Claude Enterpriseのサーベイ機能で社内の利用実態を集める手順
Claude Enterpriseの管理者向けベータ機能サーベイで、アプリ内に短い質問を出して回答を集計する手順と、権限・対象者の絞り込み・CSV出力・使えない条件をまとめました。
Claude Enterpriseのサーベイは、管理者が利用者にアプリ内で短い質問を出し、集まった回答を管理コンソールで見られるベータ機能です。利用量のグラフでは分からない「何に使っているか」「何が邪魔になっているか」を、本人の言葉で集められます。
Claude Enterpriseのサーベイとは何か
サーベイは、管理コンソールのAnalyticsセクションに置かれた機能です。利用状況ダッシュボードが「チームがどれだけClaudeを使っているか」を示すのに対し、サーベイは「人々がClaudeで何をしているか、何が障害になっているか」を尋ねます。
利用者には、CoworkまたはチャットのなかにUIカードとして表示されます。カードには組織名が入り、1つのサーベイにつき各利用者へ表示されるのは1回だけです。回答にかかる時間は90秒ほどとされています。
自分の組織で使えるか、誰が触れるか
提供形態はEnterpriseプランのベータです。作成と閲覧ができるのは、Primary Owner、Owner、Adminと、Analytics閲覧権限(Analytics view access)を付与したカスタムロールの利用者です。
2つのサポート記事を並べると、入口の違いが見えてきます。利用状況分析の記事では、Primary OwnerとOwnerが左下のイニシャルから「Analytics」を開くと説明されています。メニューにはChat、Claude Code、Claude Design、Coworkと並んでSurveysが出てきます。同じ記事は、Enterprise Adminについて「Spend以外のすべての分析を見られる」とも書いています。サーベイの記事はAdminにも作成・閲覧を認めているので、AdminはSpendを見られなくても、サーベイは作成できる立場です。
自分の状況に当てはめると、次のように分かれます。
- Adminを増やしたくない: Analytics閲覧権限だけを持つカスタムロールを作り、人事や情報システム部門の担当者に割り当てます。ロールの作り方はカスタムロールの記事にあります
- Teamプランを使っている: 利用状況分析はTeamのOwnerとPrimary Ownerも対象です。サーベイの記事は提供対象をEnterpriseのベータと書いています
- 顧客管理の暗号鍵(CMEK)を使っている: ベータ期間中は利用できません。ページにはCMEK対応が「近日中(coming soon)」とありますが、時期は載っていません
サーベイを作成して配信する手順
作成の流れは次の9ステップです。
サーベイ作成の9ステップ
- 1
Analytics > Surveysを開く
管理コンソールのAnalyticsセクションにあります。
- 2
「New survey」を押す
右上のボタンです。
- 3
名前を付ける
社内専用の名前です。利用者には見えません。
- 4
開始日と終了日を決める
期間が過ぎると自動で閉じます。
- 5
対象者を選ぶ
全メンバーか、1つ以上のグループです。「Manage groups」から組織のグループ設定を開けます。
- 6
表示場所を選ぶ
Cowork、チャット、または両方です。
- 7
質問を見直す
既定の質問を、配信前なら追加・削除できます。
- 8
プレビューと到達見込みを見る
選んだ対象者の人数、Coworkやチャットでアクティブな人数、想定回答数が並びます。
- 9
配信を予約するか、下書きに保存する
下書きのまま置いて、あとから予約することもできます。
部門ごとに聞きたいときは、対象者の選択でその部門に対応するグループを選びます。複数のグループを同時に選べるので、営業部門と財務部門だけに出す、といった絞り込みも1つのサーベイで済みます。グループが整っていることが前提です。
既定で入っている4つの質問
質問は最初から次の4つが用意されています(公式の英語原文を意訳したものです)。
| 質問の趣旨 | 形式 |
|---|---|
| 最近Claudeでやった最も価値のあることは何か。Claudeなしの場合より結果が良かったとどう判断したか | 形式自由記述 |
| その作業について、Claudeは所要時間をどう変えたか | 形式複数選択 |
| チームメンバーにも真似してほしい使い方は何か。明日から始められるように書いてほしい | 形式自由記述 |
| 明日チームがClaudeを使えなくなったら、最初に何が止まる・遅くなるか | 形式自由記述 |
4つのうち3つは自由記述です。棒グラフで集計できるのは所要時間の質問だけで、残りは読み込む前提の設計になっています。回答数を稼ぐより、現場が具体的に何をしているかを拾う方向の質問セットです。
最初の配信は対象と期間をどう決めるか
1つのサーベイにつき各利用者へ表示されるのは1回だけです。同じ人にもう一度聞きたいときは、別のサーベイを作ることになります。そのため、最初の1本は1グループに絞り、短い期間で出す進め方があります。全メンバーを選ぶ前に、絞ったグループで到達見込みのパネルの3つの数字(対象者数、アクティブな人数、想定回答数)を見られるからです。
数字の見方は次のとおりです。
- 想定回答数がかなり少ない: 対象グループのうちアクティブな人数が少ない可能性があります。カードはCoworkのタスク間やチャットの返信後に出るので、Claudeを使っていない人には表示の機会がありません
- 期間が短い: 終了日を過ぎると自動で閉じます。その期間にClaudeを開かなかった人には届きません
- 質問を変えたい: 配信前なら追加・削除できます。下書き保存を挟み、プレビューを見てから予定を確定できます
回答が想定より早く集まったときは、結果画面から予定より早く閉じられます。傾向をつかむのが目的なら、必要な件数が揃った時点で閉じる運用が成り立ちます。
利用者の画面では何が起きるか
利用者側の見え方は、管理者の設定と対応しています。
利用者に表示されるカード
出る場所
Coworkならタスクとタスクの間、チャットなら返信のあとです。
割り込み
実行中のタスクを中断することはありません。
宛先の説明
カードには組織名が入り、回答は自分の組織の管理者に届き、Anthropicには届かないと説明されます。
辞退
質問は1問ずつ表示されます。カードを閉じると、そのサーベイは辞退したことになります。
結果の見方とCSVの出力
Analytics > Surveysの一覧には、各サーベイのステータス(Live、Scheduled、Closed)、対象者、期間、回答数、回答率が並びます。サーベイを開くと、配信中でもその時点までの集計結果が見られます。
結果画面には、総回答数と回答率、Coworkとチャットの回答の内訳、複数選択の質問の棒グラフが出ます。自由記述は回答フィードにまとまり、グループ・表示場所・日付のタグが付きます。グループで絞り込めるため、営業部門だけの声、財務部門だけの声といった読み方ができます。
CSVはサーベイごとにAnalytics > Surveysから書き出します。1回答が1行で、送信日時、利用者のメールアドレス、所属グループ、回答した場所(Coworkかチャットか)、質問ごとの列が入ります。複数選択の回答はセミコロン区切りです。
集計の軸になるのは「所属グループ」の列です。並べ替えやフィルターで部門別の回答数を数え、所要時間の質問はセミコロンで分割してから数えます。自由記述3問は、部門ごとに読んで共通する作業名を拾い、件数を添えて報告する使い方が現実的です。「回答した場所」の内訳は結果画面にも出るので、CSVで数え直すのは、部門との掛け合わせが必要なときに限れば足ります。
支出レポートのCSVと突き合わせる
Analyticsの「How much is Claude costing?」には、支出レポートのCSV書き出しもあります。1行は「1人×1モデル」の使用量で、メールアドレス、アカウントUUID、プロダクト、モデル、トークン数、純支出(total_net_spend_usd)が入ります。期間はMTD(月初から現在)、先月、直近90日、カスタムから選べ、遡れるのは90日までです。
サーベイのCSVには所属グループがあり、支出のCSVには金額があります。どちらもメールアドレスの列があるので、表計算で結合すれば「支出が大きい部門の自由記述」を並べて読めます。ただし席課金のEnterpriseでは、支出レポートに載るのは使用クレジットを有効にした組織の超過分だけです。席の枠内の利用は含まれません。
プライバシーとデータの扱い
サーベイは組織名で表示され、回答は組織の管理者に届きます。サーベイは組織のデータとして扱われ、Anthropicはサービスの運営に必要な範囲でのみアクセスします。
HIPAA対象の組織を含む規制対象の顧客は、PHI(患者の健康情報)のような規制対象データをサーベイの回答に入れないよう案内されています。質問は配信前に追加できるので、自由記述の質問を1つ足して「個人情報や患者情報は書かない」と添える運用も考えられます。
CSVには回答者のメールアドレスが入るため、無記名のアンケートではありません。匿名で本音を集めたい場面には向かず、「誰が何を書いたか」が管理者側で追える前提で質問を組みます。CSVは個人情報を含むファイルとして扱い、共有先は人事や情報システム部門のようにサーベイの運用に関わる人に絞るのが手堅い形です。支出レポートのCSVにも同じくメールアドレスが入るので、結合したファイルは同じ扱いにします。
どの分析機能を使うか
Analyticsで使える3つの見方は、情報の出どころが違います。
Analyticsの3つの見方
利用状況ダッシュボード
利用量・支出・採用度合いを、利用ログの集計で示します。
サーベイ
実感・工夫・止まると困ることを、利用者本人の回答で集めます。
たとえばダッシュボードで、ある部門の利用が他より少ないと分かったとします。数字は「少ない」ことしか語りません。既定の質問の最後にある「明日Claudeが使えなくなったら何が止まるか」に、その部門が「特にない」と書くのか、具体的な作業名を挙げるのかで、定着していないのか使い方が違うだけなのかが分かれます。
逆に利用が多い部門には、3問目の「チームメンバーにも真似してほしい使い方」が効きます。数字で見つけた差を、サーベイで理由に変える順序です。
グループ単位で予算を管理している組織なら、プール型グループ予算と同じグループでサーベイを出します。支出の数字と本人の声を、同じ切り口で並べられます。データの扱いを社内で説明する場面では、データ保持期間のカスタム設定の記事も参考になります。
サーベイの運用でつまずきやすい点
- 「Surveys」が見当たらない: 提供対象はEnterpriseプランのベータで、CMEKを使っている組織は対象外です。Admin以外は、Analytics閲覧権限を持つカスタムロールが必要です
- 回答が集まらない: カードは作業の切れ目に出て、閉じれば辞退扱いです。到達見込みのパネルでアクティブな人数が少ないなら、対象グループか期間を見直します
- 自由記述が読み切れない: 回答フィードはグループで絞り込めるため、部門ごとに読みます。CSVを出して、Claudeでアンケートを集計・分析する手順のように分類を任せる使い方もあります。その場合も、メールアドレスの列を外してから渡すかどうかは社内の取り扱いルールに従います
- 同じ人に再度聞きたい: 1つのサーベイにつき、各利用者に表示されるのは1回だけです。もう一度聞くには、別のサーベイを作ります
まとめ
数字で見えた利用の差の理由を本人から集めたいときに、サーベイが向きます。匿名性が要る調査や、CMEKを使う組織では選べないため、その場合は別の手段で聞く前提になります。