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ClaudeでNPOの協働事業提案書を作る手順 — 審査基準に沿って組み立てる

ClaudeでNPOの協働事業提案書を作る手順 — 審査基準に沿って組み立てる

自治体の協働事業の提案制度は、助成金と違って審査基準への対応で採否が決まります。募集要項をClaudeのプロジェクトに置き、事業目的・成果指標・役割分担を組み立てる流れをまとめます。

自治体の協働事業の提案制度は、地域課題の解決を自治体と団体が役割を分けて進める仕組みです。提案書は募集要項の審査基準で採点されるため、団体の活動紹介を並べるだけでは通りにくくなります。Claudeには募集要項と団体の資料を渡し、審査基準の一項目ごとに「どこで答えるか」を対応づけさせると、事業目的・成果指標・役割分担の組み立てが速く進みます。

民間財団への助成金申請は、過去の提案書を部品化して組み替えるやり方が向いています。その手順はClaudeでNPOの助成金提案書を量産する仕組みを作るにまとめています。協働事業提案は性質が違うので、ここでは審査基準を起点にした組み立てを扱います。

協働事業提案は助成金申請と何が違うか

最大の違いは、自治体が「お金を出す側」ではなく「一緒に事業を担う側」になる点です。仙台市の市民協働事業の提案制度のページには「本制度は助成事業ではありません」と明記され、事業費は提案団体と市が双方で負担します。市の負担は全体事業費の10分の9以内で、上限は300万円です。

審査も、団体の信頼性より事業の組み立てに重心があります。

くらべる

助成金申請と協働事業提案の書き方の違い

財団の優先事項に合わせる

民間助成金

財団の関心に合わせて言い回しを調整します。団体の実績と過去の採択例が説得材料になります。

審査基準と役割分担に合わせる

自治体の協働事業提案

行政と団体の役割が明確か、協働でなければならない理由があるかが問われます。審査基準が募集要項に項目として載っています。

仙台市は事業の要件に「協働の役割分担が明確かつ妥当で、相乗効果が期待できるもの」を挙げています。江東区も「区と団体の協議の結果、協働の役割分担が明確かつ妥当であること」を要件の一つにしています。役割分担は、どちらの制度でも書き落とせない項目です。

募集要項から審査基準の対応表をつくる

最初の作業は、募集要項の審査基準を表に直すことです。江東区の募集要項には、審査基準が「項目」と「評価・審査の視点」の2列で載っています。

項目評価・審査の視点(抜粋)
事業目的評価・審査の視点(抜粋)達成しようとする目標や成果は明確か。地域課題の認識・分析は的確か
協働の必要性・効果評価・審査の視点(抜粋)協働という手法が必要か。単なる団体の活動内容の提案になっていないか
実効性・計画性評価・審査の視点(抜粋)団体に遂行する能力があるか。人員、スケジュール、事業期間に問題はないか
公益性評価・審査の視点(抜粋)社会的公益性や地域課題の解決への取組は十分か
将来性評価・審査の視点(抜粋)制度適用期間後にも自主的な活動として発展するか
予算評価・審査の視点(抜粋)費用対効果の視点で積算しているか

仙台市は審査を二段階に分けています。一次審査(書類審査)は、課題把握と事業目的の明確さ、市と団体の役割の妥当性、既存の取り組みや市の施策との差別化を見ます。最終審査(公開プレゼンテーション)は、計画の実行可能性、経費の妥当性、課題解決への寄与、事業効果の測定方法、事業後も課題解決に寄与するかを見ます。

自治体によって項目の名前も数も違います。そこで、対象自治体の募集要項と様式をそのままClaudeに渡し、対応表を起こさせます。

添付した募集要項から、審査基準を「項目/評価の視点」の表に直してください。
そのうえで、各視点について、提案書のどの様式(事業提案書・事業企画書・
収支予算書など)のどの欄で答えるかを3列目に書いてください。
募集要項に書かれていない配点や視点は補わないでください。

最後の一文が大事です。募集要項に配点が載っていない自治体で、Claudeが一般的な配点を補うと、団体が誤った優先順位で書き進めることになります。表ができたら、元の募集要項と一行ずつ見比べて確かめます。

Claudeのプロジェクトに資料を置く

募集要項と団体資料は、Claudeの「プロジェクト」に置いておくと使い回せます。プロジェクトは、独自のチャット履歴とナレッジ(知識)を持つ作業スペースです。資料をアップロードし、プロジェクトの指示(project instructions)で応答の方針を決められます。ヘルプセンターによれば、プロジェクト内でも、ナレッジに追加した情報でなければチャット間で共有されません。

手順は次のとおりです。

手順

プロジェクトの準備

  1. 1

    プロジェクトを作る

    claude.ai/projectsで「New Project」を選び、名前を付けます。無料アカウントは最大5つまで作れます。

  2. 2

    ナレッジに資料を入れる

    募集要項・様式・記載例、団体の定款、事業報告書、活動計算書などを「+」から追加します。

  3. 3

    指示を保存する

    「Set project instructions」に、提案書づくりの方針を書いて保存します。

ファイルの上限にも注意します。ヘルプセンターのアップロードの説明では、チャットへの添付は1チャット20ファイルまで、プロジェクトのファイル(ナレッジ)は1ファイル30MBまでです。募集要項のPDFや様式一式をナレッジに入れるときは、30MBを超えるファイルを分割します。

指示の例を示します。

あなたは自治体の協働事業の提案制度に応募するNPOの提案書づくりを手伝います。
- 募集要項に書かれた要件・審査基準だけを根拠にする。書かれていない配点や基準を補わない
- 団体資料にない実績、数字、連携先を作らない。足りない情報は質問として返す
- 行政の役割と団体の役割は、必ず別々に書く
- 出力のたびに、どの審査基準の項目に対応する記述かを併記する

共有について補足すると、TeamとEnterpriseのプランでは、プロジェクトを組織内の他のメンバーに共有できます。閲覧のみの権限と編集できる権限があります。複数の職員やボランティアで同じ提案書を育てるときに使える機能ですが、組織の管理者が共有を止めている場合は使えません。

なお、プロジェクトには新バージョン(ベータ)が段階的に提供されています。ヘルプセンターの説明では、当面はClaude Codeを使うPro・Maxの一部に先行し、チャットやTeam・Enterpriseは後から順に対象になるとされています。画面の見え方は利用中のプランで変わるので、ここで挙げたボタン名は現行のプロジェクトの画面を基にしています。

事業目的と成果指標を審査基準から逆算する

審査基準の最初の項目は、たいてい「課題の把握」と「目標・成果の明確さ」です。仙台市の一次審査でも「的確に課題を把握し、課題解決のための事業目的が明確であること」が先頭に置かれています。ここは団体の問題意識を文章にする作業ですが、Claudeには下書きの前に質問を出させます。

団体資料をもとに、提案書の「事業目的」を書く前に、確認すべき質問を
10個以内で出してください。次の観点を含めてください。
- 課題の根拠になるデータ(出典と年次)はあるか
- 行政の既存施策と、団体がやろうとしていることの違いは何か
- 事業が終わった時点で何がどれだけ変わっていれば成功と言えるか

質問に団体が答えたあと、事業目的を一段落、成果指標を表にさせます。仙台市の最終審査は「事業効果の測定や、ニーズを評価・分析する方法等が考えられていること」を挙げています。成果指標は、数字だけでなく測り方まで書いておきます。

区分書く内容例(書き方の型)
活動の量書く内容実施回数、参加者数例(書き方の型)月○回の開催、延べ○人
変化書く内容参加者や地域の状態の変化例(書き方の型)参加前後のアンケートで○%が○○と回答
測り方書く内容誰が、いつ、何で測るか例(書き方の型)事業開始時と終了時の2回、団体が実施
事業後書く内容制度の期間が終わったあとにどうなるか例(書き方の型)自主財源での継続計画

表中の数字は書き方の型を示すための仮の値です。実際の提案では、団体が持つデータと募集要項の要件に置き換えます。Claudeが数値を補ったように見える出力が返ったら、出典を尋ね、団体資料にないものは外します。

成果指標を並べ終えたら、ロジックモデルで因果の筋が通っているかを確かめる方法もあります。Claudeでロジックモデルと評価計画を作るの手順が、そのまま使えます。

行政と団体の役割分担を表にする

協働事業の提案書で、差がつきやすいのが役割分担です。江東区は、提案団体が提案を出す前に、区の所管課・区の協働推進担当と調整する「三者調整」を必須にしています。つまり、役割分担は団体が一人で決めるものではなく、行政側と協議して固めるものです。

提案書の段階では「団体が考える案」を表にして持ち込み、協議の材料にします。

事業の各工程について、団体と行政のどちらが担うかを表にしてください。
列は「工程/団体の役割/行政の役割/行政に依頼したい理由」です。
行政の役割は、募集要項に書かれた行政側の関わり方の範囲で書いてください。
範囲を超えそうな依頼は、別表に「協議事項」としてまとめてください。

「協議事項」の別表は、事前相談や三者調整でそのまま質問リストになります。行政に何を求めるかが曖昧なまま提出すると、協議の場で初めて論点が出て、スケジュールが後ろにずれます。

江東区の審査基準には「協働という手法が必要か」「単なる団体の活動内容の提案になっていないか」という視点があります。役割分担の表を作るときは、行政が加わることで何が変わるかを、工程ごとに一文で書かせると、この視点への答えになります。

  • 行政が持つ情報や場所を使うことで、団体単独より対象に届く
  • 行政の広報や窓口を通すことで、参加者が増える
  • 団体の専門性で、行政が手を付けにくい部分を補う

経費と収支予算書を負担割合から組む

協働事業の予算は、自治体の負担分と団体の負担分に分けて組みます。江東区は区の負担額を1事業につき上限200万円とし、対象経費を人件費、報償費、委託料、交通費、賃借料、消耗品費、保険料などの費目で示しています。費目ごとに区の負担割合や単価の上限があるため、募集要項の「経費の考え方」を先に読み込ませます。

添付した募集要項の経費の項目と上限を読み取り、費目ごとの
「対象になる/ならない」「負担割合」「単価の上限」を表にしてください。
そのうえで、私たちの事業計画の経費を、この表に当てはめて分類してください。
対象外になりそうな経費は理由つきで別に挙げてください。

審査基準にも「費用対効果の視点に立って予算を積算しているか」(江東区)、「経費の見積もりは、事業内容に見合った妥当なものであること」(仙台市)があります。金額の計算はClaudeに任せきりにせず、合計と内訳は団体の担当者が電卓や表計算で再計算します。複数の予算案を比べるときはClaudeで予算シナリオを並べて比較するが参考になります。

事前相談・三者調整・プレゼンに合わせて段階的に磨く

自治体の制度には、提案書を出す前の段階があります。江東区の募集要項では、提案を出す前に事前相談と三者調整(ヒアリング)を受け、その後に仮審査用の提案書を出し、仮審査を通ると本審査の公開プレゼンテーションに進みます。審査結果を踏まえて、区長が採択事業を決めます。

流れに合わせて、Claudeへの依頼も段階を分けます。

段階Claudeに頼むこと
事前相談の前Claudeに頼むこと募集要項から提案要件との適合を点検し、相談で聞くことをリスト化する
三者調整の前Claudeに頼むこと役割分担の表と協議事項をまとめ、行政に聞かれそうな点の答えを用意する
仮審査・提出Claudeに頼むこと審査基準の対応表に沿って、不足や重複を洗い出す
公開プレゼンClaudeに頼むこと提案書の要点を、持ち時間に収まるスライドの構成案にする

提出方法も自治体で違います。江東区の募集要項には、持参または追跡可能な方法での郵送とし、メールでは提出できないとあります。提出された書類が、個人情報を除いて原則として情報公開の対象になる点も書かれています。電子データで作った提案書でも、押印や綴じ方、部数は募集要項のとおりに整えてください。

提出前の点検をClaudeにさせる

書き上げた提案書は、審査する側の視点で読み直させます。審査基準の表を渡し、項目ごとに不足を挙げさせます。

添付の提案書を、審査基準の表の各項目で読み、
「十分に答えている/弱い/書かれていない」に分けてください。
弱い・書かれていない項目には、追記すべき内容を質問の形で示してください。
提案書にない内容を、あなたが書き足さないでください。

加えて、次の確認は人が行います。

  • 団体要件の記載。仙台市は5名以上の会員、会則や会員名簿、1年以上の活動などを求めています。江東区は定款、役員名簿、前年度の事業報告書、活動計算書、納税関係の書類を提出書類に挙げています。書類の有無は募集要項の一覧と突き合わせます。
  • 対象外事業への該当。営利目的、特定の個人や団体だけが利益を受ける事業、一時的なイベントなどは対象外とされます。
  • 他の助成制度との重複。仙台市は他の助成制度で資金提供を受けている事業を対象外にしています。

個人情報を含む資料を扱うときは、Claudeに渡す前に氏名や連絡先を伏せます。参加者名簿や相談記録を使う場合の考え方は、個人情報の目的外利用・提供の可否をClaudeで判断表にするに法的な整理があります。

つまずきやすい点

  • 前年度の募集要項を使い回す。審査基準、上限額、日程は毎年変わりえます。江東区の資料でも対象年度の日程が書かれています。必ず今年度の要項を渡します。
  • 審査基準の言葉をそのまま並べる。「公益性が高い」と書くだけでは根拠になりません。基準の言葉は見出しにし、本文には団体のデータと工程を書きます。
  • 行政の役割を団体の都合で書く。行政に頼みたい内容が募集要項の範囲を超えていないか、協議事項に分けて確かめます。
  • 助成金の書き方を流用する。財団向けの言い回しを残すと、協働の必要性が弱く見えます。要件の拾い漏れを防ぐ表づくりはClaudeでRFPの要件を提案書の章立てに対応づける手順の考え方が共通して使えます。

団体全体でのClaudeの使いどころは、Claudeの非営利団体向けプラン(NPO)にまとめています。

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