ClaudeとRetoolを連携する方法 — MCPでユーザー管理とアプリ生成
RetoolのMCPサーバーをClaudeとClaude Codeにつなぐ手順です。スコープと権限、プラン別のツール、ツール名の食い違い、AIクレジットの消費条件までを示します。
RetoolのMCPサーバーをClaudeにつなぐと、Retoolのアプリ生成、ユーザー招待、リソース設定を会話から操作できます。Claude.aiのコネクター、Claude Code、Retool自身のAgentsのどれからでも、同じサーバーに接続します。
この記事では、接続手順と並べて、つなぐ前に決めておきたいこと(スコープ、プラン、クレジット)を扱います。Retoolは社内ツールの基盤なので、読み取りだけでなく書き込みや削除のツールも含まれる点が要所です。
ClaudeでRetoolを操作するとは
Retoolは、社内ツールを組み立てるプラットフォームです。MCPサーバーは、コーディング環境からRetoolのアプリ作成、React製アプリの取り込み、組織設定とユーザーの管理を行うための入口として用意されています。
Claudeのコネクター一覧では、提供元がRetool, Inc、カテゴリーが開発者ツール、サインイン必須の「Anthropic verified」コネクターとして載っています。追加は2026年5月です。
RetoolのMCPサーバー接続情報
URL
https://<インスタンス>/mcp
例: https://example.retool.com/mcp
通信方式
HTTP
リモートMCP
認証
OAuth 2.0
認証後はエージェントの再起動が必要な場合あり
注意したいのは、同名の別機能があることです。Retoolには、サードパーティのツールをアプリやワークフロー、エージェントに取り込む「MCPリソース」があります。こちらは外部のMCPサーバーをRetoolに足す機能で、本記事の対象は逆向きの、RetoolをMCPサーバーとして公開する側です。
用途は大きく3つに分かれます。
RetoolのMCPサーバーでできること
アプリ構築
既存のReactアプリの取り込み、アプリの作成と更新、エージェントの作業状況の確認、失敗したビルドの取り消し、既存アプリの調査。
組織とユーザーの管理
リソースへのクエリ実行によるデータ分析、監査ログの調査、ユーザーの一括招待と保留中の招待の管理、アクセス権を持つユーザーの棚卸し。
リソース管理
接続済みリソースと設定の一覧、リソースの新規作成、用途に合うリソースの特定、環境ごとの設定の確認。
Claudeのコネクター全般の仕組みはClaudeのコネクターとはにまとめています。書き込み系ツールを持つ類似の例としては、ClaudeとCeligoを連携する方法が参考になります。
Claudeに追加する手順
Claude.ai・Claude Desktop
プランによって入口が分かれます。
| プラン | 追加の担当 | 手順 |
|---|---|---|
| Free・Pro・Max | 追加の担当本人 | 手順Customize > Connectors > Add > Browse connectorsでRetoolを探し、Connectを押す |
| Team・Enterprise | 追加の担当OwnerまたはPrimary owner | 手順組織のカスタムコネクターとしてRetoolのMCPサーバーを追加する |
Free・Pro・Maxでは、Connectを押すとブラウザーが開き、MCPに許可するスコープを選びます。承認後にClaudeへ戻れば使えます。
Team・Enterpriseでは、メンバー個人では追加できません。Owner側がカスタムコネクターとして追加します。カスタムコネクターの入力項目はコネクターの解説の手順と同じです。URLには自分のRetoolインスタンスの /mcp を入れます。
Claude Code
Claude Codeでは1行で追加します。URLは自分のインスタンスに置き換えてください。
claude mcp add --transport http retool \
https://example.retool.com/mcp追加したらセッションをいったん終了し、新しいセッションを始めます。そこで /mcp を実行し、認証が必要と表示されている retool を選ぶと、ブラウザーでスコープの選択画面が開きます。認証を終えてClaude Codeに戻れば準備完了です。
接続が切れたときは、/mcp reconnect allで再接続できます。
Claude Codeで接続して動作確認するまで
- 1
サーバーを登録する
claude mcp add --transport httpでRetoolのURLを登録します。 - 2
セッションを開き直す
登録後は一度終了し、新しいセッションで
/mcpを開きます。 - 3
OAuthで承認する
ブラウザーでスコープを選んで承認し、Claude Codeに戻ります。
- 4
読み取りだけで試す
最初の依頼は「Retoolのリソースを一覧して」のように、副作用のないものにします。
セルフホスト版で使えるか
セルフホストのRetoolでも使えますが、条件があります。バージョン4.0.0以降が対象で、必要な構成は新しいアプリ構築体験と同じです。古いインスタンスでは、先にアップグレードが要ります。
スコープとプランで、見えるツールが変わる
RetoolのMCPは、認証のときにスコープを選びます。スコープは3種類で、ツールごとに必要なものが決まっています。
| スコープ | 主なツール | 備考 |
|---|---|---|
mcp:read | 主なツールアプリ・リソースの一覧や取得 | 備考リソースの一覧、詳細、TypeScript定義の生成を含む |
mcp:write | 主なツールアプリの作成・公開、リソースの作成・更新、TypeScript実行 | 備考アクセス権の付与・取り消しもここに入る |
mcp:admin | 主なツールユーザー、招待、ワークフロー、環境、監査ログ | 備考選べるのは組織の管理者だけ |
自分のRetoolアカウントの権限を超えるスコープは付与されません。たとえば mcp:admin を選べるのは組織管理者のみです。また、見えるアプリ、リソース、ワークフローも、そのユーザーが閲覧できるものに限られます。
プランによっても変わります。プランに含まれないツールは、クライアントのツール一覧に表示されません。
- 監査ログの一覧(
retool_list_audit_logs)は、BusinessとEnterpriseのプラン - 権限グループの一覧と取得(
retool_list_groups、retool_get_group)は、Enterpriseプラン - ユーザー招待の
seatTypeオプションは、Enterpriseプランのみ。ほかのプランでは既定の席種が割り当てられる
「監査ログを調べさせたいのにツールが出てこない」ときは、バグを疑う前に、プランとスコープの2点を見るのが近道です。
書き込み・削除のツールをどう扱うか
ツールの表を行数で数えると、アプリ構築が25、組織とユーザー管理が19、リソースが7です。この中に、取り消しにくい操作が混ざっています。
retool_delete_workflow: ワークフローを削除する(mcp:admin)retool_delete_user_invite: ユーザー招待を削除する(mcp:admin)retool_create_user_invite: ユーザーを招待する(mcp:admin)retool_revoke_app_access: アプリへの直接アクセス権を取り消す(mcp:write)retool_update_resource: 既存リソースの設定を変える(mcp:write)
最も安全な方法は、認証のときに必要なスコープだけを選ぶことです。調査だけなら mcp:read に絞れば、書き込み系ツールは使えません。管理作業をするときだけ mcp:admin を付けて、終わったら接続し直す運用もできます。
Claude Codeでは、スコープに加えて権限ルールでも止められます。MCPツールは mcp__<サーバー名>__<ツール名> の形で指定でき、denyルールに入れたツールはClaudeのコンテキストから外れます。次は、削除系、招待の作成と取り消し、アプリのアクセス権の取り消しを止める設定の一例です(サーバー名は retool で登録した場合)。
{
"permissions": {
"deny": [
"mcp__retool__retool_delete_workflow",
"mcp__retool__retool_create_user_invite",
"mcp__retool__retool_delete_user_invite",
"mcp__retool__retool_revoke_app_access"
]
}
}ツール名はRetoolの更新で変わる可能性があります。次の節で述べるとおり、すでに表記の食い違いがあるので、/mcp で実際のツール名を確かめてから書いてください。
Team・Enterpriseの組織でコネクターの権限をどこまで追えるかは、コネクター権限と監査ログの記事が詳しいです。
コネクター一覧とドキュメントでツール名が違う
ここは、接続前に知っておくと混乱を避けられる点です。
Claudeのコネクター一覧には、23個のツールが載っています。一方、Retoolのドキュメントのツール表には、それとは別の名前が並んでいます。
| 操作 | コネクター一覧の表記 | Retoolドキュメントの表記 |
|---|---|---|
| TypeScript定義の生成 | コネクター一覧の表記retool_get_resource_typescript_definitions | Retoolドキュメントの表記retool_get_resource_ts_definitions |
| TypeScriptの実行 | コネクター一覧の表記retool_execute_resource_typescript | Retoolドキュメントの表記retool_execute_resource_ts |
| アプリの生成 | コネクター一覧の表記retool_generate_react_app | Retoolドキュメントの表記retool_create_or_append_react_app_thread_message |
アプリ生成まわりは名前だけでなく、構成も違います。ドキュメント側では、スレッドの一覧、進行状況の監視、人による確認(review)への応答、公開といったツールに分かれています。コネクター一覧側には、生成を1つにまとめた名前しかありません。
どちらが現行かは、手元のクライアントに実際に出るツールで判断するのが確実です。Claude Codeなら /mcp でretoolを開くとツール一覧が見えます。ドキュメントも、全ツールは「MCPをインストールして tools/list を実行する」ことで取れると案内しています。
この食い違いは、リソース操作の手順に影響します。ドキュメントでは、TypeScriptを実行する前に、対象リソースの定義を生成するツールを呼ぶ必要があると書かれています。実行ツールが「定義の生成が先」という順序を前提にしているので、Claudeに任せる場合も、リソース名を指定して「定義を取ってから実行して」と順序を伝えると失敗しにくくなります。
AIクレジットはいつ消費されるか
アプリ構築の依頼では、2つのエージェントが動きます。
- 手元の開発エージェント(Claudeなど)が、何を作るかを決めてRetoolにプロンプトを渡す
- Retool側のアプリ構築エージェントが、アプリを作成・更新する
それぞれが別々に課金されます。Retool側では、Retool管理のキーを使う場合、アプリ構築がAIクレジットを消費します。Enterpriseプランで自分のキーを持ち込む場合は消費しません。一方、管理作業とリソースの探索ではRetoolのクレジットを消費しません。
つまり、ユーザー棚卸しや監査ログの調査、リソース一覧のような使い方は、Retool側の課金を気にせずに試せます。アプリ生成だけは、Claude側の利用量とRetool側のクレジットの両方が動きます。
社内ツール運用での使いどころ
ここまでの条件を踏まえると、最初に試しやすい作業は次のとおりです。
- ユーザー棚卸し:
mcp:adminで、アクセス権を持つユーザーの一覧を出して、退職者や不要な席がないかを見る。書き込みを伴わない - 招待の一括処理: 新入社員のメールアドレスを貼って、招待の作成と属性の設定を任せる。作成前に件数と宛先の確認を挟む
- リソースの棚卸し:
mcp:readで、接続済みのデータベースやAPIの一覧と環境ごとの設定を出し、使われ方を整理する - 既存Reactアプリの取り込み: 手元で作ったReactアプリをRetoolに移す。大きなアプリは、アップロード用URLを使う2段階の取り込みツールが用意されている
Claude Codeに任せるなら、CLAUDE.mdに運用の線引きを書いておくと安定します。例えば次のような断片です。
## Retool MCPの使い方
- 最初の依頼は読み取り系ツール(list / get)だけで調べる
- 招待・削除・リソース更新を呼ぶ前に、対象と件数を表で示して承認を待つ
- TypeScriptを実行する前に、対象リソースの定義を生成するツールを先に呼ぶ
- 本番環境の環境IDを指すときは、実行前に環境名を明示する承認を待たせる一文があるだけで、Claudeは破壊的な呼び出しの前に一度止まります。権限ルールのdenyと組み合わせると、止める層が二重になります。
つまずいたときの切り分け
Retoolのツールが使えないときの確認順
- QOAuth認証は完了していますか?答えが認証が未完了答えがはい
Claude Codeでは
/mcpでretoolを選び、ブラウザーで承認し直します。 - Q認証後にエージェントを再起動しましたか?答えが再起動が必要な場合あり答えがはい
Retoolのドキュメントは、OAuth認証後にコーディングエージェントの再起動が要ることがあると案内しています。
- Q必要なスコープを選びましたか?答えがスコープ不足答えがはい
ユーザーや監査ログのツールには
mcp:adminが要ります。選んだ覚えがなければ、接続し直してスコープを選びます。 - QRetool側のアカウントとプランは足りていますか?答えがいいえのとき答えがはい
組織管理者でなければ
mcp:adminは選べません。監査ログはBusiness以上、権限グループはEnterpriseのプランです。
それでも出ないとき
/mcp に実際に出ているツール名を確かめ、ドキュメントの表記と見比べます。
まとめ
RetoolのMCPは、アプリ構築、組織管理、リソース管理を1つの接続で扱えます。便利さの裏に、削除や招待といった取り消しにくいツールが同居しています。スコープを必要最小限にし、Claude Codeならdenyルールも併用するのが、つなぐ前の最初の設計です。
もう1点は、ツール名の食い違いです。コネクター一覧とドキュメントで名前が違うので、権限ルールやプロンプトに名前を書く前に、手元のツール一覧で確かめてください。アプリ生成だけは、AIクレジットがRetool側でも消費されます。