Claudeに詐欺メールの見分け方を聞く前の注意 — リンク先は確かめられない
不審なメールやSMSの文面はClaudeに読ませられますが、リンク先の真偽は確かめられません。任せてよい範囲と、フィッシング対策協議会などで確かめる範囲を分けます。
不審なメールやSMSの文面は、Claudeに読ませて不自然な点を洗い出せます。ただし、リンク先のサイトが本物かどうかを、Claudeが答えられる形で確かめることはできません。「これは詐欺ですか」と聞いて返ってきた「問題なさそうです」を、安全の根拠にしないでください。
この記事では、Claudeに任せてよい作業と、フィッシング対策協議会や公式アプリで確かめる作業を分けます。コピーして使える依頼文と、うっかりリンクを開いてしまった後の動き方も載せます。
Claudeに「詐欺か」を聞いても答えが出ない理由
フィッシング対策協議会は、見分け方を尋ねられることが多いとしたうえで、最近の手口は本物と見分けがつかないことが多く、判別は非常に困難だと説明しています。理由として挙げているのは次の4点です。
本物と見分けがつかない4つの要素
差出人とメールアドレス
本物と同じ表記に偽装するのは簡単です。
自然な日本語の文面
正規のメールの複製や、AIで生成した自然な日本語が使われます。
URLの鍵マーク
フィッシングサイトでも証明書を簡単に取得できるため、鍵マークが表示されることがあります。
本物と同じ見た目のサイト
Webサイトもメールと同様に複製できます。
人間が見抜けないものを、画像やテキストから推測する側のClaudeが確実に見抜ける、とは言えません。文面が自然であること自体が、この手口の前提になっています。
つまり「Claudeに判定してもらう」という使い方は、最初から期待値が合っていません。Claudeに向くのは、判定ではなく整理です。
Claudeにできること・できないこと
分担の考え方は単純です。文面の中だけで完結する作業はClaudeに、メール本文の外にある事実の確認は人間に回します。
| 作業 | Claude | 人間・外部窓口 |
|---|---|---|
| 文面の不自然さの洗い出し | Claude向いている | 人間・外部窓口最終判断は人間 |
| 「誰を名乗り、何を求めているか」の整理 | Claude向いている | 人間・外部窓口— |
| 急かし方・脅し方の特徴の指摘 | Claude向いている | 人間・外部窓口— |
| リンク先が偽サイトかの判定 | Claude根拠にならない | 人間・外部窓口公式アプリ・ブックマークから開く |
| 差出人アドレスの真偽 | Claude根拠にならない | 人間・外部窓口公式窓口に問い合わせる |
| 通報 | Claude代行できない | 人間・外部窓口協議会などへ自分で報告 |
「根拠にならない」の行は、Claudeが答えを出せないという意味ではありません。答えが返ってきても、それが本物の証明になる材料を持っていない、という意味です。
URLを貼ると何が起きるか
claude.aiのWeb検索が有効なとき、Claudeは指定されたURLのページ内容を直接取得できます。この機能はWeb fetchと呼ばれ、記事やブログなどのページ全文を読んで分析する用途に使います。
ここで起きるのは「ページの中身を読む」ことです。そのサイトが偽物かどうかの判定ではありません。偽サイトは本物そっくりに作られているので、内容を読み込んだ結果が「正規のサイトのように見える」になる可能性もあります。
検索の切り替えは契約や画面によって異なります。新しいClaude体験ではWeb検索のトグルがなく、役に立つときにClaudeが検索します。URLを貼らないか、「このURLは開かず、文面だけを見て」と依頼文に書いておくと、意図しない取得を避けやすくなります。
「報告しておきました」は信じない
Claudeが自分の能力を取り違えて答えることもあります。Claudeは、明示的に連携していないツールやソフトにアクセスできません。メール、ワープロ、ファイル転送もその対象に含まれます。
通報に関して言えば、「協議会に報告しました」「通報メールを送りました」という返答が出ても、送信は行われていません。報告は自分の手で行います。
文面の洗い出しをClaudeに頼む手順
スクリーンショットで文面だけを渡す流れ
- 1
個人情報を伏せる
自分の氏名、電話番号、口座の一部が写っていれば、画像の編集で隠してからアップロードします。
- 2
リンクは開かない・貼らない
メールやSMSのリンクはタップしません。スクリーンショットなら、リンクをたどらずに文面だけを渡せます。
- 3
判定ではなく整理を頼む
下の依頼文のように、「安全か」ではなく「文面に何があるか」を聞きます。
- 4
確認は自分で行う
回答に出た名乗り先の公式アプリや、ブックマークしたサイトから開いて、同じ通知があるかを見ます。
画像の読み取りで得意・不得意な場面は、Claude画像解析でできることにまとめています。小さい文字は読み違えることがあるので、本文が長いときは拡大した画像を使います。
依頼文の例
次の形なら、判定を求めずに整理だけを頼めます。
添付はSMSのスクリーンショットです。リンクは開かないでください。
次の3点を箇条書きで答えてください。
1. 誰を名乗っているか
2. 私に何をさせようとしているか(リンクを開く、番号に電話する等)
3. 文面の不自然な点と、急かしている表現
「本物か偽物か」の判定は不要です。分からない点は分からないと書いてください。最後の1行がポイントです。判定を禁じておくと、推測で「おそらく安全です」と締める返答を減らせます。
返答の読み方
返ってきた「不自然な点」は、見落としを減らす材料として使えます。たとえば名乗り先と求める行動が食い違っている、期限が極端に短い、といった指摘です。
一方で、「不自然な点が見つからなかった」は安全の証明になりません。正規メールの複製のような文面は、不自然さが残らないからです。指摘が0件でも、リンクは開かない扱いのままにします。逆に指摘が何件あっても、それだけで偽物と決まるわけではありません。どちらの結果でも、ブックマークやアプリから開き直して確かめる手順は変わりません。
画像で渡すか、文面を貼るか
渡し方は2通りあり、得られる情報が少し違います。
- スクリーンショット: リンクを開かずに渡せます。一方で、画面に表示された文字列と実際のリンク先が別になっている場合、画像に写るのは表示側だけです
- 文面のコピー: 本文の細かな語句を正確に読ませられます。ただしURLごと貼ると、Web検索が有効な状態でページを取りに行くことがあります
迷ったときは画像で渡し、URLは伏せ字にするか依頼文で「開かない」と指定します。どちらの渡し方でも、実際のリンク先を調べる作業は残ります。
Webサイトやアプリの側でも、「対応を急かす表示は疑う」「表示の指示には従わず画面を閉じる」のが推奨の習慣です。Claudeに相談している最中でも、画面に出た警告や指示には従わず、閉じるほうを優先します。
Claude関連の名前を使うメールの確認
マーケティングメールの送信元アドレスは、anthropic.comまたはclaude.comで終わるものです。これらの宛先は送信専用で、受信箱は監視されていません。
ドメインの一致は確認の手がかりの一つです。ただし、差出人表記は偽装できるので、これだけで本物と決めることはできません。Claudeや請求、ログインを名乗るメールが来たら、メールのリンクではなく、ブックマークしたログイン画面から自分のアカウントの通知を確かめます。
ログインの確認メールが届かない場合の切り分けはClaudeのログイン用メールが届かない・遅いときに、心当たりのないログインがあったときはClaudeの全セッションログアウト手順にあります。
確かめる先を決めておく
メッセージ(メール・SMS)で必須の習慣は、次の2つです。
- メールやSMSのリンクは開かない。公式サイトや公式アプリからアクセスする
- 個人情報はすぐ入力しない。入力前に立ち止まり、不安なら公式窓口やサポートセンターに問い合わせる
推奨は、SMSフィルターや迷惑メールフィルターの利用です。セキュリティ対策アプリは参考扱いで、機能や性能はアプリによって異なります。
日頃から使うサービスは、いつもの公式アプリかブックマークから開く習慣にしておけば、怪しい通知が来ても偽サイトを開かずに済みます。Claudeに相談するかどうかとは別に、この習慣が最後の防波堤になります。
報告するときもスクリーンショットが使える
フィッシングと思われるメールやSMSが来たときは、協議会に情報提供できます。メールはリンクをクリックせずに、報告受付のメールアドレスへ転送します。SMSは転送できないため、スクリーンショットを撮ってメールに添付して送ります。受付アドレスと「Webフォームで報告」の入口は、協議会の「フィッシングの報告」ページにあります。
迷惑メールフォルダーに入ったメールは、すでに検知されていて対応が完了しているとみなせるため、報告は不要です。Amazonやメルカリはサービスごとに報告先があり、事業者にも直接報告します。
報告は、Claudeに代行させることができません。ここだけは自分で行う作業として残ります。
リンクを開いてしまった・入力してしまったとき
協議会の対処表は、状況の重さを分けて整理しています。
| 状況 | 協議会の案内する動き |
|---|---|
| リンクを開いただけで、入力はしていない | 協議会の案内する動き被害の可能性は低い。アクセス履歴を確認し、不審なアクセスがあればパスワードを変更 |
| ID・パスワードを入力した | 協議会の案内する動きすぐにパスワードを変更し、他のサービスで同じ組み合わせを使っていれば見直す |
| クレジットカード情報を入力した | 協議会の案内する動きカード会社の紛失・盗難窓口へ連絡し、利用停止と再発行を相談 |
| ネットバンキングの認証情報を入力した | 協議会の案内する動きすぐに金融機関へ連絡 |
| 認証コードが身に覚えなく届いた | 協議会の案内する動きパスワードを変更し、多要素認証やパスキーを設定 |
金銭的な被害や払い戻しのトラブルは消費者ホットライン188、不安や被害の相談は警察の相談専用電話#9110へ。緊急の場合は110番です。
このときもClaudeに頼めるのは「連絡先に伝える経緯の時系列整理」のような、文章の作業までです。停止や変更の手続きそのものは、サービス側の窓口で行います。
まとめ
Claudeに向くのは、スクリーンショットの文面から「誰が何を求めているか」を整理させ、不自然な表現を拾わせるところまでです。リンク先の真偽は、公式アプリやブックマークからの再アクセスと、協議会などの窓口で確かめます。
見る順番を決めておくと迷いません。リンクは開かず、文面を整理し、公式の入口から同じ通知があるかを確かめます。Claudeの「問題なさそう」は、この3つのどれの代わりにもなりません。