ClaudeのRoboflowコネクタで外観検査の画像モデルを作る手順
RoboflowコネクタをClaudeにつなぐと、データセット探し・ラベル付け・学習・推論までを会話で進められます。外観検査に使うときのツールの対応と、先に知っておく課金や削除の注意をまとめます。
ClaudeのRoboflowコネクタは、コンピュータビジョンの作業をClaudeの会話から進める入口です。データセットの検索、画像の取り込み、ラベル付け、学習、推論、評価の確認までを、Roboflowのツールとして呼び出せます。
外観検査に当てはめると、Claudeに写真を読ませて不良を答えさせる使い方とは別の道になります。自社の不良品の写真でRoboflow上に専用の検出モデルを育て、そのモデルで検査する道です。この記事では、接続の手順、検査の流れにツールを対応させた表、課金や削除で先に知っておく点を順に扱います。
Roboflowコネクタでできること
提供元はRoboflowで、Claudeのコネクタ一覧には「Anthropic verified」の表示が付いています。カテゴリはDeveloper tools、サインインは必須です。コネクタのURLは https://mcp.roboflow.com/mcp です。
説明文には、データセットの管理、モデルの学習、推論の実行、Workflowの構築ができると書かれています。Workflowとは、検出モデルに判定ロジックや可視化の部品をつないで流す、Roboflowの推論パイプラインです。
Roboflowのドキュメントでは、このMCPサーバーを次のように位置づけています。
- 認証はOAuthで、APIキーは要らない
- 初回の利用時にRoboflowへのサインインを求められる
- ClaudeのコネクタとしてつなぐとClaude.ai、Claude Desktop、Claude Codeのどこでも使える
- 各ツールは必要なOAuthスコープを宣言し、サインイン時に承認したスコープの範囲だけがクライアントに渡る
最後の点は運用に効きます。承認したスコープだけが渡るので、権限を絞りたいときはサインイン時の承認画面で確かめてください。
Claudeに接続する
Claude.aiやClaude Desktopでは、コネクタ一覧のRoboflowから「Add to Claude」で追加します。画面の流れはほかのコネクタと同じです。接続の基本はSketchUpコネクタの記事にも例があります。
Claude Codeからは、コマンド1本で追加できます。
claude mcp add -s user roboflow \
--transport http https://mcp.roboflow.com/mcp-s user を付けると、ユーザー単位の設定として登録されます。プロジェクトごとに分けたいときは、スコープの指定を変えてください。追加したあとは、初回のツール呼び出しでブラウザにRoboflowのサインイン画面が開きます。
組織で外部コネクタを絞っている場合は、管理者側の設定で接続できないことがあります。制限の仕組みはClaude Enterpriseのコネクタ制限で扱っています。
外観検査の流れとツールの対応
ドキュメントにはツールが分野別に並んでいます。外観検査で通る順に並べ直すと、次のようになります。
| 工程 | 主なツール | やること |
|---|---|---|
| 既存データを探す | 主なツールuniverse_search / projects_fork | やること公開データセットを検索し、自分のワークスペースにコピーする |
| 写真を入れる | 主なツールprojects_create / image_upload | やること検査用のプロジェクトを作り、手元の画像を取り込む |
| ラベルを付ける | 主なツールautolabel_start / annotations_save | やること自動ラベルをかけ、保存する |
| 人が確認する | 主なツールannotation_jobs_create / annotation_jobs_accept_into_dataset | やること確認用のジョブを作り、承認した画像だけをデータセットへ入れる |
| 学習する | 主なツールversions_generate / trainings_create | やることデータセットをバージョンとして固定し、学習を始める |
| 評価を読む | 主なツールmodel_evals_get_confusion_matrix / model_evals_get_performance_by_class | やること混同行列とクラスごとの成績を読む |
| 検査する | 主なツールmodels_infer / project_deployment_run | やること学習したモデルに画像を渡して推論する |
| 運用を見る | 主なツールvision_events_query | やること本番の推論イベントを絞り込んで見る |
ツールの総数は、情報源でそろっていません。コネクタのページには「Show all 67 tools」とあり、MCPサーバーのドキュメントには141のツールと書かれています。ページが書かれた時期の違いが考えられますが、理由はどちらにも書かれていません。使えるツールは、接続したClaude側のツール一覧で確かめるのが確実です。
公開データセットから始める
不良品の写真が手元にまだ少ないなら、universe_search でRoboflow Universeの公開データセットやモデルを探せます。見つかったプロジェクトは projects_fork で自分のワークスペースへ複製できます。複製は非同期の処理で、完了の確認には async_tasks_get を使います。
公開データセットの対象物は、自社の製品と同じではありません。傷の見た目も撮影条件も違うので、出発点として使い、自社の写真で追加していく形になります。
自社の写真を入れる
image_upload は、手元の画像ファイルをzipにまとめてプロジェクトへ送るツールです。進み具合は image_upload_status で確かめます。
Claude Codeならローカルのフォルダを直接扱えるので、検査ラインで撮った写真のフォルダを指して取り込めます。Claude.aiの会話で使うときは、Claudeが触れる場所に写真があるかを先に見てください。
ラベル付けは自動と人の確認を分ける
autolabel_start は、画像の束に対して自動ラベルのジョブを始めます。進み具合は autolabel_job_get で見ます。
Roboflowの自動ラベルは、基盤となる視覚モデルを選んで使います。ドキュメントには、選べる元として次が並んでいます。
- GPT-6 Astra(枠・マスク・ポリゴンの方式がある)
- SAM 3
- Gemini 3.8 Flash
- Claude Opus 5.5(枠のみ)
- Roboflowで学習したモデル
- 保存済みのWorkflow
Claude Opus 5.5については、クラスがあいまいな場面や複雑なシーンで試す選択肢とされ、トークンのコストはGeminiより高いことが多いと書かれています。
ここで気をつけたいのは、自動ラベルの結果をそのまま学習に使わないことです。Roboflowのモデル学習ガイドも、自動ラベルのあとに各画像を見て承認する手順を置いています。確信度のしきい値を高めにして、取りこぼしは人が足す。
MCPには、この確認を支えるツールがそろっています。annotation_jobs_create でジョブを作り、annotation_jobs_submit_for_review で確認へ進め、annotation_jobs_review_image で画像ごとの判定を付け、annotation_jobs_accept_into_dataset でデータセットへ入れます。外観検査では、不良の枠を付ける人と承認する人を分けると、誤ったラベルが学習に混ざりにくくなります。
学習と評価
学習は、データセットをバージョンとして固定する versions_generate のあとに、trainings_create で始めます。trainings_describe_recipe を先に呼ぶと、モデルの種類ごとの調整項目と、そのまま投入できるレシピが返ります。
物体検出のガイドでは、RF-DETR(Medium)で42枚の例を学習し、約45分で終わっています。終わるとメールが届きます。この数字は短い動画から作った例の所要時間で、自社の画像枚数やモデルの大きさで変わります。
学習が終わったら、評価を読みます。Roboflowのモデル評価は、混同行列、クラスごとの成績、確信度のしきい値の探索、画像の埋め込みのクラスタ分析などを返します。対応するプロジェクトの種類は、物体検出、インスタンスセグメンテーション、分類、セマンティックセグメンテーションです。評価は、有料ユーザーが学習またはアップロードしたバージョン付きのモデルに対して自動で走ります。
外観検査で最初に見るのは、混同行列の「不良を良品と答えた」セルです。全体の精度が高くても、見逃しが残っていれば検査としては使えません。model_evals_get_confusion_matrix で行列を取り、model_evals_get_confidence_sweep で、見逃しを減らす方向にしきい値を動かすと過検出がどれだけ増えるかを読みます。
推論して検査に使う
models_infer は、学習したモデルに画像を1枚渡してホスト側で推論します。常設のエンドポイントが要るときは、project_deployment_launch で作り、project_deployment_run で推論を流します。エンドポイントの背後のモデルは project_deployment_set_model で差し替えられ、URLは変わりません。
Claudeへの頼み方と、守らせたい決まり
Claude Codeで繰り返し使うなら、決まりをCLAUDE.mdに書いておくと、会話のたびに言い直さずに済みます。次は、外観検査向けに考えた断片の例です。
## Roboflowの扱い(外観検査プロジェクト)
- 自動ラベルの結果は、人の承認ジョブを通すまで学習用のバージョンに入れない
- 学習前に、どのプロジェクトのどのバージョンを使うかを私に確認する
- 評価は全体の精度でなく、不良を良品と答えた件数から報告する
- 削除系のツールは、対象と件数を示して私が承認してから呼ぶ頼むときは、工程を区切って渡すと結果を確かめやすくなります。「傷とへこみを検出するプロジェクトを作り、フォルダの写真を取り込む」で止め、取り込んだ枚数を見てから「自動ラベルをかけて確認ジョブを作る」へ進みます。学習のような時間のかかる処理は、始める前に費用の見積もりを聞く習慣をつけると安全です。
先に知っておく課金・削除・権限
自動ラベルや学習はクレジットを使う
Roboflowの機能は、保存・ラベル付け・学習・クラウドでの推論がクレジットで課金されます。自動ラベルのページにも、クレジットを消費すると書かれています。基盤モデルの種類によっては、クレジットとは別にトークンの利用分が上乗せされます。
クレジットは、プランに含まれる分、前払い分、フレックス課金の順に使われます。無料枠のCoreプランにはフレックス課金が含まれません。自分のハードウェアで動かす推論はクレジットを使いません。
単価は改定されることがあるため、実行前に、Roboflowのクレジット使用状況の画面と料金ページで確かめてください。
削除はゴミ箱に入るもの、戻せないものがある
プロジェクト、バージョン、Workflow、学習の削除は、ワークスペースのゴミ箱に移ります。trash_restore_project などで戻せます。一方、APIキーの api_keys_revoke は恒久的な失効で、戻せません。
Claudeに任せる範囲を決めるときは、削除と失効の系統を、毎回承認を挟む対象にしておくと安心です。
自動検査の誤りは学習データから入る
Roboflowのエージェント機能は、ワークスペースに対してプロジェクトの作成や学習の開始まで進められます。便利な一方で、承認なしで進めると、自動ラベルの誤りがそのまま学習に入ります。モデルの精度は、ラベルの質より上には上がりません。
Claudeに写真を読ませる方法との使い分け
Claudeに画像を直接渡して不良を分類させる方法は、Claudeで外観検査の不良品を写真から分類するで扱っています。Roboflowの道とは、前提が違います。
| 観点 | Claudeに写真を読ませる | Roboflowで専用モデルを育てる |
|---|---|---|
| 準備 | Claudeに写真を読ませるプロンプトと不具合モードの定義 | Roboflowで専用モデルを育てる写真の収集、ラベル付け、承認 |
| 学習データ | Claudeに写真を読ませる要らない | Roboflowで専用モデルを育てる自社の写真が要る |
| 判定の主体 | Claudeに写真を読ませるClaudeの画像理解 | Roboflowで専用モデルを育てる自社の写真で学習した検出モデル |
| 結果の形 | Claudeに写真を読ませる分類ラベルと説明 | Roboflowで専用モデルを育てる枠・マスクと確信度 |
| 向く場面 | Claudeに写真を読ませる不具合の種類が変わりやすい、数が少ない | Roboflowで専用モデルを育てる不具合が決まっていて、数が多い |
どちらが正確かは、製品と撮影条件で決まります。公開されている情報からは優劣を言えません。両方を同じ写真で試し、不良を良品と答えた件数で比べるのが、確実な決め方です。
写真の保管や共有を整える段階では、Cloudinaryコネクタのような画像管理の連携が役立ちます。
よくある質問
手元で学習したモデルを使えますか
使えます。models_upload_custom_weights は、手元で学習した重みをRoboflowへ上げるためのレシピを返します。変更履歴には、YOLOv5からYOLOv12、YOLO26、YOLO-NAS、RF-DETR、Florence-2、PaliGemmaが対応アーキテクチャとして挙げられています。
まとめ
Roboflowコネクタは、外観検査の専用モデルを作る一連の作業を、Claudeの会話に載せる入口です。既存データの検索から評価の確認までが、同じ会話の中で進みます。
分かれ目はラベルの承認です。自動ラベルを人の確認なしで学習へ流さず、評価は不良を良品と答えた件数から読む。この2点を決めておけば、Claudeに任せられる範囲が広がります。接続前に、クレジットの消費と削除系ツールの扱いも決めておいてください。