Claudeで医療費控除の明細書を作る手順 — 領収書を集計表にする
領収書の写真やPDFをClaudeに読み込ませ、医療費控除の明細書づくりに使う集計表をExcelで出す手順です。対象かどうかを人が確かめる境界も示します。
Claudeに任せられるのは集計表づくりまで
医療費控除の準備で手間がかかるのは、1年分の領収書を日付・受診者・支払先・金額に書き写す作業です。この転記と合計を、Claudeに写真やPDFを読み込ませて集計表(Excelファイル)にまとめさせる使い方があります。
任せられるのは「読み取って表にする」ところまでです。ある支出が医療費控除の対象かどうかは、国税庁の表と照らして人が決めます。Claudeの仕分けは下書きとして扱い、対象と対象外の線引きは自分の目で確定させます。
確定申告の下書き全般での線引きは、Claudeで確定申告・年末調整の下書きを作るときの注意点で扱っています。ここでは医療費控除の明細書に絞って手順を組みます。
医療費控除の明細書に何が要るか
国税庁のタックスアンサー(No.1120)によると、提出する書類は次のとおりです。
- 医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作り、確定申告書に添付する
- 医療保険者から交付された医療費通知があれば、添付すると明細書の記載を簡略化できる
- 確定申告期限等から5年を経過する日までの間、領収書の提示や提出を求められる場合がある
最後の項目があるので、領収書は集計が済んでも捨てられません。Claudeに読ませるのは写真やPDFで、紙の原本は手元に保管しておきます。
控除額の計算式も押さえておきます。
医療費控除の金額の決まり方
控除額の上限
200万円
実際に支払った医療費の合計額から、補てん金額と10万円を引いた額
差し引く基準額
10万円
総所得金額等が200万円未満の人は、その5パーセント
補てんされる金額
差し引く
入院費給付金・高額療養費・出産育児一時金など
補てん金額は、その給付の目的となった医療費を限度として引きます。引ききれない分があっても、他の医療費からは引きません。集計表にも「保険金等で補てんされる額」の列を持たせておくと、この計算に使えます。
集計表の列を先に決める
Claudeに頼む前に、集計表の列を決めます。国税庁は、領収書の枚数が多い人向けに「医療費集計フォーム」を配布しています。Excelなどの表計算ソフトで入力・集計し、保存したデータを確定申告書の作成コーナーの医療費控除の入力画面で読み込めるフォーマットです。
そこで、Claudeに作らせる表は、このフォームへ転記しやすい形にします。フォームの列名は配布ファイルを開いて確かめ、その名前を指示文に書き写すと手戻りが減ります。以下は、列の決め方の一例です。
| 列 | 内容 | 読み取りの注意 |
|---|---|---|
| 受診者 | 内容家族の誰の医療費か | 読み取りの注意領収書の宛名で判断する |
| 支払先 | 内容病院・薬局などの名称 | 読み取りの注意屋号の表記ゆれを確認する |
| 支払日 | 内容実際に支払った日 | 読み取りの注意診察日と異なることがある |
| 金額 | 内容窓口で支払った額 | 読み取りの注意請求額や保険適用前の総額ではなく、実際に支払った額を書く |
| 補てん額 | 内容保険金などで戻る額 | 読み取りの注意領収書だけでは分からない |
「補てん額」は領収書から読み取れません。高額療養費や保険会社の給付金は、後から通知が届く金額なので、Claudeに推測させず自分で別途入力します。
セルフメディケーション税制を選ぶ場合は、医療費集計フォームを使えません。市販薬の購入費が主な人は、先に通常の医療費控除との選択を国税庁の案内で確かめます。この税制の控除額は、対象の市販薬の購入費の合計から12,000円を引いた額で、上限は88,000円です。
領収書を読み込ませて表にする手順
領収書から集計表を作る流れ
- 1
領収書を撮影・スキャンする
紙面全体が写るように、1枚ずつ撮ります。PDFの領収書はそのまま使えます。
- 2
国税庁の対象医療費の表を貼る
仕分けの基準として、No.1122のテキストを会話に貼ります。
- 3
読み取りと仕分けを頼む
列を指定して、領収書ごとに1行の表にさせます。
- 4
原本と突き合わせる
金額と日付を、領収書の現物で確かめます。
- 5
Excelファイルとして出力させる
確定した表を.xlsxで書き出させ、ダウンロードします。
写真の撮り方や上限の数字は、Claudeで領収書・レシートの写真から経費を仕分ける手順に詳しく書いています。医療費の領収書でも同じ条件が当てはまるので、ここでは重ねません。
指示文の例
領収書を添付し、国税庁のページから貼ったテキストを基準にして頼みます。
添付した領収書の画像・PDFそれぞれについて、次の列の表にまとめてください。
- 受診者(領収書の宛名)
- 支払先
- 支払日
- 金額(円)
- 区分(下の国税庁の文面の項番に当てはまるものは「対象」、
明らかに当てはまらないものは「対象外」、
迷うものは「要確認」)
- 区分の根拠(当てはまる項番、または対象外の理由)
判断は、下に貼る国税庁の文面だけを根拠にしてください。
文面から判断できない場合は推測せず「要確認」にしてください。
読み取れない文字は空欄にして、備考に理由を書いてください。
(ここに国税庁タックスアンサーNo.1122の本文を貼る)「文面から判断できないものは要確認にする」という一文が要です。これがないと、Claudeが一般知識で対象かどうかを断定してしまうことがあります。区分の根拠に項番を書かせておくと、あとで国税庁の表と見比べやすくなります。
表をファイルで受け取る
表の確認が済んだら、「この表をExcelファイル(.xlsx)として書き出してください」と頼みます。コード実行とファイル作成の機能は、Free・Pro・Maxプランではウェブ・デスクトップ・モバイルのいずれでも既定で有効です。Team・Enterpriseプランでは、組織の管理者が設定で無効にしていると使えません。
Claudeが作れるファイル形式は、Excel(.xlsx)・PowerPoint(.pptx)・Word(.docx)・PDFです。ファイルの大きさは、アップロードもダウンロードも1ファイル30MBまでです。ファイル作成は通常のチャットより利用上限を多く消費するため、領収書が多いときは月ごと、受診者ごとに分けて頼むと、途中で上限に当たったときの手戻りも小さくて済みます。
対象かどうかは国税庁の表で人が確かめる
国税庁のNo.1122では、対象になる医療費を12の類型で示しています。仕分けで迷いやすいのは、似た名目で対象と対象外が分かれるものです。
| 支出の例 | 扱い | 国税庁の記述 |
|---|---|---|
| 風邪をひいたときの風邪薬 | 扱い対象 | 国税庁の記述治療に必要な医薬品の購入 |
| ビタミン剤 | 扱い対象外 | 国税庁の記述病気の予防や健康増進に用いるもの |
| 健康診断の費用 | 扱い原則対象外 | 国税庁の記述原則として含まれない |
| 疲れを癒すマッサージ | 扱い対象外 | 国税庁の記述治療に直接関係しないもの |
| 電車・バスでの通院費 | 扱い対象 | 国税庁の記述診療を受けるための通院費 |
| タクシー代 | 扱い原則対象外 | 国税庁の記述公共交通機関が使えない場合を除く |
| 自家用車のガソリン代・駐車場代 | 扱い対象外 | 国税庁の記述通院でも含まれない |
| 家族に付添いを頼んで払った付添料 | 扱い対象外 | 国税庁の記述名目を付けても対象にならない |
この表の「原則」「除く」が、機械的な仕分けで間違いやすい箇所です。領収書の写真から読み取れるのは金額と支払先までで、受診の目的や、公共交通機関が使えなかった事情は紙面に書かれていません。Claudeが「対象」と書いても、こうした事情は自分で補って判断します。
歯の治療費にも注意が要ります。No.1128では、歯列矯正は発育段階の子供の成長を阻害しないために必要と認められる場合は対象で、容ぼうを美化する目的の費用は対象外としています。同じ領収書の文面でも、目的によって結論が変わります。歯科ローンで払った場合に手元に歯科医の領収書がないときは、ローンの契約書や信販会社の領収書を保存する、という案内もあります。
読み取りミスを減らす検算のしかた
領収書の読み取りは、金額の取り違えが最大のリスクです。次の3つの検算を、表を受け取った直後に行います。
- 領収書の枚数と表の行数を数えて一致させる
- 金額の合計を電卓か表計算ソフトの合計関数で出し直し、Claudeの合計と比べる
- 金額が大きい上位の数行は、領収書の現物と1行ずつ見比べる
合計だけをClaudeに任せると、読み間違った行が混ざっていても全体としては整って見えます。合計は別の手段で出し直すほうが確実です。1と2が合わない場合は、行の抜けや同じ領収書の二重計上を疑います。
同じ病院へ何回も通う場合は、月ごとに1枚の領収書へまとめられているものもあれば、通院のたびに出るものもあります。支払先と日付の組み合わせで重複を探すよう、Claudeに「同じ支払先・同じ支払日・同じ金額の行があれば知らせて」と追加で頼むと、二重計上の見落としを減らせます。
医療費通知があるときの使い方
医療保険者から医療費通知が届いている人は、これを添付すると明細書の記載を簡略化できます。通知に載っている分は、領収書から1件ずつ起こさなくて済みます。集計表では、通知でカバーされる受診と、領収書から拾う受診(通知に載らない市販薬、通院費、保険診療外の費用など)を分けておくと、作業量が減ります。
通知に記載のない費用だけをClaudeで集計する、という分け方もできます。この場合、集計表の「備考」列に「医療費通知に記載あり」と入れて、領収書の行と通知の行が二重にならないようにします。通知の対象期間や記載項目は保険者によって異なるため、どの月が載っているかは通知そのもので確かめます。
集計表を申告に使う前の確認
集計表ができたあとの流れは、国税庁の確定申告書の作成コーナーに画面の案内に沿って入力する形になります。作成コーナーでは、必要な付表や明細書は入力すると自動で作られると案内されています。医療費集計フォームを使う場合は、保存したデータを医療費控除の入力画面で読み込めます。
Claudeが書き出したExcelファイルを、そのまま提出書類にするわけではありません。次の点を確認してから、入力に進みます。
- 補てんされる金額を自分で追記したか
- 「要確認」の行をすべて決着させたか
- 家族の分を含める場合、生計を一にする配偶者やその他の親族の医療費か
- その年の1月1日から12月31日までに実際に支払った医療費か
最後の点は、未払いの医療費は実際に支払った年の控除対象になるという決まりに関わります。年末に受診して翌年に払った費用は、翌年分です。集計表の「支払日」を診察日と取り違えると、年をまたぐ領収書で誤りが出ます。
まとめ
Claudeに向くのは、領収書の山を読み取り、国税庁の文面を基準に仮の区分を付け、Excelの集計表にするところまでです。補てんされる金額の入力、「要確認」の判断、合計の検算、原本の保管は人が担います。
仕分けの基準を会話に貼ること、「判断できないものは要確認」と指示すること、合計を別手段で出し直すこと。この3点を守れば、転記の手間を減らしつつ、控除の可否は国税庁の記述に沿って自分で確定できます。