塾講師・家庭教師の教材作成にClaudeを使う方法
塾講師や家庭教師が教材PDFをClaudeに渡して類題を作る手順です。読み取れないPDFの見分け方、生徒の情報を含む教材の扱い、配布前の正誤確認までを扱います。
塾講師や家庭教師が生徒ごとに似た問題を何問も手作りするのは、地味に時間を食う作業です。既存の教材PDFをClaudeに渡せば、同じ形式・同じ難易度の類題をまとめて作らせられます。ただし、渡した教材が全部読み取られているとは限りません。ここでは類題づくりの流れと、読み取りが欠けるケース、生徒の情報を含む教材の扱い、配布前の正誤確認までを扱います。
教材PDFから配布物までの流れ
- 1
教材を渡す
チャットに添付するか、プロジェクトのファイルとして登録します。
- 2
類題を作らせる
基にするページ、問数、難易度の変え方を指定して依頼します。
- 3
配布用のファイルにする
WordやPDFとして書き出させ、ダウンロードします。
- 4
配布前に照合する
解答と解説を原本や自分の知識と突き合わせます。
1回きりか使い回しか: 教材の渡し方を選ぶ
渡し方は2通りです。1つはチャットへの直接添付、もう1つはプロジェクトのファイルとして登録する方法です。
チャット添付とプロジェクトのファイル
チャットに添付
1ファイル500MBまで、1チャット20ファイルまで。PDFは1000ページまで受け付けます。画像は8000×8000ピクセルまでです。
プロジェクトに登録
1ファイル30MBまでで、ファイル数に上限はありません。ただし内容の合計はClaudeのコンテキストウィンドウに収まる必要があります。
チャットのほうが大きなファイルを受け付けるので、スキャンした過去問集のようにサイズの大きいPDFは、30MBを超えるとプロジェクトに入れられません。その場合は章ごとに分割してから登録します。
手順1: 教材をアップロードする
チャット画面の入力欄左下にある「+」ボタンから「ファイルや写真を追加」を選び、教材ファイルを選んで「開く」をクリックします。ファイルのドラッグ&ドロップ、クリップボードからの画像の貼り付けでも添付できます。
対応する文書形式はPDF・DOCX・CSV・TXT・HTML・ODT・RTF・EPUB・JSON・XLSXです。XLSXだけは、アカウントで「コード実行とファイル作成」を有効にしていないとアップロードできません。画像はJPEG・PNG・GIF・WebPに対応し、1000×1000ピクセル以上が推奨されています。
教材が読み取られていないときの切り分け
アップロードできたことと、中身を読み取れていることは別です。同じ教材でも、形式とページ数で読み取れる範囲が変わります。
ページ数と形式で変わる読み取りの範囲
PDFが100ページ以下
本文と、図・グラフなどの視覚要素の両方を解析します。図を使う設問の類題はこの範囲に収めると作らせやすくなります。
PDFが101〜1000ページ
本文だけを処理し、図やグラフは解析しません。図形問題や関数のグラフを含む単元は、100ページ以内に切り出して渡します。
PDFが1000ページ超
アップロードできず、「Uploaded file is too large」というエラーが出ます。
PDF以外の文書(DOCXなど)
本文のテキストだけを抽出し、埋め込まれた画像は読み取れません。図入りの設問はPDFにして渡すか、図だけ画像で別に添付します。
プロジェクトに登録した場合は、マルチモーダルPDF以外はテキストのみが抽出されます。抽出したテキストが長いときは、追加のトークン上限がかかることもあります。
プロジェクトの知識が増えてRAGに切り替わると、Claudeはプロジェクト知識検索ツールで関連する部分だけを取り出して答えます。切り替わったことは画面の表示で分かります。教材が多いプロジェクトでは、依頼の中でファイル名を挙げて文書を指定すると、Claudeが検索する範囲を絞れます。
ファイル名は「中2_一次関数_問題集.pdf」のように、学年と単元が分かる付け方にしておきます。名前の分かりやすいファイルは、Claudeが必要な情報を見つけて取り出しやすくなります。プロジェクトの知識が減ってコンテキストウィンドウの閾値を下回れば、RAGからコンテキスト方式の処理へ自動で戻ることもあります。
大きな教材は、単元や章ごとの小さなファイルに分けて渡すのが公式の勧めです。学年1冊のPDFを1本で渡すより、上限にも、100ページの境目にも収まりやすくなります。
ページを指定して依頼するときは、教材に印刷されたページ番号ではなく、PDFビューアーが表示するページ番号を使います。教科書のように前付けが挟まる教材では、2つがずれます。
手順2: 類題を作らせるプロンプトを書く
教材のどの部分を基にするか、何問作るか、難易度をどう変えるかを具体的に書きます。解答の出し方も同じ依頼の中で指定しておくと、後から作り直す回数が減ります。
添付した教材:
math-worksheet-p12.pdf(中学2年 一次関数の応用問題、12ページ目のみ)
このプリントの12ページにある大問3と同じ形式・同じ難易度の類題を5問作ってください。
数値やシチュエーションは変え、途中式を省略しない解答も添えてください。
生徒が自分で答え合わせできるよう、大問ごとに解答を分けて出力してください。手順3: 配布用のWordやPDFに書き出す
「コード実行とファイル作成」が有効なら、Excel・PowerPoint・Word・PDFのファイルをClaudeに作らせて、会話からそのままダウンロードできます。「類題だけのWordファイルと、解答だけのWordファイルを作ってください」のように依頼すれば、生徒用と講師用を分けて受け取れます。
自己完結した15行を超える内容は、会話の横にArtifactsとして表示されることもあります。テンプレートから作ったドキュメントは、書き出し(Export)でWord・PDF・Markdown・Googleドキュメントにできます。直したい箇所を選んで「Edit with Claude」から頼めば、節を言葉で指定せずに、その場所だけ書き換えさせられます。
過去問の表を含むPDFを渡して「この表のデータをExcelにまとめて」と頼むような、形式の変換も同じ機能で頼めます。Wordの資料をスライドにする変換も、例として挙がっています。1回のチャットで複数のファイルを扱えて、作ったファイルは会話の間ダウンロードできます。スマートフォンのアプリでも作成でき、「Download」を押すと、システムのプレビューか別のアプリ(.docxならWordアプリ)で開きます。
書き出せないときは、設定の「Capabilities」にある「コード実行とファイル作成」のトグルを見ます。Free・Pro・Maxプランでは、このトグルで切り替えます。ヘルプの冒頭には既定で有効とも書かれていますが、まずトグルがオンか確かめます。Team・Enterpriseプランでは、組織のオーナーが組織設定でオンオフを決めます。Artifactsにも同じ設定が要ります。
類題を何セットも書き出すときは、使用量にも目を向けます。ファイル作成の利用はプランの使用量の上限から差し引かれ、通常のチャットより多く消費します。
Free・Pro・Maxでは、ファイル作成機能で作ったファイルを含む会話は、公開共有ができません。生徒や同僚の講師に渡すときは、共有リンクではなくWordやPDFをダウンロードして渡す運用になります。
生徒の情報が入った教材を渡す前に
答案や成績表、面談メモのように生徒個人が特定できる教材は、渡す前に扱いを決めておきます。
以下は、Free・Pro・Maxなど個人向けプランを対象にしたヘルプ記事の内容です。
Free・Pro・Maxプランでは、モデル改善(Model Improvement)の設定をオンにしていると、チャットがClaudeの改善に使われます。その場合も、会話はユーザーIDから切り離したうえで審査され、機微な情報はフィルターや難読化の対象になります。ただしヘルプ自身が、極めて機微な個人情報の入力には慎重になるよう勧めています。一方、シークレットチャットはその設定がオンでも改善には使われません。ただし、安全性の分類器に引っかかった会話は、安全性の研究に使われることがあります。
Claudeのアカウントは、18歳以上でなければ作成・利用できません。未成年の生徒本人のアカウントでClaudeを使わせる運用は、この条件と両立しません。講師が自分のアカウントで教材を作り、生徒には配布物だけを渡す形になります。
成績の記録や宿題の提出表のようなツールをArtifactsで作らせる場合は、データの保存先にも注意します。保存には、自分だけが見られる個人用と、使う全員が同じデータを見る共有用があります。共有用は、初めて使うときに「データが他の利用者に見える」という確認が表示されます。ヘルプは、機微な情報を入力する前に、そのArtifactが共有用の保存を使っていないか確かめるよう案内しています。保存できるのは1つのArtifactあたり20MBまでの、テキストだけです。
氏名や学校名が不要なら、アップロード前に伏せ字にしておくと、こうした設定を気にせずに済みます。
複数の講師で教材を共有する
同じ塾で複数の講師が教材を作るなら、Team・Enterpriseプランのプロジェクト共有が使えます。閲覧のみの権限と、編集もできる権限を分けられます。教材そのものを触らせたくない相手には、閲覧権限だけを渡す運用もできます。
プロジェクトは無料プランでも最大5つまで作れます。有料プランでは、知識がコンテキストウィンドウの上限に近づくと、RAG(検索拡張生成)に自動で切り替わり、容量が最大10倍まで広がります。参考書を何冊も読み込ませて1年分の教材を1つにまとめておく使い方もできます。プロジェクトの容量や共有設定の詳細はClaude Projects完全ガイドで扱っています。
手書きの過去問やノートをLaTeXの教材にしたいときは、Claudeで手書きノートをLaTeX教材に変換する方法があります。生徒の学力差に合わせたレベル別の教材なら、Claudeで教科書を読解レベル別の教材に変換する手順が近い内容です。チャット・Projects・APIそれぞれのファイル上限はClaudeファイル上限の一覧で比べています。
生成した類題を配布前に照合する
Claudeは、もっともらしく見えて誤っている内容を出すことがあります。ヘルプではこれを「ハルシネーション」と呼び、Claudeを唯一の正解源にせず、重要な助言は精査するよう案内しています。計算については、複雑なものや失敗が許されないものは、専用の数学ソフトか手計算で検証するよう案内されています。
数値を変えた類題は、元の教材に解答が載っていません。新しい数値の解答は、講師が自分で解いた結果と照らして初めて確かめられます。