Claudeで持続化補助金の申請書を飲食店向けに下書きする手順
持続化補助金の経営計画書を飲食店の売上・客数メモから下書きし、審査の観点と加点項目に照らして点検する手順です。Claudeに任せる範囲と任せない範囲も整理しました。
持続化補助金(小規模事業者向け)の申請書は、公募要領の「審査の観点」と自店の数字を1本の筋でつなげた人が強い書類です。Claudeは、その筋立ての下書きと、観点ごとの抜け漏れ点検に向いています。
一方で、事業計画の中身を考えるのは店主自身です。公募要領は、事業者自らが検討したとは読めない記載があれば、評価にかかわらず不採択や交付決定取消になると明記しています。この記事では、飲食店がClaudeに何を渡し、何を頼み、何を自分で決めるかを手順にします。
Claudeに任せる範囲と、店主が決める範囲
任せやすいのは、次の3つです。
- バラバラのメモを、経営計画書の見出し順に並べ替える
- 下書きが審査の観点のどれに答えているかを表にする
- 見積書の品目が補助対象経費の区分に収まるかを一覧にする
店主が決めるのは、どの顧客層に売るか、何を変えるか、いくら投じるかです。ここが空のまま「申請書を書いて」と頼むと、もっともらしい一般論の文章ができあがります。
公募要領は、第三者の支援を受けたのに様式2の確認事項へ相手方と金額を書かないと、虚偽の報告として不採択・交付決定取消になると定めています。Claudeに下書きを手伝わせること自体を禁じる記述は、公募要領の本文には見当たりません。ただ、計画の考え方が自分の言葉で説明できない状態で出すのは避けてください。
公募要領で先に押さえる数字(第20回)
第20回の公募要領(第8版)から、飲食店の下書きに直接効く数字を拾います。
第20回公募の骨格
補助上限
50万円
特例で上乗せあり
補助率
2/3
賃金引上げ特例の赤字事業者は3/4
申請締切
12/15 17:00
2026年12月15日
様式4の発行受付締切
12/4
以降はいかなる理由でも不可
申請受付は2026年11月5日に始まります。申請は電子申請システムのみで、郵送は受け付けません。商工会議所地区では、商工会議所から事業支援計画書(様式4)の発行を受けてPDFをアップロードするまで、申請を完了できません。
飲食店が見落としやすいのは次の2点です。
- 小規模事業者の条件は従業員数で決まります。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は常時使用する従業員が5人以下で、パートの扱いや役員・同居の親族が含まれない点は公募要領の定義に従います。飲食業がどの区分に当たるかは、公募要領が案内する別紙の参考資料で確認してください
- 補助金は後払いで、自己負担が先に発生します。交付決定日より前に発注・支払った経費は対象になりません
Projectsに入れる資料と指示文
資料はClaudeのProjectsにまとめると、会話をまたいで同じ前提を使えます。Projectsは、書類やテキストをナレッジに置き、プロジェクト指示で口調や立場を固定できる仕組みです。無料プランでは作れるプロジェクトが最大5つ、有料プランではナレッジが増えるとRAGで容量が最大10倍に広がります。
入れる資料は、次の4点が目安です。
- 第20回の公募要領PDF(審査の観点と補助対象経費の章を含む)
- 直近12か月ほどの月別売上と客数のメモ
- 看板メニューの原価率・客単価・来店理由(口コミやアンケートの抜粋)
- 導入したい設備や販促の見積書
売上や客数は、帳簿から抜いた数字をそのまま貼ります。Claudeに推計させず、メモにない数字は空欄のまま渡すのがコツです。
プロジェクト指示には、役割と禁止事項を書いておきます。
あなたは持続化補助金の申請書づくりを手伝う壁打ち役です。
- 事実はプロジェクトの資料にある数字だけを使い、無い数字は「未入力」と書く
- 売上や客数の将来値を、根拠のない数字で埋めない
- 審査の観点(公募要領の審査の観点の章)のどれに答えている文かを、
段落ごとに明示する
- 加点項目は、私が選んだものだけを扱うなお、Anthropicのヘルプには、新しいバージョンのProjectsがベータで順次展開されているとの案内があります。画面の名称や構成が手元と違うときは、この展開の途中かもしれません。
審査の観点4つに、飲食店の素材を対応させる
公募要領の計画審査は4つの観点です。それぞれに、飲食店で用意する素材を対応させました。
| 審査の観点 | 問われていること | 飲食店で渡す素材 |
|---|---|---|
| 経営状況分析の妥当性 | 問われていること製品・サービスと強み・弱みを把握しているか | 飲食店で渡す素材月別売上、客数、客単価、競合店の状況 |
| 経営方針・目標とプランの適切性 | 問われていること商圏と顧客ニーズを捉え、売上高・売上総利益の増加を目指すか | 飲食店で渡す素材来店客の属性、商圏の変化、狙う客層 |
| 補助事業計画の有効性 | 問われていること客観的事実に基づく目標か、実現可能か、デジタル活用はあるか | 飲食店で渡す素材席数と回転数の試算、予約・EC・SNSの運用計画 |
| 積算の透明・適切性 | 問われていること事業費が正確で、真に必要な金額か | 飲食店で渡す素材見積書、相見積、品目ごとの用途 |
最初の依頼は、数字の棚卸しから始めます。いきなり文章を書かせません。
資料の売上・客数メモから、次の表を作ってください。
- 月別の売上、客数、客単価
- 前年同月比で動きが大きい月と、メモから読み取れる理由
- メモに無くて、分析に必要な数字の一覧
出力は表と箇条書きだけにして、文章は書かないでください。「メモに無い数字の一覧」が返ってきたら、そこが店主の宿題です。ランチとディナーの客数が分かれていない、テイクアウトの売上が別管理になっている、といった穴がここで見つかります。
経営計画書の下書きを、観点の順に作る
数字が揃ったら、観点ごとに段落を書かせます。1度に全部ではなく、観点ごとに分けて依頼すると、各段落の根拠を確かめやすくなります。
審査の観点「経営方針・目標と今後のプランの適切性」に答える段落を
下書きしてください。
- 狙う客層は「平日夜の近隣勤務者」で、これは私が決めた方針です
- 根拠にしてよい数字は、先ほどの表にあるものだけです
- 売上高・売上総利益がどう増えるかの筋道を、3文以内で書いてください
- 数字の根拠が弱い文には、文末に[要確認]を付けてください「方針は私が決めた」と明示するのが要点です。Claudeが客層を提案する使い方もありえますが、その場合も採否は店主が決め、採ったものを自分の言葉に直します。
下書きは電子申請システムの経営計画・補助事業計画の入力欄へ貼る前提で、字数と改行を整えさせると手戻りが減ります。入力欄の字数上限は、申請システムの操作手引きで確かめてから指示文に書き込んでください。
補助事業計画と経費を点検する
補助事業計画の段落ができたら、次は経費です。見積書の品目を並べ、公募要領の経費区分に当てはめさせます。
添付の見積書3枚の品目を、次の表にしてください。
列: 品目 / 金額(税込) / 公募要領の経費区分 / 区分の根拠となる条文の位置
区分は、機械装置等費・広報費・ウェブサイト関連費・展示会等出展費・
旅費・新商品開発費・借料・委託外注費のいずれか。
判断できない品目は「判断保留」とし、理由を書いてください。飲食店で確認したい経費の論点は、公募要領から次のように拾えます。
- 広報費は上限30万円で、広報費だけの申請はできません。チラシ、新聞・雑誌広告、看板の作成・設置、SNS広告は例に挙がり、名刺や、商品・サービスの宣伝を目的としない会社案内は対象外です
- ウェブサイト関連費も上限30万円です。予約システムやEC、顧客管理システムの構築は対象例で、これも単独では申請できません
- 新商品開発費は、試作品の原材料なども含みます。ただし数量はサンプルとして必要最小限にとどめ、補助事業の終了時までに使い切ることが条件で、受払簿を作る必要があります
- 茶菓、飲食、奢侈、娯楽、接待の費用は対象外です。試食会のような企画を入れるときは、費目をどこに置くかを先に確認します
- 50万円(税込)超の機械装置等には、2者以上の見積が必要です。単価50万円(税抜)以上の機械装置等とウェブサイトは、処分制限財産になります
テラス席の増設を考えている店では、公募要領の注記が参考になります。支柱と屋根材だけの戸外テラス席は、不動産の取得に当たる3要件のうち外気分断性を満たさないため、不動産の取得には該当しないと書かれています。ただし、これだけで補助対象と決まるわけではありません。計画に載せる前に、商工会議所で確認してください。
加点項目と書類の対応を点検する
加点審査は、重点政策加点と政策加点からそれぞれ1種類、合計2種類まで選べます。2種類を超えて選ぶと、加点審査の対象になりません。
飲食店でよく検討されそうなのは、政策加点の賃金引上げ加点と、地方創生型加点(地域資源型・地域コミュニティ型)です。賃金引上げ加点は、2027年4月1日から2028年3月31日までの1人あたり給与支給総額が年平均2.0%以上増える目標を、自分で設定して表明する形です。実績報告の時点で達成できないと、補助金は交付されません。
私が選んだ加点は「賃金引上げ加点」の1つだけです。
公募要領の該当箇所を根拠に、次を表にしてください。
- 満たすべき要件
- 申請時に必要な書類・手続き
- 補助事業の終了時点までに満たす必要がある条件
- 達成できなかった場合の扱い
私の資料(パート含む給与台帳のメモ)から、要件と照らして
足りない情報があれば列挙してください。加点の選択と必要書類は、要件の落とし穴が大きい部分です。Claudeには「要件の洗い出し」までを頼み、満たすかどうかの判断は商工会議所の面談で確かめます。
つまずきやすい点
落とし穴
資料にない数字をClaudeが補ってしまう
プロジェクト指示で「無い数字は未入力と書く」と固定していても、会話が長くなると推計値が混ざることがあります。下書きの数字は、必ず元のメモと突き合わせます。審査は提出資料だけで行われ、ヒアリングはありません。数字の食い違いを口頭で説明する機会は無い、という前提で点検します。
落とし穴
過去に採択された店の文面を流用する
過去の持続化補助金で補助事業を実施した事業者は、前回と異なる事業であることを様式2に書く必要があります。同じ事業と見受けられると不採択になり、採択後に判明しても取り消されます。他店や自店の過去の文面をClaudeに渡して「同じ調子で」と頼むときは、事業内容まで似ていないかを確かめます。
次の3点は、Claudeに頼めません。
- 事業支援計画書(様式4)の発行依頼。締切は2026年12月4日です
- GビズIDの取得と、電子申請システムでの提出操作
- 補助対象者の要件に合うかどうかの最終判断。要件に合わないと判断されると、様式4も発行されません
まとめ
Claudeの役目は、店主の方針と数字を審査の観点の順に並べ、抜けを見つけることです。計画の中身は店主が決め、数字はメモに戻って確かめ、要件の最終判断は商工会議所で受けます。
採択後の経理や実績報告の段階は、補助金の実績報告と領収書の突合で扱っています。事業計画書を審査項目に沿って点検する同じ型の手順は、ものづくり補助金の事業計画書の点検にもあります。開業まわりの許認可の下書きは飲食店の営業許可申請書と施設基準の点検が参考になります。