Expedia Cowork連携の出張手配 — 検索から承認ゲート運用まで
Expedia連携での出張検索から予約確定の承認ゲート、Rampでの経費確認までの役割分担と、Coworkでの設計手順をまとめます。
Expedia×Coworkで任せられるのは検索と照会まで
出張手配を「検索→予約→経費申請」の一続きの作業として、全部Coworkに任せることはできません。Expedia連携のツール一覧にあるのはsearch_hotels・search_flights・get_hotel_pdp_offersの3つで、どれも検索・照会用です。予約を作成するツールは含まれていません(Claude Expedia連携にツールごとの説明があります)。
Ramp連携も同じ構造です。ディレクトリの説明は「secure, read-only access」で、ツール一覧は取引や購買注文などを読み込むload系ツールとexecute_queryが中心です。経費の申請や承認を行うツールは並んでいません(Claude Ramp連携の始め方で接続手順を扱っています)。
そのため、出張手配の設計は「Coworkに何をさせるか」より「どの時点で人に渡すか」が中心になります。
出張手配の分担
Coworkに任せる
フライト・ホテルの条件検索と比較表づくり。予約後は、Rampに記録された取引と出張日程・金額の突き合わせまで。
人が握る
予約の確定と支払いはExpediaの画面で、経費の申請と上長承認はRampの画面で行います。コネクタに対応するツールがないため、コネクタ経由では実行できません。
接続する前に決まること
Coworkを使えるのはPro・Max・Team・Enterpriseの有料プランです。Team・Enterpriseでは、メンバーがコネクタを使い始める前に、OwnerまたはPrimary Ownerが組織側で有効化する必要があります。有効化されても、メンバーに自動で権限が付くわけではありません。
運営元はExpedia GroupとRampで、ExpediaのディレクトリへのAdded表示は2026年5月、Rampは2025年11月です。2つの連携で大きく違うのは、サインインの要否です。ディレクトリの表示では、Expediaが「Sign-in: Not required」、Rampが「Sign-in: Required」になっています。Expediaは接続して会話ごとのトグルをオンにするだけで始められます。RampはメンバーがRampのアカウントで個別にサインインして使います。
Claude側の設定は「Customize」→「Connectors」にあり、会話ごとの有効・無効はチャットボックスの「+」メニューの「Connectors」で切り替えます。
手順1: Expedia連携で出張候補を検索する
最初のタスクは、検索だけで終わる依頼にします。
来月の第2週、東京-大阪の出張で使える午前発のフライトを3候補、
梅田駅から徒歩10分以内で1泊2万円以内のホテルを3候補、
それぞれ料金と所要時間つきで一覧にして。
一覧を出したら、そこで止まって私の選択を待って日程・出発時間帯・エリア・予算の4つを具体的に伝えるほど、search_flightsとsearch_hotelsに条件として渡しやすくなり、無関係な候補が混ざりにくくなります。最後の1文は、Coworkの設定ではなく依頼文の側に置く歯止めです。候補を人が選ぶまで次の工程に進ませないという意図を、プロンプトに書いておきます。
候補を絞ったあとの照会が必要なら、ホテル向けのget_hotel_pdp_offersを使った追加確認も同じタスクで頼めます。
手順2: 承認ゲートは人が握る工程に合わせて置く
Expedia連携は照会ツールだけなので、予約確定そのものはCoworkの承認モードでは止められません。止める対象がもともとCowork側にないからです。ゲートは2か所に分けて考えます。
1つ目は、Cowork内のゲートです。承認モードは、コネクタなどのツールを使う前にClaudeが許可を求めるかを決めます。2つ目は、Cowork外のゲートです。Expediaの画面で人が予約を確定する工程が、そのまま最終ゲートになります。Cowork Approval Gatesを部門ごとに設計する考え方の4軸(取り消しやすさ・金銭契約への影響・社外への影響・頻度と定型度)に当てはめると、出張予約は金銭への影響が大きく取り消しにくいため、人の手に残すのが筋の通った分け方です。
Cowork内のモードは3つあります。出張手配のタスクに当てはめると次のようになります。
承認モードを出張タスクに当てはめる
Manually approve(Manual)
Claudeが操作のたびに許可を求め、人がAllowかDenyを選びます。公式ヘルプは、新しいツールを初めて使うとき、取り消しにくい操作(購入など)のときにManualへ切り替えるよう案内しています。Expedia連携を初めて使う最初の数回は、この基準に当てはまります。
Automatically approve(Auto)
確認を挟まず進めますが、Claudeが各操作を安全面から審査し、危ないと判断したものは止めます。ブロックが続くと、1操作ずつ許可を求める状態に戻ります。公式ヘルプの表では、読み取り専用のツールは承認され、書き込み・削除ツールはClaudeが判断します。検索と照会だけの定型タスクに向き、通常より使用量を多く消費します。
Skip all approvals(Skip)
確認も自動審査もありません。公式ヘルプは、タスクに関わる操作・コネクタ・ファイルのすべてを信頼できるときだけ使うよう説明しています。支払いに近い出張手配で使う場面はありません。なおファイルの完全削除だけは、どのモードでも事前に確認が入ります。
新しいClaudeの画面では、メッセージボックスの権限設定にAutoとManual(既定)の2つだけが出ます。この画面ではSkipが選択肢にないため、Skipが見えないのは仕様です。
同じ会話で開いておくツールを絞る
承認モードより効くのは、そのタスクで使えるツールの数を絞ることです。公式ヘルプは、プロンプトインジェクション(外部コンテンツに仕込まれた指示でClaudeを乗っ取る攻撃)が成立する条件を2つ挙げています。Claudeが信頼境界の外の情報を読めることと、ユーザーに害を及ぼす操作を実行できることです。
ホテルや航空券の検索結果は、信頼境界の外から入ってくる文章です。この会話にメール送信やカレンダー登録、ブラウザ操作のツールを開いたままにすると、2つ目の条件が満たされやすくなります。出張候補の検索だけなら、Expedia連携以外のコネクタは会話ごとにオフにしておく運用が成り立ちます。
書き込みツールが増えたときに備える
連携の仕様は変わりえます。コネクタのツール権限は「Customize」→「Connectors」でコネクタを選ぶと見られ、読み取りツールと書き込み・削除ツールの分類ごと、またはツール単体で、Always allow・Needs approval・Blockedから選べます。Blockedはどのモードでも拒否です。Team・Enterpriseでは、Ownerが組織全体に対して「読み取りは許可し、書き込みは止める」設定もできます。
組織設定の「Allow "Always allow" for connector tools」は既定でオフで、オフのあいだ書き込み系ツールはタスクごとの承認になります。読み取り専用として承認が免除されるのは、コネクタがツールにその注釈を付けている場合に限られます。注釈の有無でも挙動が変わる点を覚えておくと、組織設定を触る場面で迷いません。
手順3: Rampの記録と出張内容を突き合わせる
Rampに連携した法人カードで決済した場合、予約確定後の取引はRamp側に記録されます。Ramp連携では、取引・立替・請求書・購買注文・カード・取引先などを読み込んで照会できます。ツール一覧にはload_spend_exportsやload_cards、load_memosなどの読み込み用ツールと、読み込んだデータに問い合わせるexecute_queryが並んでいます。Coworkには次のように頼みます。
Rampで先週決済されたExpedia関連の取引を一覧にして、
今回の出張日程・金額と一致しているか確認してこの工程でできるのは記録の確認までです。見る観点は3つあります。
- 決済金額が、予約時に見た見積もりと合っているか
- 宿泊日数・搭乗日が、申請予定の出張日程と合っているか
- 決済先の名称が、予約したホテル・航空会社と合っているか
結果の読み方は、症状で切り分けられます。取引が一覧に出ないときは、Rampの画面で同じ期間・同じカードを検索して、Coworkの照会条件が狭すぎないかを見ます。金額だけが違うときは、予約確認メールの内訳とRampの取引明細を並べて、どの項目の差かを人が特定します。3つのうち1つでもずれたら、その場で人が確認する対象にします。
定期的な予算超過や滞留の監視まで広げたいときは、Ramp Cowork連携で購買・経費の予算超過を定期監視するのScheduled Tasksと組み合わせられます。今回の突き合わせは出張1件ごとのスポット確認で、Scheduled Tasksは部門全体の支出を継続的に見る用途です。
Scheduled Tasksはクラウドで動き、パソコンが閉じていても実行されます。公式ヘルプは、購入のような取り消しにくい操作を定期実行に含めないよう案内しています。出張の価格チェックのような読み取りだけのタスクであれば、この注意には触れません。実行後の結果は、サイドバーの「Scheduled」ページで見返せます。
手順4: 経費の申請・承認はRamp本体で完結させる
出張から戻ったあとの領収書登録・経費申請・上長承認は、Ramp連携のツール一覧にありません。承認や新規作成を頼んでも、Cowork側は実行できません。Coworkが担うのは、Ramp側の記録を要約・照合して、申請内容を人がまとめるための材料を用意するところまでです。
承認モードの選び方は「何を読むか」で決める
使うモードは、タスクが何を読んで何をするかで決めます。
| タスクの内容 | 向くモード | 理由 |
|---|---|---|
| Expediaの検索・比較(初回) | 向くモードManual | 理由新しいツールを初めて使う場面にあたる |
| Expediaの検索・比較(慣れた定型) | 向くモードAuto | 理由読み取りだけで、1操作ごとの審査が走る |
| Rampの取引突き合わせ | 向くモードAuto | 理由照会のみで、Rampへの書き込みが起きない |
| 社内の複数コネクタを開いたままの出張タスク | 向くモードManual | 理由他のツールが開いていると操作の幅が広がる |
Team・Enterpriseでは、組織設定「Allow "Automatically approve" mode」(既定はオン)でAutoを選べるかが決まります。オフの組織では、モード選択にAutoが表示されません。詳細はCowork自動承認モードとはで扱っています。
書き込み系を持たない設計をどう見るか
Expedia・Rampのどちらも、ツール一覧に予約や申請の書き込みはありません。これは制約というより、お金が動く領域で人の最終確認を残す設計に見えます。自動化の範囲を広げる前に「誰がどこで最後に押すか」を決めておけば、将来ツールが増えても運用を組み直さずに済みます。
承認モードは「許可を求めるか」しか決めません。何を頼み、どこで止め、他に何を開いておくかは、人の設計に残ります。
よくあるつまずき
「予約して」「経費申請して」と頼んでもコネクタでは実行されない
コネクタには対応するツールがないため、コネクタ経由では実行されません。画面を直接操作するコンピューター操作(computer use)は別のしくみで、公式ヘルプは、他のCoworkツールにある権限チェックを経ない操作として警告しています。支払いが絡む画面では、使うかどうかを慎重に決める対象です。
Rampが選べない、または接続が通らない
Team・EnterpriseでRampがコネクタ一覧に出ないときは、Ownerが組織側で有効化したかを確認します。有効化されていても、各メンバーが自分のRampアカウントでサインインしないと使えません。
まとめ
初回はManualで検索だけを頼み、出てきた候補を人が選んでからExpediaの画面で確定する流れが出発点です。同じ流れに慣れたらAutoに移し、決済後はRampの記録を金額・日程・決済先の3観点で出張ごとに照合します。
参照した一次ソース
この記事の記述は、次の一次ソースと照合しています。更新時に参照先が変わった場合は一覧も更新します。
- claude.com/connectors/expedia
- claude.com/connectors/ramp
- support.claude.com/en/articles/13364135-use-claude-cowork-safely
- support.claude.com/en/articles/13345190-get-started-with-claude-cowork
- support.claude.com/en/articles/11176164-use-connectors-to-extend-claude-s-cap…
- support.claude.com/en/articles/13455879-use-claude-cowork-on-team-and-enterpr…