意向確認をClaudeで回す — 対象者の抽出から面談記録まで

介護の個別周知・意向確認を、40歳到達者の抽出、周知事項を漏らさない通知文、本人の希望を残す面談記録の3段でClaudeのProjectsに任せる手順です。人が決める箇所も示します。

介護の個別周知・意向確認は、人事が「誰に」「何を」「どの方法で」「いつまでに」伝えたかを残す仕事です。Claudeのプロジェクト機能(Projects)に社内の制度資料と厚生労働省の様式を置けば、対象者を洗い出す式、周知事項の抜けを点検する通知文、面談メモを記録様式に起こす部分を任せられます。

この記事は3段で組みます。40歳到達者の抽出、通知文の作成と点検、面談記録の整形です。どの制度を使うかを決めるのは本人、制度の中身を決めるのは会社です。Claudeには決めさせません。

個別周知・意向確認で会社が負う義務は2種類ある

育児・介護休業法の第21条には、介護について契機の違う義務が2つあります。厚生労働省の「仕事と介護の両立支援プラン」策定マニュアルは、令和6年の法改正で個別の周知・意向確認が義務になったと説明しています。

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契機で分かれる2つの義務

第21条第4項

申出を受けたとき

労働者が、対象家族が介護を必要とする状況に至ったことを申し出たときに動きます。事業主が契機を待つ側です。制度を知らせ、利用の意向を確認する面談その他の措置を講じます。

第21条第5項

40歳になったとき

労働者が40歳に達した日の属する年度など、省令で定める期間に入ったときに動きます。申出がなくても、事業主が期間内に情報を知らせます。

2つの義務で伝える中身はそろっています。施行規則の第69条の10と、同条を準用する第69条の12に、次の3事項が定められています。

周知事項厚生労働省の記載例にある中身
介護休業と両立支援制度の内容厚生労働省の記載例にある中身介護休業、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、短縮等の措置
申出先厚生労働省の記載例にある中身部署名と係名(記載例では「●●部□□係」の形)
介護休業給付厚生労働省の記載例にある中身受給資格を満たした場合の給付の考え方

介護休業のほかに知らせる両立支援制度は、施行規則第69条の9が次の5つを挙げています。

  • 介護休暇に関する制度
  • 所定外労働の制限に関する制度
  • 時間外労働の制限に関する制度
  • 深夜業の制限に関する制度
  • 介護のための所定労働時間の短縮等の措置

申出を受けたときの個別周知・意向確認の方法は、面談、書面の交付、ファクシミリ、電子メール等のいずれかです。ただしファクシミリと電子メール等は、労働者が希望した場合に限ります。電子メール等は、記録を出力して書面にできる形が条件です。面談はオンラインでも構いません。

禁じられていることもあります。厚生労働省のマニュアルは、介護休業の取得や両立支援制度の利用を控えさせるような個別周知と意向確認は認められない、としています。法第21条第6項も、申出をしたことを理由とした解雇その他の不利益な取扱いを禁じています。

令和7年4月1日からは、介護に直面する前の早期の情報提供と、制度を使いやすい雇用環境の整備も義務になりました。規程の改正差分は育児・介護休業法の改正を就業規則に反映する差分をClaudeで洗い出す手順にあり、ここでは面談の運用に絞ります。

対象者の抽出は、申出ベースと40歳ベースで性質が違う

申出を受けた側の対象者は、窓口に来た人そのものなので「抽出」は要りません。抽出が要るのは、40歳に達する人を先に拾う側です。

厚生労働省のマニュアルは、情報提供の期間を次のどちらかとしています。

  • 労働者が40歳に達する日(誕生日前日)の属する年度(1年間)
  • 労働者が40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間

施行規則の第69条の13は、前者を「四十歳に達した日の属する年度の初日から末日まで」、後者を「四十歳に達した日の翌日から起算して一年間」と書いています。

4月1日生まれが前年度に入る

ここで数え間違いが出ます。「40歳に達する日」は誕生日の前日です。4月1日生まれの人は前日の3月31日に40歳に達するので、その日の属する年度は誕生日の年ではなく前の年度になります。年度を4月始まりの3月終わりとして計算すると、次のようになります。

生年月日の例40歳に達する日属する年度
1986年4月1日40歳に達する日2026年3月31日属する年度2025年度
1986年4月2日40歳に達する日2026年4月1日属する年度2026年度
1986年1月1日40歳に達する日2025年12月31日属する年度2025年度

上の表は、厚生労働省の「誕生日前日」の説明から導いた計算例です。年度の区切りを事業年度で運用するのか、法令どおりの年度で運用するのかは、社会保険労務士など専門家に確かめてから式に入れてください。

式はClaudeに書かせ、境界の行で試す

対象者リストをClaudeに丸ごと読ませる必要はありません。社員番号と生年月日の2列だけのダミー表をつくり、式を書かせます。

添付は、社員番号と生年月日だけを持つダミーの従業員表です。
次の2列を追加するExcelの式を書いてください。
- 40歳に達する日(誕生日の前日)
- その日の属する年度(4月始まり、3月終わり)
式の説明と、4月1日生まれ・4月2日生まれ・2月29日生まれで試した結果の表も付けてください。

返ってくる式は、例えば次の形になります(例示です。実際の出力は式も説明も変わります)。

40歳に達する日:  =EDATE(B2,480)-1
属する年度:      =YEAR(C2)-IF(MONTH(C2)<4,1,0)

実データに適用する前に、4月1日生まれと2月29日生まれの行が表の「属する年度」と一致するかを自分の目で見ます。氏名や所属は式の作成に要りません。実表への適用は、会社の端末のExcelで行います。同じ考え方の抽出は医師面接指導の対象者を80時間超で抽出する手順にもあります。

Projectsに置く資料と、置かない資料

Projectsは、資料(Project knowledge)と指示(Project instructions)を束ね、その中のチャットで使える機能です。無料アカウントでも使えますが、作れるプロジェクトは5つまでです。有料プランでは、資料が増えて上限に近づくとRAGが自動で働き、容量が最大で約10倍に広がります。

置く資料は、制度と様式に限ります。

資料

Projectsに置く4種類

  • 自社の制度

    介護休業、介護休暇、時間外・深夜業の制限、短縮等の措置を定めた規程の該当章。法を上回る制度があれば、その定めも入れます。

  • 周知・意向確認書の記載例

    厚生労働省の資料-9です。制度ごとの対象者、期間、申出期限と、意向を○で答える欄が1つの資料にまとまっています。

  • 面談シート

    資料-12の「仕事と介護の両立支援プラン(面談シート兼用)」。記録様式の土台にします。

  • 相談対応のポイント

    資料-7「介護に関する相談を受けた場合その1」。聴き取りの順序と確認項目が載っています。

置かないものは、個別の面談記録、氏名の入った対象者リスト、家族の病状を書いたメモです。プロジェクトに入れた資料は、同じプロジェクトのチャットから参照されます。Team・Enterpriseでは、プロジェクトを組織内のメンバーと共有できます。共有すると、閲覧者は資料と指示を見られます。制度の資料だけを置くプロジェクトなら、共有しても漏れるものがありません。

個人情報の扱いを委託先との関係まで点検したい場合は、個人情報の委託先監督を点検表にして監督記録を残す手順も参照してください。

プロジェクトの指示を先に固定する

指示には役割、根拠の範囲、書かないことを短く並べます。

あなたは、介護の個別周知・意向確認の運用を手伝う補助者です。
根拠にしてよいのは、このプロジェクトの資料だけです。
- 制度の内容や数字は、資料にあるものだけを書き、資料名を添える
- 資料にないことは「資料にありません」と書く
- 介護休業や両立支援制度の利用を控えさせる表現は使わない
- 本人が言っていないこと、決めていないことは書かない
- 制度を使うかどうかは本人が決める。判断が要る点は「会社の判断」「専門家に確認」と分ける
- 法律上の可否は断定しない

「利用を控えさせる表現は使わない」を指示に入れておくのが、この用途の要点です。通知文の下書きが、いつのまにか取得を思いとどまらせる調子に寄る事態を防げます。

周知事項を漏らさない通知文をつくる

通知文は、先に点検表を作り、そのうえで文面を書かせると崩れにくくなります。

手順

通知文の作り方

  1. 1

    周知事項の点検表を出させる

    資料から、3事項(制度の内容、申出先、介護休業給付)と5つの制度を行にした表を作らせます。会社の規程に定めがない制度は「規程に記載なし」と書かせます。

  2. 2

    文面を書かせる

    点検表の行を、そのまま見出しにした通知文を書かせます。記載例の順序(介護休業、介護休暇、その他の制度、給付、介護保険)に沿わせると、読む側が迷いません。

  3. 3

    逆引きで点検させる

    書き上がった文面を、点検表の各行に「どの段落で伝えているか」を対応させます。対応がない行は、抜けです。

  4. 4

    人が数字と申出先を見る

    期間、日数、申出期限、申出先の部署名は、会社の規程と一語ずつ照らします。

3段目の依頼文は、次の形が使えます。

下の通知文案について、次の点検表の各行を、案のどの段落が伝えているか対応表にしてください。
- 介護休業の内容 / 介護休暇 / 所定外労働の制限 / 時間外労働の制限
- 深夜業の制限 / 介護のための所定労働時間の短縮等の措置
- 申出先 / 介護休業給付
対応する段落がない行は「抜け」と書いてください。
また、利用を控えさせる、またはためらわせる言い回しがあれば引用してください。

最後の一文が、法の禁止事項に当たる文面を拾う網になります。

利用をためらわせる言い回しの例

次の対比は、表現の方向を示すための例です。厚生労働省の記載例の文面そのものではありません。

前と後

同じ情報の伝え方を変える

BEFORE

ためらわせる形

繁忙期のため、介護休業は極力控えていただきたく、ご理解ください。

AFTER

制度と申出先を伝える形

介護休業は対象家族1人につき通算93日まで取得できます。希望する期間と申出先は、○○部△△係に相談してください。

左は、利用を控えさせる方向の文面です。右の「通算93日まで」と「希望する期間」は、厚生労働省の記載例にある表現です。

通知を送る方法も記録に残します。面談で説明したのか、書面を渡したのか、メールで送ったのか。申出を受けたときの個別周知では、ファクシミリとメールは本人が希望したときに限る点を、運用手順に書いておきます。希望の有無も、記録の項目に入れておくと後から追えます。

本人の希望を残す面談記録に起こす

面談のあとは、メモを記録様式に起こす作業が残ります。厚生労働省の「相談を受けた場合」の資料は、把握した内容をできる限り記録し、従業員に何度も同じ質問をしないようにと書いています。記録は、本人の負担を減らすためのものでもあります。

様式は、資料-12の項目を土台にすると決まります。

欄資料-12の項目
介護が必要な人資料-12の項目続柄、同居・別居、介護を分担できる親族、介護が必要な場面
両立するうえでの課題・希望資料-12の項目勤務時間や曜日の制限、休暇の必要性、出張の可否
利用したい制度資料-12の項目介護休業、介護休暇、各制限、短縮等の措置と、希望期間・時期
配慮してほしいこと資料-12の項目業務面(引き継ぎ)と、業務以外(職場への周知など)
相談状況資料-12の項目地域包括支援センターへの相談、要介護・要支援認定

意向の欄は、資料-9の選択肢が参考になります。「介護休業を取得する」「介護休暇を取得する」「所定外労働の制限を利用する」「時間外労働の制限を利用する」「深夜業の制限を利用する」「介護のための短時間勤務制度を利用する」に加え、「いずれも取得・利用する意向はない」「検討中」があります。「検討中」を選べる形にしておくのは、本人が決めきれていない状態を、そのまま残すためです。

メモの整形をClaudeに頼む依頼文は、次のようにします。

下の面談メモを、このプロジェクトの面談シートの項目に沿って整理してください。
- 本人が話したことは、本人の言葉に近い形で書く(要約しすぎない)
- メモにない項目は空欄にし、「未確認」と書く。推測で埋めない
- 利用したい制度は、本人が口にしたものだけに○を付ける
- 本人が迷っている、または決めていない点は「検討中」として別に書く
- 会社が説明したことと、本人が希望したことを別の欄に分ける
最後に、次回の面談で確認すべき未確認の項目を箇条書きにしてください。

「会社が説明したこと」と「本人が希望したこと」を別欄にするのが、記録の信頼性を左右します。説明の記録は、周知事項を伝えたことの証跡になります。希望の記録は、意向確認を行ったことの証跡になります。

人が必ず見る箇所

整形された記録は、次の4点を面談した本人が目で確認してから確定します。

確認点

確定前に人が見る4点

  • ○の付き方

    本人が口にしていない制度に○が付いていないか。

  • 期間と日付

    希望の期間や時期が、メモの数字と一致しているか。

  • 本人の言い回し

    控えめな表現が、断定に変わっていないか。

  • 署名欄

    資料-12には本人、上司、人事・総務担当者のサイン欄があります。本人が内容を確かめたうえで署名する運用にします。

介護の状況が変わったときや取組期間が終わるときは、改めて面談をします。資料-12にはフォロー面談の欄もあるので、最初の記録は上書きせず、変更点を追記する形にすると経緯が残ります。

家族の情報の扱いは、入れない範囲を先に決める

面談記録には、介護を受ける家族の続柄、同居の有無、介護が必要な場面が入ります。病名や病状は、制度の案内に必要な範囲を超えます。聴き取りの時点で、制度の案内に必要な情報だけを求める運用にしておくと、記録にも不要な情報が残りません。

Claudeに渡すメモも同じです。氏名は伏せ、社員番号で置き換えて渡す運用にすれば、プロジェクトに残る文章から個人を特定しにくくなります。取り込んだ内容を保管する期間と場所は、社内の個人情報の取扱規程に従います。

人事の業務全体にClaudeを組み込む場合の考え方は、Claudeの人事プラグインで採用から評価面談まで回す手順に整理されています。

まとめ

個別周知・意向確認の記録は、「伝えた内容」と「本人の希望」を別々に残せば、通知の証跡にも面談の引き継ぎ資料にもなります。Claudeに任せられるのは、対象者を拾う式、周知事項の抜けの点検、メモの整形です。制度の中身、年度の区切り、期間・日数・申出先の数字、署名の確認は人の仕事として残ります。

最初の一歩は、資料-9と資料-12をプロジェクトに入れ、自社の規程と1行ずつ照らす作業です。

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