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Claudeで記者発表会の進行台本を作る — 式次第と分刻みの表

Claudeで記者発表会の進行台本を作る — 式次第と分刻みの表

登壇者の持ち時間、質疑、デモ、撮影の段取りをClaudeのProjectsに預け、式次第と分刻みのタイムラインを作る手順。時刻の検算と、当日用の台本への展開まで。

記者発表会の進行台本は、登壇者の持ち時間、質疑の割り振り、デモと撮影の段取りを、分刻みの1枚の表に落とした文書です。この表づくりは、Claudeに向いた作業です。条件を渡して並べさせ、足し算が合うかを確かめさせるだけで、叩き台は数分でできます。

ただし、会場の制約や登壇者の事情はClaudeには見えません。材料をProjectsに預け、指示文で「時刻は逆算する」「合計を必ず検算する」と決めておくと、条件が変わるたびに表を作り直す手間が小さくなります。

ここで扱うのは、材料の用意、Projectsの設定、式次第とタイムラインの作らせ方、検算、当日用の台本への展開です。想定問答はClaudeで記者会見の想定問答集を作る手順に、会社の数字の正本づくりはプレスキットのファクトシートの作り方にあります。

式次第・タイムライン・台本は別のものとして作る

進行まわりの文書は、似ているようで役割が違います。まとめて「台本」と頼むと、どれも中途半端になります。

役割

進行文書の3つの層

  • 式次第

    何が、どの順で行われるかの一覧です。時刻は入りません。社内の合意を取る最初の文書になります。

  • タイムライン

    式次第に開始時刻と持ち時間を足したものです。会場スタッフ、映像担当、受付が見る文書で、1分のずれが次の項目に響きます。

  • 司会台本

    司会者が読み上げる言葉と、登壇者を呼び込む合図を書いたものです。タイムラインが固まってから作ります。

作る順序は、式次第、タイムライン、台本です。後ろの文書は前の文書に従属するので、式次第が動いたら台本も作り直しになります。順序を逆にすると手戻りが大きくなります。

先に人が決める材料

Claudeに渡す前に、人が決めておくことが4つあります。ここが空欄だと、Claudeはもっともらしい値で埋めてしまい、後で気づきにくくなります。

材料決めておく内容例
開始と終了決めておく内容開会時刻と、会場を出る時刻例14:00開会、15:00終了
登壇者と持ち時間決めておく内容誰が何分話すか例社長8分、担当役員12分
固定の演出決めておく内容デモ、ゲスト登壇、撮影例デモ8分、撮影5分
質疑のルール決めておく内容時間、1社あたりの質問数、指名者例20分、1社1問

持ち時間の合計が、開会から終了までの枠に収まっているかは、まず人が確かめます。収まらない場合にどこを削るかは、Claudeではなく社内の判断です。登壇者の序列や、誰を先に呼ぶかといった事情も同じです。

Projectsに材料を預ける

毎回の依頼文に条件を貼り直すと、貼り忘れと貼り間違いが出ます。専用のプロジェクトを作り、材料を置いておけば、依頼文は「今回の条件」だけで済みます。公式ヘルプによると、Projectsは独自のチャット履歴とナレッジベースを持つ閉じた作業空間です。Freeを含む全ユーザーが使え、Freeで作れるのは最大5つです。

手順

進行台本用プロジェクトの作り方

  1. 1

    プロジェクトを作る

    Projectsの画面で「+ New Project」を押し、名前と説明を付けます。この名前と説明はClaudeには渡りません。人が見分けるためのラベルとして使い、会場条件などは書き込みません。

  2. 2

    ナレッジに材料を入れる

    登壇者一覧、会場の条件、過去の進行表、リリース原稿をアップロードします。ナレッジに入れた内容は、そのプロジェクトのすべてのチャットで背景として使われます。

  3. 3

    プロジェクトの指示を保存する

    「Set project instructions」から指示を書いて保存します。指示はプロジェクト内のすべてのチャットに効きます。

  4. 4

    進行表づくりは、プロジェクト内のチャットで進める

    プロジェクトの外で相談していたチャットは、「Add to project」でプロジェクトに移せます。

注意点が1つあります。公式ヘルプには、プロジェクト内のチャット同士ではコンテキストが共有されないと明記されています。ナレッジに入れた情報だけが、すべてのチャットに届きます。ある日のチャットで「質疑は25分に延ばす」と決めても、それをナレッジに反映しなければ、翌日の新しいチャットには伝わりません。決定事項は、ナレッジのファイルに書き戻す習慣をつけます。

有料プランでは、ナレッジがコンテキストウィンドウの上限に近づくと、Claudeが自動でRAGモードに切り替えて容量を広げます。過去の進行表を複数まとめて置く使い方も、容量の面では取りやすくなります。

会場と登壇者の条件を1枚にまとめる

ナレッジに置く中心の文書は、条件をまとめた1枚です。次は架空の会社の例です。

# 発表会の条件(株式会社サンプル 新製品発表会)
開会: 2026-11-10 14:00 / 終了: 15:00(会場退出は15:30)
会場: 本社ホール(定員80名)
 
## 登壇者
- 司会: 広報部 佐藤(開会と進行)
- 社長 山田: 挨拶と今後の展望(持ち時間8分)
- 担当役員 鈴木: 製品の説明(持ち時間12分)
- 開発リーダー 田中: デモ(持ち時間8分)
- ゲスト: 提携先代表(持ち時間5分、14:30以降に登壇)
 
## 固定の演出
- デモ前に映像の切り替えが必要(切り替え余裕30秒)
- フォトセッションは壇上で5分、質疑の後
 
## 質疑
- 時間: 20分 / 1社1問、追加質問は司会が可否を判断
- 回答者: 社長と担当役員(技術の質問は開発リーダー)
 
## 制約
- 14:30より前にゲストは入れない(別会場から移動)
- 映像担当は1名

「制約」の欄は、短くても書いておきます。ゲストの到着時刻や、映像担当の人数は、台本を組む段階で効いてきます。Claudeに渡さなければ、ゲストを14:10に置く表が平気で返ってきます。

カスタム指示で表の作り方を固定する

ナレッジの扱い方は、プロジェクトの指示に書きます。公式ヘルプでは、指示の例として「より丁寧な口調で答える」「特定の役割や業界の視点で答える」といった使い方が挙げられています。進行表では、役割と、計算と、不明点の扱いを書いておきます。以下は書き方の一例です。自社の運用に合わせて直してください。

あなたは広報の進行管理係です。
- 条件は、ナレッジの「発表会の条件」だけを正とする。
- 時刻は24時間表記で、開会時刻から順に積み上げて決める。
- 各行に「開始・終了・持ち時間・担当・必要な準備」を書く。
- 表の最後に、持ち時間の合計と、開会から終了までの差を必ず示す。
- 条件に無いことは推測で埋めず、【要確認:○○】と書いて残す。
- 制約(到着時刻、人数)に違反する行があれば、表の前に一覧する。

最後の2行が効きます。条件に無いことを推測で埋めさせないと、「質疑のあとに休憩5分」のような、誰も決めていない項目が混ざることがあります。【要確認】の印を付けさせておけば、人が拾う場所が見えます。

式次第から分刻みの表にする

作業は、2回に分けて頼みます。1回目は式次第で、時刻を入れません。順序と担当だけを見て、社内で合意を取ります。

条件に沿って、式次第を項目と担当だけで出してください。
時刻はまだ入れません。順序が条件(ゲストは14:30以降)に反しないかも確認してください。

順序が固まったら、2回目でタイムラインにします。

この式次第に時刻を入れてください。14:00開会、持ち時間は条件のとおりです。
デモ前に映像の切り替え余裕を入れ、質疑の末尾に予備の枠が必要かを提案してください。
表は項目、開始、終了、持ち時間、担当、準備の6列です。

返ってくる表の形は、次のようなものです(条件と指示に沿った例示で、実際の出力は条件によって変わります)。

開始終了分項目担当準備
14:00終了14:02分2項目開会・注意事項担当司会 佐藤準備撮影ルールの周知
14:02終了14:10分8項目社長挨拶担当山田準備映像は社名のみ
14:10終了14:22分12項目製品説明担当鈴木準備スライド切り替え
14:22終了14:30分8項目デモ担当田中準備映像切り替え30秒
14:30終了14:35分5項目ゲスト登壇担当提携先代表準備14:30に袖で待機
14:35終了14:55分20項目質疑応答担当山田・鈴木・田中準備マイク2本
14:55終了15:00分5項目フォトセッション担当全員準備立ち位置テープ

7行の持ち時間を合計すると60分で、14:00から15:00の枠とぴったり一致します。ぴったりな表は、実は危うい表でもあります。予備がなく、質疑が1分延びれば撮影が削られます。そこで2回目の依頼に「予備の枠が必要か」を入れておきました。

時刻と合計を検算させる

分刻みの表で事故が起きやすいのは、足し算です。Claudeにも間違える可能性はあるので、検算を工程に組み込みます。

  • 逆算で確かめる: 終了時刻から遡って各行の開始を出し直させ、元の表と一致するかを比べます
  • 合計を出させる: 持ち時間の合計と、開会から終了までの差を並べて示させます
  • 制約を突き合わせる: ゲストの到着時刻より前の行にゲストが入っていないか、一覧させます
  • 人間の目で通読する: 開始時刻と、1つ前の終了時刻が同じ値かを、上から順に目で追います

検算の依頼は、短い文で足ります。

この表を検算してください。
(1) 終了時刻から逆算した開始時刻が一致するか
(2) 持ち時間の合計と枠の差
(3) 条件の制約に違反する行
結果は問題のあった行だけを挙げ、無ければ「なし」と答えてください。

「無ければなし」と書くのは、問題のない行を延々と並べ直されるのを防ぐためです。

ファイルにまとめる段階では、公式ヘルプのコード実行機能も使えます。Claudeはコードを実行して、Excelのスプレッドシート、PowerPoint、Word、PDFのファイルを作れます。公式ヘルプには、動く数式を持つExcelモデルを作れるとあります。進行表なら、開始時刻を前の行の終了時刻から計算する式を入れておくと、持ち時間の列を直したときに後ろの時刻が追従します。この機能はFree、Pro、Max、Team、Enterpriseの全プランで使えます。

当日用の司会台本に展開する

タイムラインが固まったら、司会台本です。各項目の前後に入る、呼び込みの言葉とつなぎの言葉を作らせます。

確定したタイムラインから司会台本を作ってください。
- 各項目に、呼び込みの一言(30字以内)と終了時のつなぎの一言を付ける
- 登壇者の肩書は条件のとおりに書く
- 時間が押した場合の短縮案を、項目ごとに1行で付ける

3行目の「押した場合の短縮案」が実務で効きます。たとえば質疑が長引いたときに、司会がどこで切るかを、事前に決められるからです。短縮案は人が最終確認し、登壇者と合意した形に直します。

台本に入れる数字や社名の表記は、ファクトシートの値と一致させます。会社の数字を一元化する手順はプレスキットのファクトシートの作り方にまとめています。リリース文面そのものはClaudeでプレスリリースの文面を下書きする手順です。

質疑の割り振りは、想定問答の仕分けと連動させます。社長が答える質問、担当役員が答える質問、答えない質問を分けておくと、質疑枠の中で誰がマイクを持つかが決まります。この仕分けの手順は想定問答集の作り方にあります。

関係者に共有するときの権限

進行表は、広報だけでなく、映像、受付、警備、登壇者の秘書が見る文書です。Team・Enterpriseプランでは、プロジェクトを組織内で共有できます。権限は2段階です。

  • Can view: プロジェクトの内容、ナレッジ、指示を見て、プロジェクト内でチャットできる。編集はできない
  • Can edit: 指示とナレッジを変更し、メンバー設定を更新し、プロジェクトに貢献できる

プロジェクトを共有しても、あなたのチャットは他のメンバーには見えません。公式ヘルプでは、公開プロジェクトでもチャットは手動で共有しない限り非公開と説明されています。プロジェクトの作成時に、公開(組織全体)か非公開かを選べます。後からも、共有メニューのGeneral accessで切り替えられます。

発表前の進行表は、情報の解禁日に関わる文書です。非公開にして、必要な人だけをメールで招待し、映像担当や受付は「閲覧のみ」にすると、誤って指示を書き換えられる事故を避けられます。管理者が共有機能を止めている組織では、共有ボタンそのものが使えません。

プロジェクトごとにメモリも分かれます。公式ヘルプでは、各プロジェクトが固有のメモリを持ち、他のプロジェクトのメモリは使われないと説明されています。別の発表会のプロジェクトと内容を混ぜたくない場合は、プロジェクトのページで「Use account memory」をオフにします。

よくあるつまずき

  • 登壇者がゲストの到着前に置かれる: 条件の「制約」欄が空です。到着時刻と人数の制約を書き足し、表の前に違反を一覧させる指示を入れます。
  • 前日の決定が翌日のチャットで消える: プロジェクト内のチャット同士ではコンテキストが共有されません。決まったことは、ナレッジの条件ファイルに書き戻します。
  • 誰も決めていない休憩が入る: 指示に「条件に無いことは【要確認】と書く」を入れます。
  • 合計が合っているのに、現場で押す: 予備の枠がありません。質疑や映像の切り替えの後に、数分の予備を置く案を出させます。
  • ファイル作成ができない: Team・Enterpriseでは管理者設定の問題です。上の注意書きの設定を確かめます。

まとめ

進行台本づくりは、人が条件を決め、Claudeに順序と時刻を積ませ、検算で締める流れで進めます。式次第、タイムライン、司会台本の順に作れば、条件が変わったときの手戻りも小さく収まります。

最後に残るのは、やはり人の判断です。持ち時間を削る相手、質疑を切るタイミング、ゲストを何分前に袖に入れるか。これらは表の外にあり、条件ファイルへ書き戻された時点で、初めてClaudeが使える材料になります。

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