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Claudeで記者会見の想定問答集を作る手順 — 答えない線と数字の根拠を分ける

Claudeで記者会見の想定問答集を作る手順 — 答えない線と数字の根拠を分ける

プレスリリースと過去のFAQをProjectsに入れ、記者の質問を洗い出して回答の方針と数字の根拠を分けるまでの手順。答えない項目の決め方と、リハーサルの回し方も扱います。

記者会見や発表会の準備で時間がかかるのは、回答を書く作業より前の「何を聞かれるかを洗い出す」段階です。ここはClaudeの得意分野で、発表資料を読み込ませれば、記者の立場ごとに質問を並べさせられます。

ただし、回答まで一気に作らせると危うくなります。数字や日付を確定できるのは社内の担当者だけで、「答えない」と決める判断も人の仕事です。この記事では、Projectsに資料を置き、質問の洗い出し、回答方針の仕分け、数字の根拠づけ、リハーサルの順に進める手順を示します。リリース本文そのものの下書きはClaudeでプレスリリースの文面を下書きする手順が扱っているので、ここでは発表後の質疑対応に絞ります。

想定問答でClaudeに任せる範囲と人が握る範囲

想定問答集は、質問、回答方針、回答案、根拠の4点でできています。Claudeに任せやすいのは前半の2点、人が握るのは後半の2点です。

項目Claudeに任せやすい人が確定する
質問の洗い出しClaudeに任せやすい発表資料の弱い箇所から記者の質問を広く出す人が確定する実際に出そうな質問への絞り込み
回答方針Claudeに任せやすい「答える/答えない/調整中」の案を出す人が確定する方針の最終決定、法務・経営の承認
回答案Claudeに任せやすい資料にある事実だけで文面を組む人が確定する数字、日付、固有名詞、約束に当たる表現
根拠Claudeに任せやすいどの資料のどこに書いてあるかを示す人が確定する資料自体が最新で正しいかの判断

線の引き方は単純です。資料に書いてあることは、Claudeに探させて組み立てさせられます。資料に無いことは、Claudeに答えを作らせません。無いことは無いまま印を付けて、担当者に返します。

質問の材料をProjectsに入れる

毎回資料を貼り直すより、専用のProjectを作って資料を置いたほうが安定します。Projectsは、独自のチャット履歴とナレッジベースを持つ閉じた作業空間です。ナレッジに入れた文書は、そのプロジェクト内のどのチャットでも背景として使われます。Freeプランでも作れますが、作成できるプロジェクトは最大5つです。

ナレッジ

想定問答用プロジェクトに入れる資料

  • 発表するプレスリリース

    確定版の原稿です。質問の起点になります。

  • 過去のFAQと過去の会見録

    これまでに実際に聞かれた質問の傾向がわかります。

  • 数字の出典資料

    決算資料、調査レポート、社内集計の抜粋です。回答の根拠になります。

  • 広報の対応方針メモ

    触れてよい範囲、使ってはいけない表現、窓口の一本化ルールです。

入れてはいけないのは、まだ決まっていない別案件の資料です。ナレッジの内容はプロジェクト内の全チャットで使われるため、別案件の情報が混ざると、回答案にその気配が出るおそれがあります。

ファイル名は中身が分かる形にしておきます。たとえば「2026Q3決算_説明資料.pdf」「過去FAQ_2025.docx」のようにします。後で回答案の根拠を示させるとき、ファイル名がそのまま出典の表示になるからです。

プロジェクトを作るときに入力する名前と説明は、Claudeには渡りません。公式ヘルプはこの点を明記しています。「これは◯◯社の広報用」といった前提は、名前や説明ではなく、次のカスタム指示に書きます。

カスタム指示に「答えない線」を先に書く

カスタム指示は、プロジェクト内のすべてのチャットに適用される指示です。公式ヘルプの例では「より丁寧な口調で答える」「特定の役割や業界の視点で答える」といった使い方が挙げられています。想定問答では、役割と禁止事項を書いておきます。

以下は指示文の一例です。社名や項目は自社のものに置き換えてください。

あなたは広報担当の補佐です。記者会見の想定問答を準備します。
- 事実や数字は、ナレッジにある資料からのみ引用する。
- 数字を使うときは、資料のファイル名と該当箇所を括弧で添える。
- ナレッジに根拠が無い内容は推測で埋めず、【根拠なし:○○】と書く。
- 次の話題は回答案を書かず、【答えない候補】とだけ示す。
  未発表の製品計画、個別の取引先名、係争中の案件、個人の処遇
- 回答は「結論→理由→今後の対応」の順で、1問あたり3文以内にする。

「推測で埋めない」と「根拠なしの印」は、セットで書くのが肝です。禁止だけを書くと、Claudeは黙って自然な文に整えてしまいがちで、穴が見えなくなります。印を残させておけば、後で検索して一括で潰せます。

記者の立場ごとに質問を出させる

質問は、立場を指定して出させると偏りが減ります。同じリリースでも、経済紙、業界専門紙、ITメディア、テレビでは聞くことが違うからです。

添付のプレスリリースを読んだ記者として、質問を出してください。
立場は次の4種類で、それぞれ5問ずつです。
 1. 経済紙(業績・投資判断への影響)
 2. 業界専門紙(競合との違い、技術の中身)
 3. 一般向けテレビ(利用者への影響、わかりやすさ)
 4. 厳しめの記者(リスク、過去の発言との食い違い)
質問ごとに、リリースのどの記述から出てきたかを添えてください。

「どの記述から出てきたか」を添えさせるのがポイントです。出どころが分かれば、その記述を発表前に直す判断にもつなげられます。記者の質問が出やすい箇所は、そもそも読み手に説明が足りていない箇所でもあります。

過去のFAQや会見録を入れてある場合は、続けて次の指示を出します。

過去のFAQと会見録に、今回のリリースと同じ論点の質問はありますか。
ある場合は、当時の回答と今回の資料で食い違う点を挙げてください。

過去の回答と今回の数字がずれていると、記者はそこを突いてきます。食い違いは、Claudeに探させるのに向いた作業です。見つかったものは、回答案を書く前に社内で整合を取ります。

質問ごとに回答の方針を仕分ける

質問が出そろったら、いきなり回答を書かせず、まず方針を3つに分けます。

くらべる

回答方針の3区分

資料に根拠がある

答える

確定済みの事実と、承認済みの数字。回答案を作り、根拠の資料名を添えます。

線を引く

答えない

未発表・守秘・係争中など。回答案は作らず、「お答えできない」と言う理由を一言用意します。

今は判断できない

調整中

社内で確認中の項目。「確認のうえ後日お知らせします」と言える形にして、期限と窓口を決めます。

Claudeには次のように頼みます。

出した質問を3区分に仕分けて、表にしてください。
列は「質問/区分/区分の理由/根拠資料」です。
「答える」に入れるのは、ナレッジに根拠がある質問だけです。
迷うものは「調整中」にして、誰に確認すべきかを書いてください。

仕分けの結果は、そのまま信じず、人が見て直します。とくに「答えない」の判断は、広報だけで決めない項目です。法務や経営の確認が要る質問が混ざっているので、仕分け表を回覧して承認を取ります。

「答えない」にも作り込みは要ります。ただ黙るのではなく、理由と代わりに言えることを一緒に用意しておくと、現場で言葉に詰まりません。

  • 未発表のため控える: 「発表時期は決まり次第お知らせします」と言える範囲を決める
  • 守秘義務がある: 取引先名の代わりに、業種や規模で言える範囲を決める
  • 係争中: 「係争中のためコメントを控える」で一貫させ、言い換えを許さない

この3つのひな形も、Claudeに案を出させたうえで、人が文言を確定します。

数字には根拠の台帳を付ける

記者会見で最も事故が起きやすいのは数字です。回答案に出てくる数字をすべて抜き出し、出典を付けた台帳を作らせます。

作成した回答案に出てくる数字・日付・固有名詞をすべて抜き出し、
次の列の表にしてください。
「回答案の番号/数字などの表現/出典のファイル名/該当箇所/
資料に原文があるか(ある/ない/言い換えている)」
「言い換えている」ものは、原文と並べて示してください。

最後の列が役に立ちます。資料では「約30%」とある数字を、回答案が「3割強」と言い換えていれば、意味がずれています。「ない」と判定されたものは、回答案から外すか、根拠を探します。

ナレッジが大きくなると、有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)ではRAGが自動で有効になり、容量が最大10倍まで広がります。このときClaudeは、プロジェクトのナレッジを検索するツールで必要な箇所を取り出す動きになります。公式ヘルプのベストプラクティスには、わかりやすいファイル名を付けること、関連する資料を同じプロジェクトにまとめること、質問のときに文書名を指定して検索の的を絞ることが挙がっています。台帳を作らせる指示に「この資料のこの数字」と文書名を添えるのは、この推奨に沿った使い方です。仕組みの詳細はClaude ProjectsのRAG検索の仕組みと全文投入との違いにあります。

RAGが有効かどうかは画面の表示で分かります。資料が多いプロジェクトでは、数字の抜けを見落とさないよう、台帳の「ある/ない」判定を人が必ず目視します。

回答案を作り、別のチャットで詰める

方針が決まったら、「答える」と「調整中」の項目について回答案を作らせます。指示文に書いた3文以内の型が効くので、追加の注文は少なくて済みます。

回答案ができたら、同じプロジェクトで新しいチャットを開き、記者役をさせます。

あなたは厳しめの経済紙の記者です。
承認済みの回答案(下に貼ります)を読んで、答えを聞いたうえでの
追加質問を各問につき1つ作ってください。
前の回答とずれた、または曖昧な点を突く質問にしてください。

想定問答の弱点は、最初の質問より、答えを聞いた後の追加質問に出ます。深掘りに耐える回答かどうかは、追加質問を作らせると分かります。

注意したいのは、プロジェクト内でもチャットをまたいだ文脈は共有されないことです。公式ヘルプは、情報をナレッジに追加しない限り、同じプロジェクトの別チャットには引き継がれないと説明しています。承認を得た回答案や仕分け表は、ファイルにしてナレッジに入れ直しておきます。入れ直さないと、リハーサル用のチャットが古い前提のまま動きます。

共有するときの権限と守秘

Team・Enterpriseプランでは、プロジェクトを組織内で共有できます。権限は「閲覧のみ」と「編集可」の2段階です。閲覧のみの人は、ナレッジと指示を見てチャットできますが、編集はできません。編集可の人は、指示やナレッジの変更とメンバーの管理ができます。

想定問答集は発表前の情報を含むので、組織全体への公開ではなく、招待した人だけが使える非公開にしておくのが基本です。非公開のプロジェクトでは、チャット、ナレッジ、Artifactsとも、招待していない人には見えません。作成後に公開と非公開を切り替えることもできます。

公開プロジェクトでも、各自のチャットは本人だけのものです。共有されるのはプロジェクトのナレッジと指示で、チャットは手動で共有しない限り他の人には見えません。広報担当が編集可、経営層と法務が閲覧のみ、という分け方なら、回答案の確認を同じ場所で回せます。

組織の管理者は、プロジェクトの共有そのものを止められます。止めている組織では、共有の手順が使えません。使えるかどうかは、管理者に確認します。

よくあるつまずき

  • 回答案の数字が、資料と微妙に違う: 台帳の「言い換えている」を見て原文に戻します。指示に「数字は原文のまま引用する」と加えると減ります。
  • 答えない項目に、もっともらしい回答案が付いてしまう: カスタム指示の禁止話題の一覧が足りていません。話題を具体的に書き足します。
  • 質問が似通っていて広がらない: 立場を増やすか、「記者が前の発表と比較して聞く質問」のように観点を指定します。
  • リハーサルで古い回答案が使われる: 修正版をナレッジに入れ直していません。古いファイルは削除するか、ファイル名に版を付けます。
  • 存在しない過去の発言が引用される: 会見録がナレッジに無いのに「以前こう発言した」と出た場合は、根拠なしとして外します。経緯はClaudeが「存在しないリンク」を送ったと言う理由と対処法に近い話です。

まとめ

想定問答集づくりでは、洗い出しをClaudeに広く任せ、答えない線と数字の確定を人が握ります。カスタム指示に「根拠なしの印」と禁止話題を書き、回答は方針の仕分けを経てから作り、数字は出典の台帳で突き合わせます。この順序なら、回答案の誤りは作る段階ではなく点検の段階で見つかります。

発表後にSNSで反応が出る場合の備えはClaudeでSNS投稿前の炎上リスクをチェックする手順が続きの作業になります。プロジェクト機能の全体像はClaude Projects完全ガイドにまとまっています。

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