Service Specific Termsとは — 製品別の追加条項7本を早見表で読む
Service Specific TermsはCommercial Termsに付く製品別の追加条項です。Claude for Work・Beta・Marketplace・Covered Modelsなど7節を早見表で示します。
Service Specific Termsは、Anthropicとの契約に付属する補足条項です。Commercial Terms of Serviceのような本体契約が定める内容を、特定の製品・提供形態についてだけ上書きしたり足したりします。コンテンツはAからGまでの7節で、2026年8月31日発効の版です。
本体契約と食い違ったときの扱いは明快です。ページ冒頭に「Service Specific Termsが、当該サービスについては優先する」という趣旨の抵触規定があります。本体だけ読んで契約審査を終えると、BetaやCovered Modelsの節で前提が変わることがあります。
Service Specific Termsは、契約のどこに位置するか
このページ単独では契約になりません。Commercial Termsの中で「Service Specific Terms」が参照され、そこに組み込まれて初めて効力を持ちます。Commercial Terms側でも、Usage PolicyやSupported Regions Policyと並んで、参照によって取り込まれる文書のひとつとして挙げられています。
未定義の用語は本体契約の定義に従います。Customer、Users、Customer Contentといった語は本体で読みます。
本体契約の読みどころはClaude Commercial Termsのチェックポイントにあります。個人向けか法人向けかの適用判断はClaude Consumer TermsとCommercial Terms、どちらが適用されるかが扱っています。
7節の早見表
まず全体像です。各節が「誰に」「何を」加えるのかを一覧にします。
| 節 | 対象 | 追加される中身 |
|---|---|---|
| A. Claude for Work | 対象Team / Enterpriseプラン | 追加される中身Usersへの通知義務と同意取得の責任 |
| B. Beta Services | 対象試験提供のサービス | 追加される中身現状有姿の提供、補償なし、賠償額の低い上限 |
| C. Fine-Tuning Services | 対象モデルのカスタマイズ | 追加される中身学習禁止の例外と、素材の位置づけ |
| D. Marketplace Services | 対象クラウド等の経由提供 | 追加される中身料金・責任の所在と、Bedrock / Vertexの扱い |
| E. Development Partner Program | 対象データ提供に同意する顧客 | 追加される中身学習利用の許諾 |
| F. Covered Models | 対象指定されたモデル | 追加される中身安全性レビューのための保持 |
| G. Trusted Access and Verification Programs | 対象限定機能への参加プログラム | 追加される中身追加条件への同意と、停止・変更の権限 |
以降、影響の大きい節から順に読みます。
Claude for Work — Usersへの通知は顧客の責任になる
A節はTeamプランとEnterpriseプランが対象です。顧客はUsersに対して、次の2点を伝えなければなりません。
- 管理された(administered)サービスであり、顧客がUsersの入力データにアクセスし、管理できること
- 利用が、Privacy PolicyとUsage Policyを含むAnthropicのポリシーに従うこと
必要なUsersの同意の取得と、法令上求められる通知の提供も顧客の責任です。
つまり、組織がメンバーにClaudeを配る側は、社内周知の文面を用意する必要があります。管理者がメンバーの会話データを見られる構成は、従業員のプライバシーとの関係で通知が要る場面があります。この節は通知の中身を2点に定めているだけで、通知の書式や同意の取り方までは決めていません。社内規程への落とし込みは、顧客側の作業です。組織のデータが誰のものかはClaude組織のデータ所有権は誰にあるかで別途扱っています。
Beta Services — 保証も補償もなく、賠償額は最大1,000ドル
B節は、プレリリース・ベータ・プレビューなどの試験形態のサービスを「Beta Services」と定義します。条件は3つです。
- 本番利用に適さない場合があり、一時的に現状有姿(as-is)で提供される
- Anthropicは顧客の利用や依存について責任を負わず、補償(indemnity)の義務もない
- 賠償責任は、1,000ドルと直近12か月に顧客が支払った料金のうち、低い方が上限
本体契約では、Anthropicが顧客の正規の有償利用に対する知的財産侵害クレームを補償します。責任制限も、直近12か月の料金を上限にしています。Betaだけは、補償が外れ、上限は最大1,000ドルまで下がります。
賠償上限の比較は次のとおりです。
| 比較点 | 本体契約(Commercial Terms) | Beta Services |
|---|---|---|
| 提供形態 | 本体契約(Commercial Terms)通常のサービス | Beta Services現状有姿・一時的 |
| 補償 | 本体契約(Commercial Terms)知財侵害クレームなどで補償あり | Beta Services補償の義務なし |
| 賠償上限 | 本体契約(Commercial Terms)直近12か月に支払った料金 | Beta Services1,000ドルと直近12か月の料金の低い方 |
月額料金が大きい顧客ほど、上限の差は大きくなります。
Fine-Tuning Services — 「学習禁止」の例外になる
C節は、モデルのファインチューニングなどのカスタマイズを扱います。顧客が渡すデータはFine-Tuning Materialsと呼ばれ、ファインチューニング済みモデルの生成と検証だけに使われます。
押さえるべき点は2つあります。
- Fine-Tuning MaterialsはCustomer Contentとして扱われる
- ファインチューニングの利用は、本体契約の学習禁止(AnthropicはCustomer Contentでモデルを学習してはならない)への違反にならない。ただし学習は顧客自身のサービス利用のためだけに限る
本体契約は、AnthropicがCustomer Contentでモデルを学習することを禁じています。ファインチューニングは、顧客の指示でモデルを学習させるサービスなので、その禁止と矛盾しないよう明文化されています。
Marketplace Services — Bedrock・Vertex経由の契約は二重になる
D節は、AnthropicのサービスをクラウドプラットフォームなどのMarketplace経由で使う場合を扱います。3つの項目があります。
- 全般: AnthropicはMarketplace Platformや、提供元(Marketplace Provider)の他のサービスについて責任を負わない。プラットフォーム側の変更で利用に重大な影響が出ることがある。顧客は提供元のポリシーと契約にも従う必要がある
- クラウド上のコンテンツ: Amazon Bedrock(AWS運営)とVertex AI(Google運営)が、提供元がホストして管理するプラットフォームとして挙げられている。Anthropicがアクセスを可能にする技術は、顧客のインスタンス内の入出力へのアクセスを与えない(F節の例外あり)
- 料金: Marketplace経由の料金と税は、提供元に支払う。料金改定は、提供元かAnthropicによる掲載から30日後、または通知を受けたときの早い方に有効になる
BedrockやVertex経由で使う場合、契約関係はAnthropicだけでは完結しません。提供元との契約・ポリシーも守る対象になります。ZDR(ゼロデータ保持)やHIPAAまわりの整理はClaude APIのZDRとHIPAA対応の違いが詳しく、料金の見方はAWS BedrockでのClaude料金で読めます。
Development Partner Program — オプトインしたときだけ学習に使われる
E節は任意参加のプログラムです。顧客が、データ提供を許可する設定(Development Partner Mode)を自らの判断で有効にした場合に限り、顧客が送信したデータ(Customer Contentなど)を、Anthropicが自社の製品・サービスに使えるようになります。モデルの学習も含まれます。
既定の状態では、本体契約の学習禁止が有効です。E節は、その例外をオプトインで作る仕組みです。有効にするかどうかは、社内のデータ持ち出し規程と合わせて決める事項です。
Covered Models — 保持と安全性レビューがZDRより優先される
F節は、Anthropicが「Covered Models」に指定したモデルに適用されます。内容は2点です。
- 顧客は、Anthropicが入力・出力・利用に関するデータを保持し、安全性レビューを行うことに同意する。この同意は、ZDRのような保持期間を短縮する個別合意より優先する
- クラウドプラットフォーム経由の場合、AnthropicはAnthropic Data Processing Agreementなどに従い、顧客のためにデータを処理する。顧客は同じことをMarketplace Providerに対して確認する
いちばん目を引くのはZDRとの関係です。ZDRを結んでいても、Covered Modelsを使うときはその保持ゼロの約束が上書きされます。ただし、どのモデルがCovered Modelsに当たるかは、このページには列挙されていません。指定は個別に行われるため、モデルごとの提供条件やお知らせの確認が要ります。
Trusted Access and Verification Programs — 参加条件は都度提示される
G節は、特定のモデルや機能、構成を、プログラム参加者だけに開く仕組みです。追加の条件があれば、アクセスの前に提示され、顧客が同意しなければ参加できません。Anthropicは、プログラム自体や顧客のアクセスを、停止・変更・終了できます。その際の通知は、各プログラムの条件で定められた内容に従います。
この節が定めているのは枠だけです。実際の条件は、参加時に提示される個別条件で決まります。
契約審査では、どの節を誰が確認するか
自社の状況ごとに見るべき節が違います。
| 自社の状況 | 優先して読む節 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| Team / Enterpriseを配る | 優先して読む節A | 確認したいこと社内周知の文面と同意の取り方 |
| ベータ機能を業務に使う | 優先して読む節B | 確認したいこと補償なし・賠償上限の許容 |
| ファインチューニングを検討 | 優先して読む節C | 確認したいことデータの扱いと学習の範囲 |
| Bedrock / Vertex経由で使う | 優先して読む節D、F | 確認したいこと提供元との契約、料金の支払先 |
| データ提供でオプトインを検討 | 優先して読む節E | 確認したいこと社内規程との整合 |
| ZDRを結んでいる | 優先して読む節F | 確認したいことCovered Modelsで保持が優先される点 |
よくある質問
Service Specific Termsに個人向けのClaudeは含まれるか
このページは、Commercial Termsのような本体契約を持つ「顧客(組織など)」向けの補足条項として書かれています。個人向けの規約の学習利用についてはClaude Consumer Terms改定で扱っています。
旧版との違いはどこで確認するか
ページの冒頭に発効日とPrevious Versionへのリンクがあります。契約書に取り込む際は、契約時点の発効日を控えておくと、後の改定と照合しやすくなります。