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Claudeで営業の売上予測をExcelで作る手順 — 案件表から月次の見込みレンジ

Claudeで営業の売上予測をExcelで作る手順 — 案件表から月次の見込みレンジ

営業の案件表に確度と受注予定月を持たせ、Claude for Excelで月次の売上見込みを下限・中央・上限のレンジで出す手順。前提は別シートに残し、毎月貼り替えで更新できます。

営業のパイプライン表(案件表)から月次の売上見込みを出す作業は、Claude for Excelに向いています。案件ごとの金額に確度を掛けて月別に集計し、下限・中央・上限の3本のレンジにするところまでを、数式のまま組ませられるからです。ただし確度の数字は営業側の見立てで、Claudeが決めるものではありません。この記事では、確度と前提を別シートに切り出し、見込みレンジを毎月貼り替えだけで更新する手順を扱います。

特定のCRMには依存しません。案件の一覧がExcelブックに入っていれば、同じ流れで進められます。

案件表から見込みレンジを出す流れ

Claude for Excelは、ExcelにClaudeを持ち込むアドインです。ブックについて質問し、数式の関係を保ったまま前提を変え、新しいモデルの作成や既存テンプレートへの入力もできます。売上見込みでは、この「前提を変えても数式がつながったまま」という性質が効きます。確度を変えるたびに月別の見込みが再計算されるので、前提の違いによる幅をすぐ見られます。

手順

見込みレンジの作り方

  1. 1

    案件表の列を決める

    金額・フェーズ・確度・受注予定月を必須列にします。

  2. 2

    確度と補正を前提シートへ出す

    フェーズ別の確度や上振れ幅は、数式に埋めずセルに置きます。

  3. 3

    案件ごとに3つの金額を出す

    下限額・加重額・上限額を行ごとに数式で組ませます。

  4. 4

    月別に集計する

    受注予定月でSUMIFSし、見込みシートにレンジを並べます。

  5. 5

    古い案件を洗い出して検算する

    予定月を過ぎた案件と合計の不一致を、人が確かめます。

前提条件 — 対応バージョンとプラン

使えるのはPro、Max、Team、Enterpriseの各プランです。対応するExcelは、Excel on the web、Microsoft 365契約のWindows版(ビルド16.0.13127.20296以降)、Mac版(バージョン16.46以降、ビルド21011600以降)です。Excel 2016・2019の永続ライセンスやボリュームライセンス版、iPad、Androidでは動きません。営業部門に古いExcelが残っていないか、先に確認します。

個人での導入は、Microsoft AppSourceの「Claude for Microsoft 365」から入れ、Excelでアドインを有効にしてClaudeアカウントでサインインします。組織で配る場合は、管理者がMicrosoft 365管理センターから展開します。

案件表と前提シートの形を決める

Claudeへの指示が短く済むかどうかは、ブックの形で決まります。次の3シートに分けます。

シート中身
案件中身案件ID・顧客・金額・フェーズ・確度・受注予定月・最終更新日・下限額・加重額・上限額
前提中身フェーズ別の確度表、コミット閾値、上振れ幅、作成日、データの取得元
見込み中身受注予定月ごとの下限・中央・上限と、案件数

営業の見込みでありがちな失敗は、確度や補正を数式の中に直接書いてしまうことです。数式に0.6が埋まっていると、後から「見積提出の確度は本当に60%か」を誰も追えません。前提シートに出しておけば、前提を変えた結果と変える前の結果を並べて比べられ、数字の根拠を後任にも引き継げます。

確度は、フェーズから引く方式にします。例えば次のような表を前提シートに置きます(数字は説明用の例で、自社の実績に合わせて置き換えます)。

フェーズ確度
提案前確度10%
提案中確度30%
見積提出確度60%
最終交渉確度80%

案件ごとの手入力の確度ではなくフェーズ表から引くと、担当者による甘辛のばらつきが入りにくくなります。例外の案件だけ、確度を上書きする列を別に持たせます。

案件表の元データがCRMのエクスポートなら、貼り付けるのは必ず自分で出力した信頼できるコピーです。外部から受け取ったファイルには、Claudeを操作する隠れた指示が入っている可能性があり、公式は信頼できるスプレッドシートでだけ使うよう求めています。

手順1: 案件ごとに下限・加重・上限の金額を出す

まず、案件の行ごとに3つの金額を数式で組ませます。指示は、対象シート・参照先・計算式・端の扱いまで書きます。

「案件」シートの各行に、次の列を数式で追加してください。
確度 = 「前提」シートのフェーズ別確度表をフェーズで引いた値
(「確度上書き」列に値があれば、そちらを優先)
加重額 = 金額 × 確度
下限額 = 確度が「前提」のコミット閾値以上なら金額、未満なら0
上限額 = 確度が閾値以上なら金額、未満なら金額 × MIN(1, 確度 + 上振れ幅)
閾値と上振れ幅は「前提」シートのセルを参照してください。
値の直書きにはしないでください。

加重額は、金額に確度を掛けた期待値です。下限額は、確度が高い案件の額面だけを積んだ見込みで、「最低でもここまでは」という線になります。上限額は、確度が低い案件を少し上振れさせたうえで、確度の高い案件を額面で見た値です。3つの意味を前提シートに一行ずつ書き残しておくと、会議で「この上限はどう作ったのか」と聞かれても答えられます。

前提シートをB2(コミット閾値80%)、B3(上振れ幅20ポイント)とした場合、案件シートの2行目の式は次のような形になります(この手順のための例です)。

H2: =VLOOKUP(D2, 前提!$A$6:$B$9, 2, FALSE)
I2: =IF(E2<>"", E2, H2)
J2: =C2*I2
K2: =IF(I2>=前提!$B$2, C2, 0)
L2: =IF(I2>=前提!$B$2, C2, C2*MIN(1, I2+前提!$B$3))

C列が金額、D列がフェーズ、E列が確度上書き、H列がフェーズ表から引いた確度、I列が採用する確度という配置です。列の位置は自社の表に合わせて読み替えます。

手順2: 受注予定月で集計してレンジを並べる

次に、見込みシートで受注予定月ごとに合計します。

「見込み」シートに、受注予定月ごとの行を作ってください。
列は 下限(下限額の合計)・中央(加重額の合計)・上限(上限額の合計)・案件数。
SUMIFSとCOUNTIFSで「案件」シートを参照し、最下行に合計を置いてください。
受注予定月が空欄の案件は別枠で件数と金額を出してください。

受注予定月が空欄の案件は、どの月にも入らず、合計から黙って抜けます。別枠で出させておけば、「入れ忘れた案件」が見込みから漏れていることに気づけます。

次の表は、説明用の架空の案件(単位は万円)で動かした例です。8件の案件を使い、閾値は80%、上振れ幅は20ポイントとしています。

案件金額フェーズ(確度)受注予定月
商社X金額800フェーズ(確度)最終交渉(80%)受注予定月11月
製造Y金額500フェーズ(確度)見積提出(60%)受注予定月11月
小売Z金額300フェーズ(確度)提案中(30%)受注予定月11月
物流W金額1,200フェーズ(確度)見積提出(60%)受注予定月12月
医療V金額600フェーズ(確度)最終交渉(80%)受注予定月12月
教育U金額400フェーズ(確度)提案中(30%)受注予定月12月
IT T金額1,000フェーズ(確度)提案中(30%)受注予定月1月
金融S金額700フェーズ(確度)見積提出(60%)受注予定月1月

この8件を月別に集計した結果が、次の見込みシートです。

受注予定月下限中央上限
11月下限800中央1,030上限1,350
12月下限600中央1,320上限1,760
1月下限0中央720上限1,060
合計下限1,400中央3,070上限4,170

1月は、確度が80%に届く案件が1件もないので、下限が0になります。中央の720万円は、提案中と見積提出の案件の期待値であり、1月に確実に入る金額ではありません。月ごとの下限と上限の開きを見れば、どの月の数字が案件の進み方に左右されやすいかが読み取れます。

手順3: 古い案件と動いていない案件を洗い出す

見込みの精度を落とす最大の原因は、数式ではなく案件表の鮮度です。受注予定月を過ぎたままの案件や、長く更新されていない案件が残っていると、見込みが膨らみます。ここはClaudeに一覧を出させ、扱いは人が決めます。

「案件」シートで次の案件を別表に抜き出してください。
1. 受注予定月が今月より前で、まだクローズしていない案件
2. 最終更新日から30日以上たっている案件
別表には案件ID・顧客・金額・フェーズ・受注予定月・最終更新日を出し、
元の表の値は変更しないでください。

抜き出された案件は、担当者に状況を聞いて予定月の更新か、失注の処理かを決めます。Claudeに予定月を推測で書き換えさせないでください。日付の根拠は商談の実態にしかなく、ブックの中にはありません。30日という日数も例で、商談の長さに合わせて変えます。

Claude for Excelは、既存のデータを上書きする前に警告を出します。確認画面は流さず、何が書き換わるかを目で確かめてから承認します。

手順4: 前提を変えて幅を確かめる

前提がセルに出ていれば、前提を変えた影響を一度に見られます。公式が挙げる依頼例にも、「割引率を変えて、依存する計算を更新する」「成長率を5%から10%に振って影響を見せる」といった、前提を動かす使い方があります。売上見込みなら、次のような依頼になります。

「前提」シートのコミット閾値を80%から70%に変えたとき、
月別の下限がどう変わるかを、変更前後の2列で見せてください。
元の前提の値は、確認が終わったら元に戻してください。

この例のフェーズ表には60%の次が80%しかないため、閾値を70%に下げても下限は変わりません。こうして「前提を動かしても結果が変わらない」ことが分かるのも、前提を分けておく価値です。逆にフェーズ表の確度を各10ポイント下げた場合は、中央の合計がどこまで下がるかを確かめられます。営業会議の場で、前提を変えながら数字を見せるときにも使えます。

なお、Excelの「データテーブル」機能による感度分析は、Claude for Excelの対応外です。幅を見たい前提は、列を並べる形で用意します。

前提と数字の読み方を、別シートに残す

見込みの数字は、前提とセットでなければ引き継げません。前提シートに、次の項目を毎月残します。

  • 作成日と、案件表の取得元(どのCRMのいつの時点のエクスポートか)
  • フェーズ別の確度と、その根拠(過去の受注率から出した、または経験則)
  • 下限・中央・上限の定義
  • 見込みから除外した案件とその理由
  • 人が確認した項目と、確認者

毎月同じ前提を依頼文に書くのは手間です。アドインのSettingsにあるInstructions欄に、恒常的な指示を置けます。

- 金額は万円単位、千円区切りで表示する
- 確度や補正は数式に直書きせず、「前提」シートのセルを参照する
- 受注予定月や確度を推測で書き換えない
- 元のデータを変更する操作は、実行前に何を変えるかを説明する

このInstructionsはExcelにだけ適用され、PowerPointやWordの設定とは別です。手順そのものを再利用したい場合は、Claudeの設定で有効にしたSkillsが全Claude for M365アドインで使え、サイドバーで / を入力すると選べます。ただしSkillsやコネクタは、Claudeアカウントで直接サインインしている場合の機能です。Amazon Bedrock、Google Cloud Vertex AI、Azure AI Foundry、LLMゲートウェイ経由の接続では、使えない場合があります。

検算と、使えないこと・注意すること

見込みは営業会議や経営会議で参照される数字です。公式は、監査上重要な計算を確認なしに任せる使い方や、最終的なクライアント向け成果物を人のレビューなしに出す使い方を推奨していません。次の突合を毎回入れます。

  1. 案件シートの金額合計と、CRMのエクスポート元の合計が一致するか
  2. 見込みシートの中央の合計が、案件シートの加重額の合計と一致するか
  3. 受注予定月が空欄または対象月の範囲外の案件が、別枠で拾えているか
  4. 下限が中央を、中央が上限を超えていないか

検算の式も、先に用意しておくと毎月の確認が短く済みます。

「見込み」シートの最下行に、検算行を追加してください。
- 中央の合計と、案件シートの加重額の合計との差
- 下限 ≦ 中央 ≦ 上限 が全月で成り立つかの判定
差が0でない、または判定が成り立たない場合は赤字で表示してください。

使えないこと・注意点は次のとおりです。

  • データテーブル、マクロ、VBAの操作には対応していません。パイプライン表がVBAで更新されている場合、その部分は関数に置き換えるか、人が実行します
  • 外部から受け取ったファイルには、Claudeを操作する隠れた指示が含まれる可能性があります。取引先や代理店から受け取った案件リストは、信頼できる形に作り直してから貼り付けます
  • チャット履歴はブラウザのIndexedDBにローカル保存され、Anthropicのサーバーには保存されません。端末間でも同期されないため、月次で使う指示は会話に残さず、InstructionsやSkills、前提シートに置きます
  • 入力と出力は、受領または生成から30日以内にバックエンドで削除されます。組織で独自のデータ保持設定をしていても、Claude for Excelは引き継ぎません。またEnterpriseの監査ログの対象にもなりません

顧客名や商談金額を含む案件表を扱うので、情報システム部門と取り扱いを事前に確認しておくと安全です。

この見込みで分からないこと

この手順で出る数字は、案件の確度とフェーズの置き方に完全に従う計算結果です。次の点は、数式では扱えません。

  • 案件表に載っていない新規案件。パイプラインに入る前の案件は、見込みに入りません
  • フェーズ間の遷移の速さ。受注予定月は営業の見立てで、実際の遅れ方は過去のデータで別途見る必要があります
  • 一つの大型案件に偏った月の読み方。上の例の12月は、物流Wの1,200万円が上限と中央の差の大半を作っています

過去の受注と失注が入った案件のデータがあれば、フェーズごとの受注率をClaudeに集計させ、前提シートの確度の根拠にできます。集計結果は参考値で、確度の採用は人が決めます。

他の記事との使い分け

営業の見込みを出したあと、月が終わったら実績と見込みのずれを見ます。科目別の予算と実績の差異は、月次予実対比レポートの差異分析をClaude for Excelで進める手順に流れがあります。案件データがCRMにある場合は、HubSpotならClaude HubSpot営業分析、SalesforceならSalesforce商談分析をClaudeに任せる方法で、CRM側の商談分析を先に進められます。

売上の見込みを入金につなげる週次の見方は、資金繰り表を週次で更新し資金ショートの兆候を見つける手順にあります。

まとめ

案件表の売上見込みでは、確度と補正を前提シートに出し、下限・中央・上限を数式で組むと、毎月は貼り替えだけで更新できます。Claudeに任せるのは数式の組み立てと一覧の抽出で、確度の値と受注予定月の判断は営業の側に残します。

見込みが外れたときは、前提シートを見れば、どの確度やどの案件がずれたかを後から追えます。

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