ClaudeとFastmailを連携する方法 — メール・予定・連絡先・メモを会話で扱う
Fastmail公式のMCPサーバーで、メール・カレンダー・連絡先・メモをClaudeから検索し更新できます。接続手順、28個のツールの役割、読み取り・書き込み・送信の3段階の権限、接続の取り消し方をまとめます。
Claude Fastmail連携とは — 何ができるか
Fastmailコネクタは、Fastmail自身が公開しているMCPサーバーをClaudeにつなぐ仕組みです。メール、カレンダー、連絡先、メモを、Claudeとの会話から検索し、下書きし、更新できます。
コネクタのディレクトリ上では「Anthropic verified」の表示が付き、追加時期は2026年7月です。カテゴリは「Communication」と「Productivity」で、サインインは必須です。接続先のURLは https://api.fastmail.com/mcp です。
Fastmailの説明では、MCPはIMAP・CalDAV・CardDAVと並ぶもう一つのAPIという位置づけです。ただし相手はメールソフトではなく、AIモデルです。ページには、次のような依頼が実際のFastmailアカウントに対して動くと書かれています。
- 「明日の予定は?」
- 「Q3予算についてのSarahのメールに返信を下書きして」
- 「連絡先から歯医者の住所を探して」
Fastmail側のヘルプには、FastmailがAIツールとの直接連携を提供していない、という一文もあります。MCPサーバーが唯一の入口で、利用は任意です。AIツールにメールを触らせたいと明確に望むユーザー向けの機能として位置づけられています。
GmailやGoogleカレンダーを使っている場合は、別のコネクタです。手順はClaudeのGmailコネクタとClaude×Googleカレンダー連携に分けて書いています。この記事はFastmailに絞ります。
接続する前に知っておくこと
先に押さえたい制約が4つあります。
- 添付ファイルはMCP経由では扱えません(Fastmailのヘルプに「At this time, we don't support accessing attachments via MCP」とあります)
- Claudeは複数のFastmailアカウントの追加に対応していません
- パスワードはいつものFastmailのものを使い、アプリパスワードの設定は要りません
- OAuthを使わず、APIトークンで接続する方法もあります
料金プランの条件は、コネクタページにもヘルプにも書かれていません。Fastmail側でどのプランから使えるかは、公式の記載を確認できていません。
Claudeで接続する手順
接続の入口は2つあります。ディレクトリからの追加と、カスタムコネクタとしての追加です。
ディレクトリから追加する
コネクタページの「Add to Claude」から追加するのが最短です。Claudeのコネクタ全般の流れは、次のとおりです。
- claude.aiで「Customize」→「Connectors」を開く
- ディレクトリからFastmailを選び、「Connect」を押す
- 認証の画面に従ってFastmailにサインインする
- 求められた権限を確認して許可する
カスタムコネクタとして追加する
Fastmailのヘルプが案内しているのは、こちらの手順です。
- Claudeにログインし、左側の「Customize」アイコンから「Connectors」を開く
- 角のプラス記号を押し、「Add custom connector」を選ぶ
- 名前(「Fastmail」でも任意でも可)と、リモートURLとして
https://api.fastmail.com/mcpを入力する - 画面の指示に従ってOAuth 2.0で認証する
カスタムコネクタは、Free・Pro・Max・Team・Enterpriseのどのプランでも使えます。Freeは1つまでです。Anthropicのクラウドから接続する仕組みなので、サーバーはインターネットから届く場所に置かれている必要があります。FastmailのURLは公開されているので、この点は問題になりません。
TeamとEnterpriseの場合
OwnerまたはPrimary Ownerが組織でコネクタを有効にしても、それだけでは誰も使えません。メンバーが各自でFastmailにサインインして初めて使えます。組織側の絞り込みは後の節で扱います。
3段階の権限 — 読み取り・書き込み・送信
Fastmailの接続では、AIクライアントに渡すアクセスの範囲を選びます。複数を組み合わせられます。
| 権限 | AIにできること | 依頼の例 |
|---|---|---|
| 読み取り | AIにできることメール・連絡先・カレンダーの検索と閲覧 | 依頼の例「明日の予定は?」「Hannahの住所を探して」 |
| 書き込み | AIにできること返信の下書き、メールの移動・削除・整理、連絡先と予定の更新 | 依頼の例「この会社からのメールを新しいフォルダに移して」 |
| 送信 | AIにできることあなたに代わってメールを送る | 依頼の例「今日の会議に出られないとHannahに送って」 |
読み取りだけでも、「直近3日に届いたメールからToDoリストを作って」のような使い方ができます。
この権限は、Fastmail側のOAuth認証の画面で選ぶものです。Claude側のTool permissionsとは別の層です。
送信の許可だけは、ツール名との対応が公式に書かれていません。後述のツール一覧には、名前に「send」を含むものが見当たりません。送信の許可を与えたときにClaudeが何を呼ぶのかは、公式の記載だけでは確かめられません。試す場合は、読み取りと書き込みだけで始め、送信は最後に足す順序が扱いやすいでしょう。
28個のツールと5つの役割
コネクタページには「Show all 29 tools」と表示されます。ページのソースで名前を確認できたのは28個です。残る1個の名前は確認できていません。名前から役割を分けると、次の表になります。
| 系統 | ツール | できること |
|---|---|---|
| メールの読み取り | ツールsearch_email / read_email / read_thread / list_folders / list_identities | できることメールとスレッドの検索・閲覧、フォルダと送信元アドレスの一覧 |
| メールの書き込み | ツールdraft_email / archive_email / delete_email / update_email | できること下書き、アーカイブ、削除、更新 |
| カレンダー | ツールlist_calendars / search_events / create_event / compose_event / update_event / delete_event / rsvp_event | できること予定の検索・作成・変更・削除、出欠の返答 |
| 連絡先 | ツールsearch_contacts / search_org_contacts / create_contact / update_contact / delete_contact | できること個人と組織の連絡先の検索・作成・更新・削除 |
| メモ | ツールsearch_notes / read_note / create_note / add_to_note / update_note / delete_note / set_memo | できることメモの検索・閲覧・作成・追記・更新・削除 |
compose_event と set_memo は、公開ページに説明がなく、名前からの推測になります。create_event との違いなど、細かい挙動はここでは書けません。
表を見て目に付くのは、削除系の多さです。メール・予定・連絡先・メモのそれぞれに、delete_ から始まるツールがあります。Pipedriveのコネクタには削除系がありませんでしたが、Fastmailは削除まで届きます。どこまで任せるかは、次の節の設定で決めます。
メールについては、draft_email は下書きの作成です。名前だけを見れば、送信までは含まれません。ここも、送信の扱いは前の節で触れたとおり、公式に説明がありません。
使い方の例 — 作業別のプロンプト
コネクタページとヘルプの例に沿って、作業ごとに並べます。実際にどのツールが呼ばれるかは、会話ごとに変わります。
予定と連絡先を読む
明日の予定を時刻順に並べて。空いている時間帯も教えて連絡先からHannahの住所と電話番号を探してメールを読み、下書きする
直近3日に届いたメールから、返信が必要なものをToDoリストにしてQ3予算についてSarahから来たメールを読んで、返信を下書きして整理する(書き込み権限が必要)
この取引先からのメールを、新しいフォルダにまとめて移して3つ目のように、複数のメールを一度に動かす依頼は、意図より広く動くことがあります。Claude側で書き込みを「Needs approval」にしておけば、実行の前に確認が挟まります。
権限を絞る — 承認制とブロック
TeamとEnterpriseのOwnerは、組織全体でコネクタの動作を絞れます。「Customize」→「Connectors」でFastmailを選ぶと、Tool permissionsが出ます。読み取り系と書き込み・削除系にカテゴリが分かれ、それぞれ「Always allow」「Needs approval」「Blocked」から選びます。
この設定は組織全体に効き、個人は上書きできません。FastmailのMCPサーバーに合わせた組み合わせの例は次のとおりです。
| ツールの種類 | 設定の例 | 理由 |
|---|---|---|
| search・read・list系 | 設定の例Always allow | 理由読むだけで、元に戻す必要がない |
| draft・create・update系 | 設定の例Needs approval | 理由予定や連絡先の変更を実行前に確認したい |
| delete系(メール・予定・連絡先・メモ) | 設定の例Blocked | 理由消したものを戻せない場合に備える |
Claude側の制限は、ソースの側の権限を広げず、狭めるだけです。組み合わせでつまずきやすい点はClaude Connectorsの権限設定でよくある失敗と対策にあります。
Claude CodeからFastmailに接続する
ターミナルのClaude Codeからも、同じMCPサーバーにつなげます。リモートのHTTP形式のサーバーは、claude mcp add --transport http <名前> <URL> で登録します。
claude mcp add --transport http fastmail \
https://api.fastmail.com/mcp登録後はClaude Code内で /mcp を開き、認証を進めます。ここでも読み取り・書き込み・送信の権限をFastmailの画面で選ぶ流れになると考えられますが、Claude Codeでの画面はFastmailのヘルプに書かれていません。
メールの内容をスクリプトや定期タスクに流したい場合は、この経路が向きます。日常の受信箱の整理なら、claude.aiからの接続で足ります。
接続の確認と取り消し
Fastmail側では、接続したAIクライアントが「アプリ」として一覧に載ります。次の情報を、いつでも確認できます。
- AIクライアントの名前
- アクセスできる範囲
- 最初にアクセスを許した日時
- 直近のアクセスの日時とIP・場所
確認の手順は、次のとおりです。
- Fastmailのウェブ画面で「Settings」→「Privacy & Security」を開く
- 「Connected apps & API tokens」の「Manage app passwords and access」を押す
- AIクライアントを選ぶ
同じ画面の「Remove access」でアクセスを取り消せます。確認の「OK」を押すと元に戻せません。「Verify it's you」の枠が出たら、パスワードを入れて続けます。
取り消した後にClaudeで使いたいときは、もう一度OAuthの認証からやり直します。
機密性の高いメールを扱う前に
つないだ後にAIクライアントが読んだメール・予定・連絡先は、そのAIクライアントの提供元のプライバシーポリシーとデータの扱いに従います。FastmailはAIクライアント側の保存や処理を制御できません。
Fastmailのヘルプは、職業や地域によっては、第三者のAIクライアントにメールをつなぐことが法務・コンプライアンス上の問題になりうると注意しています。健康情報、法的なやり取り、他人の個人情報などを含むメールがある場合は、接続の前に専門家の助言を得るよう勧めています。
コネクタ全般の考え方はClaudeコネクタの使い方ガイドにまとめています。
よくあるつまずき
添付ファイルが読めない
MCPでは添付ファイルを扱えません。本文は読めても、PDFの中身を要約させることはできません。
2つ目のFastmailアカウントを追加できない
Claudeは複数のFastmailアカウントの追加に対応していません。Fastmailのヘルプによれば、ChatGPTなど他のAIクライアントでは対応している場合があります。
頼んだ操作が実行されない
Fastmail側で選んだ権限と、Claude側のTool permissionsのどちらかが狭ければ、そちらが効きます。片方だけ見て原因を探すと時間がかかります。両方を確認します。
まとめ
Fastmailコネクタは、メール・予定・連絡先・メモの4領域を会話で扱えるようにします。ツールは書き込みだけでなく削除にも届くので、権限を絞る設計が先に来ます。
Fastmail側では読み取り・書き込み・送信の3段階から選び、Claude側ではTool permissionsで承認制やブロックを重ねます。この2層で、任せる範囲を決められます。最初は読み取りだけで始め、動作を確かめてから書き込みを足す順序が扱いやすいでしょう。