ClaudeとPhishedを連携する方法 — フィッシング訓練の結果を会話で引く
PhishedコネクタでClaudeからフィッシング訓練のテナントを操作する手順です。96ツールの内訳、部署別リスクスコアと再教育対象の引き方、書き込み系を止める設定をまとめます。
Phishedコネクタでできること
Phishedは、フィッシング訓練とセキュリティ教育を自動で回すSaaSです。そのテナントをClaudeにつなぐのがPhishedコネクタで、提供元はPhished BVです。ディレクトリのページには「Anthropic verified」の表示があり、掲載は2026年7月、利用にはサインインが必要です。接続先のURLは https://mcp.phished.io/mcp です。
説明文は「Phished APIの全エンドポイントを使い、テナントを直接操作できる」という趣旨です。照会だけでなく、部署の作成や訓練テンプレートの登録まで届きます。
Phishedコネクタの規模
ツール総数
96
名前の接頭辞で分類
list-
34
一覧の取得
get-
20
個別の取得
create- / update- / delete-
39
13 + 13 + 13
「照会専用の道具」ではない点が出発点です。96のうち39は名前が create- update- delete- で始まり、残りの3つ(send-simulation-template-test / limit-recipient-access / validate-domain)も、名前からは送信や設定変更を伴いそうです。この記事は、結果を引く使い方を中心に、書き込みを止める方法まで続けます。
96ツールの内訳を領域で見る
ディレクトリのページに載るのはツール名だけで、引数や戻り値の説明はありません。そのため領域の分け方は、名前から読み取れる範囲に限ります。
| 領域 | ツール名の例 |
|---|---|
| 受信者・部署 | ツール名の例list-recipients get-recipient-summary list-departments create-department |
| 訓練の進捗 | ツール名の例list-training-progression get-recipient-progression list-level-progression |
| 疑似フィッシングの結果 | ツール名の例list-simulation-events list-recipient-simulation-events list-scheduled-simulations |
| リスクスコア | ツール名の例get-departments-brs get-recipient-brs get-recipient-brs-history |
| 訓練の設計 | ツール名の例list-simulation-templates create-simulation-template create-landing-page |
| 配信基盤・管理 | ツール名の例create-smtp-profile create-domain create-sso-configuration create-administrator |
最後の行が、後半で書き込みを絞る理由です。メール配信の設定、シングルサインオン、管理者アカウントまで、ツールとして並んでいます。
部署別のリスクスコアを聞く
Phishedのスコアは、Academyのページで「Behavioral Risk Score」と説明されています。会社・部署・個人の状態を数値にしたもので、疑似フィッシングの報告状況、My Apps & Devices、完了した訓練セッション、Threat Alertsの進み具合から決まります。
ツール名の brs は、この略称に対応するものと見られます。ただしディレクトリのページに略称の説明はありません。裏づけになるのは、名前の並びです。list-recipient-my-apps-and-devices-completion と list-recipient-threat-alerts-completion は、スコアの材料と同じ名前を持っています。
部署別の見方は、次の流れになります。
部署別スコアから再教育対象まで
- 1
部署の一覧を引く
list-departmentsで部署を取得します。以降の質問は、この名前で指定します。 - 2
部署ごとのスコアを並べる
get-departments-brsが部署別のスコアを返す名前です。低い順に並べさせると、手当ての順番が決まります。 - 3
低い部署の内訳を開く
部署内の個人は
get-recipient-brs、時系列はget-recipient-brs-historyで追います。 - 4
期限切れの訓練を足す
get-recipient-progression-expiredは、名前からは期限切れの進捗を指すように読めます。スコアが低い人と重ねると、再教育の優先度が見えます。
依頼文は、ツールを指定せず目的から書きます。次は一例です。
Phishedで部署ごとの行動リスクスコアを取得し、
低い順に5部署を表にしてください。
そのうち最下位の部署について、
個人別のスコアと期限切れの訓練がある人を挙げてください。
取得できなかった項目は推測で埋めず、
「取得できず」と書いてください。返ってくる表の列は、ツールの戻り値で決まります。一度実行して、列名と件数が管理画面の数字と合うかを見てください。ツール名からの推測が当たっているかを、ここで確かめられます。
疑似フィッシングの結果を切り分ける
Phishedは、クリックした人や、同じ失敗を繰り返す人をリスク区分のダッシュボードで見せると説明しています。その材料は、疑似フィッシングのイベントです。
次の質問は、名前の近いツールで答えられそうなものです。
- 先月の疑似フィッシングで、誰がリンクを押したか(
list-simulation-events) - 特定の1人が、過去にどんな訓練メールを受け取ったか(
list-recipient-simulation-events) - 次に送信が予定されている訓練はいつか(
list-scheduled-simulationsget-recipient-upcoming-simulation-send) - 自動配信と手動配信のどちらで送ったか(
list-automated-simulation-sendslist-manual-simulation-sends)
「繰り返しクリックする人」のような定義は、ツールではなく依頼文で与えます。たとえば「過去3回の訓練のうち2回以上クリック」と書けば、Claudeはイベントの一覧を集計して判定します。Phished側のダッシュボードの区分と一致するとは限らないため、人数は管理画面の値と突き合わせます。
個人名を並べる集計は、人事に近い情報です。再教育の対象者リストを会話に出す範囲は、社内の取り扱いルールで決めておく論点になります。
つなぐ手順
Claudeでは、Customize > Connectorsからディレクトリを開き、Phishedを追加して認証します。TeamとEnterpriseのプランでは、先にOwnerまたはPrimary Ownerが組織で有効にします。有効にしても全員が使えるわけではなく、各自がPhishedにサインインして初めて使えます。
会話で使うときは、入力欄の「+」から「Connectors」を開き、Phishedを有効にします。
Claude Codeからは、リモートのHTTPサーバーとして追加します。
claude mcp add --transport http phished \
https://mcp.phished.io/mcpサインインが必要な接続では、Claude Code内の /mcp から認証を進めます。ディレクトリのページに認証方式の記載はなく、どのロールのアカウントでサインインするかも書かれていません。管理者権限のアカウントでつなぐと、そのまま管理者として動く点は押さえておく必要があります。Claudeはサービス側のアカウントが持つ権限を引き継ぐ仕組みで、サービス側で許されない操作はClaudeからもできません。
書き込みを止める
目的が結果の照会なら、書き込み系は塞いでおくのが穏当です。止める層は2つあります。
書き込みを止める2つの層
Claude側のツール権限
TeamとEnterpriseでは、OwnerがCustomize > Connectorsでツールの権限を設定できます。読み取り系と書き込み・削除系に分類され、「Always allow」「Needs approval」「Blocked」から選びます。組織全体に効き、個人は上書きできません。
Claude Codeの権限ルール
mcp__<サーバー名>__<ツール名>の形でdenyを書けます。ツール名の位置にはグロブが使えるため、接頭辞でまとめて止められます。
Claude Codeの設定例は次のとおりです。サーバー名は先ほどの claude mcp add で付けた phished に合わせています。
{
"permissions": {
"deny": [
"mcp__phished__create-*",
"mcp__phished__update-*",
"mcp__phished__delete-*",
"mcp__phished__send-*",
"mcp__phished__limit-*"
]
}
}この設定で残るのは list- get- と、validate-domain です。validate-domain の挙動はページから読み取れないため、必要に応じて同じ形で追加します。send-simulation-template-test を塞ぐ行は、テスト送信を使うときに外します。
どちらの層も、Phished側のアカウント権限を広げることはありません。絞るだけです。照会用には、権限の小さいロールのアカウントを別に用意する運用も考えられます。
訓練の設計をClaudeに手伝わせる
Phishedは、MCP経由でキャンペーンを作る使い方を、自社の説明として挙げています。ClaudeやChatGPTなどにキャンペーンを組ませ、誰に支援が要るかを調べ、レポートを引く、という流れです。「承認なしには何も公開されない」とも書かれています。
ツールとしては、list-simulation-templates で既存のテンプレートを見て、create-simulation-template で新しい文面を登録し、send-simulation-template-test で試し送りをする流れが想定できます。登録後に実際に配信されるかは、Phished側の承認の設定で決まります。ここは書き込みを許可するので、前節のdenyを外す範囲を最小にします。
文面作りには、社内で実際に起きた不審メールの特徴を渡す使い方が向きます。受信者に見せる訓練メールの文面は、本物の詐欺メールの手口を再現します。配信先を自社の対象者に限り、承認を経る運用が前提です。
使う前に押さえること
- ディレクトリのページには「信頼できる開発元のコネクタだけを使う」旨の注意があります。Anthropicはツールの内容を管理せず、期待どおり動くことも保証しないと書かれています。
- Phishedの開発者向けドキュメントはAPIリファレンスの形で公開されています。ツールの引数と戻り値は、ここで対応するエンドポイントを確かめてから使うのが確実です。
- 会話に返った受信者の氏名やメールアドレスは、外部のサービスで処理されます。処理場所は米国外になることがあり、EnterpriseのUS限定推論の設定でも変わらないとされています。
- Enterpriseでコネクタ自体を制限したいときは、コネクタの制限設定が出発点です。コネクタ全般の仕組みはClaude Connectorsの解説にあります。
- 同じ「管理コンソールを会話で引く」型の例として、Automoxコネクタがあります。読み取りと書き込みの分け方が近く、権限の絞り方を比べられます。
- 個人でメールの真偽を調べたいときは、Claudeに詐欺メールの見分け方を聞く前の注意が向きます。Phishedは組織が従業員を訓練する側の道具です。
Claude Codeでつなぐ場合も、動く範囲はPhishedのアカウント権限と、上のdenyルールの組み合わせで決まります。
よくある質問
Phishedのアカウントがなくても使えますか
使えません。コネクタはPhishedのテナントに接続するもので、サインインが必要と表示されています。
訓練メールの文面作りだけを任せたいときは
list-simulation-templates などの照会系だけを許可し、create- と send- を塞いだ状態で、文面の案は会話の中で作らせます。登録は管理画面で人が行います。