Coworkでベンダーのオンボーディングを一括処理する
Coworkはベンダーのフォルダを読み込み、契約書生成・ポータルへのフォーム入力・トラッカー更新までを1セッションでまとめて進められます。手順と注意点をまとめます。
新規ベンダーを何社もまとめてオンボーディングする作業は、契約書のひな形からの作成、調達ポータルへの入力、社内トラッカーへの反映と、単調な繰り返しが多い割に取りこぼしが起きやすい仕事です。Coworkはデスクトップのフォルダとブラウザを1つのセッションの中で行き来できるため、この一連の作業を1回の依頼にまとめて渡せます。
Coworkのベンダー一括処理とは何をする機能か
Coworkのベンダー一括処理とは、新規機能ではなく、Coworkが持つ「ローカルフォルダの読み書き」と「ブラウザ操作」を、ベンダーオンボーディングという具体的な業務に組み合わせた使い方です。ベンダーの資料が入ったフォルダをClaudeに渡すと、契約書テンプレートから個別の契約書を生成し、調達ポータルのフォームを埋め、社内のトラッカー(スプレッドシート)に情報を追記するところまでを1つのタスクとして進めます。
前提として、CoworkはPro・Max・Team・Enterpriseの有料プランで使え、ローカルファイルへの直接アクセスはデスクトップアプリからのみ行えます。セッション自体はクラウド上で実行されますが、ローカルのファイルやブラウザを使う工程がある間は、Claude Desktopアプリを開いたままにしておく必要があります。
この仕組みが効くのは、1件ずつなら数分で終わる定型作業を、件数分だけ繰り返すタイプの業務です。ベンダーオンボーディングのほかにも、請求書の突き合わせや、複数拠点分の月次レポート作成のように、対象ごとの処理手順は同じで対象の数だけ増える作業なら同じ考え方が使えます。逆に、1件ごとに判断基準が変わる複雑な審査業務には向きません。
手順1: フォルダとテンプレートを1か所にまとめる
ベンダーのトラッカー(スプレッドシート)、契約書のテンプレート(NDA・MSAなど)、各ベンダーの資料を1つのフォルダにまとめておきます。Coworkでこのフォルダを選択すると、Claudeはこのフォルダに対してだけ読み書きの権限を持ちます。他のフォルダには手を出しません。
手順2: 完了状態を1つの依頼文で伝える
やり方の手順を1つずつ指示するのではなく、最終的にどうなっていてほしいかをまとめて伝えます。
ベンダーを何社かオンボーディングする必要があります。資料はデスクトップに散らばっています。各ベンダーについて、テンプレートからNDAとMSAを作成し、オンボーディングフォームに入力し、その後すべての情報をベンダートラッカーのスプレッドシートに追加してください。デスクトップの新しい書類も整理してください。
Claudeはこの依頼から手順を自分で組み立て、独立して進められる部分は複数のワークストリームに分けて並列に処理します。ベンダーAの契約書生成とベンダーBのトラッカー更新は互いに依存しないため、サブエージェントに分担させることで、1件ずつ順番に処理するより早く全体が終わります。
トラッカーの更新では、ベンダー名・担当者・契約金額・ステータスといった列を追加でき、出力は関数や条件付き書式が生きたExcelファイルになります。CSVを書き出して手で直す前提の処理ではありません。生成した契約書はテンプレートのフォーマットを保ったまま、ベンダーごとの固有情報だけが差し替わった状態でDocumentsフォルダに保存されます。
手順3: 調達ポータルへの入力はブラウザ経由で進む
フォームへの入力のようなブラウザ操作が必要な工程では、Claudeはブラウザを開いてポータルのフォームを直接埋めます。ここで使われるブラウザは2種類あり、どちらを使うかで準備が変わります。
- Claude Desktopの内蔵ブラウザ: 何もインストールせずに使えます。Claude専用のブラウザで動くため、普段使っているタブやログイン状態には触れません
- Claude in Chrome: 普段使っているChromeブラウザの拡張機能経由で動きます。すでにポータルにログイン済みのタブがある場合、その状態をそのまま使えます
すでにClaude in Chromeの拡張機能を導入済みの場合は、そちらが既定のブラウザとして使われます。導入していない場合は内蔵ブラウザが既定になります。既定を切り替えたい場合は、Claude Desktopの「Settings > Cowork」内「Preferred browser」から選べます。調達ポータルに毎回ログインし直す手間を省きたいなら、Claude in Chromeを使い、既存のログインセッションを活かす方が効率的です。
手順4: 進行を見ながら、必要な承認モードを選ぶ
Coworkには、Claudeが行動する前にどこまで確認を求めるかを決める3つのモードがあります。
| モード | 挙動 | 向く場面 |
|---|---|---|
| 手動承認 | 挙動1つ1つの操作についてClaudeが許可を求める | 向く場面初めて使うポータル・重要な契約書 |
| 自動承認 | 挙動Claudeが安全性を都度チェックしながら止まらずに進める | 向く場面慣れたポータルでの繰り返し作業 |
| 全承認スキップ | 挙動確認なしで進める | 向く場面完全に信頼できる範囲の作業のみ |
ベンダーの契約書や個人情報を含む作業では、少なくとも最初の1〜2社は手動承認で進め方を確認してから、自動承認に切り替えるのが安全です。自動承認モードでも、Claudeはデータの持ち出しやプロンプトインジェクションの兆候が無いかを行動ごとにチェックしており、危険と判断した操作は自動でブロックしてから安全な代替を探すか、確認を求め直します。ただし自動承認では安全性の確認をClaude側が毎回行うため、他のモードより使用量の消費が増えます。件数の多いバッチではこの差も見込んでおきます。ファイルの削除を伴う操作は、どのモードでもClaudeが明示的な許可を求める仕組みになっており、この保護だけはモード設定で外せません。
途中で見えるもの、途中でできること
タスクの実行中、Coworkは各ステップで何をしているかを進捗表示として出し続けます。ベンダーごとの処理が並列に進んでいても、途中で「この契約書のこの条項だけ確認して」のように割り込んで方向修正できます。セッションはクラウド上で動くため、デスクトップで始めたタスクをスマートフォンから覗いて進捗を確認したり、承認を求められた質問に答えたりすることもできます。
今のところできないこと
セッション自体を他の人と共有する機能はまだありません。生成した契約書やスプレッドシートのファイル自体を渡すことはできますが、進行中のCoworkセッションを見せながら共同編集する使い方は現状の対象外です。Team・Enterpriseプランでは、ライブアーティファクトという別の仕組みで組織内共有ができますが、これは通常のタスクセッションとは別物です。
ローカルのMCPサーバーを含むプラグインや、ライブアーティファクトの更新はデスクトップアプリ経由でのみ動作します。スマートフォンからタスクを立ち上げること自体は可能ですが、ローカルファイルへのアクセスやブラウザ操作が必要な工程は、デスクトップアプリが開いて接続されていることが前提になります。
よくあるつまずき
- 調達ポータルにログインできていない: 作業を始める前に、使うブラウザ側でポータルに一度ログインしておく必要があります。Claude in Chromeを使う場合は拡張機能とログインの両方が事前条件です
- デスクトップアプリを閉じてタスクが止まる: ローカルファイルやブラウザを使う工程の途中でデスクトップアプリを閉じると、その工程は中断します。クラウドで完結する工程だけは閉じても進みますが、ローカル依存の工程が残っている間は開いたままにします
- どのブラウザが使われるか把握していない: Claude in Chromeを導入済みだと、内蔵ブラウザではなくそちらが既定で使われます。想定と違うブラウザで動いている場合は、Settings > Coworkの設定を確認します
- 1社分の依頼のつもりが並列処理されない: サブエージェントによる並列処理は、複数の独立した対象がある依頼でだけ働きます。「このファイルを要約して」のような単発の依頼では分割する材料が無いため、並列化は起きません
まとめ
Coworkのベンダー一括処理は、フォルダの読み書きとブラウザ操作を1つのセッションにまとめ、契約書生成・フォーム入力・トラッカー更新を並列に進める使い方です。ブラウザは内蔵ブラウザとClaude in Chromeのどちらかが使われ、既に拡張機能を使っている場合はそちらが既定になる点は見落としやすい変更なので確認しておく価値があります。個人情報や契約情報を扱う作業では、最初の数社は手動承認で挙動を確認してから自動承認に切り替える進め方が安全です。
同じような繰り返し作業を他の業務にも広げたい場合、まず対象ごとの処理手順が同じかどうかを見極めるところから始めると、どこまでを一度の依頼にまとめられるかが判断しやすくなります。
Coworkの外部接続の全体像はClaude CoworkのConnectors一覧、サブエージェントの仕組みはCoworkサブエージェントの使い方、Cowork自体の基本はClaude Coworkとはで扱っています。承認プロンプトが多すぎて作業が止まる場合の対処はCowork承認プロンプトが多すぎて止まるときの対処法を参照してください。