塾講師・家庭教師の教材作成にClaudeを使う方法
塾講師や家庭教師が既存の教材PDFをClaudeに読み込ませて類題を作る手順です。アップロードの上限とProjectsでの管理、生成後の正誤確認の要点をまとめます。
塾講師や家庭教師が生徒ごとに似た問題を何問も手作りするのは、地味に時間を食う作業です。Claudeに既存の教材PDFを渡せば、同じ形式・同じ難易度の類題を数分でまとめて作らせられます。ここでは教材の渡し方から類題の生成、配布用ファイルへの整形、そして生成後に必ず要る正誤確認までを順に説明します。
アップロード前に確認しておくこと
Claudeにアップロードできる教材の形式は決まっています。文書はPDF・DOCX・CSV・TXT・HTML・ODT・RTF・EPUB・JSONに対応し、表計算のXLSXも扱えます。ただしXLSXは、アカウント設定で「コード実行とファイル作成」を有効にしていないとアップロードできません。
画像はJPEG・PNG・GIF・WebPに対応しています。プリントを手元でスキャンできない場合、スマートフォンで撮影した写真をそのまま渡す使い方もできます。画像を渡すときは1000×1000ピクセル以上の解像度を目安にします。解像度が低いと、手書きの数式や小さな注釈をClaudeが読み違えやすくなります。
教材の渡し方は2通りです。1つはチャットへの直接添付、もう1つはプロジェクトのファイルとして登録する方法です。1回だけ類題を作るならチャットへの添付で十分ですが、同じ教材を何度も使い回すならプロジェクトに入れておくと会話をまたいで参照できます。プロジェクトの使い方は後の節でまとめます。
手順1: 教材PDFをアップロードする
Claudeのチャット画面で、入力欄左下の「+」ボタンをクリックします。表示されたメニューから「ファイルや写真を追加」を選び、パソコン内の教材ファイルを選んで「開く」をクリックすれば添付できます。ファイルをチャット画面へ直接ドラッグ&ドロップしても構いません。手元でスキャンした画像はクリップボードにコピーしてそのまま貼り付けることもできます。
1回のチャットに添付できるのは最大20ファイルで、1ファイルあたりのサイズ上限は500MBです。画像は8000×8000ピクセルまで、PDFは1000ページまでという上限もあります。1000ページを超えるPDFを添付しようとすると、「Uploaded file is too large」というエラーが表示されて受け付けられません。過去問集や参考書をまるごと渡すと数百ページになることもあるので、上限に収まっているかは事前に確認します。
添付できるかどうかとは別に、PDFの処理にも範囲があります。100ページ以下のPDFはClaudeが本文と図表の両方を読み取りますが、101〜1000ページのPDFは本文のみが解析対象になり、図やグラフは読み取られません。図や表を含む単元のプリントを渡すときは、対象ページを100ページ以内に絞ると図表まで踏まえた類題を作らせやすくなります。
手順2: 類題を作らせるプロンプトの書き方
依頼するときは、教材のどの部分を基にするか、何問作るか、難易度をどう変えるかを1文で具体的に指定します。曖昧な依頼だと、元の教材から外れた設問や、レベル感がずれた類題が返ってくることがあります。
添付した教材:
math-worksheet-p12.pdf(中学2年 一次関数の応用問題、12ページ目のみ)
このプリントの12ページにある大問3と同じ形式・同じ難易度の類題を5問作ってください。
数値やシチュエーションは変え、途中式を省略しない解答も添えてください。
生徒が自分で答え合わせできるよう、大問ごとに解答を分けて出力してください。ページを指定するときは、教材に印刷されたページ番号ではなく、PDFビューアーが表示するページ番号を使います。教科書などは本文の印刷ページ番号と実際のPDFファイルのページ順がずれることがあるためです。
手順3: 生成した類題を配布用のファイルに整える
生成した類題がある程度の量になると、Claudeは会話の右側にドキュメントとして表示します。これがArtifactsという機能で、Markdown文書やコードなど、会話の外に持ち出して使いたいまとまった内容を独立した画面に表示する仕組みです。目安は15行を超える、自己完結した内容です。1〜2問だけの短い類題はチャットの本文にそのまま返り、Artifactsにはなりません。
Artifactsの中身はそのままコピーしたり、ファイルとしてダウンロードしたりできます。類題や解答をWordやPDFの配布物にしたい場合は、Artifactsからダウンロードしてから体裁を整えると手早く済みます。
Artifactsを使うには、設定の「Capabilities」で「コード実行とファイル作成」をあらかじめ有効にしておく必要があります。個人のFree・Pro・Maxプランは自分の設定から、Team・Enterpriseプランは組織の管理者が組織設定側で有効にします。この設定がオフのままだと、類題を作らせてもファイルとして書き出せません。
教材をまとめて管理するならProjectsを使う
1教材だけでなく、担当する複数の生徒や単元ごとに教材を整理したい場合は、Projectsという機能があります。Projectsはチャット履歴とアップロードした知識をひとまとめにした専用の作業スペースで、無料プランでも最大5つまで作成できます。
教材PDFをプロジェクトのナレッジベースに入れておけば、そのプロジェクト内のどの会話からも同じ教材を参照できます。生徒別・単元別にプロジェクトを分けておくと、次の類題を頼むときに毎回ファイルを添付し直す手間がなくなります。
プロジェクトのファイル上限は、チャットへの添付とは別に設定されています。1ファイルあたり30MBまでで、ファイルの数自体には上限がありませんが、合計の内容量はClaudeが一度に処理できる範囲に収まる必要があります。また、複数ページのPDF以外はテキストのみが抽出される点もチャット添付と共通です。抽出したテキストの総量が多いと、教材の長さに応じて追加のトークン上限がかかることもあります。年間分の教材を1つのプロジェクトに集約する前に、これらの制限は覚えておきます。
複数の講師が同じ塾で教材を作っている場合、Team・Enterpriseプランではプロジェクトを組織内の他の講師と共有できます。閲覧のみの権限と編集も可能な権限を分けられるので、教材そのものを触らせたくない相手には閲覧権限だけを渡す運用もできます。
有料プランでは、プロジェクトに入れた教材の量が増えても、RAG(検索拡張生成)という仕組みで処理量を自動的に最大10倍まで拡張します。参考書を何冊も読み込ませて、1年分の教材を1つのプロジェクトにまとめておく使い方もできます。Projectsの容量上限や共有設定など、より詳しい使い方はClaude Projects完全ガイドにまとめています。
教材の状態別に見る使い分け早見表
渡す教材の状態によって、Claudeの読み取り精度は変わります。アップロード前に次の目安で確認しておくと、類題の作り直しを避けられます。
| 教材の状態 | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| PDF・DOCXの教材(100ページ以内) | おすすめ度◎ | 理由本文と図表の両方をClaudeが読み取れる |
| スマホで撮影した手書きプリント | おすすめ度○ | 理由1000×1000ピクセル以上で撮影すれば読み取れる。低解像度だと数式を読み違えやすい |
| 101〜1000ページの参考書全体 | おすすめ度△ | 理由本文のみが解析対象になり、図表は読み取られない |
| 1000ページを超える教材集 | おすすめ度✕ | 理由そもそもアップロードできない |
手書きの過去問やノートを、そのままLaTeX形式の教材に変換したい場合は、Claudeで手書きノートをLaTeX教材に変換する方法で具体的な手順を扱っています。生徒の学力差に応じてレベル別の教材を作りたい場合は、Claudeで教科書を読解レベル別の教材に変換する手順も参考になります。
よくあるつまずき
教材をWordファイル(DOCX)のまま渡すと、本文のテキストは読み取れますが、ファイル内に埋め込まれた図やイラストは読み取られません。図を使った設問の類題を作りたいときは、PDFのまま渡すか、図の部分だけを画像として別途添付します。
1回のチャットで20ファイルや500MBの上限に達すると、それ以上は添付できません。単元をまるごと処理したい場合は、チャットへの都度添付ではなく、Projectsのナレッジベースにまとめて入れておく方法に切り替えます。チャット・Projects・APIそれぞれのファイル上限の違いは、Claudeファイル上限の一覧で詳しく比較しています。
教材集そのものが大きすぎて処理が不安定になることもあります。公式サポートは、大きなファイルは小さな単位に分けてから渡すことを勧めています。学年をまるごと1冊で渡すのではなく、単元や章ごとに分割してアップロードすると、上限に引っかかりにくくなります。
生成した類題は配布前に確認する
Claudeは、教材本文にない情報を作り出してしまうことがあります。公式サポートはこれを「ハルシネーション」と呼び、Claudeを唯一の正解源として扱わず内容を精査するよう案内しています。
類題生成でも同じことが起こります。数値を変えた類題を作らせたときに、計算結果や解説の一部が元の教材の解法と食い違う出力が混じることがあります。生徒に配る前に、正解と解説を教材の原本または自分の知識で照合する作業が欠かせません。
まとめ
塾講師や家庭教師が教材の類題を作る場合、教材のアップロードから類題生成、Artifactsでの整形、Projectsでの管理までの流れを覚えておくと、教材づくりの反復作業を減らせます。ファイル形式や100ページ・1000ページの上限、そして生成物の正誤確認という3点を押さえておけば、日々の教材準備に組み込みやすくなります。類題を量産する手間は減っても、内容の最終チェックという教える側の役割は残ります。