Claudeで塾の入塾面談から学習計画案を作る — 体験授業後のフォロー文まで
入塾面談のヒアリングメモから、課題・目標・週あたり学習時間を整理して学習計画案にし、体験授業後に保護者へ送るフォロー文を下書きするProjectsの組み方です。
入塾面談のあとに残るのは、走り書きのメモです。ここから「何が課題で、何を目標にして、週に何時間やるのか」を一枚の計画案にし、体験授業のあとに保護者へ送る文面まで整える作業は、毎回ほぼ同じ型になります。この型をClaudeのProjectsに持たせておけば、面談メモを貼るだけで学習計画案とフォロー文の下書きが出てきます。
組み方の要点は3つです。塾の方針とコース表をProjectの知識に置くこと、出力の型をプロジェクト指示に書くこと、面談メモは家庭ごとに別のチャットへ貼ることです。
入塾面談から下書きまでの流れ
- 1
Projectを作る
塾の方針・コース表・計画案の型を知識に置き、指示を書きます。
- 2
面談メモを匿名化して貼る
氏名は仮の呼称にして、1家庭につき1チャットを使います。
- 3
学習計画案を出させる
課題・目標・週あたりの学習時間を表で出し、時間の合計を検算します。
- 4
体験授業後のフォロー文を作る
体験授業の所見メモを足し、保護者向けの文面を下書きします。
Projectの名前と説明はClaudeに見えない
Projectを作るには、左側の「Projects」から「+ New Project」を選び、名前と説明を付けます。サポート記事には、この名前と説明にClaudeはアクセスできないと書かれています。「入塾面談用」と名前を付けただけでは、Claudeは用途を知りません。
用途を伝える場所は、2つあります。
- プロジェクト指示: 「Set project instructions」から書き、そのProject内の全チャットに効く
- プロジェクトの知識: 右側の知識ベースに文書をアップロードし、全チャットで参照される
Freeプランでも使えますが、作れるProjectは5つまでです。知識が文脈の上限に近づくと、有料プランではRAGモードに自動で切り替わり、容量が最大10倍に広がります。コース表と方針の資料が数ページ程度なら、この上限を意識する場面はまずありません。RAGの挙動はClaude ProjectsのRAG検索の仕組みにまとめています。
なお、Claude Codeを使う一部のProとMaxの利用者には、プロジェクトが「1つの会話がスレッドを束ねる」新方式として先行提供されています。サポート記事によれば、チャットとCoworkの既存のProjectは従来どおり動きます。本記事は従来のProjectsを前提にしています。新方式はClaude CodeのProjectsが刷新で扱っています。
知識に置くのは塾の共通資料だけ、面談メモは置かない
ここが一番の分かれ目です。サポート記事には、知識ベースにアップロードしたものは、そのProjectのすべてのチャットで使われると書かれています。さらに、Project内でも、情報を知識ベースに入れない限り、チャット間で文脈は共有されません。
この2つを合わせると、運用の線引きが決まります。
| 置き場所 | 入れるもの | 理由 |
|---|---|---|
| プロジェクトの知識 | 入れるものコース表、料金以外の指導方針、学習計画案の見本、過去のフォロー文(個人情報を除いたもの) | 理由どの家庭の相談でも共通して使う |
| プロジェクト指示 | 入れるもの出力の型、文体、書いてはいけないこと | 理由毎回の依頼文を短くするため |
| 各チャット | 入れるものその家庭の面談メモと体験授業の所見 | 理由別の家庭に混ざらないようにする |
面談メモを知識に入れると、次に別の家庭の相談を始めたときも、前の家庭の情報が参照される状態になります。1家庭につき1チャットを立て、メモはそのチャットにだけ貼ります。過去のフォロー文を見本として知識に置くなら、氏名・学校名・成績の数字を消した形に直してからにします。
プロジェクト指示に書く内容
指示には、型と禁止事項を書きます。次の文面は、そのまま貼って塾に合わせて直せる叩き台です。
あなたは学習塾の入塾面談を補助する事務担当です。
入力されるのは、入塾面談の聞き取りメモです。
# 学習計画案
次の順で出力する。
1. 現状の課題(メモに書かれた事実だけ。推測は「要確認」と明記)
2. 目標(本人・保護者の言葉を優先し、期限を付ける)
3. 週あたりの学習時間の配分表(塾の授業・自宅学習に分ける)
4. 初回面談で足りなかった確認事項
# 週あたりの学習時間
合計は分単位で計算式を併記する。
コース表にない授業回数は提案しない。
# 書かないこと
- 合格や成績向上の保証、確約
- 他塾や他の生徒との比較
- メモに書かれていない家庭事情の推測「コース表にない授業回数は提案しない」は、知識に置いたコース表と組み合わせて効く一行です。Claudeがコース表を読んで、実在する枠の中で計画を組みます。
面談メモは氏名を外して貼る
入塾面談のメモには、氏名、学校名、成績、部活、家庭の事情が混ざりやすくなります。Claudeに渡す前に、次のように整えます。
- 氏名は「生徒A」「保護者」のような仮の呼称にする
- 学校名・住所・連絡先は削る(学年と地域区分だけ残す)
- 成績は「英語は平均より下」のような幅で書き、必要なら点数だけ残す
- 家庭の事情は、計画に必要な部分(通塾できる曜日、送迎の事情など)に絞る
渡す前の確認事項は、塾の契約形態や使っているプランで変わります。学習への利用設定はClaudeを学習させない設定、一次資料の探し方はClaudeに個人情報を入力する前に確認する一次資料はどれかに整理しています。仮名や記号に置き換えた情報が法律上どう扱われるかは、仮名加工情報と匿名加工情報をClaudeに渡す前の加工を参照してください。
面談の聞き取りを構造化する考え方は、法律相談の初回相談のヒアリング内容を受任前チェックに整理する手順とほぼ同じです。違うのは、塾では出力が「受けるかどうか」の判断ではなく、計画案と保護者への文面になる点です。
学習計画案を出させる
家庭ごとにチャットを開き、匿名化した面談メモを貼ります。次は、架空のメモの例です。
【入塾面談メモ(架空の例)】
学年: 中2 / 生徒A
本人の希望: 英語で苦手意識をなくしたい。数学は今のままでよい
保護者の希望: 定期テストで英語を平均点まで戻したい。部活は続ける
現状: 英語は単語が覚えきれず、長文で時間が足りない
生活: 部活は週5日(月〜金)、帰宅は19時ごろ。土日のどちらかは試合
通塾可能: 火・木の19:30以降
次回定期テストまで: 約6週間Claudeには、このメモのあとに次の一文を添えます。
上の面談メモから学習計画案を作ってください。
週あたりの学習時間は、塾の授業と自宅学習に分けて表にしてください。例えば次のような形で返ってきます(指示とコース表に沿った例です)。
| 区分 | 曜日 | 内容 | 時間 |
|---|---|---|---|
| 塾 | 曜日火 | 内容英語(単語の定着と音読) | 時間90分 |
| 塾 | 曜日木 | 内容英語(長文の時間配分) | 時間90分 |
| 自宅 | 曜日月・水・金 | 内容英単語の確認 | 時間各30分 |
| 自宅 | 曜日土 | 内容長文1題を時間を計って解く | 時間60分 |
| 自宅 | 曜日日 | 内容間違えた箇所の見直し | 時間60分 |
合計は、塾が90分×2=180分、自宅が30分×3+60分+60分=210分で、計390分(6時間30分)です。
計画案を保護者に出す前に確かめること
返ってきた計画案は下書きです。保護者に出す前に、人が確認する点があります。
- 時間の合計: 分単位の計算式が併記されているので、足し算を自分で追う。表の行と合計がずれていたら、計算式の行を指して直させる
- メモにない事実: 「課題」の欄に、メモに書いていない事柄が入っていないか。指示で「推測は要確認と明記」としておくと、見分けやすい
- コース表との一致: 提案された授業回数や曜日が、実際に開講している枠か
- 実現できるか: 部活の試合と重なる週末、定期テスト前の変更を、講師の目で見る
「初回面談で足りなかった確認事項」の欄は、次の連絡の質問リストとして使えます。例えば、試合の予定、宿題にかけられる時間、送迎の可否などです。
体験授業のあとにフォロー文を作る
体験授業が終わったら、同じチャットに講師の所見を足します。入塾面談の文脈と計画案が同じチャットに残っているので、メモを貼り直す必要はありません。
【体験授業の所見(架空の例)】
- 単語テストは10問中6問正解。つまずきは綴りの書き間違い
- 音読は最初ためらったが、2回目で最後まで読めた
- 本人は「長文は思ったより読めた」と話していた
この所見をもとに、保護者へ送るフォロー文を作ってください。
- 300字前後、ですます調
- 良かった点を1つ、次回までの課題を1つ
- 入塾の判断を急かす表現は使わない
- 計画案の週あたり学習時間に触れるフォロー文の見本を知識に置いておくと、塾の文面の癖が反映されます。見本は2〜3通あれば足ります。
出てきた文面は、次の観点で読みます。
- 所見にない成果を足していないか(「大きく伸びました」などの断定)
- 入塾を急かす表現や、成績向上の約束が紛れていないか
- 保護者への呼びかけと、塾名・担当者名が正しいか(ここは手で差し込む)
講師で共有する
TeamまたはEnterpriseプランなら、Projectを組織のメンバーに共有できます。「Share project」から、メンバーを名前かメールアドレスで追加します。権限は2段階で、「Can view」は内容を見てチャットできるが編集はできず、「Can edit」は指示と知識を変更できます。
塾では、教室長が「Can edit」、講師が「Can view」という分け方が考えられます。共有するのは指示・コース表・見本という共通部分です。家庭ごとのチャットを共有するかどうかは、塾の個人情報の取扱い規程に合わせて決めます。管理者が共有を無効にしている組織では、共有の操作そのものが使えません。
つまずきやすい点
チャットごとに別の計画になる: 指示とコース表が同じでも、チャットが違えば出力は少しずつ変わります。計画案の見本を知識に置き、項目の順番を指示で固定すると、ぶれが小さくなります。
別の家庭の話が混ざる: 面談メモを知識に置いたか、同じチャットで複数の家庭を続けた可能性があります。メモは知識に置かず、1家庭につき1チャットに分けます。
前の相談を覚えていない: 別のチャットを開くと、そこでの内容は引き継がれません。残したい内容(確定した週あたりの学習時間など)は、次のチャットの冒頭に貼り直します。
計画案が理想論になる: メモに生活の制約を書いていないと、Claudeは余裕のある計画を組みます。部活、通塾できる曜日、試合の予定をメモに入れます。
模試の成績を面談資料にまとめる手順はClaudeで塾の模試を成績分析して面談資料にする手順、在籍後の三者面談の準備は三者面談の準備をClaudeで進める、授業教材の作成は塾講師・家庭教師の教材作成にClaudeを使う方法にあります。
まとめ
入塾面談の下書き作業は、Projectの知識に塾の共通資料を、各チャットに家庭ごとの情報を置く分担で回ります。Claudeが出すのは計画案とフォロー文の下書きで、時間の合計の検算、メモにない事実の混入の確認、保護者に何を約束するかの判断は、教室の担当者の仕事として残ります。