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住宅瑕疵担保履行法の基準日届出をClaudeで準備する手順 — 戸数集計から基準額まで

住宅瑕疵担保履行法の基準日届出をClaudeで準備する手順 — 戸数集計から基準額まで

新築住宅を引き渡した建設業者・宅建業者が基準日(3月31日)ごとに行う届出の準備を、引渡し台帳の集計から基準額の検算までClaude for Excelで進める手順です。

基準日は3月31日の年1回で、届出はその日から3週間以内

住宅瑕疵担保履行法(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律)は、新築住宅を引き渡した建設業者と宅地建物取引業者(以下、宅建業者)に、資力確保措置を求めています。措置は2つです。保証金を供託するか、住宅瑕疵担保責任保険に入るか。そのうえで、基準日ごとに措置の状況を許可・免許の行政庁へ届け出ます。

基準日は、3条1項が「三月三十一日をいう」と定めています。基準日は3月31日だけで、9月30日などの2回目はありません。台帳の設定シートにも3月31日を入れます。届出の期限は、規則5条(建設業者)と16条(宅建業者)が「基準日から三週間以内」としています。3月31日の3週間後は4月21日です。

あゆみ

基準日からの時間の流れ

  1. 3月31日基準日

    この日を基準に、過去10年間の引渡し戸数を数えます。

  2. 4月21日供託と届出の期限

    基準日から3週間。供託(または保険加入)と届出書の提出をここまでに済ませます。

  3. 基準日の翌日から50日新規契約の締結ができなくなる日

    供託と届出が済んでいないと、50日を経過した日以後は新たな請負契約・売買契約を結べません。

この記事は、届出書に載せる数字を引渡し台帳から作る部分を、Claude for Excelで進める手順です。届出書の様式への記入と提出は、届出先の最新の案内に従って人が行います。

届出の数字は、期間の違う2つの集計から出る

届出に向けた集計は、見た目が似ていて期間が違う2つに分かれます。ここを取り違えると、供託額も一覧表もずれます。

集計対象期間使い道根拠
合計戸数対象期間基準日前10年間の引渡し使い道保証金の基準額を決める根拠3条1項・2項
一覧表対象期間基準日前1年間の引渡し使い道届出書に添付する根拠規則5条2項

10年間の集計は、保険に入っていない住宅だけが対象です。保険証券(または代わる書面・電磁的記録)を発注者に渡した住宅は、基準額の戸数から除かれます。3条2項の括弧書きにある除外です。

一覧表の側は、基準日前1年間に引き渡した新築住宅に関する事項を記載する様式です。規則5条2項は別記第1号の2様式、宅建業者は規則16条2項が別記第7号の2様式を指しています。

建設業者と宅建業者では、条番号がそろって1つずつ別です。取り違えやすいので、並べておきます。

項目建設業者宅建業者
供託・保険の義務建設業者3条宅建業者11条
届出建設業者4条(規則5条)宅建業者12条(規則16条)
新規契約の制限建設業者5条宅建業者13条
届出先建設業者建設業法3条1項の許可をした大臣・知事宅建業者宅建業法3条1項の免許をした大臣・知事
戸数の数え方の政令建設業者施行令2条宅建業者施行令6条

自社が建設業の許可も宅建業の免許も持ち、自ら売主として販売もしているなら、両方の届出が要ります。台帳も請負と売買で分けて持つと、後の集計がずれません。建設リサイクル法のように工事ごとに届出の要否を表へ当てはめる作り方は、建設リサイクル法の届出要否の判定にもあります。

戸数の数え方は、保険と床面積と共同負担の3つで決まる

合計戸数は、台帳の行数をそのまま数えると合いません。条文と施行令が、3つの調整を定めています。

数え方

戸数を調整する3つの規定

  • 保険付きの住宅は除く

    保険契約を結び、保険証券等を発注者に渡した住宅は、基準額の戸数に入れません。

  • 55平方メートル以下は2戸で1戸

    床面積の合計が55平方メートル以下の住宅は、2戸をもって1戸と数えます。3条3項と施行令2条の定めです。

  • 共同負担は割合で按分

    二以上の建設業者が負担割合を書面で交わした請負は、1戸をその割合で按分した戸数で数えます。施行令3条です。

3つめは、共同企業体のように複数の業者が1棟を請け負った場合の規定です。該当する物件が台帳にないなら、無視して構いません。

台帳の列を決めてから、数え方を式にする

Claudeに集計を頼む前に、台帳の列をそろえます。住戸1戸を1行にして、次の列を持たせる形が扱いやすいです。

列内容例
A内容物件名・住戸番号例〇〇邸
B内容引渡日例2024/11/15
C内容住戸の床面積(平方メートル)例52.3
D内容保険の有無(有/無)例無
E内容10年間の対象か例式で判定
F内容基準額に入れる戸数例式で判定
G内容1年間の対象か例式で判定

別シートの「設定」のB1セルに、基準日を日付で入れておきます。次の式は、E列・F列・G列の2行目に入れる想定の一例です。

E2: =AND(B2<=設定!$B$1, B2>EDATE(設定!$B$1,-120))
F2: =IF(AND(E2, D2="無"), IF(C2<=55, 0.5, 1), 0)
G2: =AND(B2<=設定!$B$1, B2>EDATE(設定!$B$1,-12))

基準日を2027年3月31日にすると、E列は2017年4月1日から2027年3月31日までの引渡しを真にします。「基準日前10年間」を、基準日の10年前の同日より後と読む設計です。この区切りの読みは、届出先の案内で確かめる項目に残します。

F列の合計が、保険なしの合計戸数です。55平方メートル以下は0.5戸と数えるので、合計に小数が出ます。小数の端数の扱いは条文からは分からないため、届出先の窓口か案内に当たってください。割合別の集計を式で持たせる作りは、インボイス経過措置の仕入税額控除の集計と同じ考え方です。

Claude for Excelに集計と検算を頼む手順

ここからがClaudeの出番です。Claude for Excelは、開いているブックについて質問すると、答えにセル単位の引用が付きます。数式の流れも辿れるので、台帳の式が意図どおりか見る用途に向いています。Excelアドインとしての利用は、Pro、Max、Team、Enterpriseの各プランが対象です。

手順

台帳から合計戸数を出す流れ

  1. 1

    台帳の複製を作る

    原本は触らず、複製したブックで作業します。Claude for Excelのドキュメントも、広い範囲の編集は信頼できるコピーから始めるよう勧めています。

  2. 2

    列と式を入れてもらう

    上の列構成を伝え、E〜G列の式を入れてもらいます。F列の0.5戸のルールは、プロンプトに条文の数字ごと書きます。

  3. 3

    件数を自分の目でも数える

    保険付き・55平方メートル以下・期間外の件数を、フィルタで数えて式の結果と突き合わせます。

  4. 4

    基準額を別セルで出す

    合計戸数を次章の表に当てて、基準額を出します。結果は電卓で検算します。

プロンプトは、条文の条件を数字ごと渡す形にします。次はその一例です。

このブックの「台帳」シートは、新築住宅を住戸ごとに1行で記録しています。
基準日は「設定」シートのB1です。次の列を右に追加してください。
・E列: 引渡日が基準日の前10年間(基準日の10年前の同日より後、基準日以前)なら真
・F列: E列が真で、D列(保険の有無)が「無」の行だけ数える。
  C列(床面積)が55以下なら0.5、それ以外は1
・G列: 引渡日が基準日の前1年間なら真
既存のA〜D列は変更しないでください。式を入れた後、F列の合計と、
E列が真の行数、D列が「有」の行数を、別のセルに出してください。

Claudeが入れた式は、そのまま信じず、行を数件選んで手計算と照らします。同ドキュメントは、監査に使う計算や人の確認がない最終成果物には勧めないとしています。届出は法定の書類なので、この制限がそのまま当てはまります。

Claudeに頼めるのは、並べ替え、フィルタ、ピボットテーブルの編集、条件付き書式、入力規則のプルダウン作成までです。保険の有無列にプルダウンを付けておくと、「有」「無」の表記ゆれで式が外れる事故を防げます。マクロとVBAは対象外です。

基準額は、合計戸数を施行令の別表に当てて出す

供託する場合の最低額が基準額です。施行令1条(宅建業者は5条)は、合計戸数に応じて「乗ずる金額」を掛け、「加える金額」を足して算定すると定めています。別表の最初の5区分は次のとおりです。

合計戸数乗ずる金額加える金額
1以下乗ずる金額2,000万円加える金額0
1を超え10以下乗ずる金額200万円加える金額1,800万円
10を超え50以下乗ずる金額80万円加える金額3,000万円
50を超え100以下乗ずる金額60万円加える金額4,000万円
100を超え500以下乗ずる金額10万円加える金額9,000万円

500戸を超える区分も別表にあり、算定額は120億円が上限です。別表の続きは施行令で確かめてください。

例として、架空の数字で計算します。基準日前10年間の引渡しが40戸、うち保険付きが12戸とします。残る28戸のうち、55平方メートル以下が6戸です。

  • 55平方メートル超の戸数: 28 − 6 = 22戸
  • 55平方メートル以下の換算: 6 ÷ 2 = 3戸
  • 合計戸数: 22 + 3 = 25戸(10を超え50以下の区分)
  • 基準額: 25 × 80万円 + 3,000万円 = 5,000万円

法の別表(3条・11条関係)は、この区分で供託額の範囲を3,800万円超7,000万円以下と置いています。5,000万円はこの範囲に収まります。範囲に収まるかは、算定結果の簡単な検算になります。保険の準備金をExcelで検証する流れは保険の準備金の検証にもあります。

くらべる

Claudeに任せる部分と、人が持つ部分

集計

Claudeに任せる

台帳への式の追加、区分の判定、件数の突き合わせ、基準額の再計算、届出書の記載項目の洗い出し。

判断と提出

人が持つ

供託額の決定、供託所での手続き、様式への記入、行政庁への提出、保険付き住宅の証憑の保管。

届出書に添える書類は、新しく供託・加入したときだけ

規則5条3項(宅建業者は16条3項)が、添付書類を次のように定めています。

  • 新たに供託した場合は、供託物受入れの記載がある供託書の写し
  • 新たに保険法人と保険契約を結んだ場合は、その契約を証する書面

前の基準日から供託も保険契約も増やしていなければ、添付書類は要りません。届出書本体と、基準日前1年間の一覧表は毎回要ります。

届出先は、建設業は許可をした国土交通大臣または都道府県知事です。国土交通大臣の権限のうち届出の受理は、規則42条により、主たる事務所の所在地を管轄する地方整備局長などに委任されています。大臣許可の業者は、地方整備局が窓口になります。

Claudeには、届出書の「記載項目の洗い出し」までを頼めます。様式は改正されることがあるため、最新の様式は届出先の案内から取り、台帳の数字をその欄に移す作業は人の目で行います。

届出を怠ると、新規契約が止まり、罰則もある

基準日の翌日から50日を過ぎても、供託と届出が済んでいない業者は、新たな請負契約・売買契約を結べません(建設業者は5条、宅建業者は13条)。ただし、基準日後に不足額を供託し、行政庁の確認を受ければ、その確認を受けた日以後は制限が外れます(5条・13条のただし書)。期限を逃したときは、この回復手続きが次の行動になります。制限中に契約を結ぶと、40条により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。

届出をしない、または虚偽の届出をした場合は、42条で50万円以下の罰金です。法人の従業者が業務に関して行った場合は、44条により法人にも罰金が科されます。

この罰則の重さが、集計の検算を省略できない理由です。台帳の入力漏れが、そのまま虚偽の届出になりえます。

落とし穴

外部から受け取った台帳をそのまま開かない

協力会社や前任者から届いたExcelには、Claudeを意図しない操作に誘導する指示が隠れている場合があります。同ドキュメントも、信頼できるスプレッドシートだけで使うよう求めています。外部のファイルは、値だけを自社の台帳に貼り付けてからClaudeで扱います。引渡し先の個人情報は、集計に不要なので台帳から外しておくと安全です。

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