ChromebookのLinux環境でCoworkが使えない理由と対処法
ChromebookのLinuxコンテナ(Crostini)ではCoworkタブが起動しません。画面のエラー文言から原因を切り分ける手順と、GitHub issueで報告されているつまずき、回避策をまとめます。
ChromebookのLinux開発環境(通称Crostini)にClaude Desktopを入れても、Coworkタブだけが起動しないことがあります。Coworkは/dev/vhost-vsockというデバイスを必要としますが、Crostiniでは多くの場合これが見当たりません。ChromebookでCoworkを仮想マシンとして動かす公式の手順は無く、使える入り口はAndroid版アプリやWeb、Chromeサイドパネルなどクラウド側で動くものです。ターミナルのClaude Code(CLI)は仮想マシンを使わないので、CrostiniのDebianでも動かせます。
画面のエラー文言から原因を切り分ける
Coworkの起動前チェックは、アプリの起動時に1回だけ走ります。Linux版のCoworkはQEMUとKVMでアプリが立てる仮想マシンの中でタスクを実行するため、前提条件を満たさないと文言の違うエラーが出ます。どの文言が出ているかで、直せる問題かどうかが分かれます。
| 画面の文言 | 原因 | 直せるか |
|---|---|---|
Cowork requires hardware virtualization (KVM) | 原因ファームウェアでハードウェア仮想化が無効 | 直せるか設定で直る |
Cowork requires QEMU | 原因qemu-system-x86 ovmf virtiofsd(arm64はqemu-system-arm qemu-efi-aarch64 virtiofsd)が未導入 | 直せるかapt installで直る |
Claude doesn't have permission to use virtualization (/dev/kvm) | 原因ユーザーがkvmグループにいない | 直せるかグループ追加と再ログインで直る |
Cowork requires the vhost_vsock kernel module | 原因モジュールが未読み込み | 直せるかmodprobeで直る |
| カーネルが仮想化サポートを含まず手動で追加できない旨の文言 | 原因/dev/vhost-vsockが無く、/lib/modulesも無い | 直せるか直らない |
表の「直る」は、公式が想定する通常のLinux環境での話です。Crostiniではapt installをしても同じようには進まない報告があります(後述の#74587)。
チェックは起動時の1回だけなので、パッケージを入れたらアプリを再起動し、グループに入ったらログアウトして入り直してから確かめます。グループに入れているかは、次のコマンドで見られます。
id -nG | tr ' ' '\n' | grep -x kvmkvmと1行出れば入っています。何も出なければ、sudo usermod -aG kvm $USERを実行して入り直します。
/dev/kvmはデスクトップ環境によってグループ参加なしで開けますが、/dev/vhost-vsockはkvmグループのメンバーだけが開けます。/dev/kvmが使えていても、グループには入っておく必要があります。
Crostiniで「直らない」ケースかを確かめる
- 1
vsockのデバイスを探す
次のコマンドで
/dev/vhost-vsockの有無を見ます。存在してkvmグループが所有者なら、残りは権限の問題です。ls -l /dev/vhost-vsock - 2
カーネルのモジュールディレクトリを探す
デバイスが無いときは、動いているカーネルのモジュールディレクトリを見ます。ここが空振りなら、
modprobeの出番はありません。ls /lib/modules/$(uname -r) - 3
両方が無ければ、この環境では諦める
デバイスもモジュールディレクトリも無い状態は、ChromeOSやコンテナベースのLinux環境で一般的な組み合わせとされているものです。
なぜコンテナでは追加できないのか
vhost_vsockが絡む問題には2種類あります。1つ目は、モジュールがカーネルにあるのに読み込まれていないだけのケースで、次のコマンドで直ります。
sudo modprobe vhost_vsockこれは現在のブートでだけ有効です。毎回読み込むには、続けて次を実行します。
echo vhost_vsock | sudo tee /etc/modules-load.d/vhost_vsock.conf2つ目がChromebookで起きやすいケースです。/dev/vhost-vsockが無く、実行中のカーネルに/lib/modules以下のモジュールディレクトリも無い場合を指します。
GitHubのfeature request(#91893)には、もう一歩踏み込んだ説明があります。ChromeOS側の仮想マシン環境(Termina)がカーネルのレベルでvhost_vsockを塞いでいる、という見立てです。この場合は依存パッケージをいくら入れても条件を満たせません。これは起票者の説明で、仕様としての記述ではありません。
Chromebookで報告されているつまずき
Claude Desktopが動くかどうかと、Coworkが動くかどうかは別の問題です。対応OSはUbuntu 22.04以降・Debian 12以降で、x86_64とarm64の両方が対象です。Crostiniのコンテナ上でアプリが起動したという報告もあり、ほかのタブのつまずきも見つかっています。
GitHubで追えるChromebook関連の報告
- 2026年7月5日QEMUが足りないと言われる(#74587)
Debian 12のCrostiniで、QEMU・OVMF・
/dev/kvm・kvmグループがそろっているのにCowork requires QEMUと表示されたという報告です。 - 2026年7月15日サインインが保存されない(#77913)
Debian 13のコンテナで、起動のたびに「サインインが保存されない」警告が出るという報告です。
- 2026年9月3日ChromeOS向けの提案(#91893)
CoworkをKVM前提から切り離し、ChromeOSでも動く形にしてほしいという提案が出ています。issueは開いたままです。
#74587の報告者は、virtiofsdがDebian 12のCrostiniでは「purely virtual」(インストール可能な実体を持たない)と返ってくる点を原因と見ています。バイナリ自体は/usr/lib/qemu/virtiofsdとアプリ同梱の位置にあり、実行もできたとのことです。Ubuntu 22.04についてはvirtiofsdのパッケージが無く、同梱のコピーを使うと書いています。同じ報告には、--doctorはデスクトップアプリの配布パッケージで実装されていないとも書かれています。そのissueは非アクティブを理由に一度自動クローズされ、その後に再報告のコメントが付きました。
公式は、サインインがデスクトップのキーリング(GNOME KeyringやKDE Wallet)に保存され、ロック中などで届かないと保存されないと説明しています。挙げられている原因は、キーリング未導入・KDE Plasmaとの競合・ロック中の3つです。#77913では、GNOME Keyringが動いているのに警告が消えないとされています。起票者はChromiumのos_cryptがportalバックエンドを選んで失敗すると説明しますが、調査をClaude Codeにさせたもので、全部は保証できないとも書いています。報告者は、アプリを--password-store=gnome-libsecret付きで起動すると保存されたと書いています。ほかのLinux環境(Sway、Hyprlandなど)でも同じ症状が出るというコメントがあり、Chromebook固有の問題ではなさそうです。
ターミナルのClaude Codeにも、右クリックでの貼り付けがCrostiniで効かないという報告があります(#82238、7月29日起票で未解決)。コメントの切り分けでは、ChromeOSからClaude Codeへ貼るときだけ失敗します。Claude CodeからChromeOSへの貼り付けと、Claude Code内の貼り付けは通ります。ChromeOSターミナルの「Mouse right clicks paste content」を有効にしても、Ctrl+Shift+Vでも直らないとのことです。先行のissue(#68620)も、修正されないまま自動クローズされています。試せる回避策はClaude CodeのChromebook貼り付け不具合とDesktopのサインイン保存にあります。
コミュニティには、KVMが無い環境向けにbubblewrapで隔離する非公式パッケージ(claude-desktop-debian)のパッチがあります。#74587と#91893によると、2026年7月11日にそのリポジトリへ取り込まれたものの、9月1日のコメント時点ではパッケージの新しい版に含まれていません。公式の配布物ではなく、使うなら非公式パッケージに乗り換える判断になります。
同じ#74587には、apt upgradeでCrostini上のデスクトップアプリが壊れ、元に戻してアップグレードを止めたというコメントもあります。1台での体験談ですが、更新の前にコンテナのバックアップを取る理由にはなります。
組織管理のChromebookにはさらに別の問題があります。#91893の起票者によると、教育機関向けの管理端末ではCrostiniそのものが無効にされていることがあり、そこではアプリ以前に前提が成り立ちません。
Chromebook以外のLinuxで同じ失敗に見える場合
「Coworkが起動しない」という症状は、Chromebookに限らずLinux全般で出ます。見た目が似ていても、権限の不足なら直せます。#80884はLinux Mint 22.3(Ubuntu 24.04ベース)の報告です。QEMU・OVMF・virtiofsd・/dev/kvmがすべてそろっていたのに、Coworkが動きませんでした。
シェルツールは次のように返しました。
Workspace unavailable. The isolated Linux environment failed to start
(not supported on this device)報告者は、原因はユーザーがkvmグループにいないことだったと推定しています。ログに理由が残らないため、差分から判断したとのことです。
crw-rw----+ 1 root kvm 10, 232 /dev/kvm
crw-rw---- 1 root kvm 10, 241 /dev/vhost-vsock報告に載っていたデバイスの権限です。/dev/kvmの末尾に付く+はACLの印で、ログイン中のユーザーならkvmグループなしでも開けます。/dev/vhost-vsockにはこのACLが付いておらず、グループに入るまで読み書きできません。
もう1つの注意点は、理由が画面にもログにも出ないことです。同じ報告によると、~/.config/Claude/logs/cowork_vm_node.logには次の2行しか残りません。
[cleanupVMBundleIfUnsupported] yukonSilver not supported (status=unsupported), checking for stale bundle...
[startVM] VM not supported (linux/x64), skippingどのデバイスで失敗したかは、ログから分かりません。権限はls -l /dev/kvm /dev/vhost-vsockで見られます。報告者は、サポート外の間は起動のたびにVMバンドルが削除され、直したあとにrootfsのバンドルを再ダウンロードすることになるとも書いています。コメントでは、Ubuntu 24.04.4でも同じ経過をたどり、/dev/vhost-vsockがroot:kvm 0660でACLのuaccessが付いていなかったとされています。このissueは非アクティブを理由に2026年10月1日に自動クローズされました。
Chromebookで同じ文言が出た場合は、先にls -l /dev/vhost-vsockでデバイスの有無を見ます。デバイスがあって所有グループがkvmなら、kvmグループへの追加で足ります。デバイスが無ければ、前節のCrostiniの壁です。
なお、Linux版のデスクトップアプリはまだベータで、Computer Use(アプリや画面の操作)と音声入力は使えません。FedoraやRHELも対象外で、対応はDebian系に限られます。Crostiniで入れる場合も、この範囲に収まります。
ChromebookでClaude Codeを使うには
Claude CodeのCLIは、Chromebookで使えます。Linux開発環境(Crostini)を有効にし、そのターミナルでインストールします。CLIの要件はUbuntu 20.04以降かDebian 10以降、メモリ4GB以上のx64またはARM64で、仮想化の項目はありません。
CrostiniのコンテナはDebianなので、OSの条件は満たします。確認が要るのは次の2点です。
- Chromebook本体のメモリが4GBに届くか
- 学校や会社の管理端末で、Linux開発環境が無効になっていないか
手順はClaude Code install完全ガイドにあります。デスクトップアプリ側のapt導入はLinux版インストール手順が扱っています。Coworkだけが使えない点が、Chromebookに固有の制約です。
管理端末でLinux開発環境が無効なら、ChromeOS側から有効にできないという報告があります(#91893)。その場合、ChromebookではCLIを使えません。調査や文書作成は、WebかAndroid版アプリのCoworkに任せられます。
Chromebookで使える入り口
ChromebookでCoworkのデスクトップタブを動かす公式の手順は無く、使えるのはクラウド側で動く入り口です。
Coworkのウェブとモバイル対応でまとめた通り、Coworkにはデスクトップ以外に3つの入り口があります。Web(claude.aiのHomeタブ)、モバイル(Claude for iOS / Android)、Chromeサイドパネルです。claude.comのダウンロードページには「Download for ChromeOS」というダウンロード導線も置かれています。リンク先はGoogle Playストア(com.anthropic.claude)です。Linux向けのボタンは、Linux版の手順ページへ遷移します。
| 入り口 | Chromebookでの入手 | できること | できないこと |
|---|---|---|---|
| Android版アプリ | Chromebookでの入手Playストア経由で入れる | できることタスクの開始・確認・承認、Scheduled Tasks | できないことローカルファイルアクセス、ローカルのコネクタ、実際のブラウザ操作、Computer use |
| Web(claude.ai) | Chromebookでの入手ブラウザで開く | できること同上。端末を選ばず続きを開ける | できないこと同上 |
| Chromeサイドパネル | Chromebookでの入手すべての有料プランが対象、Enterpriseは管理者の有効化が必要 | できること開いているタブの内容を読む | できないことタブのクリック・遷移などの実操作 |
| デスクトップアプリのCoworkタブ | Chromebookでの入手Linux版はKVMとvsockが前提 | できることLinux版でもKVMとvsockがあれば動く | できないことCrostiniでは仮想マシンの起動が失敗する報告がある |
Web・モバイルから始めたセッションは、常にAnthropicのクラウドで動きます。ローカルファイル、ローカルのコネクタ、ブラウザ操作、Computer useはデスクトップアプリ経由で動きます。Coworkの仮想マシンが立たないChromebookで欠けるのは、この部分です。2026年10月6日から、ProとMaxプランの新しいCoworkタスクはクラウドで動き、設定の「Only on your computer」は削除されます。Pro・Maxでは順次、メッセージ欄から「Chat」「Cowork」の選択肢が消えて、一つのClaudeとして使う形に切り替わっています。一方、Linux版デスクトップアプリのドキュメントは、Coworkが仮想マシン上で動く前提のままです。Coworkがクラウド実行かローカル実行か見分ける方法の通り、画面からどちらで動いているかは判別できます。
作業の種類で入り口を分ける
調査・文書作成
Android版アプリかWebのCoworkに任せます。進捗の確認と承認はスマートフォンからでも続けられます。
コードを書く
CrostiniのターミナルでClaude Code CLIを動かします。
デスクトップアプリのCoworkまで使いたい場合は、macOSやWindowsのPC、または/dev/vhost-vsockを持つDebian系Linuxの機械が必要です。
まとめ
「Coworkタブが動かない」と出たら、まずls -l /dev/vhost-vsockでデバイスの有無を見ます。あればkvmグループへの追加で直り、無ければCrostiniでは直らないと判断できます。直らない側では、クラウドで動く入り口にCoworkを任せ、ローカルのファイルを触る作業はCLIか別のPCに回す分担になります。
参照した一次ソース
この記事の記述は、次の一次ソースと照合しています。更新時に参照先が変わった場合は一覧も更新します。
- code.claude.com/docs/en/desktop-linux
- code.claude.com/docs/en/desktop
- code.claude.com/docs/en/setup
- claude.com/product/cowork
- claude.com/download
- support.claude.com/en/articles/15520349-use-claude-cowork-on-web-desktop-and-…
- github.com/anthropics/claude-code/issues/74587
- github.com/anthropics/claude-code/issues/77913
- github.com/anthropics/claude-code/issues/80884
- github.com/anthropics/claude-code/issues/91893