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ClaudeとDeelを連携する方法 — 海外採用のコスト試算と書き込みの線引き

ClaudeとDeelを連携する方法 — 海外採用のコスト試算と書き込みの線引き

DeelのConnectorは海外採用のコスト試算から契約変更、オフサイクル支払いまで会話で扱えます。接続手順と、試算系ツールと書き込み系ツールの分け方を扱います。

Claude Deel連携とは何か

Deel ConnectorはClaudeをDeelのアカウントにつなぎ、契約・支払い・休暇・給与計算・HRISのデータを自然文で扱えるようにする公式連携です。開発元はDeel自身で、Connectorsディレクトリでは「Anthropic verified」の表示が付き、カテゴリーは「Financial services」です。サインインは必須で、接続先のURLは https://api.letsdeel.com/mcp です。

公開されているツールは95個あります。契約の作成、休暇申請、請求書の調整、労働許可の要件確認まで広く並び、海外採用の試算に使う calculate_employment_cost や calculate_eor_versus_entity_hiring_costs もその一部です。つまりこのConnectorは「調べるだけ」では終わらず、Deel上のレコードを書き換える道具も同じ窓口に入っています。

この記事は、95個のうち採用コストの試算に使う系統と、契約変更・支払いを動かす系統を分けて見ていきます。Connectorの一般的な仕組みはConnectorsの解説にあります。契約書そのものを扱う連携ならDocuSignやIroncladが別の役割を持ちます。

接続手順 — claude.aiとClaude Code

claude.aiでは「Customize > Connectors」を開き、「+」ボタンからDeelを探して接続を始め、Deelのログイン画面へ進みます。認証はOAuth2で、同意画面で権限を確認して許可します。

Claude Codeからは、リモートHTTPサーバーを追加する通常のコマンドで足ります。

claude mcp add --transport http deel \
  https://api.letsdeel.com/mcp

追加後にClaude Code内で /mcp を開き、Deelの認証を済ませます。OAuth2に対応していないクライアントでは、Deelのダッシュボードで発行する個人アクセストークン(PAT)を Authorization: Bearer ヘッダーで渡す方法もあります。発行場所は「More」→「Developer」→「Apps」→「Generate token」です。トークンはバージョン管理に入れず、環境変数か秘密情報の管理ツールに置きます。

認証まわりの数字も押さえておきます。

項目値
アクセストークンの有効期間値1時間
リフレッシュトークンの有効期間値30日(1回限り有効)
認可方式値OAuth2(動的クライアント登録、PKCE)

Deelの公式ドキュメントは、OAuth2なら同意の取り消しをトークンの再発行なしで行えると説明しています。PATは対応していないクライアント向けの代替という位置づけです。

接続直後に確かめること

接続できたかどうかは、Deelの案内にある簡単な依頼で確かめられます。「Deelの契約を一覧にして」「利用できる休暇ポリシーは」「組織の情報を見せて」の3つです。ツールが呼ばれて結果が返れば、接続は成功しています。

認証の挙動には少し癖があります。initialize と tools/list は認証なしで通り、保護された操作を呼んだ時点で初めて401が返って認証の流れが始まります。ツールの一覧は見えるのに、実行すると認証を求められる状態は、故障ではなく仕様どおりの動きです。Publicの参照データ(対応国や通貨の一覧)だけなら、認証前でも取得できる設計になっています。

リフレッシュトークンは1回限りなので、自作のクライアントで更新のたびに新しい値を保存し損ねると、次の更新が invalid_grant で失敗します。claude.aiやClaude Codeのような既製のクライアントでは、この更新は自動で行われます。

試算系ツール — 海外採用のコストを会話で比べる

Deelのドキュメントは、コスト試算に使う系統を「Hiring intelligence」として分類しています。名前と説明は次のとおりです。

ツール説明(Deelの記述)
calculate_employment_cost説明(Deelの記述)1か国の雇用コストを計算
calculate_employment_cost_for_multiple_countries説明(Deelの記述)複数国の雇用コストを計算
calculate_take_home_pay説明(Deelの記述)手取りを計算
calculate_eor_versus_entity_hiring_costs説明(Deelの記述)EOR(雇用代行)と現地法人での雇用コストを比較
check_visa_requirement説明(Deelの記述)ビザ要件を確認

Deelのリファレンスではキャメルケース(calculateEmploymentCost など)、Connectorのページではスネークケースで表記されています。Claudeが実際に見るツール名はClaude Codeの /mcp で確認できます。

EOR(Employer of Record)は、現地に法人を持たずに、Deelなど雇用代行会社を通じて海外の人材を雇う仕組みです。現地法人を設立して直接雇う方法と比べて、どちらが割に合うかは国と人数で変わります。この比較を1回の依頼にまとめられるのが calculate_eor_versus_entity_hiring_costs の使いどころです。

依頼の書き方の例です。以下は試算を頼む文面の一例で、返ってくる結果はDeel側の計算に依存します。

ポルトガルでシニアエンジニアを1名雇う想定で、
年収8万ユーロの場合のEORと現地法人の雇用コストを
比較して。ビザ要件も確認して。

国・職種・年収・通貨を具体的な値で渡すと、前提の食い違いを避けやすくなります。前提を数字で渡したほうが、Deelの計算結果も読み違えにくくなります。

Claudeは計算結果を要約して説明できますが、試算の中身はDeelが返した値です。稟議に使う数字は、Deelの画面で同じ条件を入れ直して照合すると安心です。試算系のツールがどの権限スコープを要求するかは、公式ドキュメントに個別の記載がありません。

書き込み系ツール — 契約変更とオフサイクル支払い

ここから先は、Deel上のデータを実際に変える系統です。ツールの説明文から、次のものが書き込みにあたると読み取れます。

ツール説明影響の大きさ
amend_contract説明契約内容を変更影響の大きさ契約条件が変わる
add_off_cycle_payment_for_contract説明契約に対するオフサイクル支払いを追加影響の大きさ通常サイクル外の支払いが発生する
create_a_new_contract / create_contract_for_eor説明契約の作成(EORは見積)影響の大きさ新しい契約レコードができる
create_invoice_adjustment説明請求書の調整を作成影響の大きさ請求額が変わる
create_time_off_request / cancel_time_off_request説明休暇申請の作成・取消影響の大きさ休暇の記録が変わる

Deelのドキュメントは、各ツールを読み取り・書き込みで区分けしていません。この表は、ツール名と説明文からの分類です。手がかりになるのは、認可のスコープです。公式の一覧には contracts:read と contracts:write、invoice-adjustments:read と invoice-adjustments:write のように、読み取りと書き込みが別のスコープとして載っています。contracts:write は契約の作成と変更の両方を含むと説明されているため、新規作成だけを許したい、といった細かい切り分けはスコープ単位ではできません。ここは権限ルールの ask で補います。

オフサイクル支払いは、給与や契約の通常の支払い日とは別に、個別の支払いを追加する操作です。Deelのリファレンスには、追加用のツールに加えて、契約ごとの取得用ツール(getOffCyclePaymentByContractId、getOffCyclePaymentsByContractId)が並んでいます。追加の前に既存の一覧を読ませれば、二重に登録する事故を減らせます。

書き込みの前に人の確認を挟む設定

Claude Codeなら、書き込み系のツールだけ毎回確認を求める設定にできます。権限ルールは mcp__<サーバー名>__<ツール名> の形で、サーバー名は上のコマンドで付けた deel です。

{
  "permissions": {
    "ask": [
      "mcp__deel__amend_contract",
      "mcp__deel__add_off_cycle_payment_for_contract",
      "mcp__deel__create_invoice_adjustment"
    ]
  }
}

ツール名は上の例ではConnectorのページの表記に合わせています。実際のツール名が異なる場合は、/mcp で表示された名前に置き換えてください。この形のルールの書き方はMCPの権限構文の解説にまとめてあります。全部をaskにするのではなく、金額や契約条件が動くものに絞ると、確認の回数が増えすぎません。

claude.aiでは、Connectorの設定画面(Customize > Connectors)でツールの種類ごと、または個別のツールごとに「Always allow」「Needs approval」「Blocked」を選べます。書き込み系を「Needs approval」にすれば、Claude Codeの ask と同じ働きになります。加えてDeelの側でも、同意の段階で許可するスコープを絞れます。Deelは最小権限の原則を勧めており、読み取りだけで足りるなら contracts:read のような読み取りスコープに限定するよう案内しています。

試算と契約変更のあいだにあるツール群

95個のツールは、Deelのリファレンスでは領域別に分かれています。採用の意思決定から契約、支払い、入社後の管理まで、順に並べると次のとおりです。

領域代表的なツール(Deelの表記)用途
契約と採用代表的なツール(Deelの表記)retrieveContractStartDateForEOR、retrieveContractAdditionalCostsForEOR、retrieveContractFormForEOR用途EORの最短開始日、国別の追加コスト、契約フォームの確認
採用の判断材料代表的なツール(Deelの表記)getEorCountryValidations、getSalaryHistogramForARoleInMultiplesCountries、getHiringInsightsReportSummary用途国ごとの採用ガイド、職種の給与分布、採用インサイト
給与・支払い代表的なツール(Deelの表記)getEORWorkerPayslips、retrievePaymentReceipts、getContractPaymentDates用途給与明細、支払い領収書、支払い日の一覧
福利厚生・コンプライアンス代表的なツール(Deelの表記)retrieveBenefitsByCountry、listOfEmployeeComplianceDocuments用途国別の福利厚生、コンプライアンス書類の一覧
ITと入社手続き代表的なツール(Deelの表記)listItAssets、listOnboardingEmployees、immigrationVisaTypes用途IT機器、入社手続き中の人、ビザの種類

試算の前後をつなぐ使い方が、この表の読みどころです。たとえば、calculate_eor_versus_entity_hiring_costs で比べたあとに、EORの追加コストと最短の開始日を続けて確認できます。国別の採用ガイドと給与分布を先に読ませれば、年収の前提を置く段階から会話で詰められます。

Connectorのページには、分析タイル(create_analytics_tile)やワークフローの追加(add_workflow_trigger、add_workflow_actions)といったツール名も並んでいます。ただし、それぞれが具体的に何を返し、何を書き換えるのかは、今回参照した公式ページには説明がありません。名前から用途を決めつけず、使う前にDeelのAPIドキュメントで確認します。

権限レベルは3種類

Deelは、ツールを3つの権限レベルに分けています。

レベル内容例(Deelの表記)
Organization内容組織全体のデータを扱う。組織レベルのスコープが必要例(Deelの表記)getListOfPeople、listItAssets
Worker内容個人の作業者に限定。作業者レベルの認証が必要例(Deelの表記)createTimeOffRequest、getTimeOffRequests
Public内容国や通貨などの参照データ。ユーザー固有の権限は不要例(Deelの表記)retrieveCountries、retrieveSupportedCurrencies

採用コストの試算は、組織の内部データを見せなくても意味のある結果が出ます。一方で契約変更や支払いは組織レベルの権限が前提になります。誰のアカウントでConnectorを接続するかで、Claudeが動かせる範囲は変わります。人事の管理者アカウントで接続するなら、書き込み系の ask ルールが特に効きます。

使い分けの早見表

目的別に、Claudeへ任せる範囲を分けると次のようになります。

やりたいこと使うツールの系統人の確認
国別の採用コストを比べる使うツールの系統calculate系(読み取り相当)人の確認数字の照合のみ
契約一覧・支払い日の確認使うツールの系統一覧・取得系人の確認不要
契約条件の変更使うツールの系統amend_contract人の確認必須
追加支払いの登録使うツールの系統add_off_cycle_payment_for_contract人の確認必須
休暇申請の作成使うツールの系統create_time_off_request人の確認申請者本人の確認

権限の切り方は、読み取りだけを渡す段階から始めて、書き込みを足していく順が安全です。最初の1週間は試算と一覧取得だけで使い、契約変更は人が画面で実行する運用にしておけば、Claudeの誤解釈が支払いに届く経路がありません。

接続のトラブルと制限

Deelの公式ドキュメントが挙げる、接続まわりの症状と原因は次のとおりです。

症状原因と対処
401 Unauthorized原因と対処OAuth2が完了していないか、トークンが期限切れ。接続をやり直す
ツールが表示されない原因と対処URLが https://api.letsdeel.com/mcp と一致していない、またはHTTP転送に未対応
同意画面が出ない原因と対処ポップアップやリダイレクトが遮断されている。PATで代替できる

ツールが多いぶん、依頼が曖昧だとClaudeが複数のツールを順に呼びます。Deelも「EOR契約を一覧にして」のように対象を絞る書き方を勧めています。429が返ったら Retry-After に従います(Deelのベストプラクティスの記載)。

もう一つ、Connectorの一覧ページには「Anthropicは開発元が提供するツールを管理しておらず、想定どおり動く保証はできない」旨の注意書きがあります。ツールの一覧や挙動は、Deel側の更新で変わりえます。

まとめ

DeelのConnectorは、海外採用のコスト試算という読み取りに近い使い方と、契約変更・オフサイクル支払いという書き込みの使い方が、同じ接続の中に同居しています。試算は数字の照合さえすれば、会話で回せる作業です。書き込みは、Claude Codeなら ask ルール、claude.aiならConnectorのツール権限とDeel側のスコープで、人の確認を残す形が扱いやすくなります。

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